2063981 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

JEWEL

全4件 (4件中 1-4件目)

1

薄桜鬼アメリカンスクールカーストパラレル二次創作小説:人魚姫の恋

Aug 14, 2021
XML





薄桜鬼の二次小説です。

制作会社様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。


―土方君、無茶だ!
―俺は、あいつらを見捨てる訳にはいかねぇ!

新政府が箱館の総攻撃を開始し、新選組が守っていた弁天台場は、新政府軍の攻撃に遭い、孤立してしまった。
歳三は孤立した新選組を救う為、五稜郭から馬を走らせた。
 その途中、一本気関門で歳三は右脇腹に銃撃を受けて死んだ。
「はぁっ、はぁっ!」
いつ見ても、嫌な夢だ。
歳三がそう思いながらベッドの中で寝返りを打っていると、突然窓の方から誰かが窓を叩ている音が聞こえて来た。
(今度は何だ?)
暫く歳三が恐怖で固まっていると、カーテンに人影がぼぉっと浮かび上がった。
「坊ちゃま、もしかして、“彼女”に会われたのですか?」
「“彼女”?」
「昔、ここに住んでいた方ですよ。クローディアといって、旦那様に強い恨みを持っているようです。」
「へぇ・・」
「今日はクリスマス・ボウルですね、坊ちゃま。頑張ってくださいね。」
「あぁ。」
部屋で朝食のエッグベネディクトを頬張りながら、歳三は昨夜の事を忘れようとした。
「あら、今日は早いのね。あぁ、今日は久しぶりにあの子に会うから、興奮しているのね?」
「まぁ、そんな所です。」
「お願いだから、この家に波風を立てないでね。」
「・・わかっていますよ。」
「本当に、わかっているのかしらね。」
ナンシーは不快そうに鼻を鳴らすと、リビングから出て行った。
「行ってらっしゃいませ。」
エレベーターホールでメイドから見送られ、歳三は地下駐車場に停めてあった愛車に乗り込んだ。
年に一度のクリスマス・ボウルとあってか、学校は熱気と興奮に包まれていた。
「チヅル、あんた大丈夫?顔色が悪いわよ?」
「最近チアリーダーと生徒会長をかけもちしているから、疲れが出ているのかも。」
「無理は禁物よ。」
「うん・・」
アリシアからコーヒーを受け取りながら、千鶴はあくびを噛み殺していた。
「アンバー達とはどう?上手くやっている?」
「まぁね。ステファニーは何かとわたしを目の敵にしているようだけれど。」
「あの子はジュリアにべったりだったからね。」
「じゃぁ、わたしそろそろ行かないと。」
「緊張しないで、練習通りにやりなよ。」
「わかったわ。」
試合前、歳三達はスクラムを組んで気合を入れていた。
「俺達は無敵だ!」
「無敵だ!」
「ルイジアナの星を堕とせ!」
「堕とせ!」
歳三達がスタジアムに姿を現すと、場内は歓声に包まれた。
「トシ、久しぶりだな。」
「アレックス。」
「今年こそ、お前をぶちのめしてやる!」
「望むところだ!」
白熱したNYのタイタンズ対ルイジアナのオリオンズとの試合は、タイタンズが圧勝した。
「トシ、おめでとう。」
「ありがとう、アレックス。」
「パーティーには来るよな?」
「当然だろ!」
試合の後、タイタス家で祝勝パーティーが開かれた。
「アレックス、紹介するよ。俺のガールフレンドの、チヅルだ。」
「千鶴です。」
「アレックスだ。驚いたなぁ、トシと会わない内に、こんなに可愛い彼女が出来た何て知らなかったぜ!」
「あら、お世辞でも嬉しいわ。」
「アレックス、久しぶりね。」
歳三達が久しぶりに談笑していると、そこへナンシーが彼らの元へやって来た。
「お義母様、こちらが俺のガールフレンドです。」
「はじめまして、千鶴と申します。」
「あなたが、ドクター・ユキムラのお嬢さん?」
「父をご存知なのですか?」
「えぇ。以前あなたのお父様と同じ病院で働いていた事があるわ。お父様はお元気?」
「はい。今はアフガニスタンで働いていますが、月に一度、文が来ます。」
「そう。お父様、早くこちらに戻って来られるといいわね。」
「はい・・」
パーティーの後、歳三に千鶴は彼の自室に招かれた。
 部屋の中はすっきりと片付いていて、必要最低限の物しか置かれていなかった。
 だが、千鶴の目をひきつけたものは、壁に掛けられてあった、“ある物”だった。
それは、白地に赤い字で、“誠”と染め抜かれた旗だった。
「あの旗は・・」
「あぁ、これは、半年前にネットで見つけたんだ・・この旗を見た時、妙に懐かしくてな・・」
「わたしも・・」
千鶴がそう言って再び旗を見ると、突然彼女の脳裏に、一気に“過去”の記憶が流れ込んでいた。

