2005/12/24(土)03:40
「その前夜」
今年8月に立ち上げたゴスペル・クワイヤが明日いよいよ教会のクリスマス・コンサートでデビュー(?)する。
その前夜、いま不思議なくらいに落ち着いている。
一ヶ月近く引きずっていた風邪がようやく癒えて声の状態は90%回復した。
公私共にせわしく消耗していた身体を今日は久しぶりに休めることが出来た。
昼過ぎ、壁に掛けてある明日のコンサート衣装の黒のカジュアル・シャツが気になった。
ああ、やっぱりちょっと皺くちゃだな。
明日の午後三時頃までに仕上げられるクリーニング店を探す事にした。
四店舗ほど行ってみたけれど今からでは早くても明日の夕方6時だと言う。
それでは間に合わないのだ。
家でアイロン掛けるのも非常に面倒くさいのでもう少し探してみることにした。
そうしたら意外なところにクリーニング工場があった。
それも住んでいる場所から歩いて5分のところにだ。
なあんだよ。考えてみりゃ、街に歩いて出るときの近道のところじゃないか。
いつも工場の中をその開きっぱなしの窓から覗いては何かとんでもなくメカニックな作業と洗剤というより薬品のような臭いに秘密基地の内部を見ているような感覚を覚えていた。
工場なので明日の午後三時に仕上がると言う。
頼んだついでに会員カードを作ると割引券を九枚くれた。
若い店員は念を押すようにもう一度言った。
「お急ぎですよね」
「遅くても4時までに仕上げて欲しいんですよ…」
分かりましたと言う若い店員はおそらくボクがクリスマスのパーティか、デートで着用すると思っているのだろう。
お姉さん、ちと違うのだな。
ステージ衣装なんだよね。上下黒で統一してちょっとアクセントに銀のネックレスでもしてみるつもりさ。
その前夜、いま眠れずにぼんやりとしている。
ボクは明日、上手く歌えなくてもいいと思っている。
そういうことじゃないような気がしている。
今年に入って突然、ボクの描いていた思いが具現化した。
牧師先生からのゴーサインをもとに素晴らしいスタッフが組まれた。
まだ10人ほどのメンバーだけれど驚くほどみんなの集中力は長けていて一体感と技術は日を追うごとに成長している。
ボクは上手くいえないけれどこのクリスマス・コンサートをやることに大きな意味があるような気がしてならない…。
上手く歌えなくても、音をはずして失敗しても、そのステージでボクらが本当に喜んで歌い切れたら引き換えに大きなプレゼントが貰えるような気がするのだ。
たかだか始まって四ヶ月…個人的にいろんな葛藤もあった。
なんの気負いもなくボクは、たぶんにボクたち10人は明日のコンサートに立つのだ。
まともにテナーの音が取れない曲もある。
まだ歌詞が覚えられていない。
しかも六曲、身体に喉にインパクトが強すぎるのだ。
ペットボトルの水は絶対に欠かせないのだ。
その前夜…。