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コナン×薄桜鬼クロスオーバー二次創作小説:土方さんと安室さん

August 17, 2021
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「薄桜鬼」・「名探偵コナン」のクロスオーバー二次小説です。

作者・出版社・制作会社などとは一切関係ありません。

捏造設定ありなので、苦手な方はご注意ください。


作中に登場する「武蔵山」は架空の山です。

「パパの名前は、内藤隼人といいます。」
「行方不明になったのは、いつから?」
「半年前です。パパは、山岳ガイドとして武蔵山へ登山をしていました。でも・・」
女児は思い出したくないというように、唇を噛んだ。
「嫌な事は思い出さなくていい。誰にだって話したくない事や思い出したくない事のひとつやふたつ、あるからな。」
「すいません・・」
「ねぇ、ここまで一人で来たの?お母さんは?」
「ママは先月、病気で死にました。ママ、最期までママに会いたいって・・」
「そうなの。でもどうして、お父さんを捜そうと思ったの?」
「それは・・」
女児は、また唇を噛んだ。
どうやら、何も言いたくない事がある時に、彼女は無意識にそう言う事をしているらしい。
とりあえず彼女は毛利家に一泊させてから、小五郎はこの依頼を引き受けるかどうか考えると言って事務所から出ていった。
(武蔵山って、半年前確か遭難事故があった筈・・)
コナンはそう思いながら、スマホでその遭難事故の事を調べた。
事故は、昨年の十二月に起きた。
東京の旅行会社の社員十人が、その会社の恒例行事である“年越し登山”の為に武蔵山へと向かった。
武蔵山は、標高二千五百六十八メートルとそんなに高くはなかったが、事故当日は天気は快晴で何の問題もなかった。
しかし問題が起きたのは、最終日だった。
今まで好天に恵まれていたが、一行が下山する際、武蔵山は強風と雨に見舞われた。
山岳ガイドで何度も武蔵山を経験していた隼人は、下山を延期するように言ったが、十名の登山客達は下山を強行、強風と雨が吹き荒れる中、十名の内五名の登山客達が低体温症に罹り、凍死。
事故の調査で、事故原因は登山客達の無謀な計画、隼人以外のガイドの経験不足など、幾つもの“無計画”な部分が重なったものであったと、地元警察は発表した。
「これは、明らかに登山客側の準備不足ね。」
「そうだな。大体、この登山には、無理がある。昨年の十二月は大荒れの天気だったし、事故が発生してしかるべきなのに、何で強行したんだか・・」
“ポアロ”でアイスコーヒーを飲みながら、コナンと哀は遭難事故について話し合っていた。
「噂によると、その会社は、営業成績が悪い社員たちの精神を鍛える為にあの山を登らせていたそうだよ。」
「安室さん、どうしてそんな事を知っているの?」
「色々と、知り合いにね。それよりも、今週末みんなで武蔵山へ行かないかい?」
「いいけど・・安室さん、“お仕事”はどうするの?」
「何とかするさ。」
数日後、コナン達は登山用品専門店に来ていた。
「こんなもんまであるのか・・」
「山では何か起こるかわかりませんから、多めに買っておきましょう。」
零はそう言うと、カゴの中にチョコレートバーを五袋分入れた。
「さてと、一通りに買い物を済ませましたし、食事をしましょうか?」
零がそう言ってコナン達を連れて行ったのは、駅前のファーストフード店だった。
「おい、箸はねぇのか?」
「そんなものはありませんよ。」
「土方さん、ハンバーガー食べるの初めてなの?」
「あぁ。」
「はじめは慣れませんが、これから慣れていきますよ。」
「そ、そうか?」
「えぇ。」
「手掴みで食べる物なんて、握り飯位だったからな。」
やはり、この時代で生きてゆくのは大変そうだ―歳三はそう思いながら、生まれて初めてハンバーガーを食べた。
「うわぁ~、空気が澄んで綺麗~!」
「東京と違って、ここは寒いですからね。」
週末、コナン達は女児―内藤桜の依頼を受け、失踪した彼女の父親を捜しに武蔵山に来ていた。
武蔵山は、福島と山形両県に跨る山で、四季折々の美しさを見せる事で、近年中高年を中心にツアー登山が盛んになっている。
しかしそれと比例して、遭難事故が多発していた。
「あんたら、初めて来なすったのかい?」
「はい、人を捜しに。」
「あんた、生きとったのか!?」
コナン達が登山口の近くにある山小屋で彼らが早めの昼食を取っていると、彼らにコーヒーを運んで来た管理人が歳三の顔を見た後、素っ頓狂な叫び声を上げた。
「どうしたの、おじさん?」
「いやすまん・・半年前、ここで見かけた人と瓜二つの顔をしていたから・・」
「もしかして、ここで見かけたのは、この人でしたか?」
零はそう言うと、隼人の写真を見せた。
「そう、この人だ!十人位のお客さん連れてたなぁ。そのお客さん達、ここに登る前からかなり疲れていたよ。」
「へぇ・・詳しい事、お聞かせ願えませんかねぇ?」
零は管理人にさり気なく警察手帳を見せて、半年前ここで彼が見聞きしたことを聞き出した。
「あの人達、“昨夜も徹夜した”、“クビになりたくない”ってこぼしていたよ。ガイドの人はさぁ、“皆さんの体調が万全でないのなら、中止しましょう”って、何度も中止を勧めたんだよ、でもなぁ・・」
「そういえば、この山は最近遭難事故が多発していると聞きましたが・・」
「あぁ、遭難した方はみんな県外の方ですよ。軽い散歩気分で来る人が多くてね、極端な人だとTシャツとジーパン姿の人が登りに来てさぁ、怒鳴って追い返してやったよ、“山をなめるな!”ってね。」
「“山には魔物が棲んでいる”っていいますよね。天候が悪化してもしなくても、完璧な装備と計画をしていなければ自然の脅威にさらされる、でしたっけ?」
「お兄さん、話がわかるねぇ。はい、これうちからのサービス。鮭とおかかの具入りの御握り。山頂で食べて。」
「ありがとうございます。」
山小屋を出ると、零は何かを考えこんでいるようだった。
「安室さん、何かわかったような顔をしているね?」
「鋭いね。コナン君、今回の遭難事故は、事故に見せかけた殺人だと思っているんだ。その証拠に、先程山小屋の主人からお握りと一緒にこんな物を貰ったんだ。」
そう言って零がコナンに見せたのは、A5サイズの大学ノートだった。
「それ、何?」
「管理人さんによると、あの事故の生存者が山小屋に忘れた物だそうだよ。」
「へぇ・・」

