最終話 これからも宜しく
~そして、日が過ぎて3月も半ばを過ぎた日のこと~ ピンポーン♪ 「おはよ」 チャイムが鳴り玄関まで行ってみるとそこには今から夜逃げでもすんじゃねぇのかと勘違いしたくなるくらいの大荷物を抱えた瑠璃の姿だった。 「おっす」 「いらっしゃい、待ってましたよ瑠璃」 「おはよう、まだアクアマリンは来てないから中に入って」 荷物がまとめられ、既に私物の殆どをスフィア星に送り返して生活感のなくなったジェードとコーラルの部屋へと足を踏み入れるとドカッと腰掛けた。 「しかし、今日でここともお別れなんですね・・・」 「あっという間の1年だったねぇ」 「はい、最初は龍也という獣と一緒に住むことから、不安を感じていましたが凄く楽しく過ごす事が出来ましたよ。それに、ここで合ったこと全てが今では良い思い出です」 「うんうん、なんかもうさ。住み慣れて帰ってくることが当たり前になった場所であるこの家とお別れとか本当寂しいよ・・・」 窓の外を見ながら感慨深そうにそう口にしたジェードとコーラル。 「何言ってんだよ。お前達さえ良ければまたいつでもここに戻ってきていいんだぞ?」 「そうよ、前におば様も言ってたけど、ここはもう貴女達の家も同然なんだから気にしないで戻ってきたい時に帰ってこればいいのよ」 「ありがとうございます」 瑠璃と俺の言葉に瞳に涙を浮かべる2人。 「しかし、今度は俺と瑠璃がスフィア星でお世話になる番かぁ・・・最初お前達が来た時からは考えられないことだな」 「そうね、今でも信じられないわ。まさかこのあたしが他の星に行く事になるなんて」 「何だろうな、スフィア星っていう今までとは全く環境の違う場所に行くっていうことに対する不安も確かにあるが、それでもジェードとコーラル・・・それと瑠璃が一緒にいてくれるっていうだけでそれも全然心に余裕が出てくるし、頼もしく思えるわ」 「えぇ、あたしも龍也と同じ気持ちよ。むしろ本当これからの1年が楽しみでしょうがないわ」 「龍也・瑠璃には今まで言葉では言い表せないくらいに助けられました。これからは私達が2人のサポートをする番です。任せてください」 「うんうん、そうだよ。何か困った事とかあったらあたい達に遠慮なく言ってよ」 「あんがとよ、頼りにさせて貰うぜ」 ピンポーン♪ 「ん、アクアマリンさんが来たか?」 玄関に出向くとそこにはアクアマリンさんと・・・・ 「よ、少年」 何故か一緒にいる琥珀先輩。 「おはようっす、琥珀先輩。お見送りに来てくれたのか?ありがとう」 俺の言葉に何故か悲しそうな表情を浮かべたんですが??? 「何をつれないことを言ってるんだ龍也は」 「へ?」 「実は野々山さんも一緒にスフィア星へと行かれるのです」 え???どういうことなの? 「ふむ、龍也には黙っていたが、実は私もいくことにしたんだ。これからの時代、スフィア星と地球との交流がもっと盛んになっていくだろう。そうなるとそれに即したサービスが必要になってくるだろ?だから、向こうに行って働きつつどういったモノが必要か確認して今後事業を起こすための肥やしにしようと思ってな」 マジかよ・・・w てか、スちぃ部の皆向こうにいくのかよw 「あ、琥珀来たわね」 「待たせたな」 「待っていましたよ、アクアマリン・琥珀」 「来たね、それじゃ。行こうか」 琥珀先輩が居る事に対して何も突っ込みのないところを見ると本当に琥珀先輩がついてくるっていうのを知らなかったのは俺だけらしいな。 荷物を持って家を出た俺達はスフィア星行きの宇宙船の止めてあるドッグまでやってきた。 「さて、それでは忘れ物はありませんね?大丈夫ですか?」 「あぁ、大丈夫だ。それに、何かあってもこっちから送って貰えばいいわけだし」 「えぇ、いつでも出発していいわよ」 「それでは頼む」 これから俺達はスフィア星に1年という期間限定で異世界に移り住む事になるが、それでもこうして皆と一緒に今まで見たいに馬鹿騒ぎしながら過ごせると思うと少しも不安には感じない。 船に乗り込んでから暫く、宇宙船の出発の時間となり、俺達を乗せた船は地球という今まで住み慣れた星を離れ、スフィア星という新たな場所・・・ジェードとコーラルの生まれ故郷の星へと向けて出発した。 異星人と同居する事になった何か質問ある? 終わり