―歳三さん・・
―千鶴、今度生まれ変わったら・・

「お前を嫁にする。」
「土方さん・・」
「“昔”みてぇに、俺を名前で呼んでくれねぇのか?」
「“歳三”さん・・」
「何だか、照れ臭ぇな・・」
「歳三さんは、相変わらずですね。」
「なっ・・」
「大丈夫です、あなたの気持ちは、しっかりと伝わっていますから。」
「そうか。なぁ千鶴、今週末、二人きりで遊びに行かないか?」
「え、いいんですか?」
「あぁ、レストランで食事をするから、お洒落していけよ。」
「わかりました。」
「今までタメ口だったのに、急に敬語で話されると気持ち悪いな。」
「すいません・・」
「謝るな。」
「え、トシとデートする事になった!?」
「ちょっと、声が大きいわよ。」
「ごめん。それで、あたしにデートの時に着る服を選んで貰いたい、そういう訳ね。」
「えぇ。」
「任せて!」
放課後、千鶴はアリシアとアンバーと一緒に、五番街にある高級ブティックへと入った。
「いらっしゃいませ。」
「この子が今度、彼にプロポーズされるかもしれないの。だから、この子に似合う服を選んで下さらない?」
「かしこまりました。」
「あの店員、この前あたし達が来たら冷たい態度を取っていたのに、やっぱり“人は見た目が9割”ね。」
「いえてる。」
週末、歳三がデートの待ち合わせの場所であるセントラル・パークで千鶴を待っていると、彼女がやって来た。
彼女はいつも着ている厚手のセーターとデニムではなく、サーモンピンクのワンピースにアイボリーのコート姿だった。
「髪、下ろしているんだな?」
「おかしいですか?」
「いや、とても似合っている。」
「そうですか。」
「スケートは、やった事はあるか?」
「わたしを見縊らないで。」
ロックフェラーセンターのスケートリンクで、歳三を千鶴は楽しい時間を過ごした。
歳三が食事をする為に連れて行ったレストランは、五番街にある高級店だった。
「あの、わたしフランス料理なんて初めてで・・」
「大丈夫だ、俺もはじめてだ。」
「え?」
「テーブルマナーは実践あるのみ、だ。」
レストランでのディナーは、まるで魔法にかけられたかのように、素敵な時間だった。
「千鶴、これ・・」
「え、これは・・」
デザートが出された後、歳三が千鶴に渡したのは、九九九本の薔薇の花束だった。
「薔薇の花言葉は、本数によって違うんだと。これは・・“何度生まれ変わってもあなたを愛する”だ。」
「歳三さん・・」
「今度も、俺と一緒になっちゃくれねぇか、千鶴?」
「はい!」
千鶴の左手薬指には、ダイヤモンドの指輪が光っていた。
「へぇ、あの子がね・・」
「どうします?」
「放っておきなさい。親子は所詮他人なの。」
「はい。」
タイタス家の執事長・スティーブは、ナンシーに一礼するとそのまま彼女の部屋から出た。
「あら、久しぶりね。」
そう言ってブルネットの髪と豊満な胸を揺らしながらスティーブの前に現れたのは、ウィリアムの愛人・エミリーだった。
「こちらにいらっしゃったのは、またお金の催促ですか?」
『そんなのあなたには関係ないでしょう・・クソ爺。』
『クソ爺、ねぇ・・』
『何よ、その目は?』
『いいえ。余り旦那様に期待されない方がよろしいかと。』
『ご忠告どうも!』
エミリーはわざとスティーブの肩にぶつかるようにして、タイタス邸から出て行った。
『また、あの女が来たの?』
『ああ。大方、また金をせびりに来たんだろうよ。』
『そうね。うっとうしいったらありゃしない。』
『まったくだ。』
スティーブとメイドのアデーレがそんな事を話していると、歳三が千鶴を連れて帰って来た。
『スティーブ、紹介するよ。俺のガールフレンドの、千鶴だ。』
『はじめまして・・』
スティーブは千鶴と目が合った瞬間、“あぁ、彼女となら上手くやれそうだ”と直感で解った。
「どうぞ、こちらへ。」
「遅かったな、トシ。そちらのお嬢さんは・・」
「俺の妻となる女性です。」
「何だと?」
「俺は、彼女以外の女性とは結婚しません。」
「勝手にしろ!」
ウィリアムは激昂し、自室へと引き籠もってしまった。
「あの人の事は気にしないで。」
「でも・・」
「わたしは、あなたの事を心から歓迎するわ。これからよろしくね、チヅル。」
「はい、奥様。」
「そんな堅苦しい呼び方は止めて。“お義母様”と呼んで構わないのよ。」

