龍水御朱印帳

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  大斎原 ～熊野本宮大社・旧社地～

  大斎原（おおゆのはら）熊野本宮大社HP 大斎原は熊野本宮大社から歩いて約５分の地にある熊野本宮大社の旧社地です。現在の熊野本宮大社の本社・上四社は小高い場所にあります。明治２２年の大洪水で流されてしまうまで、ここが熊野本宮大社の鎮座地だったのです。その象徴ともなっているのは日本一の大鳥居。高さは約３４ｍ、幅は約４２ｍもあるそうです。平成１２年に、日本の心の復活などを祈念して建てられたとのこと。   境内には小さな石の祠が二つあるのみ。およそ１２０年の本社に比し、ここは少なくともその１０倍の長きに渡る鎮座地でありこの小さな祠に祀られる神々を見れば、いまだにここが神聖な空間であることも頷けます。 ■御祭神　　左祠　　中四社　下四社■御祭神　　右祠　　元境内摂末社合祀別社 中四社、下四社の神々については、熊野本宮大社HPなどを御参照ください。手抜き記事で申し訳ありません。ここの神々を語るには、もう少し熊野のことや本地垂迹などについて知る必要があると思っています。 ※本地垂迹＝神仏習合思想のひとつ。日本古来の神々は　　　　　　　　仏の化身、生まれ変わりなどとする考え。   「さすがは」と思わせる参道ですが、訪れる人はまばら。熊野本宮大社は大勢の参拝者でごった返していましたが、ここまで足を伸す人は少ないようです。   趣のある参道も杜も、明治の洪水以降のものなのでしょうが悠久の時を感じるのは、想像のし過ぎでしょうか。この地に立ち並ぶ檜皮葺の社殿を見てみたいと思いました。上流にダムが造られ、洪水の心配が減っています。いつの日か、上四社が再びこの地に戻って来るかも知れないと思いました。   神の依代と言えば磐坐や山のイメージがあります。しかし国道１６８号線を走りながら、目の前に広がる広大な河原を見て私はここが神々の地だと感じました。上の画像は車を停めやすい場所から撮ったものなのですが、実際はもっとすばらしい場所がたくさんありました。よく似た光景を吉野の丹生川上神社（中社）の近く、高見川でも見た記憶があります。   広大な河原が続いているのは、気の遠くなるほどの時間の中で何度も川がその姿を変え、蛇行し、時に荒れ狂う、そんなことを繰り返してきたからなのでしょう。  十津川熊野・十二滝 吉野や熊野で育まれた豊かな森は、膨大な水を蓄えています。十津川村から熊野にかけて、いったいいくつの滝や湧水を見たことか。熊野坐大神（家都美御子大神）は素盞鳴尊とされていますが、素性は太陽神とか、木霊であるとか諸説あるそうです。私は熊野の河原と豊かな水を見て、そして大斎原がかつては中州だったことから元々の主祭神は水の神であったような気がしました。今回は、勝手な想像ばかりですみません。   .

  2010.10.17

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  玉置神社

  奈良県吉野郡十津川村玉置川 玉置神社公式HP ■御祭神　　国常立尊　伊弉諾尊　伊弉冊尊　天照大御神　神日本磐余彦尊 熊野三山の奥の院とも言われる玉置神社は、標高１，０７６ｍの玉置山頂上付近に鎮座。「奥宮」ではなく、「奥の院」というところが熊野です。昼夜の寒暖の差があって、前日が晴れているなどの条件が揃うとしばしば雲海が見られるそうです（参照：レオナルドさんのブログ）。   前日から明け方くらいまで雨でしたし、アクシデントで到着も遅くなり残念ながら雲海は見られませんでした。「玉置神社は来る人を選ぶ」とも言われているそうですが、私たちは参拝断念寸前の、ヘロヘロ状態でやっとこさたどり着いた次第。神社マニアを自称していますが、あまりエラそうなことは言えないようです。   雲海も見られず、たどり着くまでに相当な試練を受けましたが神秘的な霧に包まれながら参道を歩かせていただきました。神様から「ごくろうさん」と言われているような気分でした。   境内からと思われる参拝者の声が聞こえるもののなかなか社殿までたどり着けず、またもや「試練」かと不安になりました。この山の緑は、大和や京のそれとは違います。山も木々も、そして水にも独特の霊気のようなものが感じられます。   この日はいろいろあって（ここでは書けませんが）、手水舎が見えたときには、正直ほっとしました。    雲海や神秘的な霧が似合いそうな境内ですが、この日は明るい陽射しの中での参拝となりました。昨今のパワースポットブームで、ここにもちょっと違和感のある参拝者が押し寄せていました。時間の都合で全域を回ることは断念し、今回はご挨拶程度の参拝。   樹齢３０００年と称す「神代杉」をはじめ、境内には多くの杉の巨木があります。お気に入りの場所では木々との会話を楽しむのですが、ここの杉たちとは「目礼を交わす」程度でした。今まで出会った木々とは、いい意味で違った感覚があったのです。 境内を丁寧に廻る時間もなく、雲海も見られませんでしたが玉置山の麓ではちょっとした出会いがありました。玉置神社の遙拝所かと思った小さなお社。一度は通り過ぎたのですが、その奥に見えたものに引かれ細い上り坂をバックで戻ったのです。そこは玉置神社の遙拝所ではなく、八大龍王姫松明神と書かれていました。私たちの目にとまったのは、お社の奥にある神秘的な滝。すさまじいほどの水量で、チャクラに響くような轟音は恐怖を感じるほど。あまりのすさまじさに、参拝後にお社の写真を撮ることを忘れてしまいました。   その滝からの流れは、封印から解き放たれた龍神の姿のようでした。神の荒魂の業とも思えるその光景には、言葉が出ませんでした。滝の水は圧倒的な迫力で、近づくこともためらわれるほど。しかしその滝の流れに、女神の姿を見たような気がしました。    .

  2010.10.11

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  内 　宮

  ～ 神宮早朝参拝のオススメ ～内宮編猛暑の影響か、３連休と普通の週末の違いなのか早朝の外宮は思いのほか参拝者が少なく、うれしい誤算でした。例年は日帰りですが、１月の成人の日を含む３連休の１日を使って伊勢に行っていました。昨年は初めて９月に２泊して、内宮・外宮の早朝参拝をしました。しかし敬老の日がある３連休を利用したためか、内宮・外宮とも早朝から大勢の参拝者が訪れていました。前回の記事に書きましたように、今年は金曜の夜に伊勢入りする２泊の旅。土曜の早朝にやって来る観光客がいないせいか、外宮はゆっくりと参拝し宮域の撮影も堪能させていただきました。しかし、内宮ではこうは行かないだろうと思っていました。土曜日にやって来た観光客のうち、日曜の早朝に内宮に参拝する人も多いはず。「神宮会館に泊まった客は、係りの人の案内で団体で早朝参拝する」内宮に向かうタクシーの運転手さんもそうおっしゃっていましたし。   内宮に到着したのは午前７時くらいだったでしょうか。タクシーを降りた瞬間、信じられない光景が待っていました。宇治橋前は、ほとんど人がいなかったため一瞬、自分たちが立っているその場所がどこだか判らないくらいでした。もちろん参拝者はいらっしゃるのですが、外宮と同様、団体客の姿はありませんでした。残念だったのは天気。雨でなかっただけでもありがたいのですが、前日と違って全く青空は見られませんでした。  宇治橋を渡ってから五十鈴川御手洗場まで、私たちは相当早足で歩いていたと思います・笑外宮同様、撮影に夢中になったのですが早く御正宮前まで行きたいと、気持ちが逸っていたのです。神社の撮影をしない方にはわからないと思いますが、御正宮前のあの石段が頭にちらついて、居ても立ってもいられない気分だったのです。  御正宮に向かう参道も、人の姿はまばら。私たちは夢中でシャッターを押し続けていました。その興奮状態たるや、サビキに群がる小鰺のごとし。今あの時のことを思い出すと、少し恥ずかしくなります。     もちろん、参拝者は他にもけっこういらっしゃったのですがしばしば、こういう瞬間があるのです。ちなみに昨年１月の同じ場所はこの通り。   昨年の１月、時間は正午過ぎだったと思います。御正宮前の石段まで、ずっとこんな感じでした。例年同じ時期に参拝してきましたが、こんなことは初めてでした。これも神様にでもすがりつきたい、長引く不況の影響なのでしょうか。   御正宮前の石段もご覧の通り。前々から、こういう光景を撮りたかったのです。ちょっと斜めからのアングルですが、実は左の木の陰にお一人参拝中の方がいるんです・笑。さすがにここまで来ると、なかなか「無人」状態になる瞬間はありません。しかし内宮でもゆっくりと参拝することが出来て、本当にありがたく思いました。    ９月とは言え、まだ猛暑が続いていたせいか（１２日）内宮宮域の緑も元気いっぱいという感じ。以前はこの先から御正宮が見られ、撮影も出来ました。現在は新御敷地に板塀がめぐらされていて、その向こうの御正宮を見ることは出来なくなりました。    御正宮と同じ「唯一神明造」の御稲御倉（みしねのみくら）。唯一神明造を間近に見ることが出来るのは、おそらくここだけではないでしょうか。    別宮で最も格上とされる荒祭宮（あらまつりのみや）。御祭神は天照坐皇大御神荒御魂(あまてらしますすめおおみかみのあらみたま)。内宮・外宮にはあわせて１４の別宮がありますが荒祭宮はその中でもひときわ大きく見えます。実際に他の別宮よりも大きく造られているのかも知れません。どの別宮も同じように見えますが、社格によって大きさが違います。複数の宮が並ぶ月讀宮や瀧原宮に行くとよくわかります。    神宮をよくご存知の方なら、この鳥居には「おや？」っと思われるでしょう。これは風日祈宮(かざひのみのみや)への仮参道の鳥居なんです。ちょっと残念だったのですが、風日祈宮橋は架け替え工事中でした。内宮の宮域で一番好きな場所が風日祈宮周辺なんです。風日祈宮横から風日祈宮橋を見る眺めを楽しみにしていたのですが。  宇治橋の小型版のような和橋。風日祈宮橋(かざひのみのみやばし)は、間もなく完成のようです。    いつでも大勢の参拝者がいると思い込んでいましたが週末でもこういう参拝が出来ることがわかりました。神宮の早朝参拝、多少無理をしてでもオススメです。   .

  2010.10.09

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  外　　宮

   ～ 神宮早朝参拝のオススメ ～外宮編 「神社好き」を自称するようになってから、毎年必ず伊勢にまいります。いつでも大勢の参拝者で賑わう神宮ですが、いつの日かポスターなどで見る「無人の境内」を見てみたいそういう思いが募っていました。    内宮・外宮の参拝は、早朝５時から。朝早く参拝すれば人も少ないだろうと、単純に考えたのが昨年９月。３連休を利用し、２泊して内宮・外宮とも早朝参拝しました。ところが目論みは見事に外れました。まだ暗いうちにホテルを出て、６時前に参拝しましたが駐車場には車がいっぱいで既に大勢の参拝者の姿があったのです。私たちが火除橋に着いた頃には、参拝を終えて戻って来る人もいたほどでした。今年も２泊３日での参拝でしたが、それは早朝参拝が目的ではなく伊雑宮、瀧原宮と御塩殿に行きたいためでした。従って３連休ではなく、普通の週末の金曜の夜に伊勢入りする行程でした。内宮・外宮とも今回も早朝参拝しましたが、それは行程の都合でそうなっただけです。    ９月に入っても猛暑が続いていたせいかも知れません。３連休と普通の週末の違いなのかも知れません。うれしい誤算がありました。昨年よりも遅い時間（６時半頃）だったにもかかわらず参拝者の姿がまばらだったのです。    早朝から参拝に来られていた方々は、みなさんゆったりと宮域を歩いておられました。そんな中、私たち夫婦だけがちょこまかと参道を走り回っていました。無人になるシャッターチャンスにベストポジションへと移動しまくっていたのです。予期せぬ事態に興奮し、何度もカメラのレンズがくもりました・笑。「走り回った」というのは大袈裟ですが、興奮状態だったのは確か。家内は外宮だけで２Gのメディアのほとんどを使い切っていたほど。    この日は早朝から、じっとしていても汗が噴き出るほどの暑さ。それでも、身が引き締まるようなひとときでした。今までの参拝では、参道が休日の心斎橋筋のような状態も珍しくなかった神宮でこんな光景が見られるとは思いもしませんでした。    外宮の宮域内で最も好きな場所が、この多賀宮参道の石段です。無人の石段も、もちろん初めて見る光景でした。こういう写真を撮ったからと言って、「それがどうした」と言われたらそれまでですが私たちにとっては感動もので、感激、感謝の思いで涙が出そうなほど。毎年ずっと参拝を続けたご褒美をいただいたような気分でした。   どの神社でも早朝の境内はすばらしいと思うのですがやはり神宮のそれは格別なものがあります。胸いっぱいに吸い込む杜の風も、時折そそぐ朝の陽もざく　ざく　と　歩く己のが足音も、全てがありがたい。 ご挨拶を申し上げると杜をそよぐ風に落ち葉が舞う。神様にお応えいただいているような気分にもなります。    帰りの表参道の火除橋。７時を回ってもこの状態です。もちろん参拝者はけっこういらっしゃいましたが、こんなシャッターチャンスもけっこうあったのです。写真を撮ることが第一の目的ではないのですが、こういう光景をお伝え出来ることは、私にとって神社巡りをする喜びのひとつです。   .    

  2010.10.03

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  饗土橋姫神社（内宮所管社）

  饗土橋姫神社（あえどはしひめじんじゃ）皇大神宮（内宮）所管社伊勢市宇治今在家町林崎　 ■御祭神　　宇治橋鎮守神 宇治橋の近く、駐車場の山側に鎮座。内宮入口の真向かいにありますが、意外と目立たず参拝者の姿はありませんでした。饗土橋姫神社の両側の小高い場所には大水神社、元伊勢の１社とも言われる津長神社があります。 津長神社   昨年、新しく架け替えられた宇治橋。上の画像でもおわかりのように、饗土橋姫神社も新しくなっています。２０年ごとに行われる（伊勢）神宮の式年遷宮。次回の第62回式年遷宮は２０１３年（平成２５年）に行われます。   従来、式年遷宮の年に宇治橋の造り替えも行われたそうです。しかし第59回神宮式年遷宮は第二次大戦後の混乱期だったため、昭和天皇の指示により無期延期とされ、宇治橋の架け替えのみ行われたそうです。その４年後に式年遷宮が行われました。以降、遷宮と宇治橋の架け替えは４年のずれがあるとのこと。しかし饗土橋姫神社だけは、宇治橋の鎮守なので他の所管社に先駆け、宇治橋と同時に造替が行われています。 .

  2010.09.27

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  瀧原宮を独り占め

   神社巡りを始めたのが、２００４年の終盤だったと記憶しています。その翌年から、毎年伊勢に行くようになりました。ずっと日帰りの参拝でしたが、今年は日帰りでの参拝は全く考えていませんでした。その最大の理由が、ここ瀧原宮へ参拝したかったから。   昨年も、例年通り１月に日帰りで伊勢に行きました。そして９月にも２泊３日で伊勢へ。念願だった内宮・外宮の早朝参拝（と言うより撮影）のためです。しかし、さすがは神宮。夜明け前からの参拝だったのにもかかわらず、大勢の参拝者が･･･。薄暗い参道には、既に参拝を終えた人の姿もありました。その意味では期待はずれだったのですが、収穫は瀧原宮でした。内宮のミニチュア版のような瀧原宮のすばらしさに圧倒されたのでした。内宮から３０ｋｍほど離れた山間の地にあるにもかかわらず大勢の参拝者がいたことにも驚きました。    なので今年の伊勢訪問でも、絶対はずせない場所になったのです。とは言え伊勢はどこでもすばらしいのですが、伊勢に行って瀧原宮に寄らないことは考えられませんでした。瀧原宮をはずせないとすれば、日帰りでは無理なんです。本当はここも早朝参拝したいところですが、今回の行程の都合で正午頃の参拝となりました。    この日も、参道の撮影ではかなり「待たされた」ほどの参拝者。（「待たされた」＝人影がなくなるシャッターチャンス）ところが奇跡のようなことが起きました。私たちが境内に入ると同時に、３組ほどいた参拝者がみんな帰り始めたのです。それから約１５分、瀧原宮は私たちの貸し切り状態でした。    神宮参拝を毎年続けていたご褒美をいただいた気分でした。次に参拝者がやって来たのは、参拝を終え境内の撮影を夫婦で堪能したあと、宿衛舎で御朱印をいただいていた時でした。しかも一度に１０人くらい（団体客ではなく）。たとえ１５分とは言え、瀧原宮を独り占め出来るとは思いませんでした。    瀧原宮は境内も参道もすばらしいのですが、独特の風格を感じます。神宮の別宮や所管社はどれも同じ形をしているのですがそれぞれ雰囲気が違うので不思議です。昨年の瀧原宮参拝多岐原神社（2009）  .