コナンがそのノートの中身を見ると、そこには日常、主に職場の愚痴などが書かれてあった。

“また残業。このままだと社長に殺されるかもしれない。”
“ヤバい、あいつに全て見られた。消さないと。”
“これから・・”

ノートは、そこで終わっていた。

「このノート、誰が書いていたんだろう?」
「さぁね。でも、ノートのイニシャルには、“T.K”とある。そのイニシャルに該当する人物は、一人居る。」
「え・・」
「コナン君、もしかして僕達は隼人さんについて、最悪の真実を考えなければならないかもね。」
「それって、隼人さんはもう・・」

その時、向こうから大きな音がした。

「おい、あっちで何か音がしたぞ!」
「行ってみよう!」

コナン達が、音がした方へと向かうと、そこには一人の男が槍のようなものを数人の男達に向けていた。
男の髪はボサボサで、全身泥だらけで悪臭にまみれていたが、彼の目には強い光が宿っていた。
その男と対峙するかのように立っている数人の男達の顔に、コナンは何処か見覚えがあった。
「お願いだから、許してくれ!」
「許せ、だと?半年前だけじゃねぇ、今までこの山で人を殺しておいて良く言うぜ!」
「ひぃぃ~!」
(あの人達、半年前の事故の生存者達だ!じゃぁ、槍みたいなものを持っている人は、まさか・・)
「これ以上、山を汚すのは許さねぇ!お前達に裁きを下してやる!」
「待って、内藤隼人さん!」
「てめぇ、何で俺の名前を・・」
「あなたの娘さんがあなたの帰りを待っているんだ!」
「桜が・・もしそうだとしても、俺ぁもうあいつとは暮らせねぇ。」
「馬鹿野郎、てめぇにはてめぇの帰りを待っている家族が居るだろうが!娘を独りにさせる気か!」
そう男に怒鳴って彼の顔を拳で殴ったのは、歳三だった。
「お前ぇは・・」
男―隼人は、驚愕の表情を浮かべながら自分と瓜二つの顔をした歳三を見た。
その後、下山したコナン達は、あの事故の真相を隼人と生存者達から聞いた。
「あの登山は、毎年営業成績が悪い社員を十名選んで、ロクな装備を持たせずに悪天候の中でもさせるんだ・・“お荷物”を処分する為に。」
「会社は、社長の独裁経営で、社員は連日残業が当たり前。休職して、いつの間にか会社から居なくなった人も何人か居て・・」
「要は、この山で会社から“捨てられた”んですよ。」
「てめぇらより、その会社とやらが腐っていやがるから、山が汚されているんだろうが。頭が腐っていやがるから、何もかもおかしくなるんだ。そんな腐りきった所なんか捨てちまえ。人を殺すような所は勝手になくなるさ。いつまでも沈みかかっている船にしがみつくつもりだ?」
歳三の言葉を聞いた生存者達は、何処か憑き物が落ちたかのような顔をしていた。
後日、彼らは会社を退職後、それぞれ新しい職場で活き活きと働いているという。
彼らに登山を強制していた旅行会社は、労働基準監督署と税務署からそれぞれ脱税と社員に対する過重労働を告発され、更に警察から社員に対する暴力行為などを告発された結果、廃業に追い込まれた。
「“天網恢恢疎にして漏らさず”とは、まさにこの事だな。」
「えぇ。そうだ、内藤さん達から写真とお手紙が届きましたよ。お二人共、今は長野にある内藤さんのご実家が経営されている旅館を手伝っているようですよ。」
そう言って零が歳三達に見せたのは、笑顔を浮かべている隼人と桜の写真だった。
「良かったですね。」
「あぁ。もしあの時の子が産まれてりゃ、桜ちゃんと同じ年になっていたろうな。」
「お子さんが居たのですか?」
「いや、千鶴が俺と夫婦になってから、三月経った頃にあいつは俺の子を身籠った。俺達は、桜が咲く頃に“親”になる筈だった。だが、そんな時に村で疫病が流行って、千鶴も疫病に罹って、腹の子と一緒に死んぢまった。」
「そうですか・・それで、自殺を・・」
「愛していたんですね、奥様の事を。」
「あぁ、今は夢ん中でしか会えねぇがな・・」
歳三はそう言って寂しそうに笑った後、皿を洗い始めた。
「いらっしゃいませ~!」
「あの、ここに安室透さんという方はいらっしゃいますか?頼みたい事が、あるのですが・・」

店のドアベルが鳴り、一人の女性が店に入って来た。

「千鶴・・!?」

その女性は、歳三の亡き妻・千鶴の生き写しかと思う程、彼女と瓜二つの顔をしていた。

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最終更新日  August 17, 2021 07:46:41 AM
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August 7, 2021