そう言ってナンシーは、千鶴に優しく微笑んだ。

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村






Last updated  Aug 18, 2021 02:59:46 PM
コメント(0) | コメントを書く







薄桜鬼の二次小説です。

制作会社様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。


外では、雪が唸りを上げて白い嵐を巻き起こしていた。

「だから、あたしは何も知らないわ!」
「じゃぁ、これは何よ?」
アリシアとアンバーは、ジュリアを別荘で詰問した。
だがジュリアは、アリシア達にメールを見せられても、“知らない”と言い張っていた。
「じゃぁ、警察を呼ぶしかないわね。」
「何よ、そんな大げさな・・」
「バカね、あんた!人を殺しかけておいて罪の意識がないの!?」
「うるさい!」
アンバーとジュリアが掴み合いになろうとした時、ジェフが通報した地元警察の警察官がやって来た。
「通報したのはどなたですか?」
「俺です。」
「ちょっと、何勝手な事をしてくれてんのよ!」
「うるさい、黙れ!もしチヅルが死んだら、お前の所為だからな!」
「あたしがあの女をやった証拠はあるの?こんなメールだけであたしを犯人にするつもり?」
「あら、証拠ならありますよ。あんたが取り巻き達に一斉送信したメールのIPアドレス、あんたのものでしょう?それに、さっきチヅルからメールで送られて来たメールに添付されているもの、これ見覚えがあるわよね?」
「そんな・・凶器は適当に処分した筈なのに・・」
「適当に近くの茂みの中へ投げ捨てていたでしょ?しかもご丁寧にあんたの指紋つきで。」
「畜生~!」
こうしてジュリアは、殺人未遂の容疑で逮捕され、残りの生涯の大半を刑務所で過ごす羽目になった。
千鶴と歳三は低体温症になる前に、地元警察に救出された。
「チヅルは、大丈夫ですか?」
「はい。右足の骨折も、すぐに良くなりますよ。」
「良かった。」
アリシア達が千鶴と歳三の病室を見舞うと、そこには二人がしっかりと手を繋いで眠っている姿があった。
「暫く、そっとしておこう。」
「そうだね。」
アスペンでの事件後、女王蜂であったジュリアが逮捕されてしまった事により、彼女とその取り巻き達が“統治”していた、虚栄に満ちた王国は瞬く間に崩壊した。
それと同時に、新たな“王国”が誕生した。

「トシ、お帰りなさい!」
「ずっとあなたを待っていたのよ!」
「わたし達の、新しいリーダー!」

歳三と千鶴がアスペンの病院を退院してからNYの高校へと戻ると、二人は生徒達から拍手と歓声を送られた。

「凄いな・・」
「何よ、嬉しい癖に。」
「はは、そうだな。」

こうして、歳三達はまた平凡な日常生活へと戻っていった。

「あ、雪・・」
「そういや、今年の感謝祭のパーティーはあのバカ女の所為で無しになったな。」
「その事だけど、アンバー達からさっきメールが来てね、“やり直しパーティーをやらないか”ってさ。」
「そりゃいいね。」

その日の夜、歳三達は彼の家で感謝祭のやり直しパーティーをしていた。

「ねぇ、みんな将来はどうするの?」
「俺はロスに行って、本格的にコンピューターを学ぼうと思っている。」
「あたしはメディカル・スクールに行こうと思っている。医者になって、多くの人を救いたいんだ。」
「あたしはロー・スクールだよ。法律で弱者を救いたいんだ。」
「みんな、素晴らしい夢を持っているんだね。わたしは、正義の味方かな。」
「え、ヒーローとか、そういうの?」
「FBIに入ろうと思っているの。」
「凄いじゃん!」
「トシは?」
「俺もこいつと同じだ。」
「あたし達、また会えるかな?」
「会えるに決まっているじゃん!その時まで、元気でいようね!」
「あぁ!」

