戦争があったら
戦争があったら当時37歳の男性が父親に連れられ私の会社に面接に来た。父親が話すには彼は薄弱児でIQが40位とのこと。IQ (知能指数)40といえば花壇に水をあげなさいと言われれば水を上げるが雨の降っている日でもあげる。空のビールケースに空瓶を入れなさいと言われると1本入れ忘れる。それ位のレベルである。彼が勤めるようになり2ヵ月後に父親は亡くなりました。母親は彼が生まれすぐに亡くなっていたようです。残されたのは兄と彼の2人だけ。彼が職場で階段を踏み外し足に怪我をして病院へ連れて行った時、お兄さんは元気かと尋ねると元気ですと答える彼。少し心配になり自宅まで送っていくとお兄さんがでて来て家の中に入りました。洋服ダンスの中から湯飲み茶碗を出し汚れた茶碗でお茶を入れてくれました。おかしいと思い、帰りに近所の方に話を伺うとお兄さんはIQ40以下だそうです。薄弱児2人だけのの生活。それを知った私は実際は民生員がするべき仕事、生活保護の手続きをしてあげました。施設に入ることも可能でしたが本人たちは社会と隔離されるのを嫌がるのでやめました。その時、食べ物は何が好きと聞くと、バナナ、好きなタレントはと聞くと山口百恵、今何がしたいのと聞くと戦争があったらと答える彼、どうしてと聞くと飛行機のパイロットになって敵の潜水艦に飛び込むんだと答える彼僕、馬鹿で生まれてきたから何もできないけど戦争があれば日本のためになれる。と答えた彼その言葉に私は衝撃が走りました。自分が生まれてきて世の中のためになっていない。もし戦争があれば自分がいかされる。その純粋な考え方を聞いた以降自分ができる範囲のボランティアをするようになりました。数年後兄弟2人共、筋肉収縮難病で他界しました。