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薄桜鬼 ヴィクトリア風パラレル 二次創作小説:トシ~倫敦の恋人たち~

February 21, 2021
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表紙はこちらからお借りしました。

「薄桜鬼」の二次創作小説です。

制作会社様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。

土方さんが両性具有です。苦手な方はご注意ください。


「トシさん、あんな良い男、何処で見つけたんだい?」
「・・昔からの知り合いですよ。」
「そうかい。」
ハミルトン家の料理番・ナンシーはそう言うと、それ以上余計な詮索をせずに今夜のパーティーの準備に取り掛かった。
ハミルトン家のパーティーには、クリスマス=シーズンの真っ最中とあってか、ひっきりなしに沢山の貴族達が来ては酒を楽しんでいた。
「それにしても、シャルロット様もそろそろ結婚しませんと・・」
「わたくし、やりたい事が沢山ありすぎて、まだ結婚など考えておりませんの。」
「おやおや、あなたほどの美女ならば、ひく手あまたでしょうに。」
「まぁ、お上手ね。」
そう言ったシャルロットは笑ったが、目は全く笑っていなかった。
「土方さん、どうしましょう?」
「厄介だな・・」
歳三がシャルロットの様子をカーテンの裏から見ながらそう言った時、背後から誰かが抱き着いてきた。
「また会えたね、愛しい君。」
(こいつ、この前の・・)
この男がハミルトン家の縁者だという事に思い出して、歳三は臍を噛んだ。
だが、彼の前に勇が現れた。
「この前のパーティーでお会いしましたね、フェイス子爵。」
「おや、君は・・」
「大久保大和と申します。」
「日本人が貴族のパーティーに来るなんて珍しいね。一体どんなコネを・・」
「ジェイド、お客様に無礼な振舞いは許しませんよ。」
「お、伯母上・・」
「大久保様、ようこそいらっしゃいました。」
「エミリー様、本日はこんなに素晴らしいパーティーにお招き頂き、ありがとうございます。」
「まぁ、素敵な白薔薇ね。わたくしが好きな花だわ。」
「奥様、わたしがその花を花瓶に活けて参ります。」
「まぁ気が利くのね、トシ。大久保様、仕事の話は書斎で致しましょう。」
「はい。」
勇と共にエミリーが大広間から姿を消すと、千鶴はエミリーと勇の為に紅茶を淹れに厨房へと向かった。
「すいません、お茶を淹れに来ました。」
「茶器は向こうにあるよ。済まないねぇ、ここはパーティーの準備で忙しくてねぇ。」
「いいえ。」
「あぁそうだ、このパイを奥様の書斎へ持っていっておくれ。」
「わかりました。」
千鶴が紅茶とパイを載せたトレイを持ってエミリーの書斎に向かうと、中から勇の何処か慌てた声が聞こえた。
「誰か来てくれ!」
「どうかなさいましたか?」
「エミリー様が、急に気分が悪いとおっしゃられて・・」
「どいて下さい!」
千鶴はそう叫ぶと、エミリーに心肺蘇生法を施した。
彼女の応急処置のお蔭で、エミリーは一命を取り留めた。
「あなたのお蔭よ、千鶴。あなたが居なかったら、お母様は今頃死んでいたわ。」
「いいえ、咄嗟に動いただけです。」
「咄嗟にしては、的確な処置だと、お医者様がおっしゃっていらしたわ。ねぇ、あなた医学の心得があるの?」
「えぇ・・父が、医者でしたから・・」
「そう。」
千鶴は適当にそんな事を言って誤魔化したが、幸いシャルロットは彼女の嘘に気づいていなかった。
「ねぇ、今夜は色々あって疲れたわねぇ。」
「そうね。」
「早く片付けて休もうか。」
「はい。」
こうして、波乱のクリスマス・パーティーは幕を閉じた。
(ここか・・)
歳三が勇から渡されたメモに書かれた場所へと向かうと、そこはハミルトン家が所有する農園だった。
「トシ、来てくれたのか?」
「お前と、静かな場所でゆっくりと二人きりで話したいと思ってな。」
「話?」
「なぁ、お前もしかして、前世の記憶を持っているんじゃないのか。」
「どうして、そんな・・」
「・・ずっと、探していたんだ。俺は、今までずっと、心の片隅が欠けているような気がしたんだ。自分の“半身”を・・かげがえのない存在を・・」
「勝っちゃん・・」
「トシ・・」
それ以上、勇と歳三の間に言葉は要らなかった。
二人は農園内にある納屋で、激しく愛し合った。
「愛している、トシ!」
「俺もだ、勝っちゃん!」
二人は、獣のように激しく互いの身体を貪り合った。
「どんどん、お前の嫌らしい蜜が溢れて来てるぞ・・」
「そんな事、言わないで・・」
「その顔が見たかった・・」