クリスマス・シーズンを迎えたNYの街は、クリスマス=イルミネーションで彩られていた。

「え、わたしがチアリーダー?」
「そうなの。ジュリアが居なくなってから、うちのチームは空気が最悪なの。新しいリーダーを、わたし達は必要としているのよ。」
「それで、わたしが何で・・」
「だってあなた、クールでスマートだもの。ジュリアみたいにバカじゃないし。」
「考えておくわ。」
突然アンバー達から、“チアリーダーのキャプテンをやって欲しい”と言われ、千鶴は戸惑っていた。
「チアリーダーなんて、わたしには似合わないわ。それに、キャプテンなんて・・」
「いいんじゃないの?アンバー達、チアリーダーにあんたが向いているって言っていたよ。」
「やってみればいいじゃん。」
「そうね、そうするわ。」
こうして千鶴は、チアリーダーの選抜試験を受ける事になった。
「今までチアリーディングの経験は?」
「ないです。でも、体力はあります。」
「へぇ、そうかしら?」
そう言って千鶴に意地悪な質問を投げつけたのは、ジュリアの元側近・ステファニーだった。
「ならば、その証拠を見せましょうか?」
「えぇ、いいわ。」
千鶴は深呼吸した後、見事なトータッチジャンプを披露した。
「あなた、本当に初心者なの!?」
「あら、わたしは、“チアリーディングの経験はない”と言ったけれど、初心者だとは一言も言っていないわ。」
「合格よ!」
チアリーダーとなった千鶴は、生徒会長の仕事を両立させながら忙しい日々を送っていた。
「もうすぐ、クリスマス・ボウルね!」
「楽しみだわ!今年の対戦相手はルイジアナのオリオンズなんでしょう?」
「みんな、何をそんなに興奮しているの?」
千鶴が練習を終えてロッカールームに入ると、何やらアンバー達が今度の試合の事で盛り上がっていた。
「毎年クリスマス・ボウルには、うちはルイジアナのオリオンズと対戦する事になっているの。ルイジアナのオリオンズのクォーターバックは、トシの義理の従兄よ。」
「え?」
「いずれ本人が話してくれると思うけれど、彼の家庭、色々と複雑なのよ。」
「そうなの。」
「ねぇ、ステファニーには少し気を付けた方がいいわよ。あの子、ジュリアにべったりだったし。」
「わかったわ。」
学校が終わり、千鶴はダイナーのアルバイトが終わった後、歳三にそれとなくオリオンズのクォーターバックについて尋ねてみた。
「あぁ、俺とあいつは、義理の従兄弟同士だ。俺は、タイタス家の養子なんだ。」
「養子?」
「俺の親父は酒飲みで、一日中家に居ては母さんに暴力をふるっていた。母さんは、俺を育てる為にいくつもの仕事を掛け持ちして、俺が五歳の時、事故で死んだ。」
「ごめんなさい、嫌な事を聞いちゃったわね・・」
「いいんだ。母さんが死んだ日は、クリスマスの朝だった。その日母さんは、“クリスマスを二人きりで祝おう”って言ってくれたんだ。うちには、ツリーも、プレゼントも買う金も無いっていうのに、あの人は無理して笑っていた。」
「それで、お母さんが居なくなってからはどうしたの?」
「父親の状態を見たソーシャルワーカーが、俺を施設に入れてくれた。そこには、親から虐待を受けたガキが沢山居て、みんな目が死んでいた。色々と規則があって職員が厳しかったけれど、酒乱の親父に殴られるよりはマシだったよ。俺は、七歳のクリスマスの時にタイタス家の養子となった。まぁ、タイタス家は南部の名家で、NYの社交界でも有名な家だから、金には困らないのがいい。」
「そう・・」
「まぁ、あの家の連中で一番まともなのはアレックス、今度対戦するオリオンズのクォーターバックだけだ。」
「彼と会えるのが楽しみだわ。」
「お前ぇの事は、あいつにだけは色々と話している。たとえば、お前ぇが強くて絶対に敵には回したくないって事とかをな。」
「何それ!」
「さてと、もうこんな時間だし、家まで送るか。」
「いいわ。自分で帰れるから。」
千鶴はそう言ってダイナーの駐車場に停めてあった大型バイクに跨った。
「いつの間に買ったんだ!?」
「バイトで貯めたお金で買ったのよ。」
じゃぁね、と千鶴と歳三に言ってから大型バイクを器用に操りながらネオンの彼方へと去って行った。
「ただいま。」
「お帰りなさいませ、坊ちゃま。」
歳三がダイナーからアッパーイーストにある高級マンションの最上階フロアータイタス邸へと戻ると、エレベーターホールでメイドが彼を出迎えた。
「何かあったのか?」
こうしてメイドが自分をエレベーターホールで出迎えるのは、“嫌な事”がある日だと歳三は勘で解った。
「トシ、そこへ座りなさい。」
「はい。」
タイタス家の主・ウィリアムから言われるがままに、歳三はソファの上に腰を下ろした。
「いつまであのダイナーで働くつもりだ?お前はわたしの後継者としてそろそろ会社の経営に・・」
「お言葉ですが、わたしはあなたの会社を継ぐつもりはありません。」
「何だと!?」
「あなたにはここまで育ててくださった恩だけは忘れませんが、俺には俺の人生があります。」
「待て、まだ話は終わっていないぞ!」
「あなた、落ち着いて下さい!」
背後でウィリアムの怒鳴り声と、彼の妻が彼を宥める声が聞こえたが、歳三はそのままリビングを出ていった。
この最上階は、タイタス家の者が住んでいて、一番日当たりのいい部屋にはウィリアムが住んでいた。
歳三が住んでいる部屋は、この最上階の隅にある部屋だった。
「はぁ・・」
溜息を吐きながら歳三がシャワーを浴びていると、部屋のドアを誰かがノックする音が聞こえた。
「誰だ!?」
バスタオルを腰に巻いた姿で歳三は浴室から出て部屋の中からスコープで廊下を覗くと、そこには誰も居なかった。

(一体、何だったんだ?)

