「笑の大学」を観てみた。
【監督】星護【原作・脚本】三谷幸喜【出演】役所広司/稲垣吾郎/小松政夫いかにも三谷幸喜の世界といった感じで、観終わった後にじわ~っと暖かいものが込み上げて来る感じかな。元々の脚本は舞台用に書かれたものらしいんだけど、確かにこじんまりとしたまとまり方は映画ではなく、舞台の緊迫した生演技で観た方が盛り上がるかもといった内容。そして相変わらず役所広司の演技が素晴らしいねー。その上手さのせいですっかり稲垣吾郎の演技下手が目立ってしまったよ。どうしてこのキャスティングなのかな~と初めは戸惑ったものの、その疑問はすぐに解けた。この演技力の差というものが、二人が演じる劇中の役柄にもそのまま比例しているんだね。役所広司は、作家が書いた脚本を吟味し不適切な表現や台詞があれば頭ごなし書き直せと命令する政府のお偉い検閲官。そして稲垣吾郎は、大衆を笑わすことに情熱を注ぎながらも、検閲官には頭が上がらない喜劇作家。この二人の間柄といったものが、その演技力の差によってよりリアルさを増してくる。もし喜劇作家の役がもっともっと演技の上手い役者だとしたらどうだろう。そうなるとそれはもう単なる演技合戦になってしまって、互いの演技力のアンバランスさから来る面白味といったものが全く無くなってしまいそうだねぇ。一見すると安直な配役に見えそうなんだけど、実はこれはこれでかなりのキャスティングの妙だったりするんじゃないのかな。【eathan's thumbs up】☆☆☆☆☆☆★★★★