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JEWEL

全4件 (4件中 1-4件目)

1

薄桜鬼 現代パラレル二次創作小説:戦うメイドと鬼社長

Jul 30, 2021
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画像はコチラからお借りしました。

「薄桜鬼」の二次創作小説です。

制作会社様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。

(4)


2020年、謎のウィルスの感染爆発が全世界で発生。

飲食店は大手飲食チェーンなどをはじめとする大企業は経営悪化に陥り、個人経営店に至っては閉業に追い込まれ、外国人観光客は激減、日本経済は悪化の一途をたどった。
「トシ、今日もよろしく頼むぜ。」
「わかったぜ、ジミー。」
だが、歳三のパート先であるアメリカン・カフェは、テイクアウト・デリバリー専門となり、苦境を何とか凌いでいた。
今日も、歳三はデリバリー用に購入した競技用の自転車に跨り、住宅街の中を駆けていた。
(はぁ~、疲れた。今日はあと一件で終わりか。)
春先とはいえ、まだ肌寒い日が続く中、歳三は最後の配達先である雑居ビルへと向かった。
(ここか・・)
そこは、街の中心部から少し外れた所にあった。
本当に、こんな所に人なんて居るのか―歳三がそんな事を思いながらビルの中にある部屋のドアを叩くと、そこから眼鏡をかけた、少し神経質そうな男が現れた。
「すいません、そこのテーブルに置いて下さい。」
「わかりました。」
「これ、お代です。」
男がそう言って歳三に近づいた時、歳三は彼がスタンガンを隠し持っている事に気づいた。
「お前、何者だ!?」
「・・やはり、貴様か。」
男は、歳三に向かってフィンガージャブを繰り出した。
(ジークンドーだと、こいつ一体・・)
かろうじて男の攻撃を避けた歳三だったが、間髪入れずに男の飛び蹴りが歳三を襲った。
(クソ、これじゃぁ・・)
「お前の事は良く知っているぞ、土方歳三。アフリカや中東の戦場でその名を轟かせた傭兵最強精鋭部隊・薄桜部隊―その幹部の大半は死亡か行方不明と聞いたが、その隊長と戦えるなんて光栄だな。」
「てめぇ、何者だ!?」
「失礼、わたしはこういう者だ。」
男はおもむろに、胸ポケットからあるものを取り出した。
それは、警察手帳だった。
「我々公安に協力して貰うぞ、土方歳三。」
「悪ぃが、俺は只の一般人だ。それに俺には家族が居る。」
歳三はそう言うと、部屋から出て行った。
『どうだ、彼の協力は得られたか?』
「いいえ。しかし、今回のケースでは彼の協力が必要です。」
『そうか。必ず、彼を“協力者”にしろ。』
「はい。」
男はそう言うと、耳につけていたイヤホンの電源を切った。
「ただいま。」
「お帰りなさい、歳三さん。」
「パパ、おかえり~」
家族の笑顔に迎えられ、自分の居場所は戦場ではなく、妻と子供達の元なのだと歳三は思っていた。
「また会ったな。」

