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涼子からの手紙

平成18年3月9日に亡くなった教え子・涼子(36才、二児の母)の遺作
 
遺作

 人、一人が生きるということ。
 
 つらくて、くるしくて、かなしくて、はらだたしくて、

 それでも 生きていたい と こころのそこから おもう

 とりたてて すごい ことを するわけではない

 世の まれびと うまびと と おもわれたいわけでもない

 わたしの いのち を わがこ に つたえたい

 いのち の ほむすび が きえゆこうとする そのときも

 わたしの 愛する人のことだけを おもう

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  涼子は
  自分の命がもう長くないことを知り
  自分がこの世からいなくなって
  自分に供えてもらうための
  お茶碗 と 
  湯飲み を
  自分で
  作った、、、

  そのかたわらで
  ぼくは

  線香立てを

  つくった

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 昨年の10月、20年ぶりに北アルプス穂高岳に登った。
3000mの稜線に立つと、携帯電話の電波も届く。
なにものをも圧倒する槍ヶ岳と手前につらなる大キレット。
雄大な景色を堪能しながら、
写メールを送ったり、メールチェックをしたり、、、
しなければよかったのに、、、

一通のメールが入っていた。涼子からだった。

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先生、私末期ガンだって。
昨夜資料読んでて知った。
医師からは、ステージ3b期とは聞いてたの。
でも次の4期でもう無いの。
後は、全身転移しか無いよ。
3だから4も5もあると思ってた。
何かものすごいショックです。
何でも食べられるのに。
ウーン、ショックだよ。

先生、山に行ってたんですね。
私は、麻薬の練習でゲェーゲェーやってます。
とにかく体がしんどいよ。
一回飲んで三日苦しんだの。
今日は、薬が抜けたのか少しましです。
丁度良い時に写真が見れました。
この写真を見て、何だかスカッーとしました。

先生、もう若く無いんですよ、体大丈夫ですか?
あまり無理しないでくださいね!
気をつけて帰って来てくださいね。

写メール有り難う御座いました、
何だか元気出ましたよ!

<平成17年10月18日>
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