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2010.01.05
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カテゴリ:カテゴリ未分類
雄山荘、小説「斜陽」の舞台となった建物が12月26日に焼失した。

高校生の頃、女大学と密かに揶揄していた母の貞操教育に反発して、婚外子を明確な意志のもとに産む女性に心惹かれた。
その指標となったのが、ホーソンの「緋文字」であり、太宰の「斜陽」だった。

しかし現実は小説とは違う(当たり前だ笑)
婚外子を産んだ女性が皆魅力的なわけじゃないし、婚外子の全てが非凡なわけでもない。
太宰ファンとして、斜陽の子である太田治子氏と太宰の次女である津島佑子氏の作品も大体読んできたけれど、津島氏の作品には魅き込まれたが、太田氏の作品はそうでもなかった。
もし津島氏と太田氏が逆だったら、ミーハーな私は婚外子の母への憧れを抱き続けていたのだろうか(笑)
エゴイスティックで恋愛至上主義の男(婚外子の父ってそんな感じかなという勝手なイメージだが)に自分の全てを投げ出すこともなく、結局いいDNAを持っていると感じた男とありふれた結婚を選んだのだけれど。

太宰生誕100年に合わせたのだろうか、太田氏の父母について書かれた「明るい方へ」が出た。
斜陽が太田静子さんの日記をもとに書かれたとは知っていたが、ほとんどそのまま引き写されていたというくだりには正直ショックだった。
どれほど斜陽の文体に私は影響されてきたことだろう。
枕草子を斜陽風に訳して、人に読んで貰って得意になっていた高校時代のことを思い出し、今さらだが赤面ものだった。
私は太宰を真似ているつもりで 、太田静子さんを真似ていたのかと。

斜陽の子、太田治子氏も「静子さんも太宰も他人、自分は自分」と割り切られたようだし、雄山荘は消えるべき時を迎えたのだろう。
太宰ファンが文化財としての保存運動をしていらしたようだが、ここで焼けたことも一つの運命のように思う。
斜陽は名作だった。
それで充分ではないか。
太宰という作家が小説を書くために一人の女性を巻き込み、子まで成したその現場なんて、生々し過ぎる。
太宰、静子さん、治子さん、太宰のご家族にとっても、雄山荘はすでにない場所になることの方がよかったんじゃないかしら。
生誕100年の年、太宰の影響が自分からも消えたことを確認できた出来事だった。









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最終更新日  2010.01.07 08:38:53
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