  2010.09.26

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  伊雑宮の御神田

   伊雑宮（いざわのみや）の御神田三重県志摩市磯部町上之郷 ■御祭神　　天照坐皇大御神御魂（あまてらしますすめおおみかみのみたま） 伊雑宮は神宮の別宮の中で、唯一伊勢国外志摩国にある天照大神を祀る神社。瀧原宮と並んで「天照大神の遙宮（とおのみや）」とも呼ばれています。また、唯一神田を持つ別宮でもあります。伊雑宮の御田植式（おたうえしき）は日本三大御田植祭として有名。（他のふたつは香取神宮、住吉大社の御田植祭）伊雑宮については、少し前に昨年の参拝記事をご紹介したばかりです。    伊雑宮は今回で３度目の参拝ですが、今回はレンタカーで訪問したので、初めて御神田に行きました。と言っても、「足を伸した」というほどのこともなく、参拝者用駐車場のすぐ下にあります。     「磯部の御神田」と呼ばれる料田の前から見た伊雑宮の杜。この杜にすっぽりと埋もれた伊雑宮は、一部にだけスポットライトが当たったようになるので、実に撮影者泣かせの神社です。いろいろ設定を変えたり、露出補正をしましたがこれが限度。    知り合いのカメラマン（一応プロ）に対策を聞きましたが、プロのアドバイスはこうでした。 　　　　　「曇るのを待て」　　　　　　　　なるほど。     こちらは境内・宿衛舎の近くにある「巾着楠」と呼ばれるクスノキ。金運を授かるとも言われているそうですが、ここに限らず神宮所管の神社ではそういった案内板は一切ありません。 瘤が出来る木と言えばイチョウというイメージがありますがクスノキでは初めて見ました。境内にはこの他、すばらしいクスノキがいくつかあります。     周囲を別次元の空間に変えてしまう巨木。初めて見た「夫婦楠」も。 「あれもクスノキ。あそこにあるのもクスノキ」教えていただいたのは、境内を清掃していた職員の方。 神社巡りを始めて以来ずっと誰にも話しかけないそして（優しい風貌にもかかわらず）誰からも話しかけられない参拝でした。今回の伊勢では、いろんな方々と会話を楽しませていただきました。今回の伊勢から始めた「御朱印集め」の効果かも知れません。  .

  2010.09.23

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  御塩殿神社

  御塩殿神社（みしおどのじんじゃ）三重県伊勢市二見町荘　参考関連記事　​​​​​御塩浜​​​​​                     ​御塩殿神社（2014）貴重画像あり​ ■御祭神　　　御塩殿鎮守神（みしおどののまもりがみ） 御塩殿神社の境内には、神宮の神饌として神事に使う堅塩を作る施設御塩汲入所・御塩焼所・御塩御倉・御塩殿があります。内宮の所管社ですが、ここで作られた御塩は外宮の神事にも使われるのだそうです。神宮で使われる御塩は、五十鈴川河口の御塩浜で濃い塩水（鹹水・かんすい）を取り境内の施設で荘の住民の奉仕により製塩が行なわれます。最終的な作業、御塩焼固(みしおやきがため)の作業は神職が出向し、身を浄めて奉仕するのだそうです。   御塩殿神社社殿の前に鳥居はありません。御祭神は御塩殿鎮守神（みしおどののまもりがみ）とされていますが塩土翁（しおづちのおじ）であったとする説もあります。境内の前にある二見町教育委員会による案内板には「塩土翁を祀る神社」と書かれてありました。   潮の香りに誘われるように、社殿裏手に続く小径を行くと青い伊勢湾が広がっています。ただし境内から直接海に出ることは出来ません。  伊勢湾・二見興玉神社近くより   社殿裏手にあるのは、御塩汲入所と御塩焼所。社殿ではありませんが、鳥居が建てられています。砂浜に近いため、周辺は砂地。しかし小径やこの施設の前も綺麗に掃き清められていました。訪問したのは午後２時頃だったと思いますが、足跡は見当たりませんでした。１．５ｋｍほど東にある二見興玉神社は、大勢の参拝者で賑わっていました。しかしここを訪れる人は少ないようです。  御塩汲入所御塩汲入所（みしおくみいれしょ）は御塩浜から運ばれた濃い塩水を壷で保管する倉庫。御塩浜にも行く予定だったのですが、うっかり忘れてしまいました。（ここでのチョンボは、これだけではなかったのですが･･･）御塩汲入所の建築様式は天地根元造（てんちこんげんづくり）と呼ばれるそうです。古代の建築様式のように見えますが、それほで古いものではないと言われています。  御塩焼所御塩焼所（みしおやきしょ）は鹹水を鉄鍋で煮込み、粗塩を得る施設。鉄の平釜で焚き上げて粗塩を作るのだそうです。作業は8月に行なわれます。御塩汲入所と同様の天地根元造ですが、こちらは一回り大きく造られています。   御塩殿御塩殿（みしおどの）は粗塩を焼き固め堅塩を得る施設です。三角形の土器につめて焼き固め、堅塩(かたしお)に仕上げるのだそうです。二見地域の方々は、「みしおでん」と呼んでいらっしゃるそうです。屋根は茅葺で鳥居と板垣がありますが、社殿ではありません。境内に入ると、鳥居もあって大きな建物なのでこちらが本殿かと思ってしまいます。お恥ずかしい話ですが、私たちはこちらに参拝してしまいました。御塩殿の左にある御塩殿神社は、今回は参拝どころか写真も撮りませんでした。先に載せた社殿の画像は、昨年に撮影したものです。昨年も写真を１枚撮っただけで、参拝しておりませんでした。影になっていて見えにくいと思いますが、御塩殿の向こう側に御塩殿神社の屋根が写っています。実はあちらが「本殿」だったことは、この記事を書くために資料を調べていて初めて知った次第です。次回はちゃんと本殿に行き、お詫びをしなくてはいけません。神社マニアを自称する身としては、とっても恥ずかしい大チョンボでした。    .

  2010.09.20

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  天の岩戸（伊勢）

   志摩市磯部町恵利原２ 天の岩戸（恵利原の水穴） 車で移動する場合、最近はカーナビに頼りっきりです。あらかじめ事前にルートを確認したり、地図を見て「予習」するということがなくなりました。昨年の伊勢では、レンタカーにはナビがあるからと安心していたのですが、そのナビの地図には「瀧原宮」が掲載されておらず、ここ「天の岩戸」はナビで目的地設定が出来たものの、とんでもない場所に連れて行かれました。瀧原宮にはガイドブックの地図を頼りに、迷いながら大回りして到着出来ましたが、この天の岩戸への訪問は断念したのでした。       今回のナビも信頼性に欠け、天の岩戸の１ｋｍ以上も手前で案内を打ち切られました。ただし天の岩戸に関しては、事前にルートを頭に入れてあったので今回は迷うことなく到着することが出来ました。もちろん家内と二人でナビに悪態をつきながら。        山の中へと進むにつれ、神聖な空気に包まれるような感覚。「天の岩戸」とは言え、ここが高天原であるはずがなく神話の中の場所なので、全国どこを探したって本物の天の岩戸などあるはずがないと思っています。やはり天照大神のお膝元ということで、天の岩戸神話になぞらえた場所なのでしょう。しかし「恵利原の水穴」という名前では物足らない場所であります。ここは天照大神がお隠れになった場所でなくても、天の岩戸という名称がお似合いの場所なのです。      「ことりっぷ」というシリーズのガイドブックに、ここの小さな写真を見つけたことが訪問のきっかけでした。「今回はどうしても行きたい」と、なぜか家内がこだわっていた場所でした。実は、私はあまり期待していませんでした。     しかしここが、「名水百選」の水だと言えば話は別。自他共に認める「水フェチ」としては、「名水百選」の看板を見た途端、ここが見た目以上に価値ある場所に思えたのです。水フェチの話はさておき、「名水百選」でなくてもここはご覧の通り、神聖でとてもすばらしい場所です。ミキモト真珠の創業者、御木本幸吉氏はここの信者だったそうです。境内（と、言っていいのか）にある楠は、御木本氏が植えたもので「御木本楠」と呼ばれているそうです。    実はわたくし「大吉方・風水お水取り」という本を読んで以来、しばらく「名水」から遠ざかっていました。お水をいただく「吉方」があるということはいい情報なのですが同時に「よくない方位」があると知ればビビリます。あまり気にし過ぎると、旅行も出張も出来ません。今回は方位のことなど気にせず、ここのお水をたっぷりといただきました。   鳥居の向こうに水穴があり、そこから水が涌いているようです。その水を２本のパイプで引いているのですが、このお水をいただくために腰を下ろした瞬間、びっくりしました。なんと水穴から冷気が吹き出していたのです。      この付近には「風穴」もあると聞いていました。冷気が吹いてくるということは、この水穴鍾乳洞のように奥が深いのかも知れません。この場所は伊雑宮に近く、これからも何度も足を運ぶことになりそうです。    . 

  2010.09.14

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  法隆寺の謎　その２

   前回からの続きです。法隆寺とはどういう寺なのか。現在の私の考えとは「法隆寺は別の場所にあったものをこの地に移築した寺」という、妄想めいたものです。そして「厩戸皇子が建てた斑鳩宮と若草伽藍の跡地に移築することによって　　　　　　法隆寺は歴史上、意図的に厩戸皇子と関連付けられたのではないか」そんな風に想像をめぐらせています。これは「妄想」みたいなものですので、軽く読み流していただいても結構です。違和感を感じる方は、スルーしてください。「聖徳太子はいたか」そんなテーマで、別の場所に「厩戸皇子と法隆寺」について、いずれ書こうと思います。（書いてる途中なんですが、しばらく中断してます）ここでは妄想的な歴史背景はさておき、目に見える「法隆寺の疑問」について、少しだけご紹介しようと思います。   さて、西院伽藍に使われている部材ですが６５０年代から６９０年代に伐採された檜や杉であることが最近の研究によってわかっています（年輪年代測定法）。このことから、現在の法隆寺は７世紀後半から８世紀はじめに建てられたことが想像出来ます。しかし、問題は日本書紀の記述。「法隆寺（若草伽藍）が一舎も残さず焼失した」とされるのは天智９年（６７０年）です。と言うことは、若草伽藍が焼失する前から「（聖徳太子鎮魂のための）法隆寺再建」が計画されていたことになります。五重塔の心柱に至っては、伐採年は５９１年という結果が出ています。５９１年は崇峻天皇４年のこと。つまり、厩戸皇がまだ生きている時代です。法隆寺は「飛鳥時代の姿を今に伝える」と言われていますが、厩戸皇子没後１世紀近くたった時代に、なぜ「飛鳥時代の様式」で建てられているのでしょうか。「厩戸皇子ゆかりの寺だから」と思う方もいらっしゃるでしょう。私も長くそう考えていましたが、それでは説明のつかないことがあります。厩戸皇子が建てたとされる若草伽藍は、中門、塔、金堂、講堂が一直線に並ぶ「四天王寺様式」と呼ばれる伽藍配置。現在の法隆寺とは違っていました。そして建てられている場所も違い、方位も若草伽藍とは違っているのです。その他、ご本尊に関する謎や部材の謎など多々あるのですが今回は数ある法隆寺の謎の中から、ひとつだけご紹介しておきます。    上の画像は西院伽藍の回廊です。ギリシャ建築に見られる、エンタシスの柱で有名ですね。この美しい回廊を見て、何か違和感を感じませんか。     柱の下にある、礎石に注目してください。エンタシスの柱など、建物の造りに比べあまりにも粗雑なつくりだと思いませんか？   金堂には上の画像のような木彫りの装飾も付けられています。五重塔は上の層に行くにしたがって屋根が小さくなっており、均整がとれた姿。エンタシスの柱も含め、法隆寺は建物自体も芸術品と言っても過言ではないと思います。しかもこれだけの規模のお寺ですので、法隆寺再建は国家的プロジェクトでもあったはずです。   お寺には神社ほどには行かないので、画像のストックがあまりありません。しかも「その部分」の作製時代を確認したわけでもないのであくまでも「参考」程度でご覧ください。上の画像は、飛鳥資料館の500ｍほど東にある山田寺跡。一部複製品がありますが、この礎石は蓮弁付き。山田寺の創建は現在の法隆寺と同じ頃だと言われています。  こちらは東大寺。東大寺のどの部分を撮ったのか覚えていませんが東大寺です m(_ _ )m東大寺は８世紀後半に出来た寺ですし現在の大仏殿は１８世紀はじめに再建されたもの。しかも現在の大仏殿は、創建当初よりもひとまわり小さいのでこの礎石も江戸時代のものかも知れません。参考にしていただきたいのは、このように石の形が整えられていない礎石でも表面はきれいに加工されているということです。そこで再度、法隆寺回廊の礎石の画像をご覧ください。荒削りな加工ですし、高さもまちまちであることにお気づきでしょう。金堂内は撮影禁止なので画像はありませんし、今回チェックするのを失念しましたが以前、ＮＨＫの番組で「金堂に相応しくない礎石」だと紹介されていました。   こちらは法隆寺・中門の礎石のひとつ。比較的「マシ」な礎石と言えますが、それでも荒削りな感じがします。しかしこれらは、若草伽藍の礎石を転用したという可能性もあります。 今回は書けませんが、法隆寺には様々な謎が見つかっています。よく言われている「法隆寺の七不思議」といったものではなく昭和資材帳編纂にともなう調査で明らかになったものです。例えば転用材を使っていたり、見えない箇所には、木材の通常は使用しない部分まで使用した例など。それらのことから前述のＮＨＫの番組では、「法隆寺は何らかの理由で、たいへん急いで建てられた可能性がある」と解説されていました。その理由として考えられるのは、例えば「怨霊対策」です。ある年に起こった天変地異や疫病などが、「厩戸皇子の祟りだ」と判断されたとしたらその怨霊封じ、御霊鎮めのために法隆寺再建の命が下ったかも知れません。しかし、そう考えるにはちょっと不自然な点もあります。私たちが知っている歴史から考えれば「怨霊」となるのは厩戸皇子ではなくて、子の山背大兄皇子とその一族のはず。そして急いで建てたにしては、上記の装飾木彫りやエンタシスの柱など精工で凝った部分の説明がつきません。    仮に「法隆寺は移築された寺」と考えると優美な建物に対して粗雑な礎石の説明もつくような気がするのですが･･･。もちろん、なぜ厩戸皇子ゆかりの地に移築されたのかそして移築された寺とは一体どういう寺なのかその謎はおいおい考えてゆくことにします。みなさんも法隆寺に行かれたら、ちょっとそんなことも考えながら細かい部分にも注目していただけたらと思います。.

  2010.09.05

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  法隆寺の謎　その１

   法隆寺。日本における世界遺産登録第一号。現存する世界最古の木造建築物。日本で最も有名なお寺のひとつです。    私が小学生の頃、初めてこの法隆寺が教科書に出てきたとき確か、次のようなことが書かれてあったと思います。「飛鳥時代、聖徳太子が建立した寺」現在でも、小学生レベルではそれで正解かも知れません。しかし日本書紀に「一舎も残さず焼けた」という記述があり（天智9年）境内に焼け焦げた寺の遺構が発見されているため法隆寺は７世紀後半以降の早い時期に再建されたというのが、現在の定説のようです。    こちらは境内で最も新しいお堂、大宝蔵院・百済観音堂。このお堂に安置された百済観音像は、数ある法隆寺の仏像の中でも金堂の御本尊・釈迦三尊像、夢殿の救世観音像とならんで最も重要な仏像でしょう。画像でご紹介できないのが残念なくらい、ため息が出るほどの美しさです。    こちらは私のお気に入りの木。境内で最も気が高い場所だと思うのですが、炎天下ではそういう雰囲気ではないですね。  東大門から西院伽藍側東大門から東院伽藍側東院伽藍・夢殿 現在の法隆寺は、金堂・五重塔などを中心とする西院伽藍と夢殿を中心とする東院伽藍からなります。この夢殿は別として、金堂などの西院伽藍、果たして聖徳太子が建てた寺（以後、若草伽藍）の再建と言えるのでしょうか？梅原猛氏の「隠された十字架」という著書で話題になりましたが、「法隆寺は聖徳太子の怨霊を鎮めるために建てられた」とする説があります。古代の浪漫に魅せられておよそ３０年になります。きっかけは「日出処の天子」という漫画でした。つまり厩戸皇子（聖徳太子）から古代史に入ったので「歴史上の人物で誰が好きか」と聞かれたら迷わず「厩戸皇子」と答えるでしょう。従って厩戸皇子は、後に聖徳太子と呼び称される聖人であり日本書紀の記述通りの政治家だったと思いたいです。「法隆寺が厩戸皇子の鎮魂の寺」という説も、実はあまり受け入れたくないほどです。しかし法隆寺に行けば行くほど、歴史を学べば学ぶほど私の厩戸皇子像が変化し法隆寺への疑問がどんどん増して行きました。ごく最近まで、「法隆寺は厩戸皇子の怨霊封じの寺」と（渋々）考えていましたが現在は別の考えを持っています。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　つづく

  2010.09.05

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  吉志部神社本殿再建

  吉志部神社（きしべじんじゃ）大阪府吹田市岸部北４　 ■御祭神　　天照大神　豊受大神　（中央座）　　　　　　　八幡大菩薩　祇園牛頭天王　稲荷大名神　（左座）　　　　　　　春日大明神　住吉大明神　恵比須三郎　（右座） 2008年5月23日、放火と思われる火災により国の重要文化財だった吉志部神社本殿は全焼し、拝殿と社務所の一部も焼けました。当時の宮司・奥田富夫さんは火災当日、神社からの帰り道で一度涙を流しただけで、復興に向けて邁進していたそうです。境内にある御由緒には次のように書かれてあります。「（吉志部）神社は創建以来たびたび兵火に遭い　特に応仁の乱では社殿がことごとく焼失するなどしましたがその都度再建されたといいます」その伝統からでしょうか、宮司は火災の２日後に氏子総代会を開き早々と再建を決議したそうです。   現在、本殿の再建が進んでいます。大阪府では唯一の「七間社流れ造り」という珍しい本殿で重要文化財に指定されていましたが設計図などは残っていなかったとか。しかし奥田宮司は、桜井敏雄近大元教授のことを思い出しました。桜井元教授（建築史）は、２０年ほど前に学生と吉志部神社を調査し写真を撮ったり、寸法を測ったりしていたのだそうです。   宮司から依頼を受けた桜井元教授は半年かけた調査のあと「９７％は元通りになる」と話したそうです。その間、前宮司・現宮司の努力をはじめ、氏子やご近所の方々さらに吉志部神社に参拝したことのある人など、多くの人たちの善意が寄せられました。そして再建の資金のめどがつき、今年１月９日に地鎮祭が行われました。しかしその３日後、闘病生活が続いていた奥田富夫宮司は亡くなりました。  　　 本殿復興工事、監修は前述の桜井博士。施主は故・奥田富夫前宮司の名前になっています。そして施行が金剛組というところに、神社復興の本気度を感じます。金剛組というのは聖徳太子が四天王寺建立のために招いた宮大工、金剛重光が578年に創業した世界最古の建築会社です。こういった事件のあとの再建ですから、　火災に強い鉄筋コンクリート製で再建したいという意見もあったと思います。しかし前宮司は、既述のように「元通りにする」ことにこだわったのでしょう。２０年前の本殿を調査した博士が監修し、宮大工集団とも言える金剛組の施行なら七間社、檜皮葺屋根の本殿が再建されることでしょう。 本殿焼失はたいへん残念なことですが、完成すれば地域の誇りになることでしょう。完成予定は、来年の３月だそうです。 吉志部神社（焼失前）吉志部神社（2009年3月）  .

