カテゴリ:俳句
5月16日(木) 現代俳句(抜粋:後藤)(46) 著者:山本健吉(角川書店) 発行:昭和39年5月30日 飯田蛇笏(8) おとのして夜風のこぼす零余子かな 昭和八年作。 静かな夜、風とともにバラバラという可憐な音をきいた。夜風が零余子をこぼしているとは、作者の判断であり、夜の闇に描き出す一つのイメージ。 現実にあったのは一つのもの音。音は現実のものであるが、それ自身としては抽象的なもの。描かれた情景は想像裡のものであるが、具象的。瞬間的な交錯の上に、立体的感銘がある。 山の童の木莵とらへたる鬨あげぬ 山のわらべと言っても、単数でなく複数であろう。みみずくを捕えて、歓喜のあまり、鬨の声を挙げた。山村の悪童たちの無邪気な歓声に、作者も素直にひきこまれた。山村風景の一齣として、ユーモアにも富み、感情の躍動も如実に伝わってくる。 (つづく) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.05.16 06:51:49
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