その夜、歳三は“昔”の夢を見た。

それは、彼が一番思い出したくない“死”の夢だった。

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村






Last updated  Aug 18, 2021 02:59:19 PM
コメント(0) | コメントを書く





薄桜鬼の二次小説です。

制作会社様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。


「ねぇ、ハロウィンには何か予定はあるの?」
「別にないわ。」
「そんな、折角のハロウィンなのに!」
10月に入り、ハロウィンシーズンも本格的な季節を迎え、ハイスクール内は何処か浮足立った空気が流れていた。
「アリシアはどうするの?」
「ハロウィンは毎年、ゴス仲間と集まるんだ。」
「俺は仲間と一緒にホラーゲーム三昧さ。」
「みんな予定があるんだ、わたし、ハロウィンは余り馴染みがないのよね。」
「チヅルは、今まで日本に居たもんね。日本では、ハロウィンとかどんな風に祝うの?」
「そうね。みんなで仮装してパレードしたり、パーティーしたり・・こことはそんなに変わらないかな。」
千鶴がそんな事を言いながらカフェテリアでアリシア達とランチを取っていると、そこへ一人のチアリーダーがやって来た。
「はい、これ。」
「これは?」
「ウチらのハロウィンパーティーに来てよ。」
「行くわ。時間があれば、だけど。」
「うわっ、ジュリアの仕返しパーティーだ。」
「“仕返しパーティー”って?」
「あんた、ジュリアに媚びたりしなかったじゃん?あいつ、自分が気に入らない奴をパーティーに誘って、大恥をかかせるのが好きなのよ。」
「ようするに、いじめのターゲット探しって訳ね。断る事は出来ないの?」
「女王様の命令は絶対だからね。」
「仮装しなきゃ駄目なんでしょう?ミイラか何かに化ければいいの?」
「今年の仮装のテーマは、“プリンセス”よ。ジュリアとその取り巻き達より目立たない仮装をしないとね。」
「へぇ・・」
「あんたに招待状渡して来たチアリーダー、あたしの友達だからジュリアの情報を集めといてあげる。」
「ありがとう。」
五時間目は、英文学だった。
「みんな、この前のレポートは良かったぞ。特にチヅル、“高慢と偏見”をジェンダーの視点で捉えた考察は素晴らしかったぞ!」
「ありがとうございます。」
「さて、今から名前を呼ばれた者は居残りだ。ジュリア、ジョッシュ、そしてスティーブ。」
「うわ、マジかよ!?」
「サイアク!」
ジュリアが呻いている姿を見ながら、千鶴はアリシアが言っていた事は正しいと思った。
「先生、わたしのパパが毎年、この学校に多額の寄付をしている事はご存知ですよね?」
「それがどうした?君の父親と、君の成績が最悪なのは関係ないだろう?」
父親の威光をちらつかせて補習免除を企んだジュリアだったが、それは失敗に終わった。
六時間目は体育で、バドミントンで千鶴は歳三とペアを組む事になった。
『バドミントンの経験は?』
『スポーツはひと通り習ったわ。』
ジュリアとジョッシュは、そんな話をする二人の姿を見ながら、何かを企んでそうな顔をした。
「あいつらにひと泡吹かせてやりましょう!」
「あぁ。」
千鶴・歳三ペアと、ジュリア・ジョッシュペアの試合は白熱し、両者共譲らない戦いとなった。
「畜生、このままじゃ・・」
「大丈夫、あの子のシューズの紐に少し切れ目を入れておいたわ。」
あと一点で千鶴・歳三ペアの勝利が決まろうとした時、千鶴のシューズの紐が切れた。
『おい、大丈夫か?』
『えぇ。これ位、どうってことないわ。』
試合後、千鶴が少し右足を引きずりながらシャワールームへと入ると、そこにはどこか勝ち誇ったような笑みを浮かべたジュリアの姿があった。
「貧乳で可哀想ね。トシがこんな胸に満足できる訳ないわ。」
「あら、シリコン取ったら同じ位のサイズでしょ?」
「言ったわね!」
ジュリアは金切り声を上げなら千鶴に向かっていったが、彼女は千鶴から強烈な膝蹴りを鳩尾に喰らい、シャワールームのドアに鼻をぶつけた。
「あら、整形の手間が省けたじゃない。」
「バカ女!」
「それはあんたでしょ。」
ジュリアを介抱しようとしてオロオロする取り巻きと、ヒステリックに泣き喚くジュリアをシャワールームに残して千鶴はそこから去っていった。
「ハロー、アンバーからメール来たよ。」
「そう。」
「ジュリアは、シンデレラだってさ。」
「ふぅん、じゃぁ彼女にかぶらなきゃいいのね?」
「そういう事。」
「わかったわ。」
「ヘイトシ、お前もジュリアん家のパーティーに来るのか!?」
「あぁ。」
「楽しみだな、お前の仮装。」
パーティー当日、ジュリア達はそれぞれ好きな仮装をしてハロウィンを楽しんでいた。
「ねぇ、あの子、来ないわね?」
「怖くて逃げだしたんでしょう。」
「ありえる~」