  2010.08.14

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  淡嶋神社

  和歌山市加太　 ■御祭神　　少彦名命（すくなひこなのみこと）　　　　　　　 大己貴命（おほなむじのみこと）　　　　　　　 息長足姫命（おきながたらしひめのみこと・神功皇后） 社伝によれば、友ケ島にあった少彦名命・大己貴命を祀る祠を仁徳天皇が現在の地、加太（かだ）に遷して社殿を建てたと伝えられています。ただし、淡嶋神社の御祭神については諸説あるようです。    古事記にある伊耶那岐命と伊耶那美命の国生み神話の最初の部分。 「・・・最初にお生みになった子は蛭子（不具の子）であった。この子は葦の舟に入れて流してしまった。次に淡嶋を生んだ。この子も（国生みの）数に入れなかった」 この「淡嶋」は友ケ島のことであるという説があるそうです。ここの神社名が「淡嶋神社」である由縁というわけでしょうか。最初の子「蛭子」は摂津に流れ着き、現在の西宮神社に蛭兒（えびす）大神として祀られたと言われています。以前「淡嶋＝友ケ島」ということをどこかで読んだせいか、私はずっと、この淡嶋神社には伊耶那岐命と伊耶那美命の２番目の子である淡嶋が祀られているのだと思い込んでいました。なのでこの神社に参拝し、御祭神を見て少々驚いてしまいました。  それ以上に驚いたのが、社殿周辺を埋め尽くした人形です。     「埋め尽くす」と書きましたが、よく見るとそれらは整理・区分けされて並べられていました。日本人形、博多人形、招き猫、干支の人形等々。淡嶋神社は、人形供養の神社として有名なのだそうです。その数たるや、カメラを向けていいものかどうか躊躇するほどの迫力。髪の毛が伸びる人形もあると言われ、珍スポット、心霊スポットとして取上げられたこともあるようです。 毎年３月３日には雛祭（雛流し）が行われます。淡嶋神社は雛祭り発祥の地とも言われるそうです。神社では「３月３日は神社が加太に遷された日」とし男雛・女雛の始まりは「少彦名命と神功皇后の男女一対のご神像である」と称しています。また、雛祭りの「ひな」は「スクナヒコナ（少彦名命）」が語源とも。   針　塚 もうひとつ、淡嶋神社で有名な行事が「針供養（針祭）」です。これは少彦名命が、裁縫を伝えた神だという伝承によるものだそうです。   ３月３日の雛流しは、御祭神の少彦名命と神功皇后を友ケ島から加太に遷したことを再現する神事なのでしょうがだったら「大己貴命はどうしたんだ？」とツッコミたくなります。自分の思い込みに執着して、いささか往生際が悪い感もありますがやっぱり「蛭子」や「淡嶋」を流した神話を連想してしまいます。葦の舟で流された蛭子は、人々に富と繁栄をもたらす「えびす様」となりました。古事記も日本書紀の記述でも、淡嶋は「流された」ではなく「ものの数に入れなかった」という表現で記されています。しかしその内容から淡嶋も、蛭子同様に葦の舟で流されたと想像できます。伊耶那岐命と伊耶那美命の、ある意味不運な子淡嶋もどこかでちゃんと祀られていて欲しいと思うのです。   .

  2010.08.01

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  大将軍神社（西賀茂）

  京都市北区西賀茂角社町 　 ■御祭神　　磐長姫命　他 社伝によると、創建は推古１７年。瓦窯で働いていた人々の瓦屋寺の鎮守様として建立されたとのこと。その後、桓武天皇によって王城鎮護のための北方の大将軍とされたと伝えられているのだとか。    鎮座地は賀茂別雷神社（上賀茂神社）の西。周辺は田畑も残っている、静かな住宅地です。こんもりと繁った森の中にある、小さな神社ですが本殿の前には、上賀茂神社のそれと変らないほど大きな一対の立砂がありました。北方守護の大将軍神社としては、今宮神社境内の疫神社や紫野大将軍社とする説もあります。    今宮神社 参考：　2009.4.25　「平安京守護　～ 王城鎮護 ～」　　　　　2009.4.24　「平安京守護　～ 鬼　門 ～」　　　　　2009.4.27　「平安京守護　～ 岩　倉 ～」   .

  2010.07.19

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  鷺森神社

  さぎのもりじんじゃ京都市左京区修学院宮ノ脇町　 ■御祭神　　素盞嗚尊元々は赤山禅院の側にあったが、修学院離宮建設や応仁の乱を経て現在地に遷座したのだそうです。神社名の由来は、神の使いと言われる鷺がこの地にいたからだとか。市街地から離れているせいか、他の京都市内にある神社とは少し違った雰囲気が漂っていました。    「違った雰囲気」というのは、このせいかなと思いました。京都で「素盞嗚尊」と言えば、八坂神社。しかし「八坂」「弥栄」と表記される神社は、元々は牛頭天王を祀っていた神社です。牛頭天王とは、祇園精舎の守護神と言われる仏教の神。神仏習合の時代には素盞嗚尊と同一の神とされました。しかし本来の素盞嗚尊は出雲で八岐大蛇（ﾔﾏﾀﾉｵﾛﾁ）を退治した須佐之男命などと表記される天照大神の弟神。この「八重垣」を見た時、京都では珍しく出雲の須佐之男命を祀っているのかと思ったのです。しかしこの神社、昔は「修学寺の天王」と呼ばれていたということなのでやはり御祭神は牛頭天王の方だと思われます。    鎮座地は比叡山の麓。なんだか寒々とした画像ですが、じつは参拝したのは今年の２月７日。朝一番に訪問した赤山禅院には、雪も残っていたような日だったのです。前述のように、元々は赤山禅院のそばにあった神社だそうですが現在の鎮座地は、曼殊院門跡の近くになります。鷺森神社参拝時には、是非そちらにも行かれることをお勧めします。    曼殊院も確かにすばらしいのですが、お勧めする理由はこの参道。鷺森神社から曼殊院に向かう方向にある参道がすばらしいのです。私は曼殊院門跡参詣のあと、もう一度この参道を通って鷺森神社経由で帰ったほど。ちなみに手前に見える小さな石橋は「御幸橋」と名付けられた橋。元々は修学院離宮正面入口の音羽川に架けられていた石橋で昭和４２年の本殿改築時に下賜されたものだそうです。    緑濃い今頃の季節なら、もっとすばらしい光景だったかも知れません。神社の西、修学院駅側から長い参道を歩いたあとでしたし珍しくお寺（曼殊院）に行こうと考えなければ見逃していたかも知れません。    京都市内の神社は知り尽くしていたつもりでしたが、やはり古都は奥が深いとあらためて思いました。･･･と、何度も同じ様なことを書いたような気がします。   .   

  2010.07.10

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  つきよみのみや　その２

  皇大神宮別宮・月讀宮　伊勢市中村町　 月讀宮には４つの別宮が並んで建っています。それぞれ東から順に 月讀荒御魂宮(つきよみのあらみたまのみや)■御祭神　　月讀尊荒御魂 月讀宮(つきよみのみや)■御祭神　　月讀尊 伊佐奈岐宮(いざなぎのみや)■御祭神　　伊弉諾尊(いざなぎのみこと) 伊佐奈弥宮(いざなみのみや)■御祭神　　伊弉冉尊(いざなみのみこと) 月讀宮→月讀荒御魂宮→伊佐奈岐宮→伊佐奈弥宮上記の順に参拝するのが一般的なのだそうです。 月讀宮が現在のように４宮それぞれ瑞垣を持つ形になったのは明治になってから。創建当初は一囲いの瑞垣内に４社が祀られていたそうです。平安時代の「延喜式神名帳」には「月讀宮二座」「伊佐奈岐宮二座」と記され伊佐奈岐宮・伊佐奈弥宮月讀宮・月讀荒御魂宮という組み合わせで分かれていたようです。    画像は手前から伊佐奈岐宮、月讀宮、月讀荒御魂宮。私のカメラでは４宮全てを収めることが出来ませんでしたので。ちょっと見にくいかも知れませんが、屋根に注目してください。月讀宮が他よりも少し大きいのがわかるでしょうか。月讀宮は内宮別宮の中では内宮宮域内の荒祭宮に次ぐ順位で、宮域外の別宮としては最高位の別宮。前述のように、月讀尊を御祭神とする別宮は外宮にもあります。外宮の方の別宮は「月夜見宮」です。天照大神の弟神ということで重要視されているのでしょう。天照大神、月讀尊、素盞嗚尊（三貴神）は、イザナギが生んだ最後の神々。不思議なのは神宮のどこにも素盞嗚尊の影が見当たらないこと。古事記では天照大神の弟ということになっていますが素盞嗚尊は出雲の神なのかも知れません。  伊佐奈弥宮（奥）と伊佐奈岐宮（手前）別宮の中で宮域に複数の別宮があるのは、ここと瀧原宮だけです。ところでタイトルの「つきよみのみや　その２」ですが、「その２」ということは、「その１」があるのですが「その１」を書いたのは昨年１０月２１日でした（笑）    昨年９月に御正宮と全ての別宮、そして所管社など３０社くらい参拝しました。それらを全てUPするつもりで張り切っていたのですが、途中で尻切れトンボになってしまいました。  .

  2010.07.04

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  伊雑宮

  伊雑宮（いざわのみや）三重県志摩市磯部町上之郷  ■御祭神　　天照坐皇大御神御魂（あまてらしますすめおおみかみのみたま）　 内宮の別宮のひとつですが、神宮の元宮あるいは元伊勢とする説もあるとか。志摩国一宮と称せられ、「磯部の大神宮さん」とも呼ばれるそうです。ここのことを知らない人は伊雑宮を「いざわのみや」とは読めません。私は昔、荒祭宮（あらまつりのみや）を「こうさいぐう」と読んで笑われたことがありますが伊雑宮はそのまま「いぞうぐう」とも呼び称されているようです。   　 参拝したのは昨年の９月。強烈な陽射しのため思うような写真が撮れず、なかなかUPする気になれなかったのです。御贄地にふさわしい土地であるとして、倭姫命がここに宮を建てたと伝えられています。神宮外で天照大神を祀る神社ということで瀧原宮と並んで「天照大神の遙宮（とおのみや）」と言われています。別宮では荒祭宮、月讀宮、瀧原宮に次ぐ社格を誇り神宮では唯一「御神田(おみた)」を持つ神社。伊雑宮の御田植式（おたうえしき）は日本三大御田植祭として有名。（他のふたつは香取神宮、住吉大社の御田植祭）    宮地はさほど広くはありませんが、天に向かって湧上がるような御神気漂う境内です。近鉄・上之郷駅から歩いて５分ほどの場所ですが、電車を利用される場合は本数が少ないので、帰りの電車の時刻表を確かめて参拝することをお勧めします。    私はいつも、ここから神宮参拝をスタートします。伊勢市駅で下車せず、そのまま上之郷まで行くのです。少し足を伸してでも、参拝する価値は充分あります。伊勢に行くときは、伊雑宮と瀧原宮は外したくないと思います。    毎年伊勢に行っていますが、今年はまだ機会がありません。このブログを書きながら、行きたくてたまらなくなってきました。伊雑宮には佐美長神社などの境外所管社があります。次回はそれらも参拝したいと思います。     .

  2010.06.27

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  安倍晴明神社

  大阪市阿倍野区阿倍野元町5-16 安倍晴明神社公式HP ■御祭神　　安倍晴明 あべの筋沿いにある阿倍王子神社の摂社です。阿倍王子神社の境内を抜けて裏通りに出て、その道を少し北に上がった所にあります。神社巡りを始めた頃から、何かと晴明さまにご縁があります。    安倍晴明公を祀る神社と言えば、最も有名なのは京都堀川通の晴明神社。今まで訪問したのはこれら２社のほかに福井県敦賀市にある晴明神社、同じく福井県・名田庄の晴明公子孫の墓所。それと京都は嵐山、渡月橋の近くにある晴明公の墓所。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　晴明神社    狭い境内に、晴明生誕の地碑や晴明公産湯井の跡、晴明像などが並んでいます。最近、京都の晴明神社にも晴明像が出来ました。あちらは坐像です。晴明像の隣で飛んでいるように見える狐が見えるでしょうか。これは葛の葉という霊狐で、晴明公の母。晴明公の母は信太の森の葛の葉という狐だったという伝説があります。   泰名稲荷神社阿倍王子神社  晴明公ゆかりの地には、たいがい稲荷社があります。安倍晴明神社は、裏通りの静かな住宅街にある小さな神社です。宮司も阿倍王子神社の宮司が兼務しているそうです。ちょっぴり大阪らしい「コテコテ感」もありますが、参拝者が途切れることがなく、地元の崇敬篤い神社だと思いました。  本　殿 陰陽師として名高い安倍晴明。陰陽師は昔の科学者でもありましたが、呪術や祭事なども司っていました。晴明公の霊力は、母である葛の葉から授かったという伝説もあります。伝説によれば、晴明公が５歳のとき葛の葉は正体がばれ、次の一首を残し信太の森へ帰ってしまったとか。 恋しくば尋ね来て見よ 和泉なる信太の森のうらみ葛の葉    信太森神社 葛の葉ゆかりの信太森葛葉稲荷神社（しのだもりくずのはいなりじんじゃ）。大阪府南部、和泉市、JR北信太駅の近くにあります。※携帯電話カメラでの画像     .

  2010.06.20

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  上新田天神社

   ここは千里中央駅のすぐ南。付近には中国道、中央環状と新御堂筋が交差する千里ＩＣがあり高層ビルやマンション、住宅がひしめく地域ですが取り残されたように竹林が広がる場所があります。    現在の豊中市・吹田市・茨木市・箕面市にまたがる高台は千里丘陵と呼ばれ、昔は竹林が広がっていたそうです。高台と言っても標高は５０～１５０ｍ程度なのだそうですが古代には現在の大阪平野のほとんどが海で吹田市あたりまで大阪湾や河内湖だったとのこと。私が住んでいる辺りにも、豊津、高浜といった地名が残っていますが古代は港だったことの名残なのだそうです。現在は千里ニュータウンとして開発が進み、千里が竹林が広がる丘陵地帯であったとは信じがたい気がします。しかし吹田市北部から千里中央辺りを歩いたり、自転車で移動してみるとどの道もうんざりするほどアップダウンの連続であることがわかります。高度成長時代から現在もなお開発が進む千里ですが、昔の面影を今なお残す場所が僅かではありますが残っています。植栽による完全な人工の公園だと思っていた服部緑地も、実は昔の竹林を残す場所なのだそうです。（そう言えば昔、義父が服部緑地に筍を掘りに行ってました）また、阪急南千里駅から北千里駅あたりにある公園でも竹林が残っています。そして吹田市中部でも、こまめに歩いてみると小さな竹林が残る場所があります。    ここを歩いていると、たった今　自分が、高層ビルやショッピングセンターが建ち並ぶ千里中央駅にいて中央環状や中国縦貫道を見下ろしていたことが信じられない気分になります。    上新田天神社大阪府豊中市上新田 上新田天神社公式HP■御祭神　　菅原道真創建はこの地域の開拓が始まった17世紀終盤と伝えられています。さすがにこの時代の創建だと、菅原道真ゆかりの社伝はありません。天神社、天満宮と名の付く神社に行くと多くの神社で社伝として語られるのが道真公との関係。だいたいは「菅原道真公が太宰府におもむく途中に立ち寄った場所」といった由縁です。 ニュータウンにあっては、貴重な神社。大阪モノレールの千里中央駅に行けば、上新田天神社まで迷うことはないでしょう。要所要所に、実に丁寧に案内板が立っています。.

