それってやっぱり朝三暮四やでぇ
私の好きなことわざに朝三暮四があります。【朝三暮四】宋の国の狙公(そこう)は、たくさんの猿を飼っていました。狙公と猿はお互いのことを、よくわかっていました。狙公は、家族の人数を減らしてまで猿をかわいがり、欲しがるものは何でも与えていましたが、かわいがりすぎるあまりに財産がなくなりとうとう貧乏になってしまいました。仕方がないので、猿の食事を減らすことにしました。ただ、猿たちに嫌われたくないので猿たちをちょっとだますことにしました。ある朝、お腹がすいている猿の前で、狙公が言いました。 「おまえたちの食事のことだが、 今から食べる朝食は、ドングリを3つに減らそうと思う。 そして、夜は4つにしよう。」それを聞いた猿たちは 「なぜこんなにお腹が減っているのに3つなんだ!」と、立ち上がって怒り出しました。狙公は 「わかった、わかった!私が悪かった。 じゃあ、君たちのために、やっぱり4つに増やすよ。 そのかわり、夜は3つだけどね。それでいいかな?」目のまえのことしか考えられない猿たちは、自分たちの気持ちを理解してくれた狙公にひれ伏して感謝した、ということです。 本日、(株)K社に行く。しばらく前に製造部長が辞めたので、組織を立て直すとのこと。で、ベテランの4人のうち何人かを部長や課長にすることにした。実は、この会社、3ヶ月ほど前から顧問となったのであるが、その前には別の社労士さんがいた。その社労士さんは、残業代を抑えるため、あるからくりを作っていた。賃金台帳を見ると、例えばAさん基本給 140,000円皆勤手当 15,000円業務手当 45,318円計 200,318円となっている実は、この業務手当は残業代なのである。賃金規程には次のとおりとなっている。第○○条(業務手当) 業務手当は、本人の立場や従事する職務の種類ごとに、1ヶ月間に 予定している時間外・深夜勤務の時間数に相当する手当として支給 する。2 前項で予定している時間外・深夜勤務の時間数は個別に決定し『雇 用契約書』にて通知する。3 実勤務時間数が、予定している時間外・深夜勤務の時間数を超える 場合は、その超えた時間について第○○条の計算に従い手当を支給 する。つまり、このAさんの業務手当45,318円は、43時間16分ぶんの残業代なのである。ここまでは良いのだが、社長の息子のぼんくら専務が考えたのは、1、Aさんを課長職にする2、課長は管理職なので、残業代は払わなくてもいいだろう3、よって、業務手当の45,318円は払わない。4、そして、新たに管理職手当として45,318円をはらう。これを、本人に伝えたところ難色をしめしたという。まぁ、給料は変わらないのに責任だけは増える。そこで、「センセ、なんか良い知恵ありませんやろか。」「う~む、そもそも、業務手当を払った上で、管理職手当を上乗せはできないのですか。」「いやいや、そんなに能力がないんですわ。払うのがもったいない。」「・・・・しかし、ねぇ・・・・」明日、また訪問して「良い知恵」を示さねばならない。しかし・・・・・・狙公の猿たちがうらやましい・・・・