そんな事をジュリア達が笑いながら話していると、千鶴がやって来た。
 いつもはダサいメガネをかけ、お下げにしていた彼女は、長い髪を下ろし、薄化粧をして、淡いペールグリーンのドレス姿だった。
「チヅル、そのドレス素敵ね!」
「これ、自分で作ったのよ。アリエルをイメージしてみたの。」
「トシ、来たのか!その仮装、サムライか!?」
「まぁな。」
歳三は、“昔”着ていたのと同じ衣装を着ていた。
「あれ、あの子誰だ!?」
「もしかして、チヅルか!?」
「嘘だろ!?」
「あの子あんなに可愛かったっけ!?」
「ちょっと失礼。」
歳三が人混みの中を掻き分けていくと、その中央―プールの傍には友人達と談笑している千鶴の姿があった。
その姿はダイナーでも、学校でも見た事がない程、美しかった。
「あら、トシ!その格好、とてもクールだわ!」
「そりゃどうも。」
「ねぇ、この後・・」
「悪いが、お前ぇには話はねぇ。」
歳三はそう言った後、千鶴に向かって右手を差し出した。
「ダンスのお誘いかしら?」
「そうだと言ったら?」
「あなた、今までダンスを踊った経験は?」
「俺を見縊らないで欲しいな。」
歳三はそう言って笑いながら、千鶴と共にダンスフロアへと向かった。
「何よ、あれ・・」
「いいじゃないの、あんたトシと別れたんだし。」
「わたしはまだ、諦めた訳じゃないから!」
ジュリアは不快そうに鼻を鳴らしながら、自室に引き籠もってしまった。
「トシ、ジュリアの奴を放っておいてもいいのか?」
「あいつとはもう別れた。」
「ジュリアはまたお前に未練があるようだぞ。何とかしないと、大変な事になるぞ。」
「大丈夫だよ。」
歳三はそんな事を言って楽観視していたが、女の恨みが恐ろしいという事をまだ知らなかった。
「やっほぅ~!」
「もう、はしゃぎ過ぎだよ、アリシア!」
「ごめ~ん、でもスキー何て久しぶり!」
千鶴達は歳三から誘われて、彼の家族が所有するアスペンの別荘に来ていた。
「誘ってくれてありがとう。」
「いや、こちらこそ来てくれてありがとう。」
「NYと違って、ここは空気が澄んでいて気持ちがいいわね。」
「あぁ。」
千鶴と歳三が楽しそうに話している姿を、ジュリアの取り巻きであるステファニーが見ていた。
「何ですって、あの女がトシとキスしていたですって!」
「えぇ、間違いないわ!」
「あの女を一度、懲らしめてやらないと・・」
そう呟いたジュリアの瞳は、千鶴への殺意に滾っていた。
「チヅル、あんたはどうするの?あたしらはもうコテージに帰るけど。」
「わたしはここら辺を散策してから帰るわ。」
「そう。じゃぁ気を付けてね。」
アリシア達とスキー場の前で別れた千鶴は、ヘッドライトをつけながら森の中へと入っていった。
「あ、雪・・」
千鶴が空を見上げた時、美しい星に彩られた空から白い雪が降って来た。
早く戻らなければ―千鶴がそんな事を思いながらコテージへの道を歩いていると、そこへジュリア達がやって来た。
「あら、こんな所までわたしのストーカーに来た訳?随分と暇なのね?」
「うるさい!」
激昂したジュリアは、別荘から持って来たゴルフクラブで千鶴を滅多打ちにした。
彼女が呻いて動かなくなったのを確認したジュリアは、ゴルフクラブを適当にその辺に投げ捨てた後、取り巻き達と共にその場から立ち去った。
「あれ、まだチヅル帰ってないの?」
「どうした、何かあったのか?」
「トシ、チヅルが戻って来ないんだよ。」
「何かあったのかな?」
アリシアがそんな事を言った時、アンバーからメールが来た。
「何、これ!?」
「どうした?」
「アンバーがからメール来たんだけれど・・」
アリシアは震える手でアンバーから届いたメールの添付画像を、歳三に見せた。
そこには、血塗れの千鶴の写真があった。
「あのバカ女、やってくれたわね・・」
千鶴は呻きながら何とか立ち上がると、ポケットの中に入っていたチョコレートバーを取り出し、それを一口齧った。
スマートフォンをザックの中から取り出した千鶴は、アメリアに無事だというメールを送った後、右足を骨折している事に気づいた。
(何処か、風と雪を凌げる所に行かないと・・)
そんな事を彼女が思っている間にも、雪の勢いはますます強くなっていった。
「チヅル、無事だって!」
「そうか。雪が酷くなってきやがった。早くあいつを見つけねぇと。」
歳三は、アリシア達とコテージを出て、千鶴を捜した。
「二手に分かれるぞ!」
「あぁ、何かあったら無線入れるよ!」
「わかった。」
捜索を開始してから一時間後、歳三はかすかな人の呻き声を小さな洞穴の中から聞いた。
「千鶴、そこに居るのか!?」
「土方さん・・」
「一体、何があった?」
「ジュリアが突然やって来て・・これで、わたしを殴って来たの。」
そう言った千鶴の手には、血で汚れたゴルフクラブが握られていた。
「警察、呼んで・・」
「おい、しっかりしろ、千鶴!」

“おい、しっかりしろ!”