「薄桜鬼」・「名探偵コナン」のクロスオーバー二次小説です。

作者・出版社・制作会社などとは一切関係ありません。

捏造設定ありなので、苦手な方はご注意ください。


癖のある茶色の髪に、翡翠の瞳―その客の容姿を、歳三は何処かで見たような気がしてならなかった。

すると、その客が歳三を見た。

「トシさ~ん!」
客はそう叫ぶと、歳三に抱きついた。
「会いたかった、トシさん!」
「お前ぇ、八郎か?」
「そうだよ、トシさん!」
謎の客―伊庭八郎は嬉し涙を流し、暫く歳三から離れようとしなかった。
「何で、お前ぇまでこの町に居るんだ?」
「それは、ヒミツ!ねぇトシさん、ここで働いても良い?」
「それはマスターに聞かねぇとな。」
「え~!」
「あれ、あなたは・・」
「安室さん、お久しぶりです!」
「二人共、お知り合いなんですか?」
「えぇ。この前、商店街のスーパーでウロウロと沢庵の前を行ったり来たりしているのを見て、声を掛けたら、何処にも行く当てがないと言うから、伊庭さんとルームシェアをしているんですよ。」
「へぇ、そうなのか。」
「僕は家を空ける事が多いから、愛犬の世話をしてくれるから、助かっているよ。」
「いやぁ、助かっているのは僕の方ですよ。最近身体を動かしていないから、ハロ君の散歩は良い運動になります。」
そんな話をしている八郎と安室は、わきあいあいとした様子だった。
「ところで土方さん、新しい下宿人の事でお困りのようですね。」
「あれは、タダ飯喰らいの居候です。いつも俺が掃除した端から汚す、洗った食器は片づけない、洗濯物は干さない、脱いだからその場に置きっ放し・・もうそいつの全てにイライラしているんです!」
「ほぉ、そうなんですか。じゃぁ、“何もしない”のが一番です。」
「“何もしない”?」
「えぇ。あなたがその人の分まで家事をしているから、あんたに甘えて何もしないんですよ。だから、何もしない方がいいですよ。所謂放置プレイってやつですかねぇ?」
「成程―」
零からそんなアドバイスを受け、その日から歳三は一切千景の身の回りの世話をしなくなった。
「おい、俺の飯はどうした?」
「んなもん、自分で作れ。」
「貴様、俺のシャツに火熨斗(アイロン)をかけておらぬではないか!」
「自分でかけろ。」
「シャツのボタンが取れた、つけてくれ。」
「自分でつけろ。」
歳三が自分の身の回りの世話をしなくなり、千景はいつしか家事をするようになった。
「どうですか、例の下宿人さんは?」
「効果てきめんでしたよ。やっぱり、男は甘やかすとロクな事になりませんね。」
「そうですね。」
「耳が痛てぇ話だな。」
小五郎がそんな事を呟きながらコーヒーを飲んでいると、そこへ千景が入って来た。
「歳三、買い出しに行って来たぞ。」
「ありがとう。え~と、全部揃っているな。おい待て、これは何だ?」
歳三がそう言ってエコバックから取り出したのは、スナック菓子の袋だった。
「小腹が減って・・」
「レシート見せろ!」
それから小一時間、千景は歳三から説教を受けていた。
「何か、可哀想になって来たね・・」
「うん、そうだな。」
「安室さん、助けなくていいんですか?」
「いいんですよ、彼にとって良い薬にもなりますし。」
零は、そう言って笑った。
数日後、千景は自然と家事をするようになった。
「どうでしたか?」
「やっぱり、あいつを甘やかしてはいけませんね。ちょっと、俺が一日家を留守にしたら、部屋を散らかして・・」
「まぁ、家事は一日にして成らず、ですからね。根気よくやっていきましょう。」
「はい。」
零と歳三がそんな話をしていると、八郎が出勤してきた。
「おはようございます!」
「おはよう。」
「毎朝僕の代わりにハロの散歩をして貰ってありがとうございます。」
「いえいえ。それよりも、これ後で皆さんと頂いて下さい。」
「ありがとうございます。」
八郎がそう言って歳三達に配ったのは、彼の手作りのクッキーだった。
「うわぁ、美味しそう!」
「初めて作ったので、味は保証できませんが。」
「それでもすごいです!」
「何だ、随分と今日は賑やかだな?」
「あ、風間さんもおひとつどうぞ。伊庭さんが作ってくれたクッキーですよ。」
「フン、食ってやろう。」
千景はそう言ってクッキーを一個摘まむと、それを一口食べた。
その直後、彼は激しくむせた。
「おい、一体どうしたんだ?」
「あ、このクッキー、ひとつだけわさびを入れたんだよね。」
「へぇ。」
「安心して、中には全部、おみくじが入っているから!」
「面白そうだな。」
「そうだ、このクッキー、“ポアロ”で配ってみたらどうでしょう?」
「いいですね、それ!」
千景が苦しみながら水を飲んでいる横で、八郎達は新商品のアイディアを話し合っていた。
季節は新緑の季節から、雨が降る季節―六月を迎えた。
「毎日雨ばかりで嫌になりますね。」
「えぇ。」
“ポアロ”の店内は、ランチタイムだというのに客がまばらだった。
「トシ、大変だよ!」
「どうした、八郎?」
「トシさんを探しに、毛利探偵事務所へ変な男が来ている。」
「どんな奴だ?」
「中肉中背、髪は紫がかった青色っぽい色で、瞳の色は薄い紅色みたいな・・あ、泣きホクロがあったな。」
「へぇ・・」
「まぁ、ここにも来ると思うよ。あ、噂をすれば・・」
 八郎がそんな話をしていると、店のドアベルが鳴って一人の男が入って来た。
男の特徴は、先程八郎が話した通りのものだった。
男は、店に入るなり真っ先にカウンター席に座った。
「久しぶりじゃのぅ。」
「坂本・・」
「トシさん、こいつと知り合いなの?」
「知り合いも何も、こいつとは将来を誓い合った仲じゃ。」
「な、何だってぇ~!」
八郎はそう叫ぶと、運んでいたコーヒーカップをソーサーごと落としそうになった。
「おい、嘘を吐くな。」
「嘘なんか吐いてないぜよ。」
「トシさんは、僕のだぞ!」
「いいや、わしのじゃ!」
「お前ら二人共出て行け~!」
歳三の怒声が、梅雨空に響いた。
「あ、そういやこの店に入る前、おまんの事を見ちゅう男がおったぜよ。」
「どんな奴だった?」
「さぁ・・ただ、眼鏡をかけていたのぅ。」
男―坂本は、そう言うとアイスコーヒーを一口飲んだ。
「美味いのう!はじめは泥水だと思うたけんど、慣れてみると中々良いもんじゃ!」