  2010.06.13

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  御霊神社

  御霊神社（ごりょう）京都市上京区上御霊前通烏丸東入上御霊堅町　 ■御祭神　　崇道天皇（早良親王・桓武天皇の同母弟）　　　　　　　井上大皇后　　　　　　　吉備真備　　　他　神社の説明によれば、最初は付近住民の氏寺・上出雲寺があった場所に桓武天皇の勅願によって、王城守護の神として奈良時代・平安時代初期に不運のうちに亡くなった八柱の神霊を祀ったのが始まりだとか。のちに明治天皇の御願により五柱の神霊が増祀されたそうです。現在は御所の南東に遷座された下御霊神社に対し、上御霊神社とも呼ばれています。   　「王城守護」とは聞こえはいいですが、要するに失意のうちにこの世を去った人の怨霊の祟りを畏れた御霊鎮めの神社。境内は御霊の森と呼ばれ、応仁元年（1467）畠山政長が陣を敷いたそうです。そして畠山義就と戦いを交えたのが応仁の乱の発端となりました。王城守護の神社の鎮座地が、結局は平安京を衰退させ武士の世の中へと移行するきっかけの地となったことは、なんとも皮肉な話です。八柱の御祭神は諸説あるようですが、解せないのは吉備真備。    上の画像は東門ですが、御霊神社にはもうひとつ立派な門があります。南門は四脚門と呼ばれ伏見城の四脚門を移築されたものと伝えられています。（写真を撮りそびれました）   初の参拝ではありませんが、過去の参拝はあまり印象に残っていませんでした。今回は「こんなにいい神社だったのか･･･」と驚きました。初夏を思わせる陽射しと元気一杯の新緑の緑。しかし今回の印象は、神社や季節によるものではなく私自身の内面の問題なのかも知れません。と言うのも、今回は吉備真備公にお会いしたくての参拝だったのです。    吉備真備がここに祀られていることは、少なからず意外な感があります。過去の参拝でも、ちゃんと御由緒は見ていますし吉備真備が祀られていることは知っていたはずなのですが、印象に残っていません。怨霊を鎮める御霊神社の御祭神として、そぐわない感じがするのです。吉備真備は二度にわたり、遣唐使として諸学を究めその優秀さから唐史にもその名が残っているほどの人物。下級役人から学者として実力を発揮し、従二位・右大臣にまで上り詰めたのです。その経歴は怨霊として平安貴族たちから畏れられた菅原道真に重なります。しかし吉備真備は憤死ではなく天寿を全うしたと伝えられ怨霊として畏れられる理由が見当たりません。   稲荷社 吉備真備は諸学のうちでもとりわけ天文学に秀で新しい暦を整備したことで知られています。また、安倍晴明に通じる陰陽師の祖とも言われています。私の勝手な空想なのですが、吉備真備はひょっとしたら、他の神々を鎮める神霊または監視役の神霊として祀られているのかも知れないと思いました。私が知る限り他の神社にはそのような例は見当たりませんが、強いて言えば出雲大社の御客座五神がそういう存在かも知れません。    都会の中の神社ですので、「深い鎮守の森」とまでは言えませんが緑の中でとりわけ威光を放っていたのは神明社。そして稲荷社は近寄りがたい雰囲気すら醸し出していました。　   　 境内にはちょっと不思議な建物があります。前回の参拝までは、高床式倉庫の一種だろうと思っていました。しかしよく見ると、倉庫にしては柱が細く鼠返しのようなものも見当たりません。今回はこの建物の下に入って確認してみました。   なんとそこに見えたのは、たくさんの絵馬。床どころか天井もなく、頭上にあるのは屋根。実はここ、「絵馬所」なのだそうです。皆川淇園（みながわきえん）・小林雪山等著名画師の作品もあるそうなのですがもちろん私にはわかりませんでした。     .

  2010.06.06

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  大和国四所水分・惣社水分神社

  惣社水分神社（そうしゃみくまり）奈良県宇陀市菟田野区上芳野  ■御祭神　　天水分神 　　国水分神 　　速秋津比古命 　　　　　　　　天之児屋根命 　譽田別命　　他 大和国四所水分（やまとこくよんしょみくまり）は大和の東西南北に配された水を司る神社。 ・東　　宇太水分神社（うだみくまりじんじゃ）・西　　葛城水分神社（かつらぎみくまりじんじゃ）・南　　吉野水分神社（よしのみくまりじんじゃ）・北　　都祁水分神社（つげみくまりじんじゃ）数字でくくられると制覇したくなるタチで、一昨年トライしましたがリサーチ不足という大チョンボで、この神社の参拝を失念しておりました。    芳野川（ほうのがわ）の上流沿い、のどかな山間の地に鎮座。惣社水分神社は、宇陀水分三社の１社と称しすなわち榛原区下井足にある宇陀水分神社を下社菟田野区古市場にある宇陀水分神社を中社ここ惣社水分神社を上社とするもの。     水の神を祀る神社なので、ここの「水」に少し期待していたのですがこの日は手水舎の水も止まっていて、水盤は空。手水は水道水なのかも知れません。     毎年１０月に行われる「御渡」という神事では重要文化財に指定されている、南北朝時代作と言われる鳳輦神輿が見られるそうです。この御渡という神事は、惣社水分神社の女神が鳳輦神輿に乗って古市場にある宇陀水分神社（中社）にお渡りになるというもの。 同じく水の神を祀る重要な神社に、丹生川上神社があります。平安時代には二十二社に列せられたほどの神社ですが律令制の衰退とともにその所在が不明となり現在では川上村の上社、東吉野村の中社、下市町の下社の３社が丹生川上神社を名乗っています。宇陀水分神社も、おそらくは元々は１社だったのでしょうがどのようないきさつで現在の形になったのでしょうか。とは言え、私のようなお気楽な神社好きにとってはどこが本物だとか、社格がどうとかは関係ありません。丹生川上３社も宇陀水分３社も、いずれもすばらしい神社です。   宇陀水分神社（中社）本殿   .

  2010.05.16

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  三千院

  魚山三千院京都市左京区大原来迎院町三千院公式HP天台宗 ■御本尊　　薬師如来 開祖は最澄。天台宗の寺院で、三千院門跡とも。山号は、魚山（ぎょざん）。三千院は8世紀、最澄の時代に比叡山に建立された円融房が起源。幾度かの移転の後、1871年（明治4年）に現在地に移ったものだそうです。   三千院の周囲を流れているのが、この呂川と律川。三千院は声明（しょうみょう）発祥の地と言われています。呂と律は雅楽の旋法だそうです。調子はずれの「呂律（ろれつ）が回らない」という言葉もここから来ているそうです。   拝観は午前８時３０分から。GWということもあってか、時間前から拝観が始まっていました。いつもは人を見に行くような感じでしたが、午前８時半頃ならばGWと言えどもゆったりと散策が出来ます。京都市内とは言え、中心部からかなり離れているわりには同時間帯の八坂神社や清水寺に匹敵するほどの参詣者数でした。   拝観は堂内から始まります。京都の寺院ではよく見られる方法ですがスタートは宸殿で、境内を回るのではなく建物内を観て回ります。   宸殿内と庭園を堪能したあと、再び靴を履いて境内を回ります。春の柔らかな陽射しと、鳥のさえずり。目を閉じると、呂川のせせらぎと庭園内にある細波の滝の水音。団体客のいない時間帯だと、三千院の真髄を堪能出来ました。   阿弥陀三尊がおわします往生極楽院。簡素な造りが歴史を越えた感動を呼びます。平安の貴族たちは、どのような思いでここを巡ったのでしょうか。    庭園内を埋め尽くす苔と、紅葉（もみじ）の新緑。私はモミジの新緑が好きなのですが、紅葉（こうよう）の季節にも訪れてみたいと思いました。    「京都　大原　三千院。恋に疲れた女がひとり･･･」ここに来ると、多くの人が口ずさむ歌ですがこの日はそれらしき女性の姿はありませんでした。さすがに境内でこの曲が流れることはありませんが、唄っている人はけっこういたと思います。    傷心一人旅とは全く正反対のお気楽夫婦の私たち。「恋に疲れた」心境とはほど遠くそれでも「きょうとぉ～、おーはら･･･」などと口ずさみながらの参詣。   妙音福寿弁財天 境内に鎮座する「妙音福寿弁財天」さま。「傷心」「懺悔」「懐古」などとは無縁とうそぶく私たちです。しかし実を言えば、「福」「勝運」「開運」となると目の色が変りとりわけ「水」とのご縁を意識する私は弁財天さまの僕を自称します。    朝一番に来たおかげで、普段は味わえない三千院を満喫することが出来ました。山門を出る頃には参詣者の数も増えてきました。寂光院への参詣は次の機会ということで、冷たいと以前から目をつけていた洋食屋を目指して新京極へと向かいました。   境内に咲く八重桜     . 

  2010.05.03

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  音羽山清水寺

  京都市東山区清水西国三十三箇所観音霊場第16番札所神仏霊場巡拝の道１１７番・京都３７番世界遺産 ■御本尊　　十一面千手観音 開創は奈良時代の終り頃。「木津川の北流に清泉を求めてゆけ」との霊夢をうけた延鎮上人が音羽山麓の滝のほとりに草庵を建てたのが始まり。その後坂上田村麻呂公が仏殿を寄進し、ご本尊に十一面千手観音を安置。「清水寺」という寺名の由縁は金色水、延命水と呼ばれるこの音羽の滝の水。今でも境内に落ちる滝の水を求めて、大勢の参詣者が列を成しています。   清水寺は日本人なら知らない人はいないくらい有名で嵐山と並んで京都観光の代名詞ともなっています。子供の頃から神社・仏閣が大好きでしたが特にこの清水寺にはあこがれていました。小学校３～４年の頃だと記憶していますが、叔母からいただいた「清水寺」のプラモデルを作ったことがそんな憧れの原因だったかも知れません。その２～３年後、修学旅行で初めて清水寺を訪れた時は感動ものでした。今から思えば、私はヘンなガキだったとつくづく思うのであります。    年間の参詣者数は、なんと５００万人超だとか。観光シーズンのピーク時には、１日の拝観者数が５万人に達するそうです。いつ行っても境内はごった返しています。ごった返しているのは境内だけではありません。京都駅前の清水寺方面行きのバス乗り場から既に混雑が始まっている状態。しかし早朝に行けば、三年坂もご覧の通り。参詣者は少ないとは言え、そこはさすがの清水寺。外国人を含め、けっこう早朝から多くの人が訪れていますし参道には開店しているお店もありました。   拝観時間は午前６時から。写真歴５０年の父の口癖 「早朝は色温度が高い」 の言葉通り早朝の清水も、なかなか色鮮やかな印象。しかし朝陽が当たる部分と影の部分の明暗の差が激しいので見たままの光景をカメラに収めるのは困難でした。   午前９時頃までは参詣者の数も少なく、条件によっては国宝であり、世界遺産でもある本堂を独り占め出来るかも知れません。京都一の観光スポットとは言え、この時間だとゆっくりと散策を楽しめます。この日清水寺境内に入ったのは、午前８時前後だったでしょうか。四条河原町から八坂神社、三年坂と歩いて清水寺に入ったのですが混雑のない京都散歩は、なかなか新鮮で心地よかったです。    境内にある「縁結びの神様」として有名な地主神社も「こんな神社だったのか」と今さらながら思ったほど新鮮でした。これからの季節なら、もっと早い時間でもいいかも知れません。四条に着いた頃は、まだまだ肌寒くジャケットを着てこなかったことを後悔したくらいですが清水寺を後にする頃にはうっすらと汗ばむ陽気となりました。    境内ではいたるところで新緑の息吹きが。モミジは紅葉の代名詞ではありますが、私はモミジの新緑を好みます。     境内の桜は終わってしまったようですが、数本の八重桜が、緑萌える季節への繋ぎ役を務めているようでした。人が少ない京都･･･なかなか新鮮で素晴らしかったです。ここ清水寺では８時前後、八坂神社なら９時くらいまでは落ち着いた参拝、散策を楽しめるようです。     .      

  2010.04.27

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  太郎坊宮

  滋賀県東近江市小脇町　太郎坊宮（たろうぼうのみや）阿賀神社（あがじんじゃ）太郎坊宮公式HP ■御祭神　　正哉吾勝勝速日天忍穂耳尊　　　　　　まさかあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと正式名は阿賀神社といいます。上には「たろうぼうのみや」とルビを振りましたが、最寄の近江鉄道の駅名は「たろうぼうぐうまえ」となっています。太郎坊というのは神社を守護している天狗の名前で、一説には牛若丸に剣術を教えたという鞍馬天狗（次郎坊）の兄とも言われます。御祭神は天照大神の第一御子神で、素盞嗚命との 天安河の誓約で天照大神の勾玉から誕生した神。御祭神名の「正哉吾勝勝速日」は「まさに吾勝てり。勝つことの速さ日が昇るがごとし」といった意味でしょうか。 《天安河の誓約（要約）》素盞嗚命の剣からは三柱の女神（宗像三女神）が生まれ天照大神の勾玉からは五柱の男神（ 当御祭神ほか）が生まれた。素盞嗚命の物から心優しい女神が生まれたので、「私に邪心のないことが証明された。私の勝ちである」と素盞嗚命は宣言した。 この御祭神は、勝運の神として信仰されています。ただし上記のように神話によれば勝ったのは素盞嗚命であり、この御祭神は負けた天照大神から生まれた神なのですが･･･。    近江八幡駅から近江鉄道に乗って約１０分、車窓から、聖地好きならわくわくしてくるような見事なお山が見えてきます。天狗さまが守護する山とあって、修験道も盛んになったそうです。太郎坊宮はこの山にあります。またこの山の山頂付近に岩肌が見えていますが、磐境（いわさか）信仰発祥の地とも言われています。この箕作山（みつくりやま）の中腹にある施設（参集殿）が少々お山の景観をスポイルしている感も否めませんが、祭事や参拝者の便宜のためには仕方ないことなのでしょう。それだけ多くの人々から信仰されているということも言えますね。    太郎坊宮前駅の一の鳥居から北にまっすぐ７～８００ｍ続く参道。途中には神田、お山に登れない人のための遙拝所などがあります。参拝日は２月１４日だったのですが、今頃の桜や緑の季節ならもっとよかったと思います。   周囲はのどかな田園地帯で、何もないのですが徐々に近づくみごとな神奈備の姿にぞくぞくしてきます。参集殿の下までは車で行くことも出来ます。   画像はお山の参道を見下ろしたもの。修験道の修行場となっただけあって、なかなかの参道です。この日も一般の参拝者に混じって、山伏装束の参拝者の姿も見受けられました。駅前や下の参道から眺めたお山がすばらしいということはお山からの眺望もすばらしいということ。    この山には天狗さまのご縁だけでなく鞍馬山を下りて奥羽へ向かう途中の義経（牛若丸）が立ち寄ったと言われています。    少々座り心地が悪そうな感じがしますが、本殿下には「源義経 腰掛岩」がありました。義経がここで修行したかどうかは判りませんが、天狗さまの言い伝え同様、鞍馬と関連した謂われかも知れません。    ここの見所は何と言ってもこの夫婦岩。あまりの大きさと迫力は、カメラに収めることが出来ません。この本殿前の夫婦岩は神の神通力により開かれたという言い伝えがあります。邪心ある者や、うそをついた人が通るとこの磐が閉じるとも言われているそうです。煩悩と邪心の固まりのような私には、恐怖の通路です。そうでなくても半端でない閉所恐怖症の私にとってはこの夫婦岩の通路は恐怖の１０数メートルでした。      .