何処かで、その声を聞いたような気がした。

「お前を、絶対に死なせねぇ!やっと・・」

歳三の声は、風に掻き消された。

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村






Last updated  Aug 14, 2021 06:48:57 PM
コメント(0) | コメントを書く
Aug 11, 2021





薄桜鬼の二次小説です。

制作会社様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。

「ハァッ、ハァッ」
土砂降りの雨の中を、一人の男が何かに追われるかのように走っていた。
「畜生、何で俺がこんな目に!」
男は口汚く罵りながら、地下鉄の乗り場へと向かった。
ホームには人がまばらで、そこへ滑り込んだ電車の中に居た乗客は彼一人だった。
「行ったか・・」
男がそう言って安堵の溜息を吐いた時、彼の胸を一発の銃弾が切り裂いた。
『油断大敵とは、この事よ、ミスター。』
酸素を求めて喘ぐ男の前に、一人の女が現れた。
切れ長の紫の瞳で男を冷たく見下ろすと、サイレンサー付きの拳銃で男を撃った。
『仕事は済んだ。』
『そうか、それは良かった。』
『後始末を頼む。』
男の遺体を座席に座らせ、まるで彼が疲れて眠っているかのように細工した後、女は電車から降りた。
駅の男子トイレには、誰も居なかった。
個室に入った女は、身に纏っていたドレスとハイヒールを脱ぐと、黒のライダースジャケットへと着替えた。
「畜生、まだ降っていやがる・・」
男がそう言って舌打ちをしながら信号待ちをしていると、そこへ一台の大型バイクがやって来た。
「歳三さん、乗ってください!」
バイクに乗った女性は、そう言うと、男に向かってヘルメットを投げた。
「それにしても、随分と早くに着いたな?」
「えぇ。」
「仕事は済んだから、さっさと家に帰るぞ。」
「はい。」
土砂降りの雨の中、二人はネオンの彼方へとバイクを走らせた。
「懐かしいな、この店。」
「そうですか?」
「ほら、ここでお前と高校時代にバイトしてたろ?」
「そうでしたね。」
家に帰る途中で夕食を食べる為に寄ったダイナーで、女性―土方千鶴は、コーヒーを一口飲むと自分の前に座っている夫と出会った頃の事を思い出していた。
あの頃、まだ千鶴は日本からNYへとやって来たばかりの高校生だった。
「千鶴、行っておいで。」
「はい、父様。」
登校初日、父に車で学校まで送って貰い、千鶴は深呼吸した後、校舎の中へと入った。
『あなたのレベルなら大丈夫よ。』
『ありがとうございます。』
転校初日は緊張してばかりで、ランチタイムに一人の少女から声を掛けられている事に千鶴は全く気付いていなかった。
『ごめんなさい、わたっし、今日が転校初日なの。』
『へぇ、そうなんだ!わたしはアリシア、よろしくね。』
『千鶴よ。』
アリシアは全身を黒で統一している、所謂“ゴス・ファッション”をしていた。
『あいつら、余り関わらない方がいいよ。』
アリシアがそう言って指した先には、揃いのユニフォームと、ジャケットを着た生徒達の姿があった。
『ねぇ、この学校の事、色々と教えて?』
『オッケー。この学校では、ジョックと女王蜂(クイーン・ビー)から絶対に目をつけられない事。それが、平和に学校生活を送るコツよ。』
『肝に銘じるわ。』
『今夜六時に、ここにおいでよ。わたしの友達を紹介してあげる。』
『わかったわ。』
ランチの後、千鶴がロッカーへと向かうと、そこにはカフェテリアで騒いでいたアメフト部のジャケットを着た男子生徒が自分のロッカーの鍵を弄っていた。
『すいません、そこわたしのロッカーです。』
『あぁ、済まない。隣だからよく間違えるんだ。』
彼はそう言うと、屈託の無い笑みを浮かべた。
『君、見ない顔だね?俺は土方歳三。』
『雪村千鶴よ。』
『へぇ、同じ日本人か。もしかして君、何処かで会った事ないかい?』
『いいえ、授業があるので失礼します。』
『あ、待ってくれ!』
アメフト部のクォーターバック、土方歳三は、足早に走り去る女子生徒の後を追い掛けようとしたが、彼女は教室に入った後だった。
『おいトシ、今度はジャパニーズ・ドールをナンパしていたのか?』
そう言いながら歳三に軽いタックルを仕掛けて来たのは、同じアメフト部のメンバー、ジョッシュだった。
『うるせぇ、そんなんじゃねぇ。』