坂本はその日から、“ポアロ”の常連客となった。

(何だ、また・・)

「どうしました、土方さん?」
「いえ、最近視線を店の外から感じるんですよ。」
「店の外から、ですか?」
「ええ、まるで刺すかのような鋭い視線で・・」
坂本が以前言っていた、“自分を睨みつけていた男”なのだろうか―そんな事を思いながら歳三が交差点で信号待ちをしていると、誰かに背中を押されそうになった。
「大丈夫ですか!?」
「はい・・」
歳三は何とかその場で踏ん張って押されずに済んだが、ショックで暫くその場から動けなかった。
「どうしたの土方さん、顔色悪いよ?」
気分が少し悪くなり、公園のベンチで歳三が休んでいると、そこへコナンがやって来た。
「あぁ、ちょっと気味が悪い目に遭ってな・・」
「僕に話してみて。」
「あぁ、実は・・」
歳三はコナンに、最近誰かに見られている事、そして交差点で誰かに突き飛ばされそうになった事を話した。
「坂本さんや安室さんがこの前話していたよね?土方さん、知らない内に誰かに恨まれているんじゃないの?」
「身に覚えがないな。しかし、何処の誰なのかがわからねぇのが気味が悪いぜ。」
コナンと歳三は公園を出て、毛利家へと向かっていた。
その途中で、二人は一組の男女が言い争っている姿を目撃した。
「何よ、それ!?わたしを疑っているの!?」
「疑うような事をしたお前が悪いんだ!」
彼らの話を聞いていると、どうやら痴話喧嘩のようだった。
「いつの世も、色恋ってのは上手くいかねぇもんだな。」
「ねぇ、土方さんと奥さんって、どうやって出会ったの?」
「それは、話せば長くなるな。」
そんな話を二人がしながら“ポアロ”の前を通りかかった時、突然一人の男がナイフを握り締めながら歳三の方へ突進していった。
「珠美を返せ~!」
「土方さん、危ない!」
周囲が騒然とする中、歳三は男が持っていたナイフを弾き飛ばし、そのまま男を投げ飛ばした。
「誰か、警察呼んでくれ!」

歳三を襲ったのは、“ポアロ”の常連客の夫だった。

「最近、彼女の様子がおかしいから、いつもこいつと楽しそうに話していて、それで・・」
「俺との浮気を疑ったって訳か。だとしたら、とんだ勘違いだな。」
「え?」
「あんたの奥さんは、浮気なんかしてねぇ。ただ、日頃の愚痴を俺に吐いていただけだよ。」
「そんな・・」
「あんたは俺を襲う前に、もっと奥さんと向き合うべきだったな。」
「うわぁぁ~!」

男の叫びは、むなしく梅雨空に響いた。

翌日、男の妻が毛利家へとやって来た。

「主人が、とんでもない事をしてしまい、申し訳ありませんでした!」
「俺は大丈夫だから、早く旦那の元へ帰ってやりな。」
「はい・・」

歳三の襲撃事件から数日後、毛利探偵事務所に一人の珍客が現れた。

「パパを、探して欲しいんです。」

そう小五郎に依頼しに来たのは、七歳の女児だった。

「お父さんの写真は、持っているかな?」
「はい。」

女児が小五郎に見せた写真には、歳三と瓜二つの顔をした若い男が写っていた。

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最終更新日  August 9, 2021 07:00:33 AM
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「薄桜鬼」・「名探偵コナン」のクロスオーバー二次小説です。

