2008/05/05(月)16:23
★ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(2007)★
THERE WILL BE BLOOD
欲望と言う名の黒い血が
彼を《怪物》に変えていく…。
上映時間 158分
製作国 アメリカ
公開情報 劇場公開(ディズニー)
初公開年月 2008/04/26
ジャンル ドラマ
映倫 PG-12
【解説】
「マグノリア」「パンチドランク・ラブ」の
ポール・トーマス・アンダーソン監督が
名優ダニエル・デイ=ルイスを主演に迎え、
石油を掘り当てアメリカンドリームを実現した
男の欲望と裏切りの人生模様を骨太に描く一大叙事詩。
原作は、シカゴの精肉業界の実態をあぶりだした『ジャングル』
などで知られる社会派作家アプトン・シンクレアが27年に
発表した『石油!』。ダニエル・デイ=ルイスは本作の演技で
全米の映画賞を席巻、アカデミー賞でもみごと主演男優賞に輝いた。
【ストーリー】
20世紀初頭。一攫千金を夢見る山師の男ダニエル・プレインヴュー。
孤児を拾って自分の息子H.W.として連れ歩く彼は、ある日ポールと
いう青年から自分の故郷の土地に油田があるはずだとの情報を得て、
西部の町リトル・ボストンへと向かう。そして、すぐさま土地の買い占めに
乗り出す。そんな中、ポールの双子の兄弟で住人の信頼を一手に
集めるカリスマ牧師イーライが、ダニエルへの警戒を強めていく。
【感想】
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アイムノットゼアーもこの作品も観たい!でも、上映時間が
どちらも長いので、1日2本は主婦としては無理(T^T)
どちらか迷った末に、ダニエルデイルイスの演技に惹かれて
この作品を観に行ってきました^^
ちなみにこの監督(略してPTAって言われてるんですね・笑)
の作品は初めての私です(^^ゞ
最初の20分くらいかな?不安を煽るような不協和音の音楽と
台詞がない(声は発していますが)ダニエルデイルイスの演技と
殺風景な荒野の風景に、これから恐ろしいことが起こるんじゃあないかと
オープニングからなんかドキドキして緊張して見入っていました・・・
鉱山労働者から、石油を堀当て、石油王にまで
上りつめた、冷酷で、強欲で、誰も信じず、富を得ることだけが
生きがいとも言えた、主人公のダニエルプレインビューの人生を
圧倒的な迫力で演じていたダニエルデイルイスに
最後までひっぱられて観ていったと言う映画でした・・・・
監督がダニエルが引き受けてくれなかったら
この作品はできなかったであろうとパンフに
書いてありましたが、私もダニエルの演技があって
こその作品だと感じました。
<胡散臭いカリスマ牧師のイーライ>
一方、プレインビューの宿敵になる、振興宗教の
カリスマ牧師のイーライを演じたポール・ダノ・・・
どこかで見たんだけど・・・・
と思ったら、リトルミスサンシャインに出ていた
ニーチェ好きの変わったおにいちゃんでした(笑)
今回も、一見普通で穏やかに見えながらも
ひとたび教会の壇上に立つと人が変わったようになり
人々の心を捉えてしまうと言うカリスマ宗教家を
好演していて、ダニエル相手にかなり頑張っていました
以下ネタバレになっています
プレインビューのような人間(怪物のようであり、悪魔のようでもある)
には、勿論感情移入はできないのですが・・・
彼の弟だと現れた人間が実は嘘者だったとわかり、
裏切られたと知った時に偽の弟を殺さなければ
気がすまないほどの怒り・・・
今まで育ててきた孤児のHWが独立をすると言ってきた時に
裏切られたと思って、お前なんか孤児で
愛情なんかなかったとののしるプレインビューの怒り・・・
そこに彼の寂しさや孤独を感じてしまいました
本当は信頼できる人間が家族が欲しかったのでは
ないでしょうか・・・
彼がどうしてこのような人間になってしまったかが
描かれていないのでハッキリとしたことは
わかりませんが・・・
<オープニングで、鉱山労働者の時に、穴に落ちて
死にそうな目にあって誰にも助けてもらえず
・・・と言うシーンはありました・・・>
<この親子関係は本物だと信じたい>
プレインビューは 極悪非道とも言える人間でしたが、
私が心から彼を嫌いになれなかったのは、
電車のシーンで赤ちゃんの時のHWを見る彼の目が
やさしかったから・・・
息子のHWが爆発にあった時に息子を抱きして
なだめる彼を見たから・・・・
商談を有利にするのためにだけHWを育てたのでは
ないと思いたいです。。。
<このシーンはドキドキものでした。いっそうイーライへの
憎しみを増して行くプレインビュー・彼が『パイプライン』と
つぶやくところでは、なぜか場内に笑いが・・・>
ラストは私にとっては衝撃でした。
イーライに向けられたプレインビューの憎悪、
怒りは映画のシーンにあった石油採掘場の
爆発シーンと重なるほどすさまじいもので、
観ていてぞっとしました怖かったです(T^T)
そしてイーライから流れ出てくるどす黒い血は、地中から沁み出て
くる石油を連想させました。
<プレインビューのイーライへの憎しみを、怒りの爆発を
思わせる採掘場の爆発シーン>
ラスト「終わった」と言ったプレインビューの言葉は
イーライとの対決(復讐)に決着が着いたと
言う意味なのでしょうか?
それとも自分の人生も終わったと言うこと
なのでしょうか?
富も権力も得て念願の豪邸も手に入れた
プレインビューでしたが、少しも幸せそうには
見えませんでした。。。
娯楽作品が好きな私にとってはノーカントリーも
難しい映画でしたが、こちらもまた違った意味で
難しい映画でした。
重厚な小説を読んだ後のようで、読んだ(観た)達成感も
ありましたが、疲れました
面白かった、楽しかったとは言えない映画ですが、
オスカーを獲ったダニエルの演技で158分飽きることは
なかったです
万人向きの映画ではありませんが、私は嫌いでは
ない作品です。でも、ダニエルが演じていたから、
嫌いじゃない作品になっているのかもしれませんが(^^ゞ
ちなみに観客層の年代は幅広く、特に5、60代の
夫婦も多く私の左隣のおばあちゃんはこっくり
していましたし、右隣のおじいちゃんは
4回もトイレに行ってました(ーー;)
また斜め前のおばあちゃん?おばさん?は
ラスト前に帰りました(¨;)
4月26日(土)から公開中
<パンフレット¥600クリックで公式サイトへ>
20世紀初頭のカリフォルニアで始った石油採掘ラッシュ。
石油ーそれは、欲望と言う名の《黒き血》だった・・・。
オマケ(パンフレットより)
クライマックスに出てくる館は、ロサンゼルスにある有名な
グレイストーン邸で撮影されたそうです。
・・・この館は奇遇にも、1920年代かの石油王エドワード・ドニヒー
により、46,000平方フィートの敷地に55部屋を湛えるこの館に
一度も暮らすことなく死んだ(他殺とも自殺とも言われる)息子のために
建てられたもの。地下室には取り壊されてはいたが本当に個人のための
ボーリング場があり、それがフィクスの手によって見事に
蘇ったのである。・・・