カテゴリ:思想
6月15日(土) 山桝忠恕先生のイギリス滞在記 「東も東西も西」師弟友情通信――(下)(13) 同文舘発行(昭和41年)山桝忠恕著「東も東西も西」より (注)わたしは、39年40年に山桝ゼミに在籍しました。 「なんとなく 申し聞かせて おきたくて」(13) 二十世紀後半の人類というのは、やれ原水爆だの、それ人工衛星だの、ほれロケットだのと、大自然が予期してもいない珍妙なものを、さきを競って打ち上げ合い、宇宙のバランスを破壊することに懸命ですが、地表をコンクリートで覆い包んでしまうということもまた、天地自然の摂理を肯定し、これに謙虚に頭を垂れつづけ暮してきた東洋人の生き方とは、無縁のものであると申さねばなりますまい。 西洋では、古来、因果律をむしろ悪用して、自然の征服に憂き身を窶(やつ)しつづけて参りました。 そしてその結果もたらされたものはと言えば、自然科学の恐るべき独走、自然科学と人文科学との深刻なアンバランス。この二十世紀に入って二度も世界大戦を経験せざるを得なかったのも、この自然科学なるものの独走に、その究極の原因があり、そこにこそ、この二十世紀後半における人間存在の不安の真の根源があると思います。 (つづく) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.06.15 07:14:15
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