作者・出版社・制作会社などとは一切関係ありません。

捏造設定ありなので、苦手な方はご注意ください。


「いらっしゃいませ~」

歳三が現代へとタイムスリップし、毛利家に居候し、“喫茶ポアロ”で働き始めてから一週間が過ぎた。

「土方さんが来てくれて、本当助かります。今まで食事はわたし一人でやっていたから・・」
「いやぁ、俺も千鶴と所帯を持ってから色々と家事をしていましたから、まだ不慣れなものですよ。」
「それでもすごいですよ。」
「そうですかね・・」
いつものように、歳三が作った朝食をコナン達が食べていると、外から大きな音が聞こえた。
「何、今の?」
「さぁな。」
その後、歳三は学校へと向かうコナンと蘭を見送ると、“ポアロ”へと出勤した。
「おはようございます。」
「土方さん、おはようございます。」
「おはようございます、榎本さん。」
「安室さんは、風邪をひいたそうで、数日休むそうです。」
「風邪、ねぇ・・」
歳三がそんな事を呟きながらモーニングの準備をしていると、店のドアベルが鳴った。
「いらっしゃいませ~」
店に入って来たのは、サングラスをかけ、初夏だというのに厚手のコートを着た男だった。
「ご注文は?」
「この“朝定食”を頼む。」
「かしこまりました。」
歳三がそう言って厨房へ向かった後、 謎の男がサングラスを外した。
彼は、喫茶店巡りをしてはその店の料理の評論をする、グルメブロガーである。
最近、この町にある“喫茶ポアロ”の朝定食が美味いという噂を聞きつけ、やって来たのだった。
(さて、頂きましょうか・・)
男はそう思いなが箸で焼き鮭を一口大に切り分け、それを食べると、彼はその美味さに思わず呻きそうになった。
(良い焼き加減・・しかも、鮭本来のうまみを引き出している!)
いつの間にか、彼は“朝定食”を完食していた。
「ご馳走様でした。」
「ありがとうございました。」
“ポアロ”を出た後、男は帰宅するなり思いの丈をブログに綴った。
「何だか最近、“朝定食”を注文される方が多いですね。」
「あぁ、一昨日うちに来たお客様がブロブに“朝定食”の事を紹介してくれたんですよ、ほら。」
そう言って梓が零に見せたのは、件のグルメブロガーのブログだった。
“奇跡、これは奇跡としか言いようがない!良い焼き加減の鮭と、炊き立ての白米との相性が抜群だ!”
「ちょっと大袈裟過ぎませんか?」
「いいじゃないですか、この店の宣伝になるんだし・・」
「そうですね。それにしても、今日も女性のお客様が多いような気がしませんか?しかも年齢層が少し高めの。」
「多分、土方さん目当てでしょうね。安室さんはほら、気さくな感じでJK達から人気でしょう?でも土方さんは、落ち着いたデキる大人なイメージがありますよねぇ。」
「はは、そうですか。それで、土方さんはどちらに?」
「あ、さっき買い出しを頼んでスーパーに行ってくれたんですが、中々戻って来ないですねぇ。」
「まぁ、そのうち戻って来るんじゃないですかねぇ?」
零はそう言いながら、仕事に戻った。
同じ頃、哀とコナンは少年探偵団と共に米花商店街の中にあるスーパーへと来ていた。
「なぁ、あれ土方の兄ちゃんじゃね?」
「何しているんだろう?」
元太達がそう言いながら見ているのは、自動ドアの前で右往左往している歳三の姿があった。
「土方さん、どうしたの?」
「ああ、お前らか・・助かった、今困っている所なんだ。」
「え?」
コナンと哀が歳三から事情を聞くと、歳三は自動ドアから中々スーパーの中へと入れず、困っていた。
「大丈夫ですよ、僕についてきて下さい!」
何とか光彦と元太に手をひかれながら無事にスーパーの中へと入れた歳三だったが、今度は売り場が広過ぎて目的の物が中々見つからなかった。
「えぇと、これが“あいすくりぃむ”と・・」
「ちょっと、アイスクリームは溶けるから最後に買いなさい。常温保存の物を先に買った方が良いわ。」
「あぁ、そうだな。」
ひと通り買う物をカゴの中に入れて歳三がレジへとカートを押していると、彼はある物の前で止まった。
「ちょっと、どうしたの?」
哀が、歳三が見つめている物を見ると、それは沢庵のパックだった。
「行くわよ。」
「わかったよ・・」
歳三は溜息を吐くと、スーパーから出て“ポアロ”へと戻った。
「只今戻りました。」
「随分遅かったじゃないですか?」
「えぇ、でもこの子達が助けてくれました。」
「へぇ。」
ランチタイムを過ぎた“ポアロ”には、ゆったりとした時間が流れていた。
「はぁ、疲れた・・」
「それもそうよねぇ、色々とあったもの。」
哀はそう言うと、溜息を吐いた。
「土方さん、今日はもう帰ってもいいですよ。」
「わかりました。」
“ポアロ”を出て毛利家の中へと入った歳三は、リビングに入ると着替えもせずそのまま眠ってしまった。
『降谷さん、例の件ですが、犯人が捕まりました。』
「そうか。」
『あの土方という男は、あの探偵の所に?』
「あぁ。彼は完全とまではいかないが、すっかりここに馴染んだようだ。」
『また何か動きがあったら報告致します。』
風見は零との通話を終えた後、自分の前に座っている金髪紅眼の男を見た。
「さてと、あなたには色々と尋ねたい事が山程あります。」
「ふん。」
男―風間千景は、机に足を乗せたまま風見を睨みつけた。
「あなたは、一体何の目的で彼らを・・」
「愚問だ。俺は薄桜鬼を我妻にする為・・」
「もうその話は良い。」
(降谷さん、助けて下さい・・)
「へっくしょい!」
「土方さん、どうかされましたか?」
「いや、何でもない・・」
「風邪ですか?」
「さぁな。ここ最近、誰かに見られているような気がするんだが・・」
「あぁ、土方さんって最近人気がありますからね。ほら、この前だって沢山ラブレターを貰っていたじゃないですか!」
「あぁ、そうでしたね。」
恋文は京に居た頃から山のように貰っていたが、それは現代になっても変わらなかった。
まぁ、昔のように実家に送ったりすることはできないので、それらは全てゴミに出している。
「それにしても、土方さんっておいくつなんですか?」
「三十八ですが・・」
「えぇ、嘘!」
「何もそんなに驚く事ないでしょう。」
「だって安室さん三十二なのに若いんですよ!お二人共一体何処の化粧品を使われているんですか!?」
「何も使っていませんよ。」
「え~、うらやましい!」
「そんな事ないですって。」
梓と歳三がそんな事を話していると、店のドアベルが鳴った。
「すいません、今は準備中で・・」
「漸く会えたな、薄桜鬼よ!」
“ポアロ”に入って来た千景は、そう叫ぶと歳三に抱きついた。
「てめぇ、何しやがる!」
「ふふ、つれないな。」
歳三から頬を張られても、千景は何処か嬉しそうな顔をしていた。
「土方さん、この人は・・」
「こいつは俺のストーカーだ。」
「“朝定食”を頂こうか?」
「準備中だって言ってるだろうが!」
「そんなに怒るな。」
「うるせぇ、さっさとここから出て行け!」
「また来るぞ。」
歳三は“ポアロ”から出て行く千景に向かって塩を撒いた。
「どうしたの、暗い顔をして?」
「いや、最近変な客が来て困っているんだ。」
「変な客?」
歳三が“ポアロ”で仕事をしながら溜息と共に哀に対して愚痴を吐いていると、店に千景が入って来た。
「また来たぞ。」
「帰れ!てめぇに出す茶はねぇぞ!」
「ふん、相変わらず愛想がないのだな。」
「お前、いつからここに居るんだ?」
「貴様に会いにわざわざ薩摩から蝦夷地まで船で行こうとしたら、途中で海に放り出されてな。気がついたらここに居たという訳だ。」
「そうか。それで、今更お前が俺に何の用だ?」
「・・養って欲しいのだ。」
「いつもお前ぇの近くに居るあの二人はどうした?」
「天霧は、お前に会いに行くのを止めようとしたが、その事で奴と喧嘩別れしてしまった。」
「そうか。」

(天霧さえいてくれれば助かるんだがな・・)