“あの日”が来るまでは。


その日、歳三はコロナで在宅勤務となりストレスが溜まっている千鶴の為に、子供達を連れて近所のスーパーへと買い物に来ていた。
マスクが品薄となりつつある中、スーパーには開店前からマスクを買い求める客が長蛇の列を作っていた。
「美桜、誠、お店の中では走るんじゃないぞ。」
「うん!」
店内は家族連れの客が多く、少し混み合っていた。
「あら、土方さんじゃない。」
「あ、どうも。」
「お子さん達を連れてお買い物?偉いわねぇ。」
歳三達にそう声を掛けて来たのは、近所の主婦だった。
「いつもしている事ですから・・」
「奥さんは、今何をしていらっしゃるの?」
「ママは家でおしごとしてるよ!」
「へぇ、そうなの。」
美桜の言葉を聞いた主婦は、何処か非難めいた視線を歳三に向けた。
“平日の朝に働かなくて良いご身分ね”と。
「ただいま。」
「お帰りなさい。」
「最近、コロナの所為でみんなイライラしているみたいだな。さっきマンションの近くで怒鳴り声が聞こえたぜ。」
「歳三さん、夕食の後、少しいいですか?」
「あぁ。」
夕食後、千鶴が歳三に見せたのは、胎児のエコー写真だった。
「お前ぇ、これは・・」
「最近、生理が遅れていて・・近くの産婦人科を受診したら・・」
「今は大変な時だが、お前ぇ達を守るのが、俺の務めだ。」
歳三はそう言うと、千鶴を抱き締めた。
「余り無理するなよ。」
「はい。」
千鶴が三人目を妊娠したと判った後、歳三は今まで以上に仕事に精を出すようになった。
「トシ、無理は禁物だぜ?」
「あぁ、わかっているよ。」
いつものように、歳三が自転車で配達先へと向かっていると、彼の前に一台の車が停まった。
「また会ったな。」
車の窓を開けて歳三にそう声を掛けて来たのは、あの時の眼鏡男だった。
「少し、話しをしないか?」
「五分だけなら。」
「君には、協力して貰いたい事がある。」
「何度頼まれても、断る。俺には・・」
「家族を守る為に、君には協力して貰う。」
「てめぇ・・」
「安心したまえ、君の家族は我々公安が保護する。」
「そんな事、信用できるか!」
「話は最後まで聞いてくれ。君は敵に狙われているのだろう?もしかして、この男ではないのか?」
そう言って眼鏡男―安岡は歳三に一枚の写真を見せた。
その写真を見せた歳三は、顔を強張らせた。
「彼は、ジャスティン・アライ、君の宿敵だ。」

安岡の言葉を聞いて、歳三は八年前の事を思い出していた。

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Last updated  Jul 31, 2021 07:18:18 PM
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Jan 19, 2021




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(3)

「風間、今年のハロウィンの演目が決まりました。」
「そうか。」
千景はそう言うと、秘書の天霧に一枚の書類を手渡した。
「このプリントを、幼稚園の全保護者達へラインで添付ファイルとしてまわせ。」
「はい・・」
「今年のハロウィンは、“鬼”まみれなどさせぬ。」
千景はそう呟くと、今年のハロウィンの演目が書かれていた書類を見た。
そこには―
「歳三さん、今年のハロウィンの演目は、“ディズニー・ヴィランズ”ですって!」
「え、てっきり“鬼滅の刃”かと・・」
「幼稚園のPTA会長が、今このスマホゲームにハマっているそうで・・」
「著作権的に大丈夫なのか?」
「大丈夫だと思います・・多分。」
千鶴はそう言うと、そのゲームの公式ガイドブックを歳三に手渡した。
「お前ぇ達は、どんな格好が良いんだ?」
「角あるやつ、鬼みたいで格好いいから!」
そう叫んだ子供達が叫んで指したのは、『眠れる森の美女』寮の登場人物だった。
「わかった・・じゃぁ俺は・・」
「パパ、マレフィセント!」
「え?」
「歳三さん、マレフィセント一択でお願いします!」
「え?お前は?」
「わたしはオーロラ姫枠で!」
「あ、うん・・」
「あら、風間さん!皆さん白雪姫寮で・・」
「どうだ、似合うか?」
「えぇ、とっても似合いますわ!」
幼稚園のハロウィンコンテスト当日、園児や保護者達はそれぞれゲームの登場人物達になりきっていた。
(フゥン、これで俺の優勝は決まった!)
 そう千景が一人悦に入っていると、保護者達が一斉にざわめいた。
「あれは・・」
「土方さん・・」
(おのれ土方・・俺よりも目立ちおって・・この世で一番美しいのはこの俺だ!)
千景の顔は、歳三への嫉妬で魔女のように恐ろしくなっていた。
コンテストは、組ごとに十分程の寸劇をするというものだった。
千景達の組の寸劇は終わったが、歳三達の番になって寸劇の途中で落雷が幼稚園付近で起き、オーロラ姫の洗礼式のシーンで停電によって舞台が真っ暗になってしまった。
周りがざわめく中、完全にマレフィセントになった歳三が舞台上に現れ、園長演じる国王に向かってこう言った。
「わたしに、“許してくれ”とおっしゃい。(CV:三〇眞一郎)」
紫のドレス姿の歳三のマレフィセントは、全観客を魅了した。
当然、優勝の金一封は歳三達の組が獲得した。
「パパ・・?」
「・・魔物狩りだぜ(CV:津〇健次郎)」
「嫉妬したら、鬼になっちゃうよ?(CV:花〇夏樹)」
「鬼だから別に問題ない。」