シャルロットは、歳三の帰りが遅かったことに気づいた。

「あなた、今まで何処に行っていたの?」
「少し、知り合いと会っていました。」
「そう・・今度その知り合いに会えるのなら、見える所に痕をつけるなと言ってやりなさい。」
「はい・・」

シャルロットに頭を下げた歳三は、すぐさま自室で鏡を見た。

そこには、昨夜勇がつけた情熱の証が首筋にしっかりと残っていた。

(勝っちゃん・・)

「土方さん、どうしたんですか?顔、赤いですよ?」
「あぁ、ちょっとな・・」
「トシ、奥様がお呼びよ。」
「わかりました。」

歳三は寝間着から自分が持っている中で上等な外出着へと着替えた。

「え、わたくしがパリに?」
「えぇ。今度、お友達の娘さんがパリで結婚式を挙げる事になってね。ブライズメイドをあなたとチヅルに頼みたいというのよ。」
「まぁ・・」
ブライズメイド、即ち新婦の付添人には、普通花嫁の友人や家族から選ぶのだが、使用人、しかも他家の使用人を指名するとは、何か事情があるのだろうか。
「かしこまりました。」
「じゃぁ、よろしく頼むわね。」
エミリーに一礼し、彼女の部屋から辞した歳三は、ホッと安堵の溜息を吐いた。
「土方さん!」
「千鶴、どうしたそんなに慌てて?」
「あの・・土方さんに会いたいという方がおられて・・」
「俺に?」
千鶴と共に歳三が一階の玄関ホールへと向かうと、そこには金髪紅眼の青年が立っていた。
「誰だてめぇ?」
「漸く探したぞ、歳三。」
男はそう言うと、歳三に抱きつくと、その唇を塞いだ。
「何すんだこの野郎!」
小気味いい音が、玄関ホールに響いた。
「まぁトシ、どうしたの?」
「奥様、こいつがいきなり・・」
「カザマ様、ようこそ。」
「ここのメイドに手荒な歓迎を受けましたよ。」
「あらあら、それはごめんなさいねぇ。でも、元はといえば初対面の相手にいきなりキスをするのは頂けないわね。」
「う・・」
「トシ、お茶を淹れて来て頂戴。」
「かしこまりました。」
歳三はジロリと男を睨みつけると、厨房へと向かった。
(全く、あいつとはこんな所で再会するなんてな。)
「風間さん、一体何しにここへ?」
「さぁな。」
歳三がエミリーの書斎のドアをノックしようとした時、中からエミリーとあの男の話し声が聞こえた。
「あら、カザマ様もパリへ?」
「えぇ。万博の時は“色々と”用事が立て込んでおりまして行けなかったので・・今回は、仕事と観光を兼ねて行こうと思いまして・・」
「まぁ、わたくしもなんですの。とはいっても、お友達の娘さんの結婚式に参列する事になったの。」
「ほぉ・・」
「その娘さん、何だか不思議な子でね、何でもずっと昔から探していている人が居るみたいなの。」
「探している人、ですか・・失礼ですがマダム、そのお嬢さんの名前を教えて頂けませんか?」
「えぇと、“ハジメ”といったわね。確か、東の島国の血をひく方なのですって。」
「ほぉ・・」
「奥様、お茶をお持ち致しました。」
「トシ、盗み聞きなどレディ失格ですよ。」
「も、申し訳ありません!」
「午後から忙しくなるから、お昼は早めに済ませておきなさい。」
「はい・・」
「パリ行きの前に、色々と忙しくなりそうだわ。」
「まぁ、そうですか。」
「あなた達のドレスや外出着も、新しく誂えたりしないとね。」
「奥様、そのような事をなさらなくても・・」
「何言ってるの、あなたはわたくしの娘同然の存在なんだから、遠慮しないで。」
「お母様、パリには今膨らんだ袖のドレスが流行っているのですって。」
「まぁ、そうなの。じゃぁ、仕立屋に色々と新しいデザインのドレスを頼まないとね。」
「マダム・サリーなら、可愛いドレスを作ってくれるわね、楽しみだわ!」
そう言ったシャルロットの声は、何処か嬉しそうに弾んでいた。
「あぁそうだ、パリにはトシ達を連れて行くわ。」
「そんな・・嫌よ!」
「シャルロッテ、一体どうしたの?何がそんなに気に喰わないの?」
「だって、あの二人が居るとわたしが見劣りしてしまうのよ、お母様!」
「何ですって・・まぁ、あなたという子は・・」
「お願いよお母様、あの二人をパリへは・・」
「お黙りなさいシャルロット、これはもう決まった事なのですよ。」
「お母様なんて、大嫌い!」
シャルロットはそう叫ぶと、食事の最中だというのに席を立ってダイニングルームから出て行った。
「まぁ、聞き分けのない子だこと。」
「奥様・・」
「放っておきなさい。」
「はい・・」
エミリーからそう言われたものの、歳三はシャルロットが気になって彼女の部屋へと向かった。
「シャルロット様・・」
「お願い、一人にして。」
「はい、わかりました・・」
歳三は、そう言うと彼女の部屋の前から辞した。
「土方さん、浮かない顔をしてどうなさったのです?」
「いや、ちょっと夕食の時にな・・」
歳三が夕食の時に起きた出来事を千鶴に話すと、彼女は溜息を吐いて髪を梳く手を止めた。
「シャルロット様は、赤毛である事で色々と嫌な目に遭われていたようで・・おそらく、シャルロット様のお言葉は、本心なのかもしれません。」
「そうか・・」
エミリー達がパリへ行く日が、刻一刻と近づいていった。
「トシ、奥様がお呼びよ。」
「はい、すぐに参りますと奥様にお伝え下さい。」
「トシ、行き先は聞かないけれど、余り一人で抱え込まないでおくれ。」
「行って参ります。」
歳三は屋敷の裏口から外に出ると、行きつけの薬局へと向かった。
「いらっしゃい。」
「いつものものを。」
「はいよ。」
フードを目深に被った歳三は、店主に代金を払って、“ある物”を購入した。
「ふぅ、誰にも見られてねぇな。」
歳三はフードを脱いで屋敷の裏口から厨房に入った後そう言った後、避妊薬を一気に飲み干した。
妊娠したら、無一文でこの屋敷から叩き出されてしまう。
それは何としてでも避けたかった。
「あら、トシは?」
「体調を崩してしまっているそうです。」
「そう・・」
「土方さん、大丈夫ですか?」

