joejuilyのブログ

2012/09/19(水)14:48

夫は何処(どこ)か女性的な

 結婚後彼是(かれこれ)モンクレール ダウン三月ばかりは、あらゆる新婚の夫婦の如く、彼等も亦幸福な日を送つた。  夫は何処(どこ)か女性的な、口数を利(き)かない人物であつた。それが毎日会社から帰つて来ると、必晩飯後の何時間かは、信子と一しよに過す事にしてゐた。信子は編物の針を動かしながら、近頃世間に騒がれてゐる小説や戯曲の話などもした。その話の中には時によると、基督教(キリストけう)の匂のする女子大学趣味の人生観が織りこまれてゐる事もあつた。夫は晩酌の頬を赤らめた儘、読みかけた夕刊を膝へのせて、珍しさうに耳を傾けてゐた。が、彼自身の意見らしいものは、一言も加へた事がなかつた。  彼等は又殆(ほとんど)日曜毎に、大阪やその近郊の遊覧地へ気散じな一日を暮しに行つた。信子は汽車電車へ乗る度に、何処でも飲食する事を憚(はばか)らない関西人が皆卑しく見えた。それだけおとなしい夫の態度が、格段に上品なのを嬉しく感じた。http://www.e-monkureru.com/

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