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2019年05月28日
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父母がいましたころ、「家族ふれあい新聞」を毎週1回ないし2回作成しては郵送していた。
文章を書くこと、発信をおっくうに思わないのは、父母が喜んで、「家族ふれあい新聞」を読んでくださったおかげである。

新聞の裏面には、わたくしが感銘をうけた文章等を転載し、大分県の木谷さんの<木谷ポルソッタ倶楽部>もよくのせたものである。
父母も木谷さんも今はいないが、懐かしく思うとともに、感謝する。


家族ふれあい新聞第841号

  <木谷ポルソッタ倶楽部>
  ■銀行員さんのせつない想い■
宇佐の銀行員さんの話を聞いた。せつなくなった。
その話である。
宇佐市内の各家を訪問しながら営業していると、
時々、せつなくなることがあります。
七十から八十のご老人がぽつりとひとりで在宅しているところへお邪魔をすることがよくあります。
仕事の話が終わると、出して戴いたお茶を呑みながら世間話となるのです。
あるとき、八十近いおばあちゃんが終戦間際の話をされました。
春になるとね、私は思い出すことがあるのよ。
昔、宇佐には海軍航空隊の基地があったのよね。
基地の若い隊員たちは、休日になると、
私の家にも訪れてくれてしばし憩ってくれたものよ。
私は、まだ、幼かったから、隊員のお兄さんたちはよく遊んでくれたわね。
四月のある日、隊員のひとりのお兄さんがいったのよね。
「今日は楽しかったよ。いつもいつもお兄ちゃんと遊んでくれてありがとうね。
これからも元気で生きていくんだよ。
そうだ、明日、この家の上を飛行機が飛んだら、
それはお兄ちゃんだから、
みんなで手を振って見送ってくれるかな」
私が、翌日、空を見上げていると、
飛行場から何機もの飛行機が飛び立っていたわよね。
一回、二回、三回、鳥のようにゆっくりと旋回したのよね。
お兄ちゃんだ。私は手を何度も何度も振ったわさ。
でもね、でもね……やがて……飛行機は、
南へ向かって青い空の中へ消えていっちゃったのさ。
幼かった私は、後から知ったのだが、それが神風特別攻撃隊だったのさ。
帰らない特攻を前にして、私の家の上を、
お兄ちゃんはぐるぐる回ってくれたのさ。
そう、お兄ちゃんは、ぐるぐる……ぐるぐる……とね。
もっと生きたかったやろうね。
いろいろな夢があったろうね。
それがね、ぐるぐる、まわっていっちゃった……
ぐるぐる、ぐるぐる……。
そう話しながら、おばあちゃんは涙ぐむのです。
私も泣きたくなりました。
それが、一軒だけではありません。
二軒、三軒と、おじいちゃん、おばあちゃんたちは
一生懸命お話されます。
その話を聞きながら、私はこれをみなさんに伝えていかねばと思いました。
そう話す銀行員さんの瞳には涙が溢れていた。
そう、絶対に絶対に戦争をしてはいけないのだ。
人は殺し合ってはいけないのだ。
人は助け合わなければならないのだ。
外は久し振りの雨が降っている。
アジサイの花が鮮やかな、平和の昼下がりだった。





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最終更新日  2019年05月28日 03時13分18秒
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