第4話 空飛ぶ靴 その2.
子供達の秘密の場所である洞窟、森から抜け出した俺とホイミンは一度イムルの村へと戻り準備を進めることにしたのだが。 「ふむ・・・」 「どうしたんですか?ライアン様」 「いや、流石にいくらそなたが良いホイミスライムだと言っても、イムルの村へと入れば皆驚くかもしれんと思ってな」 「あ、あぁ~・・・大丈夫じゃないですかね?僕は悪いホイミスライムじゃないよ、って言ったらわかってくれると思いますけど」 「全員が全員俺や子供達のように純粋な心を持っているわけではないからな。一部にはモンスターと見るや否や斬りかかるモノもいる」 「そうなんですか?」 「念には念を入れて一応肌は隠しておいた方がよいだろう。ほら、これをすっぽり被っておけ」 「はーい」 「後、裾の部分は絶対に浮かせるなよ?気持ち引きずるくらいの高さで移動してくれ」 「どうしてですか?」 「いくら姿かたちは隠せても宙に浮いていたら不思議がられるだろう」 「なるほど、ライアン様賢いんですね」 「ホイミンよ、ほめても何も出ないぞ」 とりあえずイムルの村の中へと入り、何が起こるかわからないからな。最低限の買い物、薬草等を買い込んで再び外へと出た。 「よし、それでは行くぞホイミン。準備はいいか?」 「はい、いつでもどうぞ」 まぁ、流石にここは天井もなければ周りに何もない開けた場所だからな。 さっきの洞窟の中みたいに頭をぶつけることはないだろう。 空飛ぶ靴を履くとそれと同時に俺の体はふわりと浮かび上がり空へと飛びあがった。 空に飛びだした俺の体はそのままイムル近くの湖の中にある怪しい塔の方へと向かって飛んで行っている。 なるほど?子供達の秘密の場所にこの靴を配置して、遊んでる子をこの靴がある場所まで誘導していたのか。 好奇心旺盛な子供達が手にいれたこの靴を履かないわけがないからな、外でこれを履いた子供達は自動的にあそこの塔へと連れられ監禁される、と。 いったい誰が何のためにこのようなことを? そのようなことを考えてる間に俺は湖の中にある塔の最上階へとたどり着いていた。 「ここにいなくなった子供達が?」 「あ、ライアン様あそこ、あそこ」 ホイミンが奥の方を指さすからそっちの方を見てみたのだがな? そこには俺と同じように空飛ぶ靴を使って新たにここへやってきたであろう子供が魔物に無理やり手を引かれている場面だった。 「さぁ、来るんだ!小僧!」 「やだ、やめてよ!!怖いよ」 大声で泣きわめきながら魔物に無理やり手を引かれ、下の階へと連れていかれた子供の姿が見えた。 「ホイミン、急いで下に降りるぞ」 「はい!僕の友達を無理やりこんな場所に連れてきて・・・絶対に許さないです」 俺とホイミンは今降りて行った子供と魔物を追いかけるように急いで下の階へと歩みを進めたのだった。 第4話 空飛ぶ靴 その2.終わり 第5話 魔王の影 その1.へ続く