第76話 七色に輝く橋 その2.
虹の雫を天に掲げると辺り一面、見渡す限りの空を虹色に染め上げていく。 「ふわ・・・凄い・・・」 「幻想的な雰囲気ですね」 「うん、オーロラってこんな感じなのかな?」 「すげぇ綺麗だな」 ミラが言った言葉を借りると、本当に幻想的な雰囲気。現実のモノとして今目の前で実際に目に見える光景として認識できない感じ。 本当、まるで夢を見てるような気分だよ。 辺り一帯を虹色に染めていたオーロラのようなものは中央に集まって虹となり、そしてそれがこっちに落ちてきて・・・え? 虹の橋がこっちに迫ってきてるように見えるよ??? 「おい、これ大丈夫か?w」 「わわわ、空が・・・空が落ちる」 「虹のがこっちに迫ってきてるように見えますが、これ大丈夫なんですかね?」 「でも、虹って実体あったっけ?ただの光の屈折かなんかで見えるそれでしょ?別にこっちに落ちてきたからって、地表に直接ダメージがでるわけでも・・・」 って、ん?この虹の橋おかしいよ?実体がないという風には見えないんだけど? これ絶対質量あるよね?え?てか、これだけ大きい橋が突然現れたんだけど?え? まさかの出来事にあたしだけでなく、他の皆も驚きで声を出せないでいた。 「おいおいマジかよ・・・虹の雫を天にかざしたら橋がいきなり現れて空から降ってきたんだがw」 「何ですかこのB級パニック映画みたいな展開はw」 「これだけ大きな物体がライディングしてくるとか着地した時の衝撃過ごそうだね」 何気なくポツリと呟いたアルナの言葉にあたし達はハッと我に返った。 「そうだよ!あれだけの質量のモノが落ちたらその衝撃であたし達絶対飛ばされるよ!というか、飛ばされなかったとしても津波で流されるよね?」 「うへぇ・・・」 考えうる全ての出来事が頭の中で一瞬のうちにパッと浮かび上がったんだけどさ。全部バッドエンドにしか直結しないんだけど・・・w もうあたし達は気が気じゃなかった。 「おい、やべぇぞw逃げるか?」 「ど、どどど、どうする!?」 慌てた様子を浮かべるアルナとカリストだったけど、ミラは諦めたのかそれとも余裕が出て来たのか、若干落ち着いてるように見える。 「ま、まぁ・・・今から逃げてもどうせ手遅れですし、このままどっかりと構えてますか」 諦め半分だったーwでも、確かにそうだね。今から逃げようにも、手遅れ感は否めないし、だったらもう、ね? 「そうだね、それにもしかしたら何かの間違いでこう、無傷でいられるかもしれないし?」 と、いうわけで。あたし達は内心バクバクいわせながらこの虹から産まれた橋がどうなるか見守ることにした。 でも、意外というか、うん。なんとかなったよ。 思った程大きな衝撃はなく、本当静かに、静かに虹の雫を天に掲げた時に出て来た橋はゾーマ城のある大陸とここの大陸の間にピッタリと収まったよ。 その姿は本当、元からその場にあったかのように錯覚するくらい。 「おぉ・・・凄い、こんな橋が何もない無から生み出されたよ」 「凄いですね、こんな仕掛けだったとは」 「でも、これでゾーマの城に行けるね」 「あぁ、泳いでいかなくてすむのは本当ありがてぇな」 「何にせよ、後は進むだけだね」 「はい、もう後戻りは出来ません」 「それじゃ、行こうか」 「あぁ、わたるかぁあああ」 虹の雫を使って出来た橋に一歩踏み出して、あたし達はゾーマの城へと向けて進み出したのだった。 第76話 七色に輝く橋 その2.終わり 第77話 到着ゾーマ城 その1.へ続く