ジルコニアの気まま日記

2017/09/02(土)00:22

第53話 間に合ったよ・・・  その1.

妹勇者冒険譚 ゴッド・オブ・デス編 書き直し分(完)(174)

エデンを後にしてから何日経ったんだろうか、やっとの思いでキャメロット城まで戻ってきたよ。  正直、あの戦線布告から日数が経ってるものだから、もう手遅れかもしれない。もう戦いが終わってるかもしれない、もしそうなっていたらどうしよう。  そんな思いが私の心を支配していた。  「え?何・・・これ?」  キャメロット城下町の様子がおかしい・・・  「一体何があったというのでしょうか・・・」  「何で誰1人として町の外を歩いてねぇんだよ」  「というかですわよ?人がいる気配が感じられませんわね?」  「もう手遅れだったというのです?」  「でもおかしいね、町の人達がいる様子は見えないけどさ、戦いがあったようには見えないんだよね」  うん、いつも賑やかで活気溢れるキャメロット城下町の面影は全くなく、ゴーストタウンになっちゃったのかと思うレベルで静かなんだよね。  まるで城下町の人達全員が一斉に神隠しにでもあったかのように。  「とりあえず、キャメロット城へと向かってみませんこと?」  「ん、そうだね。そうしよっか」  不気味なくらいに静まり返ったキャメロット城下町のお城まで伸びる道を歩いてると、遠目にキャメロット城の兵士のお兄さんの姿を見かけた。  「あ、お兄さん。一体何があったの?」  「あ、セラちゃん!!よかった・・・戻ってきてくれたんだね」  兵士のお兄さんは私達の姿を見ると安堵の息を漏らした。  「あの、ここで一体何があったのです?どうして町の人が誰もいないのです?」  「あ、うん。実は今キャメロット城で大規模な戦闘が起こってるんだよ」  大規模な戦闘!?それって、もしかして・・・アルマロスさん率いる天上人ってこと、かな?  「背中から翼を生やした天上人っていう人達がやってきて、今お城で戦ってるよ」  よかった・・・間に合ったんだ。  「でもさ?だったらどうして城下町がこんなに静かなの?」  「それは町の人達に被害が及ばないようにキャメロット王からの命で町の人達は天上人がやってきた段階で安全な場所に避難してもらってるからね」  「なるほどな、町に誰もいなかったのはそういうことだったのか」  「でも、本当によかった・・・今まだ戦ってる最中っていうことはだよ?まだ落ちてないってことなんだよね?」  「まぁパナディア殿も見えるし、そうそう落とされることはないと思うけど」  今まだ戦ってる最中っていうなら、ここでのんびりしてる場合じゃない。  「皆、急いでキャメロット城へ行ってお父様達の援護するよ」  「そうですね、急ぎましょう」  「セラちゃん、皆・・・お願いするよ。僕は他にも逃げ遅れた町の人達がいないか探してくるから」  お兄さんと別れて駆け足でキャメロット城下町を駆け抜け、お城の前までやってきた私達。  そんな私達の目に門のところに体を預けるおじさんの姿を見つけた。  「おじさ~ん!」  「を?セラちゃん。きてくれたんだね・・・いてててててて」  私達の姿を見てホッと胸を撫で下ろしたルカノス叔父さんだったけど、痛みで顔を引きつらせ、わき腹を手で抑えたんだよ。  うわ、凄い出血・・・  「まぁ、酷い怪我ですわね。今すぐ治癒魔法をかけて差し上げますわ」  アセトが叔父さんのわき腹につけられた傷に手をかざすと、見る見るうちにその傷は癒えていった。  「・・・ふぅ。ありがとう。おかげで助かったよ」  「ねぇ、おじさん。アルマロスたちがココに来たって聞いたけどさ、今どこにいるの?」  「ははっ・・・おじさんがもっと強かったら城内への侵入を許さなかったのにね。本当・・・情けないよ」  苦笑しながらお城の方へ視線を向けた叔父さん。  叔父さんの周りには数多くの天上人の兵士達が倒れてるのが見える。  「何言ってるのおじさん!?これほとんど全部叔父さんが1人でやったんでしょ?十分すぎるよ。後は私達に任せて、そこでゆっくり休んでて」  「はい、後は我々に任せてください」  「どれくらいの戦力が向こうに残ってるかは知らねぇが、いっちょ暴れてやっか」  「えぇ、派手にやりますわよ!」  「アルマロス・・・今会いに行きます」  私達が門から中に入ろうとした時だったよ・・・  ドカーン!!!  2階のバルコニーの辺りから大きな衝撃音が聞こえてきた。  第53話 間に合ったよ・・・ その1.終わり                 その2.へ続く

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