ヘイガイズ、俺はジミー、この街でカフェをやっている元傭兵さ。
カフェは結構繁盛しているぜ。
でもひとつ、困った事がある。
それは―

「ファッキン、玉ネギが上手くみじん切りに出来ねぇ!」
 「ヘイジミー、そんなんじゃ仕込みが終わらねぇぜ!」
「わかっているよ!」
「ジミー、このカフェ人手が足りねぇ。パートを増やそうぜ!」
「ザック、良い考えだ!」
こうして俺は、求人情報誌に“パート急募、料理出来る方”と、簡単なキャッチフレーズで広告を出した。
「へぇ、ここ近いな。」
 週末の昼下がり、歳三は自宅のリビングで何気なく広げた求人情報誌に載せられていたあるカフェの求人広告に目を留めた。
「どうしたんですか?」
「いや、働こうと思ってな。」
「そうですか。あれ、ここってうちの近くじゃないですか。」
「面接だけでも、受けてみようかなっと・・」
「いいんじゃないんですか。」
こうして、歳三はパートの面接を受ける事になった。
「トシ・・」
「お前、ジミーか?」
「ジミー、どうしてこの街に?」
「ヘイトシ、これからお前には実技テストを受けて貰うぜ。まずは、この一箱分の玉ネギをみじん切りにして貰うぜ!」
「わかった。」
「ヘイジミー、どうすんだい?」
「まぁ見てろよ。」
ジミーとザックが休憩室でポーカーをしていると、歳三がそこへやって来た。
「出来たぜ。」
「Ohジミー!すげぇや!」
「フン、こんなんじゃちっとも驚く事は・・ファッキン、みんな同じ大きさだ!」
「次はいかが致しましょうか?」
 「オニオングラタンスープを作って貰おうか?」
「わかりました。」
一時間後、ジミーとザックの前にオニオングランスープが置かれた。
「見た目は良いな。だが俺は、こんなのに騙されたりはしねぇ!」
ジミーはオニオングラタンスープを一口食べた途端、ニューオーリンズの亡き祖母の笑顔が脳裏に浮かんだ。
「トシ、採用だ!」
こうして、歳三はカフェ・アメリカンで働く事になった。
「トシ、今は何しているんだ?」
「妻と、娘と息子の子供が二人居る。専業主夫として日々、働いている。」
「そうか、主夫の仕事は立派だ。」
ジミーがそう言ってフライドポテトを作っていると、店に一人の男が入って来た。
「いらっしゃいませ・・」
「あの時のメイドか・・」
「お、お前は・・」
「ここのおすすめ料理は何だ?」
「チーズバーガーです。」
「それを貰おうか、ピクルス抜きで。」
「かしこまりました。」
「うまい・・」

千景はこの日から、カフェ・アメリカンの常連客となった。

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Last updated  Jan 19, 2021 08:17:41 PM
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(2)