いつも自分達にちょっかいをかけてくる千景をたしなめくれる天霧が居ないとなると、かなり困った事になる。

「あのな、養えって急に言われてもな、はいそうですかって言えるか!」
「今日から世話になる。」
「人の話を聞け。」
「何だか、大変な事になりそうね。」
「はは、そうだな・・」

こうして、千景は毛利家に居候する事になったのだが―

「こら風間、洗った食器はすぐ水につけろと言っただろう!」
「てめぇ、何で俺が掃除した端から汚すんだ!」

(まぁ、こういうことは予想していたが‥何かもう、土方さん血圧上がって倒れそうだなぁ。)

千景が毛利家に居候してからというものの、毛利家の朝は歳三の怒声から始まるようになった。

「いつまで続くんだろ?」
「さぁな。」
「風間さん、家事をしてくれれば助かるのになぁ。」
「あいつには無理だろ。」

いつしかコナン達は、歳三の怒声に慣れっこになっていた。
それと比例するかのように、歳三は徐々にやつれていった。

「土方さん、大丈夫ですか?」
「すいません、最近疲れてしまって・・」
「あぁ・・そういえば、最近毛利家に新しい下宿人が来たとか。」
「下宿人じゃなくて居候ですよ。しかも、家事を全くしないタダ飯喰らい・・」

歳三がそんな事を梓に愚痴っていると、一人の客が入って来た。

「キャ~、何あの人!」
「イケメン!」

女性客は、彼が店に入って来た途端、黄色い悲鳴を上げた。

(何だ、こいつ?)

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最終更新日  August 8, 2021 06:07:16 PM
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July 30, 2021

※BGMと共にお楽しみください。

「薄桜鬼」・「名探偵コナン」のクロスオーバー二次小説です。

作者・出版社・制作会社などとは一切関係ありません。

捏造設定ありなので、苦手な方はご注意ください。


「安室さん、どうして僕達がここに来るってわかったの?」
「公園で君が刑事達と話をしている姿を、見ていたからね。それに好奇心が強い君の事だから、きっと“彼”がもう誰なのか気づいているんじゃないかと思ってね。」
「流石、三つの顔を使い分ける事が出来る訳ね。わたし達がここへ来る事を読んでいたって事ね。」
哀はそう言うと、溜息を吐いて首をすくめた。
「それで、どうするつもりなの?」
「さぁ、それは君次第さ、コナン君。」
零はそう言うと笑った。
「それで江戸川君、“彼”は一体何者なの?」
「土方歳三。幕末の頃新選組の“鬼の副長”と呼ばれて恐れられ、五稜郭の戦いで死んだけれど、遺体が見つかっていないから、一時ロシアで生存しているんじゃないかという話が出ていたみたいだ。」
「新選組といえば、今でも映画やドラマの題材にされる程人気なのよね。幕末を生きた坂本龍馬と同じ位人気があって、彼らが過ごした京都には、色々と彼らにゆかりのある場所を訪ねるファンも居るそうよ。」
「ふぅん。それでコナン君はいつ、“彼”が土方歳三だと気づいたんだい?」
「彼が握っていた懐剣に彫られた家紋だよ。左三つ巴の家紋の事を調べたら、自然とわかったんだ。」
「へぇ。さてと、立ち話はこれ位にして、“彼”に会いに行こうか。」
零はそう言うと、病室のドアをノックした。
「風見、“彼”の様子はどうだ?」
「今は薬で眠っています。」
零の部下である風見裕也は、そう言った後首を軽く傾げた。
「どうした、何かあったのか?」
「えぇ、実は・・」
風見は、数分前に起きた出来事を零達に話した。
今はベッドの中で眠っている男―土方歳三が、意識が戻った時、風見に向かってこう言ったという。
「山南さん、何であんたここに居るんだ!?」
その後、興奮状態になった歳三は看護師によって鎮静剤を打たれたという。
「その“山南さん”って、新選組総長で切腹した山南敬助の事じゃない?」
「彼の友人、でしょうか?」
「それは、後で彼に聞くしかないな。」
コナン達がそんな事を話している間、歳三は懐かしい夢を見ていた。
それは、戊辰の戦を終え、千鶴と夫婦となった頃のものだった。
「今年も綺麗に咲きましたね。」
「あぁ。」
蝦夷地の厳しい冬を越え、二人はあの時と同じように遅咲きの桜を見ていた。
「なぁ千鶴、何か俺に隠している事はねぇか?」
「実は・・」
千鶴はあの時、歳三との間に子を授かっていた。
だが、その子は産声を上げる事無く彼岸へと旅立ってしまった。
千鶴はその頃から体調を崩すようになったが、その事を歳三に隠していた。
そして―

(俺が、もっと気遣ってやっていれば・・)

“歳三さん。”

自分の名を呼び、優しい笑顔を浮かべてくれた千鶴は、もう居ない。

千鶴を喪った歳三は、魂の抜け殻となっていた。

(千鶴、お前に、もう一度会えたら・・)

