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カテゴリ:広井勇&八田與一
「背教者」の中の青山士と師・内村鑑三
小山内薫全集第2巻 p.727 「さて、愈これから聖書の研究にかかります・・・・・・」 先生はかう言ふと、家から持って来た中形の新約聖書の第一頁を明けたー 「ーアブラハムの裔(こ)なるダビデの裔(こ)イエス・キリストの系図・・・・・・けふの午後の演題はこれであります・・・・・・」 「・・・・・・アブラハム、イサクを生み、イサク、ヤコブを生み、ヤコブ、ユダとその兄弟を生めり・・・・・・」 「・・・・・・ユダ、タマルに由りて、パレスとザラを生み、パレス、エスロンを生み、エスロン、アラムを生み、・・・・・・サルモン、ラハブによりてボアズを生み、ボアズ、ルツに由りて、オベデを生み・・・・・・エツサイ、ダビデ王を生み、ダビデ王、ウリヤの妻に由りて、ソロモンを生み・・・・・・」 「・・・・・・マツタン、ヤコブを生み、ヤコブ、マリヤの夫ヨセフを生めり。このマリヤよりキリストと称ふるイエス生れ給ひき。」 ここまで読むと、先生は聖書を机の上に置いて、にこにこ笑ひながら、みんなの顔を見たー 「どうです、諸君。面白いですか。ちつとも面白くないでせう。」 さう言つて、又にこにこ笑つた。 「・・・・・・聖書ー殊に新約聖書は世界唯一の書物だと言はれてゐます。世界第一の有益な書物、世界第一の興味深い書物だと言はれてゐます。ところが、その巻頭第一に書いてあることは、この乾燥無味な系図であります。コオランの序品(じょぼん)第一には『神を頌へよ。万物の主宰、最大慈悲、審判の日の王をわれ礼拝す』とあります。埃及(エジプト)の死者の書は『天の東部にラアの昇る時、これに奉る讃美の歌』を以て始まつてゐます。論語は『学んで時にこれを習ふ。また悦ばしからずや。』で始まつてゐます。法華経は阿羅漢の頌徳を以て始まつてゐます。然るに、新約聖書は、その巻頭、馬太(マタイ)伝の第一章に於いて、無愛想にも『アブラハムの裔なるダビデの裔イエス・キリストの系図』と称して、唯人の名を列記してゐるのであります・・・・・・」 p.729 「書籍の趣意が若し巻頭の一句にありとすれば、聖書は砂を嚙むが如き無味乾燥な書物だと言はなければなりません。なぜ、山上の垂訓を巻頭第一に置かなかったのでせう。なぜ、愛の頌讃を以て始めなかつたのでう。読者を引きつける手段として、拙の又拙なる道をとつてゐるのであります・・・・・・」 p.730 併し、その砂礫のやうに無味なるところに、また砂礫のやうに意味深長なところがあるのであるー先生はさう説くのである。ー 「アブラハムの裔なるダビデの裔イエス・キリストの系図」。この一句の内に、もう重大な意義が含められてゐるのである。イエスはアブラハムの子であつて、又ダビデの子であつたのである。即ち、イエスはその肉体に於いて、アブラハムの信仰とダビデの権威とを代表してゐたのである。アブラハムとダビデー即ち、信仰と権威とを一つの身に体得したものが、キリスト即ち完全な救ひ主なのである。そしてイエスは実にその人であつたのである。 「アブラハムの裔なるダビデの裔イエス・キリスト・・・・・・」この一句の内に、もう重大な意義が含められてゐるのである。これは決して無味乾燥な詞ではない。歴史的事実に拠つた最も意義深い詞である。聖書に於いて、アブラハムと言へば、神に喜ばれる信仰を表す名であつて、既に固有名詞ではない。ダビデの名も亦同じことである。聖書智識に養はれて育つたユダヤ人が、アブラハムの子にしてダビデの子イエス・キリストと聞けば、もうその一句の内に深遠量るべからざる意味を読んだものである。これを乾燥だと言つて嘲り、これを無味だと言つて笑ふのは、その人の無識を表すに過ぎないのであるー p.731 (工事中) 「」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年09月26日 04時17分02秒
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