警察から職務質問を受けた後、歳三は再び馬を走らせた。

「パパ、忘れちゃったのかな?」
「そんな事、ないわよ。」
「美桜~、千鶴~、待たせたなぁ!」
「パパ~!」
美桜が俯いていた顔を上げると、そこにはあの有名なフランス皇帝の肖像画のように白馬に跨ってポーズを決める歳三の姿があった。
「済まねぇ、寝坊した!」
「どうしたんですか、何だか辛そうですよ?」
「あぁ、さっき変な奴に捕まってな。」
「そうなんですか・・」
「あ、父様~!」
「千里、リレーはどうだった?」
「三位だったよ!」
「フゥン、それでこそ我が息子だ、偉いぞ。」
歳三達が木陰で弁当を食べていると、少し離れた所で千景も家族と共にランチを囲んでいた。
「あなた、遅かったわね?」
「あぁ、白馬に跨がるメイドと競走していたら、警察に捕まった。」
「そうなの。」
こうして、波乱の運動会は幕を閉じた。
「歳三さん、これ・・」
「何だ?」
千鶴から渡されたのは、“インフルエンザ予防接種のお知らせ”と書かれた、幼稚園からのプリントだった。
「明日、一緒に行きますよね?」
「あ、あぁ・・」
そう言った歳三の美しい顔は、かすかに恐怖で引き攣っていた。
最強の元傭兵が唯一苦手とするもの、それは―
「千鶴、俺から離れないでくれ・・」
「はい、歳三さん。」
「傍にいてくれ、頼むから!」
「大丈夫です、傍に居ますから・・だから安心して下さいね。」

ここは総合病院の内科診察室。

歳三は涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃに濡らしながら、妻に手を握って貰って、インフルエンザの予防接種を今まさに受けようとしていた。
昔から、歳三は注射が大嫌いだった。
傭兵時代、感染症やエイズの予防接種を受けた時はいつも、逃げられぬよう全身を拘束されて受けていた。

(落ち着け、こんなのヨハネスブルクでの銃撃戦に比べれば・・)

