Cinema Collection

2007/12/19(水)12:55

★善き人のためのソナタ<2006>★

2007年鑑賞映画(105)

DAS LEBEN DER ANDEREN THE LIVES OF OTHERS この曲を本気で聴いた者は、 悪人になれない 【解説】 旧東ドイツで反体制派への監視を大規模に行っていた 秘密警察“シュタージ”。本作はこのシュタージ側の 人間を主人公に、統一後も旧東ドイツ市民の心に 深く影を落とす“監視国家”の実態を明らかにすると ともに、芸術家の監視を命じられた主人公が図らずも 監視対象の考え方や生き方に影響を受け、 新たな人生に目覚めてしまう姿を静謐なタッチで リアルに描き出す感動のヒューマン・ドラマ。 主演は自身も監視された過去を持つ東ドイツ出身 のウルリッヒ・ミューエ。 監督はこれが長編第1作目となる弱冠33歳の新鋭 フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク。 【ストーリー】 1984年、壁崩壊前の東ベルリン。国家保安省(シュタージ)の 局員ヴィースラー大尉は国家に忠誠を誓う真面目で優秀な男。 ある日彼は、反体制的疑いのある劇作家ドライマンとその 同棲相手の舞台女優クリスタを監視し、反体制の証拠を 掴むよう命じられる。さっそくドライマンのアパートには 盗聴器が仕掛けられ、ヴィースラーは徹底した監視を開始する。 しかし、音楽や文学を語り合い、深く愛し合う彼らの世界に ヴィースラーは知らず知らずのうちに共鳴していくのだった。 そして、ドライマンがピアノで弾いた“善き人のためのソナタ” という曲を耳にした時、ヴィースラーの心は激しく揺さぶられて しまうのだったが…。 【感想】 () はかなりのネタばれだと思いますので 反転して下さいね 公開時に観に行きたくて見に行けず、やっとWOWOWで 観れました。あまりにも見たかった気持ちが強すぎたせいか 期待感が大きすぎたせいか、最初はとても地味な感じがして 淡々としていたのですが、ヴィースラー大尉に変化が 生じてきたあたりから緊迫感も出てきて、面白くなってきました ドイツの恐ろしい時代=ヒトラーがすぐ浮かんで しまうのですが冷戦下の東ドイツの時代の監視国家が、 これほど恐ろしいものだっだとは全く知りませんでした ベルリンの壁の崩壊までの東西分裂からの40年の間に (映画で描かれているのは5年前からですが) 才能のある芸術家がどんどん殺されていったのでしょうね。 (実際に殺されるというのではなくて、才能を壊されると言う意味で) もちろん一般の市民も誰に心を許していいかわからず 不安で恐ろしい毎日だったと思います。。。 その恐ろしい監視国家の時代のシュタージの 局員ヴィースラー大尉は国家に忠誠を誓い、自分の任務を 忠実にこなしているわけですが、反体制の疑いのある劇作家 ドライマンと女優のクリスタを監視下に置き、盗聴をすること になって、二人の愛にあふれた生活、自由な発想、思想に 触れ、今までの彼の世界観みたいなものが徐々に崩れていきます。 ですが、演じるウルリッヒ・ミューエは、オーバーな演技でそれを 表すのではなく、目の動きやちょっとした表情で少しづつ 表していって、あまり感情の起伏を見せないのですが それが、秀逸なラストの彼の表情につながっていると思いました 今までは仕事以外はなにも興味がなかったヴィースラ-が、 ドライマンの本(ブレヒト)をこっそり盗んで(借りて?) 笑みを浮かべてを読んだり、ドライマンとクリスタの愛に憧れ?て 娼婦を呼んだり(^^;)・・・とロボットみたいに感情がなかった ヴィースラーに人間らしい感情が出てきて・・・そして、彼の中で 確実に何かが壊れた?変わったと感じたのが ドライマンが「善き人のソナタ」をピアノで弾いて それを聞いている時の表情を見た時でした。 途中からは、ドライマンとクリスタの愛を見守り? 彼らを庇う行動をするヴィースラーにいつか シュタージにばれるんではないかと自分がヴィースラーに なったかのように(笑)ドキドキハラハラでした・・・ そしてラスト近くで衝撃的な事件(クリスタの自殺)が起こり・・・ これが私にはちょっと意外で驚いたのですが。。。 結局、ヴィースラー大尉の裏切りは上司の知る所となり 彼は地下で20年間の封書開封の仕事の罰を受ける わけですが、4年後にベルリンの壁が崩壊されて 彼は解放されます。 そこで終わり・・・ではなく、ここから少しお話が続いて 秀逸なラストになります。 ラスト・・・ドライマンが新しく書いた本「善き人のためのソナタ」を 手に取ると、そこには「HGW XX/7に 贈る」と言う献司に涙 そして、お店の人が「包装しますか?」と聞くと 「いいえ、わたしのための本ですから」と 瞳を輝かせて、誇らしげに言うヴィースラーのシーンに 涙涙 ヒューマンドラマでありながら、スリルとサスペンスもあり ラストも素晴らしくて、余韻の残る映画でした <ドライマン(ブラックブックにも出ていたセバスチャンコッホ)と クリスタ(マーサの幸せのレシピのマルティナゲデック)> キャストはドライマン、クリスタ、他の役者さんもそれぞれに 個性的で、存在感があって、適役で、中でも ヴィースラー役のウルリッヒ・ミューエの演技は素晴らしく アカデミー賞の外国語映画賞に輝き、彼自身も いろいろな男優賞をとっており、これからが 楽しみでもある俳優さんでしたのに、今年の7月に 亡くなられたと聞いて(WOWOWのアナウンサーから) とても驚きました それを聞いてからこの映画を見たので 余計に感慨深いものがあったのかもしれません ウルリッヒ・ミューエさんのご冥福をお祈り 致します。。。

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