2018/09/23(日)00:23
第3話 子供の秘密基地 その1.
さっきアレクスから聞いた子供達がこっそり遊びに行ってるというイムルの東にある森へとやってきたわけなのだが・・・
「むぅ?ここが子供達の秘密の遊び場で合ってるとは思うのだが……」
ボールとか、ビニールシートとか、漫画とか。子供がこの場所で常日頃から遊んでいるのがわかるようなモノが散乱しているのが見える。
ここが子供達の誘拐事件に関係があるというのか?
いや、だがイムルで話を聞いた際、とあるご夫人は目の前で子供が消えたと言っていたからな。
ん~・・・まずはこの辺りをしらみつぶしに調べてみるか。
おかれてるモノとか、この場所の様子を見る限り子供達が頻繁にこの場所に訪れているのは見て取れるな。
と、その時だった。
「こっちへおいでよ・・・」
子供のちょっとくぐもった声が聞こえてきたんだが?
おかしいな。今この場所には俺しかいないはずなんだが……
辺りを見回してると、再度子供の声が聞こえてきた。
「こっちへおいでよ・・・」
井戸の中から聞こえてるのか?
井戸の中を覗き込むと、井戸には紐が括られていて下に降りられるようになっていた。
しかし、この声の主はいったい?誰かのいたずらなのか。それとも、俺の気配に気付いた子が自分のいる方に呼び招いているだけなのか・・・
まぁ、確認するために降りてみるか。
井戸から下に降りるとそこは広い空洞が広がっていた。
なるほど・・・これだけ広ければ思いっきり遊べるし、大人たちに見つかることもないか。
しかし、先ほどの子の声はどこから聞こえてきたのだ?
とりあえず、道のあるほう。奥へと進んでみるか。
そう思い、歩みを進めた瞬間だった。
「こっちへおいでよ・・・」
先ほど外にいる時に聞こえてきたのと同じ子の声が俺を呼んでいる。
声の聞こえてきた方向はこっちか?
呼びかける声の聞こえてきた方向へと向けて歩みを進めていたが、随分と奥まで進ませるのだな・・・
子供がこんな奥まで行くとか危険すぎやしないか?
これは事件が解決したら大人たちの口からお説教してもらうように話をしておかねばな。
そんなことを考えながら奥へ奥へと進んでいた俺の目の前に何やら人影が見えたのだった。
第3話 子供の秘密基地 その1.終わり
その2.へ続く