  2010.04.20

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  平等院

  京都府宇治市平等院公式HP ■御本尊　　阿弥陀如来坐像御本尊は平安時代の代表的な仏師、定朝（じょうちょう）作。なで肩で女性的な優しい姿と伏し目がちの眼差し。定朝は以後の仏師に多大な影響を与えたと言われているそうですが定朝作の仏像は、現存するものとしてはこの阿弥陀如来坐像が唯一のものだそうです。金属製のように見えますが、檜の寄せ木造りだそうです。堂内で見上げると白毫（びゃくごう＝仏像の眉間にある）は黒く見えますが実は銀色の台にはめ込まれた水晶だそうです。少し離れたところから見ると、銀色に光っているのがわかります。   お堂の格子には丸い窓が開けられていて、阿字池の対岸から阿弥陀如来さまのお顔を拝することが出来ます。ここからでも白毫が銀色に光っているのが見えますね。   鳳凰堂は中堂・左右の翼廊・尾廊からなる特殊な形をした建物。その形が翼を広げた鳳凰を連想させ屋根の上には一対の鳳凰があることから「鳳凰堂」と呼ばれていますがそう呼ばれるようになったのは、実は江戸時代以降のことで元々は阿弥陀堂と呼ばれたそうです。平等院は藤原氏ゆかりの寺院として有名ですが、元は摂政・藤原道長の別荘だった「宇治殿」を、子の関白・藤原頼道が寺院に改めたもの。    現在、屋根の上にある鳳凰は複製品です。本物の国宝・鳳凰一対は、境内にある鳳翔館で見ることが出来ます。平等院ミュージアム鳳翔館ではこの他、中堂内の創建時の様子がCGによって再現された映像も見ることが出来ます。創建時の堂内は極彩色に彩られ、いかにも極楽浄土をイメージした感じです。鳳凰堂は１０円硬貨のデザインになっていますが、この鳳凰も１万円札の図柄に使用されています。１０円硬貨の方は馴染みがありますが、１万円札にはあまり縁がないためか私にはちょっとピンと来ませんが･･･。    鳳凰堂の前にある池の水際には平たい石が敷き詰められています。御所内の庭園でも見た覚えがあります。これは州浜（すはま）と言って、平安時代の庭園の特徴だとか･･･鳳凰堂内で解説を聞きましたがはっきりとは覚えていません。    清水寺ほどではないにしても、平等院はいつでも大勢の参詣者で賑わいます。人を排した写真を撮るために相当苦労したと思われるかも知れませんが早朝に行けば、こうした写真を撮ることもさほど困難ではないことがわかりました。平等院拝観は午前８時３０分からですが、鳳凰堂の拝観は９時３０分からなのです。        .

  2010.04.18

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  和歌浦天満宮

  和歌山市和歌浦西2  ■御祭神　菅原道真公各地の天満宮御由緒の例のご多分にに漏れず菅原道真公が太宰府へ行く途中に立ち寄った地とされています。    楼門、本殿などは江戸時代初頭の再建で、国の重要文化財。楼門への石段は、紀州東照宮の１０８段には及ばないもののなかなかハードな急斜面の石段です。この石段も職人の手によるものとは思われず、かなりおおざっぱな造りです。   楼門まで上ると、東照宮より眺望が開けています。ここも急斜面の石段とは別に、緩やかな上り坂もあります。境内は閑散としてはいましたが、受験シーズンには相当の参拝者数を誇るとか。    社殿も楼門も立派な造りです。太宰府天満宮、北野天満宮とともに「日本三菅廟」のひとつだそうです。特に楼門は一間楼門としては、日本最大級なのだとか。   奈良や京都の神社と違って、質実剛健といった感があるのはやはり武士の時代の神社だからでしょうか。この絵馬の数を見ても、参拝者の多さが感じられます。    本殿の右にあるのは筆塚。毎年８月に行われる筆供養祭では古い筆を奉納して筆を奉納し、書道の上達を祈るのだそうです。なかなかいい神社でした。   .

  2010.04.13

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  紀州東照宮

   和歌山市和歌浦西　■御祭神　　東照大神（徳川家康）　　　　　　　  南龍大神（徳川頼宣） 古都を好み、歴史も古代史オンリーの私は武士の時代に疎くまた、太閤さんの大阪に住む者としては「東照宮」はちょっぴり苦手でした。建築には詳しくありませんが、各地の寺社を廻っていて感じたのですが江戸時代に建てられた社殿やお堂は、どちらかと言えば好みではありませんでした。   境内に入る前、駐車場の係りの人がご年配の参拝者たちに杖を勧めていました。このすばらしい参道は、敷き詰められた石が少しデコボコしていました。杖はそのためなのかと思いましたが、そうではありません。    本殿に向かう石段は頼宣の命により、武士が一段ずつ積み上げたもので「侍坂」と呼ばれているそうです。石段の数は、煩悩の数と言われる１０８段。職人が造った階段でないためか、造りも荒く幅も一定ではありません。これならお年寄りに杖を勧めていたことも納得です。   この森には、たくさんのリスがいました。動きの速い黒っぽいリスで、タイワンリスという種類だそうです。爽やかな潮風と、このリスたちのおかげでこの石段はわりと苦もなく上ることが出来ました。    上りきった先では、和歌浦湾を見下ろすことが出来ます。ただし眺望ならば、近くにある和歌浦天満宮の方がオススメです。さて、たどり着いた社殿はなかなかのものでした。冒頭でご紹介したように、東照宮になじみの薄い私が今回ここの参拝をしようと思ったのは、「撮ってみたい」と思ったものがあるからでした。   日光東照宮ほどではないにしても、このきらびやかさ。神仏習合の時代の名残を感じさせる拝殿もたいへん豪華なものでした。社殿は私が勝手に抱いていた江戸建築のイメージを吹き飛ばすような端正で美しく、すばらしいものでした。これら唐門、本殿・拝殿などは国指定の重要文化財。社務所に申し込むと、拝殿や本殿を拝観することが出来ます。     残念ながら拝観中、この石段から先の社殿周辺は撮影禁止。社殿のきらびやかな部分をご紹介することは出来ません。社殿は拝殿・石の間・本殿という権現造り。周囲は名匠・左甚五郎作の欄間、一刀彫や狩野探幽作のふすま絵などで飾れれています。社殿は極彩色に彩られていて、とてもすばらしかったです。これらを案内役の巫女さんが、とても丁寧にわかりやすく説明してくれます。ただし舞台女優のセリフのような口調と声のハリに、少々気恥ずかしかったですが･･･。   稲荷社弁財天社 参道から本殿に上がる石段は、かなりの急勾配ですがそれとは別に、ゆるやかな坂道も造られています。 和歌浦周辺には玉津島神社など、由緒ある神社もありますが紀州東照宮が最も見応えがあると思います。江戸時代の神社、ちょっぴり見直しました。   .

  2010.04.11

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  比叡山延暦寺・東塔

  比叡山延暦寺・根本中堂 ■御本尊　　秘仏・薬師如来伝教大師最澄開山の延暦寺は、言わずと知れた高野山と並ぶ仏教聖地。平安京の鬼門を守護する延暦寺は、東塔・西塔・横川（よかわ）三塔の総称。東塔の根本中堂は、その延暦寺の総本堂です。   もう何度も参詣している延暦寺ですが、私は東塔しか回ったことがありません。高野山では大門から壇上伽藍、金剛峯寺、奥の院などほぼ全山回ります。しかし少々お下品な表現ではありますが比叡山ではこの根本中堂で「お腹一杯」になるのです。圧倒的な存在感ある外観と、荘厳な内部。「不滅の法灯」を眺めながら参拝する堂内は時間の許す限り、その場にいたいと思ってしまうのです。   延暦寺へは京都方面から車で上ることもありますが、私はたいがい比叡山・鎮守の日吉大社から坂本ケーブルを利用して参詣します。ケーブルの乗客は、なぜかこの景色には目もくれず延暦寺を目指しますが私は「ケーブル・延暦寺駅」の展望台で琵琶湖の景色を堪能します。   坂本方面の麓では、満開を迎えた桜もありましたが日吉大社参道の桜は七分咲きといったところ。ゆるやかな坂を上って日吉大社境内に着くとそこは高低差なのか品種なのかはわかりませんがこれから開花を迎えるといった感じでした。   京都市内など、近畿では満開の時期ではありましたが、比叡山ではまだまだ蕾が膨らみはじめたといった状況でした。それを知ってか、始発のケーブルでの参詣ということもあって午前９時頃でも延暦寺の参詣者の姿はまばら。   大講堂の前にある鐘楼では、体力にモノを言わせてひときわ大きな鐘の音を鳴らせてみせました（笑）ひ弱な若造のヘタレ音のあとで優越感に浸ったせいか、大講堂の姿が清々しく美しく目に映えたのであります。   参詣者が少なかったということもあって、この日は東塔を堪能することが出来ました。前回の参詣では行列が出来ていた文殊楼も貸し切り状態。     やはり寺社参拝は、早朝がお勧めですね。暖かな春の陽を浴びながら、比叡の爽やかな風と共に歩く境内。こういう有名な場所では、少々お行儀の悪い団体客がつきものですが４時に起きてやって来た甲斐がありました。   高野山などと比べると、ここ延暦寺は身近な場所ではありますが全山巡るには、山上で宿泊しなければ時間がたりないような気がします。早朝の根本中堂。無理をしてでも、早朝の参詣をお勧めします。    .

  2010.04.08

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  明通寺

  真言宗御室派　棡山明通寺福井県小浜市門前5-21　明通寺公式HP 若狭の古刹、棡山明通寺（ゆずりさん　みょうつうじ）。京都・仁和寺を総本山とする真言宗・御室派の寺院です。山号の「棡山」は、創建当時のご本尊などが棡木で作られたことに由来するそうです。境内の手水舎の前に、棡木がありました。   若狭小浜は「海のある京都」とも呼ばれています。その理由のひとつは国宝・重文級の古刹が多いこと。中でもここ明通寺はその代表格の名刹です。   清らかな松永川の流れ。小浜市中心部から車で約２０分。明通寺は松永川沿いの山の斜面に建てられています。   ここに来るのは３回目なのですが、過去２回は団体客がいたり、慌ただしい中での参詣だったせいかあまり印象に残っていませんでした。今回、この山門を見ただけで「来てよかった」とつくづく思ったのです。    平安時代の武官、蝦夷征伐で功績のあった坂上田村麿の創建。創建当時の本堂やご本尊・薬師如来は、火災のため焼失。現在の本堂は鎌倉時代のもので、質実剛健といった感の凛とした佇まい。この檜皮葺屋根の本堂は国宝の指定を受けています。本堂内では、若いお坊さんが丁寧にこのお寺のことを説明してくれます。   明通寺の代名詞とも言える三重塔。こちらも檜皮葺で国宝。本堂の前に立ちこの三重塔を見上げると、自然と背筋が伸びます。こういう境内で、おしゃべりしながら散策する人の気が知れません。    本堂と三重塔の間にある祠。祀られているのは弁天様だそうです。ちょっと意外な気がしたのですが、謂われまではお聞き出来ませんでした。今回は参詣者も少なく、ゆっくり静かに境内を堪能させていただきました。    本堂と三重塔の屋根は、この４月から修復工事が行われるそうです。工事期間は伺っておりませんが、４月からはしばらくの間この姿は見られなくなると思います。修復費用は２億円ほどかかるそうです。同じ坂上田村麿の創建と言われる京都の清水寺は観光シーズンの１日の拝観者数は５万人に達することもあるそうですがここ明通寺の拝観者数は、年間で５万人だそうです。国宝とは言え、修復には寺の負担も大きくいろいろご苦労もあるようです。 明通寺の公式HPに「明通寺ブログ」が紹介されていました。昨日の日記には「世の中三連休ですが、（明通寺は）静かなもんです。観光客のみなさーーん、どこ行ってるんですか？明通寺は年中無休で開いてますよ」と、書かれていました。拝観料をけちって、お寺の拝観をしばしば見合わせてしまうというどこかの誰かさん。神社仏閣を愛でる者として、ちょっと反省しております。   参詣者が少ないことは、このすばらしい境内を静かに回ることが出来ますし人を排して撮影することにこだわる私にとっても好都合ではあります。しかし反面こういう名刹を、もっと多くの人に知っていただきたいとも思います。   境内には先日の雪が所々に残っていましたが北陸・若狭の山里にも、春はすぐそこまで来ているようです。    .

  2010.03.21

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  皇大神社（元伊勢内宮）

   京都府福知山市大江町内宮　 ■御祭神　　天照皇大神 参拝日は昨年の８月２３日。ブログ的にはウケる神社だし、満を持しての参拝でしたが思い通りの写真が撮れなかった上、元伊勢外宮を称する豊受大神社の写真がさっぱりだったので今まで放置していました。ここの特徴のひとつは画像にあるように、素朴な黒木鳥居。黒木鳥居と言えば、嵯峨野の野宮神社を思い出す方もいるでしょうがあの鳥居は樹脂加工された鳥居のようです。こちらは正真正銘の黒木鳥居です。   「元伊勢」に関しては、ここでも何度も取上げているように少々こだわりを持っています。この神社が元伊勢「但波国吉佐宮」かどうかは大いに疑問なのですがそれはさておき、すばらしい神社であることに疑いはありません。   日室ヶ嶽を神体山とする古社で、古神道の聖地とも言われているようです。境内は神聖なのですが、京や大和、伊勢の古社とも雰囲気が異なります。うまく言えないのですが、宗教的な基地のようなイメージでしょうか。    この神社への参拝は２度目。前回は日室ヶ嶽も拝さず、奥宮・天岩戸神社にも行ってませんでした。大本教の出口王仁三郎が「元伊勢」と尊敬した神社とも言われその後も様々な宗教家たちに崇められた地と言われています。   本宮から奥宮に向かう途中にある、日室ヶ嶽遙拝所。これは「日本のピラミッド」と言う人もいるようです。（　「ピラミッドのような山」ではなく「ピラミッドだ」という意味で　）   来た道を再び戻る気になれないほどの急坂を歩きたどり着いた奥宮・天岩戸神社。この先にも試練が待っています。  ハイヒールやサンダルでの参拝はお勧め出来ません。この下には五十鈴川の渓谷があるのですが、その水がどこから流れてくるのかわからない不思議な場所です。  奥宮の背後にそびえる天岩戸。五十鈴川の水はここから流れ出ているようなのですが・・・。足元にはこんなに水があります。   ここに立つと伊勢にある神宮の歴史がどうであれ神話は神話であるとわかってはいても「ここが『天岩戸』です」と言われたら「なるほど」と答えてしまいそうな雰囲気がある場所です。   こちらが天岩戸神社。このお社の前で参拝するためには・・・    この鎖を持って岩を上って行かなければいけません。私が上りきった頃、後で「ドサッ」とニブイ音・・・。振り向くと、鎖を持ったまま真横に倒れ身動きがとれなくなった家内の姿。うちの奥さんは、聖地で手荒い歓迎を受けることが多いようです。   .

  2010.02.28

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  神武東征ゆかりの神社　その２

  乙子神社（おとごじんじゃ）岡山市東区乙子　 ■御祭神　若御毛沼命（神武天皇） 「乙子」とは「末っ子」の意味だそうです。神社名の由縁は、御祭神である若御毛沼命（わかみけぬのみこと）が末っ子だったため。尊称して「乙子大明神」と言われるそうです。一見、何の変哲もない田舎の神社。しかしこの場所に神武天皇を祀る神社があることには意味があるようです。    この神社は乙子城山の上に鎮座しています。創建は不明だそうですが、平安時代初期に改築した記録があるそうなのでかなり古い神社であることは間違いありません。この山が乙子城山と呼ばれるようになったのは戦国武将・宇喜多直家が居城したことによります。ここは吉井川の河口から2.5ｋｍほどの場所になりますが、むかしはこの辺りまで海だったようです。しかも策略家として知られていた宇喜多直家が居城したので重要な場所だったのではないでしょうか。    神社には、神武東征ゆかりの地であるとの伝承が残っています。先に御紹介した亀石神社、安仁神社などこの付近には神武東征に関係した神社がいくつかあります。古事記には神武が大和に入る前に８年、吉備の高島宮にいたと記されています。    神武天皇の即位は紀元前７世紀ということになっています。従ってその存在も東征の足跡も証明することは出来ません。だいたい、紀元前７世紀の即位ということがあり得ないことだと思います。しかし天皇家の歴史を古く見せかけるために何代かの古代天皇の時代を、過去に遡って設定した可能性があります。 ここから少し西、児島湾に浮かぶ小島が「吉備の高島宮」という伝承があります。この辺りにある安仁神社、亀石神社などの神社や、この乙子神社の存在はとても興味深いものです。    この乙子城山、北側や西側から見ると人工の山のようです。いつか掘ってみようかとたくらんでいます（ウソです）。  .