「準備は出来ましたね?トイレは済ませましたか?神様にお祈りは?さぁわたしに右腕を差し出してすべてをわたしに委ねる覚悟は出来ましたか?」

そう言って白衣の下に黒のカソック姿の医師は、紫の瞳で歳三を見つめながら、口端を歪めて笑った。

「せ、先生、やっぱり俺は後に‥妻の方が、感染リスクが高いのではないかと・・」
「だ~か~らぁ!?」

医師はそう叫ぶと、舌打ちして歳三の右腕に注射器の針を刺した。

「はい、もう終わりましたよ。」
「ありがとう、ございます・・」

苦しそうに喘ぎながら歳三が礼を言う姿はたちまちSNSにアップされ、“何だか萌える”、“可愛い”という理由で軽くバズッた。

「頑張りましたね、偉い偉い。」
「千鶴・・」

 季節は夏―今年も、誠と美桜が通う幼稚園では恒例の夏祭りが行われていた。

「歳三さん、似合っていますよ。」
「そ、そうか・・」
この日、千鶴は薄紫色の浴衣姿で、髪は結い上げて紫のハートを象った簪を挿していた。
歳三は、紺色の地に麻の葉柄の浴衣姿だった。
「パパ、早く~!」
「パパ、綿飴買って~!」
「二人共、そんなにはしゃぐなって。」
そう子供達をいさめながらも、歳三が彼らを見つめる眼差しは優しかった。
誠は、浅葱色に麻の葉柄の浴衣姿、美桜は薄紅色に麻の葉柄の浴衣姿だった。
「パパ、あれ欲しい~!」
そう言って美桜が指したのは、射的の景品として飾られている今人気沸騰中のゲーム機だった。
「わかった。親父、頼む。」
「はいよっ!」
射的の屋台の親父からコルク栓式銃を手渡され、狙撃手スタイルでその銃を構えた。
(今は風向きも、角度も良い・・狙い撃つぜ!)
歳三が放った銃弾は、見事ゲーム機に当たった。
「大当たり~!」
「パパ凄い~!」
「・・フゥン、誰かと思ったら、あの時のメイドか。」
「てめぇは何者だ?」
歳三と千景がにらみ合っていると、カレーライスの屋台の方から悲鳴が聞こえて来た。
「どうしよう、カレーがぁ~!」
二人が振り向くと、そこには四十人分のカレーを台無しにしてしまった主婦が、蒼褪めた顔をしながら空になった鍋を見つめていた。
「夏祭りのカレーで、ひとつ勝負しようではないか!」
「望むところだ!」
こうして、歳三と千景のカレー対決が始まった。
「オラオラオラ!」
「貴様、そんな子供騙しのカレーで俺に勝てるとでも思っているのか!?」
「やかましい!」
こうして二人は、四十人分のカレーを作った。
歳三はシンプルでありながらもアレルギーの子供でも食べられるカレー、千景は高級食材をふんだんに使った高級カレーだった。」
「結果発表・・引き分けです!」
「甲乙つけがたいカレーでした!」
「そうか・・」
「パパ、格好良かったよ!」
「そうか。」
夏祭りのカレー勝負から三ヶ月後、ハロウィンの季節となった。
「パパ、これ作って~!」
そう言って美桜が指したのは、あの人気漫画『鬼滅の刃』のねずこの衣装だった。
「この着物、美桜も着た~い!」
「・・わかった。」
丁度映画が公開され、歳三達はそれぞれ人気登場人物の衣装を着て映画館へと向かった。
「うわぁ、ご家族四人で何のコスプレですか?」
「竈門一家です。」
「全てご自分で作られたのですか?」
「はい。」

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Last updated  Jan 19, 2021 08:16:39 PM
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設定


土方歳三  元傭兵。
     最強精鋭部隊・薄桜部隊隊長。
敵から命を狙われており、妻子を守る為メイドとして働く。
      愛妻家で子煩悩。

土方千鶴 歳三の妻。夫の過保護ぶりに少しひいている。

土方誠 歳三と千鶴の一人息子。歳三の事を尊敬している。

風間千景 この世の全ては自分のものという超剛田主義を掲げる鬼社長。
     最近金ピカ仕様のセグウェイがお気に入り


(1)

「ったく、この雨の中じゃ何も見えやしねぇ。」
土砂降りの雨の中、土方歳三は望遠鏡で敵の動きを見たが、視界が悪くて何も見えなかった。
「どうする土方さん?このままここで待機していたら、俺達全滅するぜ。」
「あぁ、そうだな。原田、てめぇは右を、永倉は左を頼む。挟撃した方が早い。」
「わかった。」
「承知!」
「てめぇら全員、死ぬんじゃねぇぞ!」
「おうっ!」
円陣を組んだ後、歳三達は夜の闇の中へと駆けだした。
「土方さん、危ない!」

一発の銃声が歳三の右脇腹を貫いた。
そこで彼は、悪夢から目を覚ました。

(畜生、何で今更、昔の夢なんか・・)

歳三がそう思いながら鏡の前に座って紅い櫛で髪を梳かしていると、彼の妻・千鶴が何やら慌てた様子で寝室に入って来た。

「歳三さん、大変です!」
「どうした、千鶴!?」
「今日、誠の親子遠足の日なんです。でも、急な会議が入って・・」
「俺が行ってやる。」
「ありがとうございます。」
「千鶴、コルセットを締めてくれ。」
「わかりました。」
歳三は妻にコルセットを締めて貰い、青いドレスを着て揃いの帽子を被った後、一人息子の弁当が入ったバスケットを持ち、玄関を出て親子遠足の集合場所である幼稚園へと向かった。
「誠、お前んちパパ居ねぇんだろう?」
「パパは居るもん!」
「女の恰好したパパなんて変だ!」