「気が付いたみたいですね?」

歳三が目を覚ますと、そこには金色の髪に褐色の肌をした青年が自分の前に立っていた。

「てめぇ、何者だ?」
「はじめまして、“土方歳三”さん。僕は、降谷零といいます。さてと、色々と質問したい事は山ほどありますが、何故あなたが自殺をしようと思ったのか、その理由をお聞かせ願えませんかね?」
「・・お前ぇに話す事なんざ、何もねぇ。」
「あなたにはなくても、僕にはあるんですよね、聞きたい事が沢山。だから、協力してくれませんかねぇ?」
「嫌だ、と言ったら?」
歳三の言葉を聞いた零は、口元に笑みを浮かべると、スーツの胸ポケットから、“ある物”を取り出した。
「これ、ご存知ですよね?」
「てめぇ、それは・・」
「そう、あなたが若い頃に詠んだ、“豊玉発句集”の複写本です。」
「何だと・・」
「早速ですが、この複写本を英訳して、全世界にあなたの黒歴史を拡散させても良いんですよ?」
(うわぁ、えげつねぇ~!)
(流石公安ってところね・・)
二人のやり取りを傍で聞いていたコナンと哀は、そんな事を思いながら慌てふためく歳三の姿を見ていた。
「ちょっと、怪我人をいじめるのはそこまでにしておきなさいよ。あなた、この人に自殺しようとした理由を聞こうとしていたんじゃないの?」
「あぁ、そうでしたねぇ。」
(わざとね。)
(わざとだな。)
「ねぇ安室さん、どうしてこの人の事を調べているの?」
「それは、まだ君達には言えないなぁ。」
そう言ってコナン達に微笑んだ零だったが、その目は全く笑っていなかった。
「わたし、あなたみたいな完璧主義な人が自殺を図ろうとした理由が何となくわかったような気がするわ。そうね、最愛の奥さんの後を追おうとしたって事かしら?」
「何で、そんな事が・・」
「わかったかって?あなたが今もその手に握り締めているそのリボン、きっと亡くなった奥さんが最期まで身に着けていた物ね。あなたは京都で色々と浮名を流していたんでしょうけれど、奥さんの事を心底愛していたのね。」
「あぁ、そうだ。俺は千鶴の後を追おうとしていた。それなのにどうして・・」
「だったら、一度は捨てようとしていたその命、僕達の為に使ってくれませんかねぇ?」
「それは一体、どういう意味だ?」
「実は最近、この町で変質者が出没しているんですよ。目撃者からの情報によると、変質者の特徴は背丈があなたと同じ位で、金髪紅眼、そのターゲットは必ず女子高生かあなたと同じ年の成人男性・・」
歳三の脳裏に、ある男の顔が浮かんだ。
「その顔、どうやら犯人に心当たりがありそうですね。」
「まぁな。」
「さてと、これからあなたの処遇について色々と考えなければなりませんが、いくら公安の僕でも百五十年以上前に死んだ人間の戸籍を取り寄せるなんて神業は出来ませんから、新しくあなたの戸籍を作る事にして、さしあたっての問題は、仕事と住居ですね。コナン君、少し相談したい事があるから、ちょっといいかな?」
「うん。」
歳三の病室から出た零は、コナンにある提案をした。
「彼を工藤邸に住まわせたらどうだろう?」
「あ~、それは難しいかも。だって赤井さんとあの人、上手くいかなそうだし。」
「そうだったね・・」
FBI捜査官・赤井秀一は、“黒の組織”の目を欺く為、大学院生・沖矢昴として変装して生きてきたが、現在“黒の組織”の残党狩りの為に“赤井秀一”として工藤邸で暮らしていた。
「あの男と彼は、顔を合わせれば喧嘩しそうだ。」
「じゃぁ、小五郎のおっちゃんに頼んで、僕達と住めるようにするよ!あ、仕事は・・」
「僕が、“ポアロ”のマスターに頼んで、彼を雇って貰えるようにするよ。」
「決まりだな!」
「で、こいつが今日から居候する事になった・・」
「土方歳三だ。今日からよろしく頼む。」
病院を退院した歳三は、暫く毛利家に居候する事になった。
「俺は毛利小五郎、ここでは探偵事務所をやっている。それと、こっちに居るのが娘の蘭だ。」
「はじめまして。」
そう言って歳三を見ている蘭は、何処か嬉しそうだった。
「コナン、とかいったか?これから世話になるから、礼として料理を振る舞いてぇんだが、台所は何処だ?」
「あ、台所はここですよ。」
「そうか・・」
毛利家の台所に初めて足を踏み入れた歳三は、奇妙な道具が並んでいる事に驚いた。
「これは・・竈か?」
「あぁ、炊飯器といって、この丸いボタンを押したらご飯が炊けるんですよ。」
蘭から家電の使い方を説明されながら、歳三は自分達が生きた時代とは道具や生活様式が様変わりしている事に驚いた。
特に驚いたのは、重労働で会った炊事や洗濯などの家事が、“家電”というものによって簡略化された事だった。
(こんなにも家事が楽になる時代に千鶴と生きていたら、あいつも少しは長生きできたんだろうな・・)
米を研ぎながら、歳三はふと千鶴の事を思い出しては感傷的になってしまった。
「何だ、これは?」
「カレーですよ?」
「この泥水みてぇな汁の中には、何が入っているんだ?」
「牛肉と炒めた玉ネギと人参、ジャガイモと、カレー粉ですよ。」
「食えるのか?」
「大丈夫ですよ。」
その日の夜、歳三はカレーライスを食べて、その美味さに思わず唸った。
「美味ぇ!」
「だろう?蘭が作るカレーは絶品だからな!」
こうして、歳三の現代での生活が始まった。
「おはようございます。」
「あれぇ、土方さん、朝ご飯作ってくれたんですか!?別に良いのに。」
「いえ、これ位させて下さい。はい、どうぞ。」
そう言って歳三が食卓に並べたのは、焼鮭と味噌汁、白米の和定食だった。
「頂きま~す!」
「美味ぇな!いつも朝は洋食だが、偶には和食もいいな!」
小五郎はその日、朝から上機嫌だった。
「ねぇ土方さん、その格好だと目立つから、安室の兄ちゃんが服を買いに行こうって。」
「わかった。」
コナンと共に歳三が待ち合わせの場所へと向かうと、そこには零ではなく風見の姿があった。
「何でてめぇがここに居る!?」
「降谷さんは別件で手が放せないようなので、今日はわたしがお供致します。」
「ったく・・」
こうして三人は近くの大手衣料品店へと向かったのだが―
「キャ~!」
「何あの人、凄いイケメン!」
「モデル?それとも俳優さん?」
歳三が店に入ると、彼の姿を見た女性達が急に色めき立った。
結局、服を買うのに一時間もかかってしまった。
「洋装ってのは、何だか窮屈で仕方ねぇな。」
歳三は薄手のジャケットを羽織った後、そう言ってサングラスをかけた。
スキニーのデニムは彼のスタイルの良さを際立たせ、道を歩いているだけでも女性達から熱い視線を注がれていた。
その事に、本人はまんざらでもないようだった。
(あ~、何だか嫌な予感がする・・)
「では、わたしはこれで。」
風見と“ポアロ”の前で別れたコナン達が店の中に入ると、店内に居た女性客達は歳三に熱い視線を向けた。
「いらっしゃいませ。安室さんから聞いていますよ。わたし、榎本梓といいます。よろしくお願いします。」
「土方歳三だ。今日から宜しく頼む。」