  2010.02.27

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  巨石と祇園社

   上の画像は５年ほど前に撮ったものです。初めてこの巨石群のことを知ったのは小学生の頃。この辺りは干拓地であり、周辺は見渡す限りの田園地帯。山も丘もほとんどない、吉井川河口の扇状地に造られた新田なのです。しかしここにだけ、まるで天から吉井川にこぼれ落ちたように巨石があります。私は昔、ここから吉井川の対岸に住んでいました。小学５～６年の頃でした。当時住んでいた繊維工場の社宅から吉井川沿いに児島湾方面に向かったとき対岸にこの巨石群を発見したのです。私が住んでいた社宅は広大で、子供用の公園やグランド、プールやテニスコート体育館、武道場、社員のクラブ活動用の広大なグランドもありました。また今で言うコンビニのようなお店や、八百屋そして散髪屋まであって、社宅から1歩も出なくても困らないほどでした。しかし当時の小学生の行動範囲は広く、自転車に乗れるようになってからは小学校の学区を越えて時には３～４ｋｍくらい先にまで遊びに出かけていたものです。この巨石を見つけたのも、そんなある日のプチ冒険で自宅から２ｋｍほど吉井川沿いに下った場所だったと思います。ここにだけ転がり落ちたように存在する不思議な岩は少年だった私の目には、たいへん魅力的でした。冒険心に火がついた私は仲のいい友人を誘って巨石まで行くことを計画。しかし計画はすぐには実行出来ませんでした。と言うのも、私が住んでいた場所からは一度３ｋｍほど上流にある永安橋を渡らなければ対岸に行けなかったからです。単純に計算しても片道およそ８ｋｍのサイクリング。しかも当時の私たちの自転車は、２４インチの子供用の自転車でした。友人と二人であの岩に行った時は、感動よりもとても疲れたことが印象に残っています。    これがその岩の現在の姿。TOPの画像は、５年ほど前に撮ったものです。先日気づいたのですが、５年前と比べると少し様子が違います。後の小山が削り取られているようです。この岩の名前や謂われを知りたかったのですが、ずっと不明のまま。地元の人にお話を聞きたかったのですが、付近にはどなたもいらっしゃいませんでした。地元の人と思われる方が書かれているブログを見つけたのですがどうやらこの岩、「ポンポン岩」と呼ばれているようです。   この岩の下にあるのは祇園社という小さな神社。御祭神はおそらく牛頭天王または素盞嗚命なのでしょうが御由緒などは不明です。  前述のブログによると、ここは近くの神社に合祀されたことがあるそうです。しかしその後、この付近で原因不明の病気が多発したため祇園社の祟りだとして、元の場所に戻されたのだそうです。   これだけの巨石なので、磐坐として祀られたり御神体として信仰されていてもおかしくないと思うのですが、牛頭天王（素盞嗚命）とこの岩は関係なさそうです。海であったこの辺りには、巨石を拝する信仰がなかったのでしょうか。   この「ポンポン岩」の少し西、吉井川の真ん中に浮かんでいるのは「ピシャゴ岩」とよばれる小島です。この小さな「ピシャゴ岩」は、けっこう地図にもその名が記されています。  遠くに見える煙を吐いている煙突が、私が住んでいた社宅の工場です。その右にうっすらと見える山は芥子山（けしごやま）。前々回、ここに書いた「大多羅寄宮跡」がある山です。祇園社のあるポンポン岩は、岡山市東区西幸西というところ吉井川の河口付近にあります。見晴らしのよい場所ではありますが、意外と行きにくい場所です。車１台がやっとという狭い道も多く、あまりオススメの場所ではありません。興味のある方は、下の「MapFunWeb」のバナーをクリックして地図を参考にして場所をご確認ください。 ポンポン岩＆祇園社　  .

  2010.02.17

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  神武東征ゆかりの神社

  亀石神社（かめいわじんじゃ）岡山市東区水門町　　 ■御祭神　　宇豆毘古命（ウズヒコノミコト）　　　　　　　  海童神（ワダツミニカミ） 神倭伊波礼毘古命（かむやまといわれびこのみこと・神武）は筑紫の日向（ひむか）を発って大和へと東進した。古事記によれば、宇沙（宇佐）、筑紫岡田宮、安芸を経て神武は吉備の高島宮に８年いたと記されています。その高島宮から東征を進める際、大きな亀に乗って現われた釣り人が神武の水先案内をしたと言われる宇豆毘古命。この神社の御神体は、その宇豆毘古命が乗っていた亀の化身とされています。   社殿はなく、頭を持ち上げた亀のような形の岩が海に向かって鎮座。この辺りは干拓地で、江戸時代以前は海だったのですが古くから宮司が海を渡って祭事が行われた記録があるそうです。吉備の高島宮があったとされる島、高島は亀石神社の約５ｋｍ西の児島湾にあります。   昔はこの辺りの海は大伯海（おおくのうみ）と呼ばれていました。現在も「邑久（おく）」という地名が付近に残っています。天武天皇の皇女で、斎宮となった大伯皇女（おおくのひめみこ）は天智一行が筑紫に向かう途中、この辺りで誕生したことからその名が付けられたと言われています。    この辺りには、神武ゆかりの神社がいくつかあります。亀石神社もその１社なのですが、地図には「亀石」とのみ表示されていたりこのブログでリンクさせていただいているMapFunWebには神社どころか何の表示も載っていません。幸島小学校を目指すといいでしょう。道は狭く入り組んだ場所もあるので、注意が必要です。    この付近の神武東征ゆかりの神社で、元も有名な神社は安仁神社（あにじんじゃ）亀石神社の２，３ｋｍ東の岡山市東区西大寺一宮にあります　    鎮座地の地名でも推察出来るように、この神社は古来、高い社格を誇っていました。安仁（あに）とは、神武天皇の兄の意とも言われています。現在の備前国一宮は吉備津彦神社と石上布都魂神社ですが元々はこの安仁神社が備前国一宮だったそうです。しかし安仁神社が藤原純友（ふじわらすみとも）の乱において藤原純友を支援したため朝廷からその地位を剥奪されたと言われています。昔から高貴な神社とされ、庶民は拝殿前に登ることを許されず石段の下から拝したと伝えられています。   .

  2010.02.13

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  大多羅寄宮跡

  おおだらよせみやあと岡山市東区大多羅町（芥子山中腹） ■岡山市教育委員会の案内板より岡山藩主池田光政は、寛文６年（1666）領内の神社の由緒を調べさせ、翌年、産土神６０１社および由緒ある神社を残し、社や祠10,524社を廃して、７１社の寄宮に合祀しました。その後正徳3年（1713）、藩主池田綱正はこの地にあった句句廼馳（ぐぐのち）神社境内を拡張し、６６社の寄宮をこの地に移して合祀しました。これが大多羅寄宮です。寄宮には藩から、毎年修理料と御供料が支給されていましたが明治維新後はそれも途絶えたため、明治８年、祭神を布勢神社に合祀、現在は東西９間（約16ｍ）、南北１０間（約18ｍ）の境内地と石垣を残すのみとなっています。 子供の頃、毎日必ず見ていた西大寺地域最高峰の芥子山（けしごやま）。頂上にとてつもない磐坐があったことを思い出し、数十年ぶりに登ってみました（現在は車で頂上まで行けます）。磐坐と言っても特に祀られているわけではなく、小さなお不動さんの祠があるだけです。しかし大和や京都の磐坐を訪れているうちに、芥子山の頂上を思い出しました。そして昨年１１月に参拝した備前国一宮、石上布都魂神社の磐坐を見たとき「芥子山の頂上はもっとすごかった」という思いがあって１月１０日、連休を利用して帰省して芥子山に登ったのです。      あまりの大きさに、カメラに収まりきりませんでした。このような岩場は頂上のみに見られる光景です。ここが大和だったなら、神のよりしろとして祀られ芥子山は三輪山のように信仰の対象になったかも知れません。    西大寺地域最高峰と言っても、芥子山は標高233ｍの低い山です。しかし山の南側はおよそ５ｋｍに渡って児島湾まで平野が広がっています。備前富士と呼ばれる芥子山は、西大寺地域のどこからでもその姿が見えるのです。と言うことは、ここは西大寺地域を一望できる場所。     頂上の「磐坐」目指して車を走らせていた時、ナビの画面に「大多羅寄宮跡」という表記を見つけました。 前日、神武天皇東征にゆかりある安仁神社（あにじんじゃ）や亀石神社に参拝したあとだったこともあって「宮跡」という文字に興味を引かれました。上記案内板の説明文にあるように、それは天皇の「宮跡」ではなく「寄宮（よせみや）」跡だったのですが・・・。 多くの神社を訪れていますが、「寄宮」というものは知りませんでした。低い山の中腹とは言え、参拝にも神社建立にも不便な場所ですが大多羅寄宮がこの場所に建てられた理由が気になります。    案内板によると、元々ここには句句廼馳神社があったそうですが、その神社がどんな神社だったのかも気になります。肥沃な吉井川の扇状地を見下ろす芥子山、そして頂上の磐坐。何かいわくあり気な雰囲気がします。 この山は備前富士と言われるだけあって南側に広がる平野部からは富士山を上から押しつぶしたような姿をしています。しかし大多羅寄宮跡から見上げる芥子山はなんと、見事な神奈備山の形状に見えるのです。   神社＆古代史マニアの妄想が広がったこの大多羅寄宮跡は国指定史跡です。ちなみに神武天皇が吉備国にいたとされるのは「高嶋宮」です。上の画像にも写っていますが、児島湾に高島という島があります。諸説あるようですが、この島が「高嶋宮」の有力地だそうです。    .

  2010.01.31

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  大避神社

  おおさけじんじゃ兵庫県赤穂市坂越 ■御祭神　　　大避大明神（秦河勝公）　　　　　　　　　天照皇大神　　　　　　　　　春日大神 神社巡りを始める前から、ずっと気になっていた神社です。主祭神は秦河勝を神格化した大避大明神。随神門には随神と背中合わせに仁王像も睨みを利かせています。神仏習合の名残なのでしょうか。   厩戸皇子（聖徳太子）に重用された秦河勝。この秦氏は謎の多い氏族で、イスラエル人だという説もあります。「大避」とは厄除の意とも言われていますが、古くは「大闢」と書いたとも言われています。「大闢」は「だいびゃく」とも読み、六芒星・ダビデのことです。秦氏の元々の本拠地、太秦（京都）にも秦氏ゆかりの神社がありますが蚕ノ社とも呼ばれる木島坐天照御魂神社には不思議な三柱鳥居があります。また広隆寺の近くにある大酒神社には「牛祭り」という奇祭があります。ここの「船渡御祭」も国指定の無形民俗文化財です。秦氏にはその出自とともに、謎が伴うようです。  新　宮 横長の拝殿からは、聖徳太子を祀る新宮につながる回廊が延びています。境内には神社というより、何となくお寺のような雰囲気が感じられました。   参道をはじめ、周辺は美しい石畳の街並。潮風が心地よく、明るく落ち着いた雰囲気です。   荒神社 神社は瀬戸内海（坂越湾）を見下ろす、小高い場所にあります。境内も街並ものどかで静か。神社の境内を表現するときによく、「静謐」という言葉を使いますがここは静謐というよりは、いい意味で単に「静か」だと思いました。    生　島 神社の前に浮かぶ小島「生島」は秦河勝が生きてたどり着いたことからそう呼ばれているのだとか。聖徳太子の寵愛を受けた河勝ですが、神社伝承によると太子亡き後は蘇我氏の迫害を避けてこの地にやって来たとのこと。この島は古くから神域とされ、島内に入ることは畏れられ祟り伝承もいくつか伝えられているそうです。そのため手つかずの原始林が残されており、この「生島樹林」は国の特別天然記念物の指定を受けています。島内には河勝の時代よりも古い古墳があるそうです。神水井戸や河勝公の墓所もあるそうです。河勝の墓は京都や、大阪府寝屋川市にもその伝承地があります。ちなみに生島の神水井戸は「やすらい井戸」とも呼ばれこれまた「イスラエル」に通じると唱える人もいます。 秦氏とイスラエル。古代史には数多くの「とんでも説」がありますが、秦氏とイスラエルとの関係については・・・けっこう私も興味あります。あの司馬遼太郎氏も「兜率天の巡礼」という短編小説の中で秦氏の謎やこの大避神社のことも書いています。もちろん、小説ではありますが。  . 

  2010.01.16

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  松下社

   三重県伊勢市二見町松下 ■御祭神　　素盞嗚尊加木牛頭天王社、御船社、蘇民の森とも言われているそうです。この辺り、松下地区の氏神さまでありパナソニックとは関係ありません   小さなお社ですが、伊勢の人たちにとっては重要な神社のようです。新年だけでなく、注連縄を１年中飾る地域がありますがこの辺りも独特の注連縄を年中飾る風習があるそうです。   この注連縄には「蘇民将来子孫家門」と書かれてあります。謂われは風土記にも伝わる「牛頭天王と蘇民将来」の民話。 竜宮城に向かう牛頭天王（素盞嗚尊）は旅の途中、富豪の巨旦（こたん）に一夜の宿を断られ途方に暮れてしまった。しかし貧しいながらも、牛頭天王を暖かくもてなした蘇民将来は牛頭天王からもらった珠のおかげで裕福になった。代々蘇民将来の家の人は、牛頭天王の言いつけ通り「蘇民将来」と書かれた木札を身につけ、御守りにして幸せに暮らしたとのこと。 この民話に基づいて、悪いことが起こらないように「蘇民将来子孫家門」と書いた注連縄を飾り「ここは蘇民将来の子孫の家ですよ」と言って厄除を祈願しているのだそうです。   境内にある「蘇民祠」御祭神は蘇民将来です。この蘇民社で毎年12月26日「蘇民将来子孫」と書かれた桃符が配布されるのだそうです。   境内にあるクスノキは、三重県指定の天然記念物。目立たない神社ですが、地域の産物を販売している「民話の駅　蘇民」が目印。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　※参拝は2009/9月   .

  2010.01.07

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• 明けましておめでとうございます

  明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。 本日、やっと「掲載寺社索引」が完成いたしました。これもこのブログ同様、自己満足の記事ではありますが神社参拝時の参考にしていただけたら幸いです。　「龍水御朱印帳掲載寺社索引」このブログの「Profile」にもURLを載せています。 索引を作りながら過去記事を見直していると、力作記事もあれば削除してしまいたい記事や画像もありました。でも、一応ほとんど手直しもしないまま引っ越し作業を終えました。 そんな過去記事の中から、ちょっとだけご紹介します。本日から始まるNHK大河ドラマは「坂本龍馬」私は幕末・維新には疎いのですが、このドラマは見ることになるでしょう。家内が、私よりほんのちょっとだけ男前の福山雅治のファンだからです。これから人気スポットになるでしょうが、坂本龍馬の墓がある神社が京都にあります。坂本龍馬墓　→　「京都霊山護国神社」 ついでに、新春大サービスちょっとえっちなあなたにオススメ　「飛鳥坐神社」 今後とも龍水御朱印帳をよろしくお願いいたします。  .

  2010.01.03

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  今年参拝した神社

  瀧原宮もうすぐ完了・掲載神社索引 今年も多くの神社に参拝することが出来ました。健康で、何事もなく、そして夫婦で散策や撮影を楽しみながらたくさんの神社を訪問することが出来たことがありがたいです。2005年に「お百社参り」なるものを思いついて、参拝社数を意識するようになりました。その習慣で、参拝社を携帯に記録していますが今では数を意識するより、ブログや記録整理のためにメモしています。 このブログ、今年は更新が少なかったですがコメントを寄せていただいた方々、ご訪問くださった皆様、このブログを「お気に入り登録」していただいた皆様、今年もお世話になりました。ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。  多賀大社 １５８今宮神社　１５７伊多太神社　１５６小野神社　１５５崇導神社１５４子安神社　１５３金田天満宮　１５２石上布都魂神社　１５１吉備津神社１５０吉備津彦神社　１４９月讀神社　１４８松尾大社　１４７菅原神社（泉大津）１４６葛葉稲荷神社　１４５篠畑神社　１４４葛神社　１４３白山神社　１４２墨坂神社１４１阿紀神社　１４０石上神社　１３９石上神宮　１３８阿自賀神社１３７千代神社（彦根）　１３６阿保天神社　１３５芦屋神社　１３４槻神社１３３矢宮神社　１３２弁財天（武庫川）　１３１岡太神社　１３０藤阪天満宮１２９住吉神社（高砂）　１２８高須神社　１２７多賀大社　１２６大坂山口神社１２５櫛田神社　１２４津長神社　１２３松下社　１２２並大神社　１２１多岐原神社１２０瀧原宮　１１９頭之宮四方神社　１１８倭姫宮　１１７御塩殿　１１６伊雑宮１１５末光稲荷社　１１４菅原神社（上野市）　１１３御霊神社（福知山）１１２率川神社　１１１漢国神社　１１０小汐井神社　１０９三宮神社　１０８二宮神社１０７一宮神社　１０６宮田春日神社　１０５弓弦羽神社　１０４生田神社１０３甘樫坐神社　１０２飛鳥坐神社　１０１滋賀県護国神社　１００籠神社 生田神社  ９９皇大神社　９８豊受神社　９７高須春日神社　９６北野神社（彦根）９５御香宮　９４建部大社　９３神津神社　９２高天彦神社　９１一言主神社９０鴨都波神社　８９高鴨神社　８８大和神社　８７等彌神社　８６狭井神社８５柿本神社　８４休天神社　８３呉服神社（渋）　８２野宮神社　８１難波神社８０生國魂神社　７９少彦名神社　７８大神神社　７７菅原院天満宮　７６護王神社７５三光神社　７４高津宮　７３當麻山口神社　７２天満宮（当麻）　７１平田春日神社７０蒲田神社　６９天津神社（岸部）　６８錦天満宮　６７安井金比羅宮　６６地主神社６５八坂神社　６４豊国神社（京都）　６３泉殿宮　６２大江神社　６１五条宮６０久保神社　５９河堀稲荷神社　５８堀越神社　５７木島坐天照御魂神社５６住吉大社　５５日向大神宮　５４宇治神社　５３宇治上神社　５２鵲森宮５１露天神社　５０御剱神社　４９福島天満宮　４８伊射奈岐神社（佐井寺）４７伊射奈岐神社（山田）　４６吉志部神社　４５香具波志神社　４４吉備春日神社４３御厨子神社　４２若桜神社　４１野見神社　４０宇奈多理坐上御魂神社３９野々宮天神社　３８山本八幡宮　３７岸和田天神宮　３６大津神社３５泉井上神社　３４阿遅速雄神社　３３赤手拭稲荷神社　３２茨木神社３１上宮天満宮　３０神剱神社　２９弓削神社　２８八尾天満宮　２７穴太神社２６八尾神社　２５大阪天満宮　２４庄所神社（素盞嗚尊神社）　２３下鴨神社２２下御霊神社　２１宗像神社　２０厳島神社　１９白雲神社　１８白峯神宮１７晴明神社　１６上賀茂神社　１５久我神社　１４北野天満宮　１３大姫神社（芦原橋）１２比賣許曾神社　１１月讀宮　１０猿田彦神社　９皇大神宮　８二見輿玉神社７須原大社　６月夜見宮　５豊受大神宮　４三輪神社　３五百住神社２垂水神社　１片山神社 ※太字は今年初参拝　  .