千鶴がそう言いながら歳三の方を見ると、彼女は脂汗を額に浮かべながら呻いていた。

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最終更新日  February 22, 2021 09:47:28 PM
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January 8, 2021



表紙はこちらからお借りしました。

「薄桜鬼」の二次創作小説です。

制作会社様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。

土方さんが両性具有です。苦手な方はご注意ください。


「す、すいません!」
「本当に鈍臭い子だね、一体あと何枚皿を割ったら気が済むんだい!?」
「さっさと片付けな、この愚図!」
「すいません・・」

長い黒髪をおさげにした東洋人の少女は、そう言って俯きながら散らばった皿の破片を慌てて搔き集めようとした時、指先にそれが触れ、そこから血が流れ出た。

「っ・・」

ここで泣いてはなるものかと、彼女が涙を堪えていると、そこへ誰かがハンカチを彼女に差し出した。

「大丈夫か?」
「は、はい・・」
「後でちゃんと消毒しておけ。破傷風になりたくねぇんならな。」
「ありがとうございます。」

少女が俯いていた顔を上げた時、“その人”は立っていた。

自分と同じ漆黒のワンピースに、白いレースのエプロンを掛けているというのに、それが何故か少女の目には美しい絹のドレスに見えた。

雪のように白い肌に、黒檀のような艶やかな黒髪を編み込みにしてヘッドドレスの中に収めている“その人”は、宝石のような紫の瞳で少女を見た。

「ここに居たのね、トシ。奥様がお呼びよ。」
「わかったよ。」

“その人”―ハミルトン伯爵家のメイド長・トシはそう言って舌打ちしながら、女主人が居る上階へと向かった。

「・・美しい。」
「すいませんが、その手を離して頂けませんか?」
「済まない、君の美しさに目がくらんで・・」

(相変わらず気障な野郎だ・・)

