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2010/09/08(水)08:53

赤十字 たかが「標章」されど・・・

赤十字社は、スイス人実業家アンリ・デュナンの提唱により創立された「人道・公平・中立・独立・奉仕・単一・世界性」の7原則を掲げて、世界各国に存在する人道的活動団体です。 国の内外を問わず、戦争や大規模な事故や災害の際に敵味方区別なく中立機関として人道的支援を行っていますね。組織的には「ジュネーヴ条約」とこれに基づく国内法によって、特殊な法人格と権限を与えられた団体です。名称と標章多くの国では、識別マークはデュナンの母国スイスの国旗の色を反転した、白地に赤い十字(赤十字)を採用しており、呼称は「赤十字社」が一般的ですが、中華人民共和国では「紅十字会」、また北朝鮮では「赤十字会」と呼んでいます。また、イスラム諸国では、「十字はキリスト教を意味し、十字軍を連想する」として嫌われたため、白地に赤色の新月を識別マークとし、「赤新月社」(せきしんげつしゃ)と呼んでいます(インドネシアはイスラム教国ですが例外的に「赤十字社」)。またパキスタン、マレーシア、バングラデシュなどは設立当初は「赤十字社」でしたが、のちに「赤新月社」に変更しました。2007年3月現在、152ヵ国に赤十字社、33ヵ国に赤新月社が設立され活動を行っております(イスラエルの赤盾社を含めると計186ヶ国)。他にも「ダビデの赤盾」(イスラエルでの呼称はマーゲン・ダビド公社(赤盾社))、「赤獅子太陽」(王制当時のイランにおけるイラン赤獅子太陽社。1980年以降は使用されていない)など種々の標章が乱立した事から、赤十字・赤新月に代わる共通の(=第三の)標章採用が提案されました(なお「ダビデの赤盾」は今までに承認されたことはない)。これには加盟国の合意に基づくジュネーブ条約の改訂を要するために議論は紛糾したのですが、2005年12月の総会で 全会一致原則の総会では異例である投票による賛成多数により、赤の菱形を象った宗教的に中立な第三の標章「Red Crystal(レッドクリスタル、赤水晶、赤菱形、赤菱)」が正式に承認されたのです。「Red Crystal」の標章の意味や法的効力は従来の赤十字・赤新月と完全に同一です。また、この標章は単独で用いる以外に中の白地の部分に独自のマークを入れても構わないのです。このため「Red Crystal」の中に「ダビデの赤盾」のマークを入れた標章を用いることで、イスラエルの赤盾社は国際赤十字への加盟が出来る事となり、赤十字国際委員会は同社を正式に承認したのです。同様に国内での宗教勢力のバランスから赤十字・赤新月の標章を併用したいと主張しているエリトリア等の国や地域でも、「Red Crystal」の中に赤十字・赤新月両方のマークを入れた標章を使用することで国際赤十字への加盟を期待しています。赤十字(Red Cross)の標章赤新月(Red Crescent)の標章レッドクリスタル(Red Crystal)の標章ダビデの赤盾赤獅子太陽 

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