  2009.12.31

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  京都・上高野　その２

  前回ご紹介した三宅八幡宮。   そこで気になったのが、御由緒にあった小野氏のことです。   上高野一帯は古くは「小野郷」と呼ばれ、小野氏の所領地だったそうです。   小野氏とは、あの小野妹子一族のこと。  小野氏ゆかりの何かがないか地図で確認したところ、気になる神社を見つけました。場所は三宅八幡からバス停１つ分だけ上流の所。   まずは山中に引き込まれるような参道から、崇道神社に向かいます。   崇道神社京都市左京区上高野西明寺寺山町３４ ■御祭神　　早良親王（崇道天皇）早良親王は桓武天皇の弟で、一時出家していましたが桓武天皇即位後は還俗して立太子。しかし藤原種継暗殺事件の首謀者として、淡路島への流罪となりました。無罪を主張した早良親王は食を断って抗議。淡路島へ流される途中、現在の守口市あたりで絶食死したと言われています。その後、桓武天皇の第一皇子・安殿親王（平城天皇）の病気や桓武妃の病死が続き早良親王の祟りとされ、「崇道天皇」と諡号が贈られて大和に移葬されました。藤原種継の暗殺は、長岡京遷都に抵抗する勢力が起こした事件と言われています。せっかく造営した長岡京を短期間で捨て、平安京に遷都したのはこの事件が原因だとも言われています。   鳥居の額には「崇導神社」と書かれてありますが、縁起をかついでのことでしょうか。神社参拝の栞などには、「崇道神社」と書かれてありました。創建年は不明だそうですが、御鎮座は桓武天皇没後のことのようです。崇道天皇（早良親王）を祀る神社が、都の鬼門方向にあることはちょっと意味深な感じがします。   素朴で神秘的な長い参道を持ちますが、お社はそれほど大きくはありません。いかにも鎮魂の社といった雰囲気の境内は、とても静か。しかし参拝者が途切れることがなかったのは、少々意外な感じがしました。境内に他にも由緒ある神社があるせいかも知れません。   京都には他に藤森神社、上御霊神社にも崇道天皇が祀られていますが崇道天皇のみを祭神として祀っているのはここ崇道神社だけだそうです。   伊多太神社■御祭神　　伊多太大神境内にある伊多太神社は洛北随一の古社と言われ、御祭神はこの辺りの氏神で湧水・農業の神様だそうです。こちらは式内社です。 小野神社境内にあるもうひとつの式内社である小野神社。うっかりしていると見落としてしまいそうなお社ですが、今回のお目当てはこの神社でした。昭和４６年に再建された神社で、御祭神は小野毛人。元々は小野氏が一族を祀る神社として創祀されたそうです。この神社の山上150ｍに小野毛人の墓があります。この墓から鋳銅製の墓誌が発見され、小野毛人の墓であることが判明。小野毛人は、遣隋使として知られる小野妹子の子。聖徳太子から重用された小野妹子の子が、蘇我蝦夷と同じ名を持つことは、興味深い感じがします。ちなみに小野妹子の墓は、厩戸皇子（聖徳太子）や推古天皇などが眠る磯長谷（しながだに）にある、科長神社の山上にあります。近江高島にある白髭神社付近の山腹で多くの古墳を見かけましたが山中に墓を築くのは近江出身の氏族の特徴なのでしょうか。   この辺りからもう少し高野川を遡った対岸には下鴨神社境外摂社・御蔭神社があります。八瀬から御蔭神社～崇道神社（小野神社）～三宅八幡宮。神社好きや古代史好きの人には、けっこう楽しい散策コースです。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　龍水御朱印帳掲載記事索引　がんばって作成中！！ . 

  2009.12.23

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  京都・上高野　その１

   いわゆる「京の鴨川」とは、賀茂御祖神社（下鴨神社）の南、二つの川が合流した今出川から下流のこと。その二つの川とは貴船山や賀茂別雷神社（上賀茂神社）方面からの賀茂川と大原方面から流れて来る高野川。先日、その高野川を遡って八瀬の手前にある上高野を散策しました。  残念ながら南禅寺の紅葉は終わっていましたが、上高野から見上げる比叡山は、まだ赤く染まっていました。この辺りも京都市内（そして八瀬・大原も）なのですが、そのことを忘れさせてくれるような光景が広がっています。上高野という所はあまり知られていませんが、この辺りには神社好きや古代史ファンをうならせる神社がいくつかあります。     先ずは三宅八幡宮（みやけはちまんぐう）。　  社伝によれば遣隋使として隋に赴く途中の小野妹子が病を患い宇佐八幡宮に祈願し平癒したことから、この地に八幡神を勧請したのが起源とか。古くこの地は「小野郷」と呼ばれ、小野氏の所領地だったそうです。「三宅」という名は、この近くにある岩倉に住んだ児島高徳（別名・備後三郎三宅高徳）が八幡神を崇拝したことに由来するそうです。   叡山電車本線・三宅八幡駅前にある石柱。この神社には鞍馬線・八幡前駅が最寄りですが、こちらが表参道になるようです。ただし、この辺りの散策には大原方面へのバスが便利です。   小野妹子ゆかりの神社と言えば、平安時代のはるか前。秦氏ゆかりの太秦の地や松尾大社と並んで、京都では屈指の古社と言えるでしょう。近江出身と伝えられる小野妹子ですが、その墓地は聖徳太子（厩戸皇子）が眠る河内（大阪）・磯長谷の山上にあります。そんな小野妹子ゆかりの神社が、上高野にあったのは本当に意外なことでした。   御祭神は応神天皇。御利益は子供の守り神としてかんの虫封じ、転じて虫退治の神として害虫駆除にも効果があるとされ、別名『虫八幡』とも呼ばれます。鳥居の画像にあるように、ここでは狛犬ならぬ狛鳩が神社を守護しています。今ならある意味タイムリーな「鳩」ですが、なぜここで「鳩」なのか由来は不明。境内では鳩餅を売るお店もありましたが、買う気がないのでお話は伺っておりません。さてこの三宅八幡宮の少し北には、さらに興味深い平安京守護と小野氏にまつわる神社が点在しています。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　つづく  .

  2009.12.12

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  京都散歩

   もちろん、とっくに１２月に入っていることは知っていますが今年は暖冬のせいか、それとも季節感が薄れた生活のせいなのかもう１２月なんだという実感がありません。 電車の中で時々汗をかきながらも、ちゃんとコートを着て出勤していますし、通勤途中の商店街だって、クリスマスモードに入っていることにも気づいてはいました。でも、１２月だという実感がどうしても湧きませんでした。    毎年、箕面や京都の紅葉を楽しみにしていました。京都でのお気に入りは南禅寺。ちょっと遅くなったけど、紅葉でも撮りに行こうかと繰り出した南禅寺ではご覧のように、「紅葉狩り」ではなく「落ち葉狩り」とあいなりましたです。境内にあるもみじの木は、ほとんどが葉が落ちてしまっていてようやくもって、１２月だという現実を目の当たりにしたのでした。まったく私という男は、呑気なおっさんであります。    それでも何とか、残った葉の一部分だけを切り取って紅葉狩りの気分だけは味わいました。     一応、南禅寺の紅葉です。     南禅寺のあとは北野天満宮へ。娘が受験なので、勧学御守をいただきに行ったのです。蒼空に映える美しい社殿。何度も参拝している神社ですが、この美しさに初めて気づきました。    本殿の裏にある地主神社の屋根には、どこから落ちて来たのか不思議なくらい落ち葉が積もっていました。３年前にも、ここの写真を撮っていますがこんなに美しかったという記憶がありません。あの時と同じカメラですが、見比べてみると少しはウデを上げたかなと、自分でも思います。時間帯が違うので、単純に比較は出来ませんが･･･。    早朝の青空って、なかなかいいものですね。写真歴５０年の父がよく「朝は色温度が高いから、いい写真が撮れる」と言っていましたが、このことなのかなぁと思います。    上高野などを散策したあと、京都散歩のシメは久々の晴明神社。ここには来るたびに、何か新しいものが出来ていますが今回も期待を裏切らないところは、さすが晴明さまです。    先ずは境内の地面。赤土が盛られて、陸上競技場のようにカッチリと固められていました。     今回のサプライズはこれ。なんと、安倍晴明像。ここにあった厄除の桃は、拝殿の向かって右側に移動されていました。（２つ上の画像に「厄除の桃」が写っています）     ところで上高野では、なかなかいい神社との出会いがありました。この神社のことは、後日ご紹介したいと思います。 .

  2009.12.06

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  石上布都魂神社

  石上布都魂神社（いそのかみふつみたまじんじゃ）岡山県赤磐市石上1448 ■御祭神　　素盞嗚尊現在の御祭神は素盞嗚尊ですが、明治までは布都御魂だったそうです。布都御魂とは、素盞嗚尊が八岐大蛇を斬った霊剣のことです。布都御魂と言えば、奈良県天理市にある石上神宮。吉備国の山中にあるこの石上布都魂神社は、御祭神を大和の石上神宮から勧請したものではありません。そして素盞嗚尊の剣がここに祀られていたのは、単なる地元の伝承からでもありません。一見、田舎の小さな神社のようなこの石上布都魂神社は実はなかなか由緒ある神社なのです。 本　殿 日本書紀・神代紀、素盞嗚尊が八岐大蛇を退治した件で「一書にいう」として、次のように書かれています。 素盞嗚尊が八岐大蛇を斬られた剣は、今は吉備の神部の所にある。 神部（かむとものを）とは神主のこと、または地名だとも言われていますがどちらにしても、素盞嗚尊の剣は吉備にあったという説が日本書紀に明記されており、その「神部」とはこの石上布都魂神社のことなのだそうです。その剣は、崇神天皇の御代に大和・石上神宮に遷されたと言われているそうです。崇神天皇の御代と言えば、四道将軍を立てて各地を平定した時代。吉備には後に吉備津彦命と呼ばれる五十狭芹彦命（いさせりひこ）が遣わされました。布都御魂＝素盞嗚尊の剣も、吉備津彦命によって大和にもたらされたのかも知れません。そういった縁により、大和・石上神宮で発掘された剣の複製の一振りがこの石上布都魂神社に奉納されているそうです。 また、神社では「備前国一宮」と称しています。上記のような御由緒からすれば、その資格充分の古社と言えるでしょう。備前国一宮は、吉備津彦神社もその名を連ねています。ちなみにここ備前国では唯一の名神大社に列せられた安仁神社が一宮となるはずだったそうです。しかし天慶2年に起きた天慶の乱において安仁神社が藤原純友方に味方したため、一宮の地位を朝廷より剥奪されたとされています。 参考　　　石上神宮　　　　　　吉備津彦神社　　　　　　安仁神社   大型車では通れないような道を上ってたどり着いた駐車場から、社殿のある境内にはさらに５０ｍほど上らなければいけません。しかし、この石上布都魂神社の神髄は社殿のさらに上にある本宮です。   「元宮」でもなく「奥宮」でもなく、「本宮」と呼ばれる場所は山上の磐坐にあります。  本宮への参道にある「跨ぎ松」 大きな磐が落ちないように踏ん張る逞しい松。頑張れ！みなさんも！ と、案内板に書かれてありました。   この磐は「置き磐」案内板に書かれていたのは「下界の『苦労』、『悩み』は、この磐に置いて参りましょう」私にはここに置いて行きたいものがたくさんあります。  私はなかなか親切な案内板だと思ったのですが、家内にとってはそうでもなかったようです。「こんなに登ったのに、やっと中間点やて？」やはり家内を連れてお山に入ったのは間違いでした。   「善く頑張りました。本宮（もとみや）の鳥居が見えます」と書かれてありますが･･･    見上げてみると、鳥居はがっかりするほど上にあります。この他にも、参道にユニークな案内板がいくつかありました。案内板の一言は、上り坂の苦労を一瞬忘れさせてくれます。宮司さんのお人柄なのでしょうか。   やっとこさ鳥居までたどり着くと、さらに悪いNEWSが待っていました。またもや急な石段の出現・・・。どれくらいキツイ石段かは、上から見下ろした画像でよくわかると思います。    しかし本宮に到着した途端、疲れが吹っ飛びました。石段を登り終えて、目の前に現れた光景は想像をはるかに超えるものだったのです。思わず「来てよかった」と、叫びそうになりました。    神が宿ると言われる磐坐を数多く見ていますが、これほど強烈な御神気を感じたのは初めてです。私にとっては、三輪山登拝の時よりも感動が大きかったかも。禁足地として、磐坐周辺には結界が張られていましたが結界など不要なほど畏れ多い磐坐です。   私はこの磐坐を見た時、布都御魂を祀る神社が、なぜ　「石上」　と名付けられたかがわかりました。そして同じ備前国に、もう１箇所ここによく似た磐坐があることを思い出しました。出来るだけ早い時期に確かめに行ってみようと思います。 ところでここの宮司さま。けっこうお話好きだという噂です。私が「筋金入り」の神社マニアと認めるレオさんは、ここの宮司さんと２時間話し込んで、先にご紹介した剣も見せていただいたそうです。私が参拝した時はちょうどお昼時。神社に到着した時は、ナニやら一生懸命に作業されていました（料理かも）。磐坐から戻った時には、一心不乱に（？）お食事をされていました。ちょっと残念でしたが、声を掛けづらい雰囲気だったので・・・。   ちょっと気になる宮司さんです（笑）    .

  2009.11.29

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  元伊勢　篠畑神社

  篠畑神社（ささはた）奈良県宇陀市榛原区山辺三■御祭神　　天照大神元伊勢と呼ばれる神社の１社で、この篠畑神社は日本書紀にも記されています。 ●「日本書紀」垂仁天皇２５年３月１０日天照大神を豊鍬入姫命からはなして、倭姫命に託された。倭姫命は大神を鎮座申し上げる地を探して、宇陀の篠畑に行った。さらに引き返して近江国に入り、美濃を巡って伊勢に至った。   天照大神をこの地に迎えるにあたって、倭姫命を援助したとされる佐佐波多姫が境内社に祀られています。この佐佐波多姫は「倭姫世記」に記された宇多の大宇禰奈(おおうねな）とのこと。「ささはた姫」は笹の生えた地を整備して宮地にしたという伝承もあるそうです。しかし「はた＝畑」から、この地を開拓した女神として祀られたのかも知れません。阿紀神社の秋毘賣命の伝承と共通した感があります。   のどかな山間の地に鎮座する神社ですが、さすがに気品を感じるお社。「元伊勢」と呼ばれる神社に惹かれる理由はわかりませんがこういった神社に参拝すると、お務めを果したような気分になります。   前日にだいたいの位置を確認していたからよかったものの、阿紀神社からいざ移動しようとすると、ここがナビに記載されてなくて苦労しました。実は最初、篠畑神社だと思って別の神社に参拝しました。   参拝を終えたあと、ここは「葛神社」という別の神社であることが判明。近くを流れる小川は宮川とよばれ、参道の鳥居も神明鳥居だったためてっきりここが篠畑神社だと思い込んでしまいました。   元伊勢だと信じて参拝し、葛神社の神様に失礼なことをしたと後悔しましたがあとで調べてみると、御祭神は篠畑神社と同じく「天照大神」でした。しかも葛神社にも「元伊勢・佐々波多宮」としての伝承が残っているそうです。結果的には的はずれな参拝にならず、胸をなで下ろしました。葛神社と篠畑神社は、直線で３００ｍほどしか離れていません。   ※「元伊勢」については過去記事をご覧ください。　　　　　　　「元伊勢」   .