トシは内心そんな事を呟きながら、女主人とその甥に紅茶と茶菓子を恭しい仕草で彼らの前に置いた。

「それで、わたくしに頼みとは何かしら?」
「実は、こちらの方をわたしの婚約者として今夜のパーティーに連れていきたいのですが・・」
「まぁ、トシなら大丈夫ね。」
「ちょっ、ちょっと待って下さい、奥様・・」
「トシ、わたくしと共にいらっしゃい。」

あれよあれよと言う間に、トシは女主人・エミリーに連れられ、ハミルトン伯爵家の支度部屋へと入った。
そこには、エミリーお抱えの仕立屋・ジャミールの姿があった。

「まぁ、この方が・・」
「この子はトシ。」
「白い肌だから、どんな色のドレスも似合うわね!あぁでも、あなたのその美しい瞳に合わせるには、やっぱりオリエンタルなデザインがいいわね!」

そう言ってジャミールが衣装箱から取り出したのは、紫に桜の模様が入ったドレスだった。
そのドレスを見た瞬間、遠い過去の“記憶”がトシの脳裏を掠めた。

―トシ、この着物はお前に似合うだろうな。
―男に振袖は似合わねぇよ。

「トシ、どうしたの?」
「いいえ・・」
「それじゃ、早速コルセットを締めましょうね!」
「失礼致します!」

ジャミールとその弟子であるユリシスによってコルセットでウェストを極限まで締め付けられ、トシは思わず呻いた。

「20センチですわ、先生!」
「トレビアン!」

初めて招かれた英国貴族のパーティーで、大久保大和は所在なさげに会場の隅に固まり、ちびちびとシャンパンを飲んでいた。
そこへ、一人の金髪碧眼の男性が大広間に入って来た。
大和は、彼ではなく、彼が連れている美女に目を奪われた。
黒檀のような艶のある黒髪、雪のような白い肌、血のような紅い唇、そして美しい宝石のような紫の瞳・・

―勝っちゃん。

「トシ・・」

背後から急に名を呼ばれ、振り向くとそこには、“彼”が居た。

(あぁ、漸く会えたな、勝っちゃん・・)