『ジュリアが、お前の事を呼んでいるぜ。』
『あいつとなら別れた。』
『へぇ、何でだよ?あいつ可愛いし、胸もデカいぜ。』
『俺は、あいつのアホさにうんざりしていたんだよ。』
『そうか。なぁ、いつもの場所で会おうぜ、今夜六時に。』
『わかった。』
放課後、千鶴が図書館で英文学のレポートをノートパソコンで書いていると、そこへチアリーダーのジュリアが通りかかった。
『あんたが、トシの新しいガールフレンド?こんなダサい子の何処がいいの?』
ジュリアはそう言って、持っていたコーラを千鶴に掛けようとしたが、その前に千鶴が足払いを喰らわせ、ジュリアは頭からコーラを被ってしまった。
『少しは頭が冷えた?用がないから消えて。』
『覚えておきなさいよ!』
『負け犬の遠吠えはダサいわよ。』
レポートを書き終えた千鶴は、高校を出てバイト先であるダイナーへと向かった。
そこには、あの男子生徒の姿があった。
『やぁ、君もここで働いていたのか?』
『えぇ。』
その日は、ダイナーは忙しかった。
『済まないね、急に来て貰って。』
『いいえ、大丈夫です。』
千鶴がバイトを終えて更衣室へと向かおうとすると、店にグレーのパーカーを目深に被った男が入って来た。
男はカウンター席には座らず、真っ先にレジの方へと向かい、ウェイトレスのキャシーにナイフを突きつけた。
『早く金を寄越せ!』
キャシーは悲鳴を上げながら、レジから離れた。
男は舌打ちすると、千鶴にナイフを向けた。
 だが、千鶴は男にナイフを向けられても、全く動じなかった。
『やめなさい、怪我するわよ。』
『うるせぇ!』
男はそう言って千鶴に襲い掛かったが、彼は千鶴から強烈な膝蹴りを股間に喰らい、その場で呻いた。
『マスター、後は頼みます。』
(強いな、あいつ・・)
『ごめんなさい、バイトが少し長引いちゃって・・』
『いいんだよそんなの、気にしないで!』
午後六時、千鶴がアリシアの家へと向かうと、そこには数人の男女がリビングのソファに座っていた。
『みんな、この子は千鶴。千鶴、この子はジェフ、コンピューターなら強いよ。』
『よろしく。』
『それでこっちはアリス、わたしのゴス仲間。』
『ハァイ、これからもよろしくね。』
千鶴の歓迎会が、アリシアの家でささやかに開かれた。
『ねぇ、今日放課後図書館でレポート書いていたらジュリアって女に話し掛けられたんだけど・・』
『あいつはおっぱいの大きさと顔が美人なのが取り柄のアホ女だよ。放っておきなよ。』
『それで、どうなったの?』
『あの子勝手に転んで、頭からコーラを被ったわ。』
『ダサい!』
『俺もその場に居たかったよ。そしたらジュリアのアホ面をSNSで拡散させてやるのに!』
『ねぇ、わたしダイナーで働いているんだけれど、あの子が、うちの学校のジョック?』
『あぁ、黒髪のセクシーな彼?何、彼の事が気になるの?』
『わからないけれど、彼の方がどうやらわたしの事が気になるみたいなの。』
『まぁ、あまり近づかない方がいいよ。』
『そうするわ。』
アリシアからそうアドバイスされた千鶴は余り歳三に近づかないようにしているのだが、ロッカーが隣同士なので、どうしても歳三から話しかけられてしまう。
『今日は、帰りはどうするんだ?』
『父様が迎えに来てくれるわ。』
千鶴がそう言った時、スマートフォンに父からのメールが届いた。
そこには、急な仕事が入って迎えに来られなくなったというものだった。
『良かったら、家まで送ってやろうか?』
『いえ、いいです。』
『遠慮するなって。』
何度も千鶴は歳三に自宅まで送って貰う事を断ったが、結局彼に半ば押し切られるような形で、車で送って貰う事になった。
歳三の車は、マツダの黒のRX7FD3S型だった。
『アメリカに住んでいて長いが、車はやっぱり日本車がいいな。』
『そうですね・・』
『君は免許を持っていないのかい?』
『持っていますが、父様が、“事故に遭わせたくない”って・・』

歳三と他愛のない話をしながら、千鶴はハンドルを握る彼の横顔を何処かで見たような気がしてならなかった。

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村






Last updated  Aug 12, 2021 08:18:38 PM
コメント(0) | コメントを書く

全4件 (4件中 1-4件目)

1

PR


© Rakuten Group, Inc.