  2009.11.02

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  元伊勢　阿紀神社

  奈良県宇陀市大宇陀区迫間通称　神戸大神宮 ■御祭神　　　天照大神 折りあるごとに、元伊勢と呼ばれる神社を訪ね歩いています。この阿紀神社もその１社で、古くは宇多阿貴野宮と呼ばれていたそうです。神社御由緒によれば、創建は神武天皇東征の頃であるとのこと。この地を開拓したのは須佐之男命の子孫、秋毘賣命と伝えられています。秋毘賣命は相殿神として祀られています。   開放的で心地よい境内です。鳥居の向こうに見える丘の中腹に、古殿地があるそうです。かつては阿紀神社でも式年遷宮が行われていたとのこと。境内にいたご年輩の女性から「薪能があるので来てください」と声をかけられました。「はい」と答えましたが、いつ行われるのかと尋ねると６月とのこと。８ヶ月も先の話です。   この能舞台は、神社境内にあるものにしては本格的。地謡座、アト座、そして橋掛かりもあって、能楽堂とほぼ同じ造り。薪能と言えども、きっとすばらしいお能が観られることでしょう。阿紀神社の薪能は「あきの蛍能」と言われ、数百匹の蛍が舞台から放たれるのだそうです。蛍の光は、幽玄な能をさらに盛り上げることでしょうね。   カジュアルな出で立ちだったので定かではありませんが、宮司さんと思しき方からこの神社について、丁寧なご説明を聞かせていただきました。毎年２００～３００の神社を廻っていますが、こんなことは初めてです。皆さんのブログを拝見していると、よく御神職とお話しされたことが書かれています。私には、だいたいどなたも近寄って来ません（ナンデ？）宮司さん（？）は近々、古殿地も整備しようかと思っているとおっしゃっていました。  倭姫命は、この宇多阿貴野宮に４年間奉斎されたとのこと。本殿は銅板屋根ですが、神宮と同じ様式の唯一神明造り。素木造りの社殿は、神門と瑞垣に囲まれています。   阿紀神社のすぐ近くに、万葉公園・かぎろひの丘があります。ちょっと期待していましたが、さほど眺望は良くありませんでした。季節や時間帯によっては、人麻呂が詠んだ歌のような光景が見られるのかも知れません。毎年旧暦の１１月１７日にあたる日（現在の１２月中旬）に「かぎろひを観る会」が行われるそうです。   　　　　　　　ひむがしの　野にかぎろひの立つ見えて　　　　　　　　　　　　　かへり見すれば　月かたぶきぬ  .

  2009.10.31

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  石上神社

  石上神社（いそのかみじんじゃ）奈良県天理市滝本町 ■御祭神　　　石上大神地元では石上神宮の元宮と言われているそうです。鎮座地は山の中。石上神宮から国道２５号線を山側に登ること約３ｋｍ。桃尾の滝のそばに、この石上神社があります。   桃尾の滝は、昔は「龍福寺」という大寺院の境内だったそうです。「布留の滝」と古今和歌集にも詠まれたこの滝は、真言密教の行場でもあったそうです。   石上大神は布留の神とも呼ばれる「剣の神」ですが、元々この地は水の神を祀る祭祀場だったのかも知れません。   山の水を竹で引き入れた素朴な手水。この手水は、創建時から変らぬ姿なのではないでしょうか。拝殿を見た時、室生の龍穴神社を思い出しましたがこの手水も龍神さまの雰囲気たっぷりです。（龍穴神社は水の神を祀る神社）   人の手で造られた境内とお社ですが、山の自然と気を一切損なうことない佇まいも、あの龍穴神社とよく似た雰囲気です。    「石上」という名がもっともだと思えるような磐が、境内にいくつか見られます。 パワースポットなどと軽々しく言いたくはありませんが、石上神宮のように「祈りの場」「祭祀の場」として人が管理する場と違い小さな神社ではあっても神秘的で畏れ多い感さえする境内です。   布留川へと流れる小さな沢と桃尾の滝。この神社はやはり龍神さまの存在を感じるのでした。   .

  2009.10.26

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  つきよみのみや 　その１

  今年始めにも「つきよみのみや」について書きました。内容はダブりますが、今回の伊勢の旅では全ての別宮を廻ったので全てを書いておこうと思います。「つきよみのみや」は内宮の別宮と、外宮にも別宮があります。「つきよみのみや」とひらがなで書いているのは、それぞれの表記が異なるからです。外宮の方は 「月夜見」、内宮の方は 「月讀」 と表記されています。   豊受大神宮（外宮）別宮　月夜見宮■御祭神　　月夜見尊(つきよみのみこと)　　　　　　　 月夜見尊荒御魂(つきよみのみことのあらみたま) 外宮の北、伊勢市駅の西に鎮座。市街地の中にこんもりとした森が月夜見宮の境内です。   ここには他の別宮と違って、お城や古墳のように周濠と言うかお堀があります。外宮の近くにあるのですが、いつでもひっそりとした境内。私はここの境内、森が大好きです。   すぐ北は幹線道路や、JRと近鉄の線路。周辺は商店や住宅の密集した市街地。しかしこの境内は、周辺のことを忘れさせる異空間のような感じがします。   外からは大きな森に見えるのですが、境内に入ると意外と狭いことに驚きます。   いつ来ても、静かで訪れる参拝者も少ないのですがいつでも必ず熱心に参拝している人を見かける場所があります。   老木の空洞の中にある磐境を祀っている場所があります。稲荷神を祀っているようなのですが、詳細は不明。特別な信仰があるのか、集団で参拝する人たちもよく見かけます。   こちらは境内にある、豊受大神宮摂社・高河原神社。御祭神は月夜見尊御魂とされていますが、国生神、倉稻魂命など諸説あるようです。   天照大神や素盞嗚尊に比べると影の薄い月夜見尊ですが、この「三兄弟」の神々は、三貴神とも言われます。素盞嗚尊の別称だという説もあるそうです。確かに古事記と日本書紀の神話を見比べると月夜見尊と素盞嗚尊の逸話が混同した部分があります。 この月夜見宮は、伊勢市駅からも外宮からもおよそ３００ｍほどの場所。外宮参拝時には、是非ご参拝ください。  .

  2009.10.21

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  頭之宮四方神社

  頭之宮四方神社こうべのみやよもうじんじゃ三重県度会郡大紀町大内山3314-2頭之宮四方神社公式HP ■御祭神　　唐橋中将光盛卿（桓武天皇の末裔）奥伊勢の豊かな緑と、唐子川の清らかな流れ。山間の地に静かに鎮座している神社ですが、意外にも鉄筋コンクリート製の、モダンな社殿です。洒落たHPや地元ではTVコマーシャルもあるようですし、「頭之宮着うた」のダウンロードサイトまであります。   瀧原宮からさらに車で３０分。山奥に入るイメージでしたが、実際はあと１０ｋｍほどで熊野灘に出る位置にあります。コンビニもGSもない場所ですが、広大な駐車場がありました。初詣や例祭などでは、多くの参拝者が訪れるのかも知れません。神社名の由来は、御祭神のものと伝わる髑髏（頭蓋骨）を祀ることから。詳しい御由緒は神社HPをご覧ください。首から上の諸祈願に霊験あらたかと言われ、「あたまの守護神」「知恵の神」として信仰されているそうです。    頭之宮四方神社は、唐子川の流れに面して建てられています。夏は蛍が飛び交うそうです。この川の流れとともに、上流から吹く風がとても神聖な感じがしました。唐子川に落ちる小さな滝は、神社境内からも見ることが出来ます。    この川の水は熊野灘ではなく、大内山川と合流して瀧原を通り宮川となって伊勢へと流れて行くようです。ちなみに神宮とは関係はない神社です。   　　　　　　　本殿横から湧き出る「知恵の水」お頭さん（頭之石）　　　・・・・・・・・・・・・　　　　　奉石所（祈願は白石、お礼参りは黒石）お乳湧さん（「乳湧石・ちわきいし」と呼ばれる手水の水盤）     さほど大きな神社ではありませんが、いつまでもここの風に吹かれていたいようなそんな清々しい境内でした。　  .

  2009.10.18

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  多賀大社

  多賀大社（通称・お多賀さん）滋賀県犬上郡多賀町多賀■御祭神　　　伊邪那岐大神　　　　　　　　　伊邪那美大神とてものどかな場所にある神社ですが、古事記にも登場する、由緒ある神社。日本最古の神社としては、大神神社、大和神社、石上神宮など山辺の道沿いの神社が知られています。しかし、日本神話の順に従えばこの多賀大社はダントツで「日本最古」と言えるかも知れません。   女性には少しキツイかも知れない「そり橋」を渡り神門へ。その先に見えたのは、驚きの光景でした。周辺ののどかさからは想像も出来なかったほどの参拝客。そして何より、想像も出来なかったほど立派な社殿に圧倒されました。   伊邪那岐大神（イザナギ）は三貴神（天照大神・月読尊・素盞嗚尊）を生んだあと、隠退して淡海（近江）の多賀に祀られたと古事記に記されています。一方、日本書紀には「幽宮を淡路に造って、静かにお隠れになった」とあります。淡路島にも「多賀」という地に伊弉諾神宮があります。多賀大社と伊弉諾神宮は、どちらがイザナギの真の幽宮かはともかく興味深い「共通点」があります。そのことについては、私の地元の神社をご紹介した記事をご覧ください。　伊射奈岐神社２座　その１ 　伊射奈岐神社２座　その２   神門を入った瞬間から、私も家内もしばらく言葉が出ないほど感動しました。大勢の参拝者で賑わっていましたが、どうしても「手ぶら」で帰る気になれずこのあと予定していた訪問地はあきらめることにして多賀大社の撮影をすることにしました。   私の場合「神社を撮る」ということは、すなわち「人を排して撮る」ということ。このことに関しては家内も異論はなく、結果、境内で１時間半以上ねばることになりました。  「多賀大社前」駅前の大鳥居 この神社は「長寿の神」としての信仰も深く、車椅子の老人たちや、介護士に付き添われた老人グループが多く見られました。境内の段差がある箇所には、全てに段差プレートが設置されています。駐車場には観光バスの姿はほとんどなく、車椅子を搭載出来る「福祉車」が多く見られました。 京阪神にお住いの方にとっても、ちょっと不便な場所ではありますがオススメ度、「五つ星」級の神社です。  . 

  2009.10.12

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  皇大神宮（内宮）の別宮

  内宮には10の別宮があります｡宮域内に2社､宮域外には先にご紹介した瀧原宮･瀧原竝宮を含めて8社｡今回は宮域内にある2つの別宮をご紹介します｡    内宮の別宮で最も格式が高いのが､この荒祭宮（あらまつりのみや）｡御祭神は天照坐皇大御神荒御魂（あまてらしますすめおおみかみのあらみたま）です｡ここにも多くの参拝者が訪れていました｡    今回の旅では､14ある神宮の別宮全てを回りました｡この荒祭宮が最後に参拝した別宮でしたが､ここはひとまわり大きく感じました｡別宮は全て同じようなお社に見えますが､社格によって大きさが違うようです｡後日ご紹介予定の月讀宮に行くと､そのことがよくわかります｡    この荒祭宮も外宮の多賀宮と同様に､他の別宮（と言っても風日祈宮だけですが）や所管社などと比べると､少し高い位置に建てられています｡   神楽殿の正面から五十鈴川方向に向かう道は､風日祈宮への参道です｡宇治橋を小さくしたような和橋は風日祈宮橋（かざひのみのみやばし）｡この辺りは内宮の宮域の中でも､特に美しい場所だと思います｡内宮の宮域では､紅葉がきれいな場所として知られています｡   風日祈宮橋を渡った右手に､五十鈴川の上流つまり内宮の正面方向に小径が見えます｡今は立入禁止になっていますが､この道は昔の拝所に向かう道だったのかも知れません｡昔は正宮から五十鈴川の対岸に､僧尼遥拝所という場所があったそうです｡古来日本では神仏習合の時代が長く続いていましたが､ここ伊勢神宮だけは｢唯一神道｣を貫き､蛮神を廃していたそうです｡従って､僧侶や頭を丸めていた人は正宮には拝することが許されず五十鈴川の対岸の僧尼遥拝所から参拝したそうです｡現在でも｢唯一神道｣を貫いていて､神宮ではおみくじというものがありません｡おみくじは､大陸から伝わった占いの一種なのだそうです｡ ｢何事のおはしますをばしらねどもかたじけなさに涙こぼるる｣西行が詠んだこの句や｢何の木の花とはしらずにほひかな｣芭蕉のこの句は､僧尼遥拝所から疎外感を感じながら詠まれたものかも知れません｡   風日祈宮（かざひのみのみや）の御祭神は外宮の風宮と同じく級長津彦命(しなつひこのみこと)と級長戸辺命(しなとべのみこと)です｡    ここは内宮の宮域の中でも､特にｵｽｽﾒのｽﾎﾟｯﾄです｡紅葉の季節にも､いつか訪れてみたいものです｡  .

  2009.10.06

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  皇大神宮（内宮）

   宇治橋を渡ると･･･（と、言っても宇治橋は現在架け替え工事中なので仮橋を渡るのですが）人の流れとは逆に、左方向に向かいます。衛士見張所の奥に、小さなお社がふたつ並んでいます。   手前にあるのは、皇大神宮所管社 ・子安神社（こやすじんじゃ）です。御祭神は木華開耶姫命（このはなさくやひめのみこと）。ここでは子宝・安産の神として信仰されています。願い事を書いた小さな鳥居がたくさん奉納されています。いろいろな意味で一般の神社とは一線を画す神宮の中にあって、唯一、民間信仰の色が濃い場所です。   奥にあるのは皇大神宮所管社・大山祗神社（おおやまつみじんじゃ）。御祭神は大山祗神（おおやまつみのかみ）。木華開耶姫命のお父さんです。   火除橋を渡り手水のあと、第一鳥居をくぐって宮域へ。今年二度目の参拝。感謝の気持ちでいっぱいになりました。  五十鈴川御手洗場（いすずがわみたらし）で心身を清めて御正宮に向かいます。今回も水晶の勾玉など、持参した石をここで清めさせていただきました。  五十鈴川御手洗場のすぐそばにあるのは皇大神宮所管社・瀧祭神（たきまつりのかみ）です。御祭神は瀧祭大神（たきまつりのおおかみ）で、五十鈴川守護の神様だそうです。   神楽殿にある手水は「龍虎石」と呼ばれています。龍と虎の姿が浮き出ていると言われています。この日はまだ水が貯められる前でしたが、水が溢れて龍虎石がしっとりと濡れると、もっとはっきりと見えます。（参考：今年１月参拝時の画像）   神楽殿の横にあるのは皇大神宮所管社・御酒殿（みさかでん・画像奥）そして同じく皇大神宮所管社・由貴御倉（ゆきのみくら・画像手前）御酒殿は古くは神酒を醸造する所だったそうです。由貴御倉はお供えものや果物の保管倉だったそうです。   御酒殿から小径を挟んですぐ隣にあるのが内宮の四至神（みやのめぐりのかみ）です。外宮の四至神とは、少し形が違いますね。こちらも皇大神宮所管社です。   御正宮に向かう参道沿い、新御敷地西角下にある籾種石。飢饉の年の造営で、神領の村人は翌年の籾種まで食いつぶしてこの石を運んだ。それでお米の形の石になったという伝説があるのだそうです。   御正宮に向かう石段の正面にあるこの建物は御贄調舎（みにえのちょうしゃ）といいます。天照大神にお供えするアワビが調理される場所です。   早朝の参拝ということで、御正宮に向かう無人の石段を撮影したいと思っていました。どう見てもシャッターチャンスなど望めそうもない人出でした。無理矢理、人が写らないアングルで撮影してみました（そこまでするか）。 御正宮での参拝。神社巡りをするようになってからは、五回目の参拝です。五度目にして、やっとまともに感謝の言葉を唱えることが出来ました。いつもは緊張して舞い上がってしまい、心のなかで「カミカミ」になっていたのです。   ４年後の式年遷宮に備え、新御敷地には既に板垣が設置されています。昨年までは、新御敷地横から御正宮を望むことが出来ました。   現在は、荒祭宮に向かう参道からほんの少しだけ千木を見ることしか出来ません。この辺りに、大木が多い宮域内でもひときわ立派な巨木が立っています。   この木の下の方は、長寿にあやかろうとする参拝者が触るので幹がつるつるになっています。私は長身を活かして、人が触っていないところに触れさせていただきました。   荒祭宮に向かう参道を進むと、御稲御倉（みしねのみくら）があります。神田から収穫した御稲が納められる場所。御正宮の「唯一神明造」の小型版と言えるお社。御祭神は御稲御倉神（みしねのみくらのかみ）で、ここも皇大神宮所管社です。   荒祭宮へと下る石段に「踏まぬ石」があります。天から降ってきたという言い伝えがあって、踏んではいけない石です。初めて見た時は全く目立たない石でしたが、今年１月は白い線で囲まれていました。今回はご覧のように、盛り塩がされてありました。それでも、ここで足を止めて見る参拝者はいませんでしたが･･･。この割れた「踏まぬ石」は「天」の字になっていると言われるのですが、どういう風に「天」に見えるのかよくわかりません。   荒祭宮参拝後、帰り道にある御池。今までこんな池があることさえ気づいていませんでした。大勢の参拝者の列に紛れて、ただゾロゾロと歩いていたでけだったからでしょうね。はじめは誰もいなかったのですが、私たちが写真を撮っているとたくさんの人が集まって来ました。きっと、この御池の美しさに気づいたのでしょうね。宮域内の別宮（荒祭宮・風日祈宮）については別記します。  .

  2009.10.04

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