そう思いながら、トシは意識を失った。

誰かの、優しくも懐かしい温もりに包まれながら。

「てめぇら、いつまで寝ていやがる、起きろ!」
「何だい、もう朝かい・・」
仲間のメイドたちがモゾモゾとベッドの中で動き出すと、千鶴も彼らに倣ってベッドから起き上がった。
「おはようございます。」
「おはよう。」
そう言った歳三の両目の下には、隈が出来ていた。
「あの・・」
「今夜はパーティーがあるから、買い出しに行くぞ。」
「は、はい・・」
 千鶴は歳三と共に、市場へと向かった。
そこには新鮮な野菜などが売られていて賑やかだったが、一歩裏に入れば、そこにはその日暮らしを送っている孤児達の姿があった。
「いいか、スリに気をつけろ。あと、物乞いに施しをやるんじゃねぇぞ。」
「はい・・」
歳三が千鶴と共に市場で買い物をしていると、そこへ一人の男―大久保大和が現れた。
「君は・・」
「千鶴、何している、早く行くぞ。」
「は、はい!」
大和は自分によそよしい態度を取った歳三の事が気になり、こっそりと彼女の後を尾けた。
すると、彼女ともう一人のメイドは、ある貴族のタウンハウスの裏口へと消えていった。
「もし、こちらのお屋敷はどちらのものですか?」
「あぁ、こちらはハミルトン伯爵様のお屋敷ですよ。」
「そう、ですか・・」
大和は驚愕の表情を浮かべながら、その場を後にした。
「痛っ!」
「土方さん、大丈夫ですか?」
「そんなに騒ぐ事じゃねぇだろ。」
「さっき市場で会った方とは、お知り合いなのですか?」
「口よりも手を動かせ。それじゃぁいつまで経っても仕事が終わらねぇぞ。」
「すいません・・」
「なぁ千鶴、お前ぇ、“昔”の記憶を持っているか?」
「はい。」
歳三と千鶴は、“昔”-前世では夫婦であり、共に白髪が生えるまで生きた。
だが今は、二人は夫婦でも何でもない、同じ救貧院で育った年の離れた“姉妹”のような関係だ。
「俺は昨夜、奥様の頼みである貴族のパーティーに出てな・・そこで、あの人と―近藤さんと会ったんだ・・」
「そんな・・」
「向こうも、俺が誰なのかすぐに気づいたみたいでな。でも気づく前に、俺は気絶しちまった。」
コルセットをきつく締め過ぎてな―歳三がそう言って苦笑すると、縫い終わったシーツを籠の中に入れた。
「トシ、ここに居たのね。奥様がお待ちよ。」
「わかったよ。」
「あなたもいらっしゃい。」
「は、はい・・」
歳三と千鶴がハウスキーパー・ルイーズと共にエミリーの部屋へと向かうと、途中でハミルトン伯爵家の次女・シャルロットと擦れ違った。
「あら、珍しいわね。あなた達がこんな所にいるなんて。」
「おはようございます、お嬢様。」
「お母様に呼ばれたのでしょう。」
「はい。では、これで失礼致します。」
「そう・・」
シャルロットは、横目でちらりと歳三の首筋に残る痣を見た。
「奥様、失礼致します。」
「二人共、来たわね。」
エミリーはそう言うと、歳三と千鶴に微笑んだ。
「あなた達を、今日からわたくしのレディース・メイドにするわ。」
「まぁ奥様、いけませんわ。トシはともかく、この子はまだここに入って日が浅いのです・・」
「だからこそです。年頃の娘に相応しいマナーと淑女としてのたしなみを身につけさせるのも、女主人の務めです。」
「奥様が、そうおっしゃるのなら・・」
レディース・メイドとは、女主人である奥様の身の回りの世話や外出の同伴などの仕事をする、所謂侍女である。
今までハウスメイドとして働いてきた二人が、上級使用人として「格上げ」されることは、あっという間に屋敷中に広まった。
「あんたが奥様のレディース・メイドになるなんてねぇ。」
「いいかい、奥様の機嫌を決して損ねるんじゃないよ。」
「はい、わかりました。」
千鶴はそう言うと、同僚達に向かって頭を下げた。
「二人共、今日はわたしに付き合って頂戴。」
「はい、シャルロットお嬢様。」
レディース・メイドとしての二人の初仕事は、シャルロットの外出の付き添いだった。
「あなた達、とても綺麗な髪をしているわね。わたしの赤毛とは大違い。」
「そんな事ありませんわ。お嬢様の御髪は美しいではありませんか。」
「下手なお世辞は止めて。お父様とお母様はブロンドなのに、わたしだけ赤毛なのよ。わたしの気性が荒いのは赤毛だからと、お祖母様から散々言われるの。嫌になるわ。だから、わたし来世に生まれ変わったら、赤毛以外の髪を持ちたいわ。」
シャルロットはそう言って溜息を吐いた後、試着していた帽子を脱いだ。
「ハロッズは何だかつまらないから、別の場所に行きましょう。」
「はい、お嬢様。」
歳三と千鶴が暫くシャルロットの買い物に付き合っていると、彼女は一軒の宝飾店の前で立ち止まった。
「素敵・・」
「えぇ。」
「いつかわたしも、こんな素敵な指輪を贈られる日が来るのかしら?」
「えぇ、きっと来ますわ。」
ハミルトン邸に戻った歳三と千鶴が下の階へと降りると、そこには市場で会った大久保大和こと、近藤勇の姿があった。
「まぁ、大久保様、何故ここに?」
「美味しいパイを頂いたので、皆さんにお裾分けしようかと。」
「そんな事なさらなくても・・」
「トシ、パーティーの後、ここで待っている。」

勇は、そう歳三の耳元で囁くと、そっと彼女のエプロンの中に一枚のメモを入れた。

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最終更新日  January 11, 2021 09:22:53 PM
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