友達から歳三の事をからかわれ、誠が泣きそうになっていると、美しいドレス姿の父がやって来た。

「パパ・・」
「坊ちゃん、奥様はお仕事で遠足に行く事が出来ないので、わたくしが代わりに参りました。」

誠は父のその言葉を聞いた時、“坊ちゃんモード”に切り替わった。

「遅かったじゃないか、トシ!待ちくたびれたよ!」
「さぁ、参りましょう。」

歳三は誠に微笑むと、その小さな手を握ってバスへと向かった。
彼が女装をしているのは、自分の命を狙う敵の目を欺く為と、愛する妻子を守る為だった。
昔の歳三を知っている者が今の彼の姿を見たら絶句してしまうだろう―傭兵の中で最強精鋭部隊を率いていた男が、銃をレースの日傘に持ち替え、戦闘服からドレスへと着替えて一人息子と笑っているのだから。

「坊ちゃま、キリンさんですよ。」
「うわぁ首長~い!」
「坊ちゃま、キリンさんの餌を買いに行って来ますね。」

歳三はそう言って息子から離れてキリンの餌を買いに行こうとした時、彼は一人の男と擦れ違った。

「明日二時、この場所で。」
「了解。」

そう言った歳三の顔は、一瞬傭兵時代のそれに戻っていた。

「トシ、お腹空いたよ~」
「では、ランチに致しましょう。」
朝3時起きして作ったクラブハウス・サンドイッチと水筒が入ったバスケットを抱えながら、歳三は敵に死角となる場所を探していた。
(あそこの広場は敵に丸見えな上に風上だ・・かと言って、この園内で死角になれそうな場所は、トイレの近くと、池を挟んだ売店・・)
トイレは敵と応戦する時に不利になりやすい。
それに個室の中へ引き摺り込まれたら息子を守れない。
少し迷った末に、歳三は売店のピクニックテーブルで誠とランチを取る事になった。
「トシ、ソフトクリーム買って!」
「わかりました。」
歳三が売店でソフトクリームを買いに行くと、そこには翡翠色の瞳をした青年の姿があった。
「あれ、誰かと思ったら、土方さんじゃないですか?」
「総司・・」
「やだな、そんな顔をしてにらまないで下さいよ。僕は今、しがない売店のバイトなんですよ。ソフトクリーム、要らないんですか?」
「・・2つ貰おう。」
「毎度あり。」
予期せぬ昔の仲間との再会に、歳三は激しく動揺した。
「今日は楽しかったね、トシ!」
「えぇ・・」

すっかりご満悦な様子の誠を見て、歳三は嬉しそうに笑った。
その日、彼は悪夢にうなされる事はなかった。

(クソッ、今何時だ!?)

この日、歳三は一人娘・美桜の運動会に行く予定だったが、寝坊してしまい、焦っていた。
 弁当と水筒を黒の保冷リュックに入れ、それを背負った彼は、近くの牧場へと向かった。
「源さん、一番速い馬を頼む。」
「鞍はつけなくていいのかい?」
「大丈夫だ、問題ない。」
寝坊した歳三は、一番速い馬で娘の幼稚園へと向かった。
「フゥン、気持ちの良い朝だ・・」
東京の街を一望できるタワーマンションの一室で、風間コーポレーションの社長・風間千景はそう言った後、彼は日課のカンフーを全裸でした。

(ま〇たんカンフーを想像して下さい)

「社長、表に車を回しておきました。」
「そのようなもの、不要だ。」

そう言って千景は、金ピカ仕様のセグウェイに乗った。

(良い風だ・・)

そう思いながら千景がセグウェイに乗っていると、彼の隣を誰かが横切った。
それは、白馬に跨っている黒髪のメイドだった。

(メイドごときが、この俺を抜かすとは、笑止千万!)

こうして、セグウェイと馬の、仁義なき戦いが始まった。
数分後、二人は警察から職務質問を受けていた。

「ご職業は?」
「メイドです。」
「貴様らに構っている暇などない、そこを退け。」
「すいません、急いでいますので・・」
「待って、待って。」

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