歳三の姿に、“ポアロ”の常連客達は、“ポスト・アムピ登場か!?”とSNSで盛り上がっていた。

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最終更新日  July 31, 2021 07:37:18 AM
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July 24, 2021

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「薄桜鬼」・「名探偵コナン」のクロスオーバー二次小説です。

作者・出版社・制作会社などとは一切関係ありません。

捏造設定ありなので、苦手な方はご注意ください。




18XX年、北海道・函館。

海を眺めながら、土方歳三は妻・千鶴の墓参りに来ていた。

「今日は良い天気だな、千鶴。」
そう言って微笑む歳三の視線の先には、まだ真新しい御影石の墓石があった。
新選組副長として恐れられ、鳥羽・伏見で戦った後、五稜郭でその命を“落とした”後に、千鶴と夫婦になった。
彼女とは京に居た頃から互いに惹かれ合っていたが、“鬼の副長”と呼ばれている手前、彼女に素直になれなかった。
だが、戦で次々と仲間を失った時、いつしか己の中で千鶴の存在が大きくなっている事に気づいた。
そして、“全て”が終わり、歳三は千鶴と夫婦になった。
彼女と二人きりの、静かだが穏やかな暮らしは、幸せそのものだった。
しかし、その暮らしに突然終止符が打たれたのは、二人が夫婦として暮らし始めて一年目を迎えた、凍えるような冬の日の事だった。
千鶴は、仕事を終えた歳三を待っていたかのように、玄関先で倒れていた。
すぐに医者を呼んだが、間に合わなかった。
「千鶴、どうして俺を置いて逝ったんだ?」
歳三は虚ろな瞳で妻の墓を見ると、愛刀の鯉口を切った。
「俺は、お前ぇが居ない世界では生きていけねぇ。すぐにお前ぇの元へ行くからな。」
歳三は懐から、千鶴が生前愛用していた紫のリボン―自分が贈ったそれを取り出して握り締めると、愛刀の刃を閃かせた。

遠くで、海鳥の声がした。

(千鶴・・)

歳三は、静かに目を閉じた。

「あ、光彦行ったぞ!」
「うわわっ!」
「光彦君、大丈夫?」
「大丈夫です。元太君、いきなりボール飛ばし過ぎですって!」
「へへ、悪い。」

米花児童公園で円谷光彦、吉田歩美、小嶋元太らの少年探偵団は、サッカーをしていた。

「もう、あなた達、気をつけなさいよ。まだ五月とはいえ、熱中症になりやすい季節なんだから。」
そう言ってあきれ顔を浮かべながら三人の元へやって来たのは、少年探偵団のメンバーで、かつて黒の組織で“シェリー”として働いていた灰原哀だった。
「はい、これ。運動した後はちゃんと水分を摂りなさい。」
「ありがとうございます!」
「あ~、うめぇ!」
「あれ、コナン君は?」
「あぁ、江戸川君ならベンチに座ってタブレットで何か調べているわよ。」
哀はそう言うと、ベンチに座っているコナンの方を見た。
コナンは、タブレットで黒の組織について調べていた。
組織が壊滅して、愛があの薬の解毒薬を日夜開発しているが、中々成果は出なかった。
(めぼしい情報はなし、か。まぁ、組織が壊滅して半年も経っているから当たり前だな。)
コナンがそう思いながらタブレットを閉じようとした時、向こうから女性の悲鳴が聞こえて来た。
「何でしょう、今の?」
「行ってみようぜ!」
コナン達が悲鳴が聞こえた方へと向かうと、そこにはハンカチのような物を握り締めている男が気を失い、木の根元に倒れていた。
(まだ息はある。)
「江戸川君、この人頸動脈から出血しているわ!」
「お前ら、早く救急車を呼べ!」
元太達の通報により、勇は病院に搬送され、現場にパトカーが到着した。
「コナン君、あの人を見つけた時、何か変わった事はなかった?」
「ううん。でも、あの人首を怪我していたよ。傷口を見たけど、あの人は自殺だよ。右手は血で汚れていたし、右から左に向かって頸動脈が切られていたし。」
「佐藤さん、ありました!」
高木渉がそう言って佐藤刑事に見せた物は、一振りの懐剣だった。
「これ、随分と古い物ね。それに、これは・・」
「何でしょう、イラストみたいな。」
「それは家紋だよ。ほら、戦国武将の真田幸村や武田信玄とかが使っていた、その家を象徴するものだよ。多分、この懐剣はあの人の物だよ。」
コナンはそう言いながら、懐剣に彫られた家紋を見た。
(左三つ巴・・この家紋は・・)
「ねぇ、この家紋、知っているよ。」
「え、本当なのコナン君!?」
「うん。もしかしたら、さっき運ばれた人の身元がわかるかもしれない。」
コナンは、哀と共に男が運ばれた警察病院へと向かった。
「ねぇ、あの人、もしかして・・」
「俺の推測通りだと、あの人はとっくの昔に死んだ、歴史上の偉人だよ。」
「それって・・」
「やぁコナン君、久しぶりだね。それに、灰原さんも。あぁ、それとも、“工藤新一”君と、“宮野志保”さんと呼んだ方がいいのかな?」
二人が男の病室へと向かおうとした時、一人の青年がタイミングを見計らったかのように彼らの前に現れた。
彼は、喫茶ポアロの店員・安室透、“黒の組織”・バーボン、そして警察庁警備企画課、通称“ゼロ”のトップである降谷零警視正その人だった。

「安室さん、どうして・・」
「君達の正体を知っているのかって?公安を余り舐めない方がいい。もしかして、君達も“彼”に会いに来たのかな?」

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最終更新日  July 25, 2021 07:52:06 AM
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