毎日大変生活

２年前、１６年間、家族として暮してきた愛犬が亡くなった。名前をバービーという。

子犬の時に公園でひらった。

バービーは、
当時幼稚園だった子供たちと一緒に大きくなった。

子供と一緒に遊び、
子供の涙をなめてくれ、
家出した子供に犬小屋を提供していた。

私は、バービーといつも話していた。
私の足元にいつもいた。

亡くなる前は、
立つことも出来なかったけど、
けなげにおトイレだけは知らせてくれて、
自分で行きたがった。

私は、居間でバービーの横で寝る生活だった。
「クゥ～～ン、クゥ～～ン」
といえばおトイレ。

胴体を持ち上げてやると、足を動かして、歩く。

痛いのだろう、ずっと鳴き続けた。
その度に体をさすってやった。

足がむくんでパンパンだった。
下から上にマッサージすると、
元のバービーの足になった。

朝の５時半。
歩けないはずなのに、
私のお布団までやってきて、大きく鳴いて、吐いた。

そして、私の胸の中で、
私を見つめながら、息を引き取った。

娘が帰ってきたときは、冷たくなりかかっていた。
まだ、脇の下が温かいよ。
そう言って、二人で、体をさすった。

二人で、温かいところを探し回った。

いつも、いつも、一緒にいてくれたバービー。
笑いも涙も、何もかも一緒に分かち合った家族。

お昼過ぎに、東京から息子が急いで帰ってきた。
日曜日だった。
娘も、息子も、私も休みの日だった。

みんなが揃える日まで逝かずに待っていてくれたんだね。
家族一緒に見送って欲しかったんだね。

と話した。


３人で話して、バービーの毛をもらうことにした。

３人は何も言わずに、同じところから毛をもらった。
耳の下の少し長くて、クルクルとカールしている毛。

息子が、市営のペット火葬場に電話した。
そこは、お骨が帰ってこないので、×。

家が大好きだったバービーのために、
ペットの葬儀屋さんに来てもらうことにした。

うちの横に大きなトラックが停まり、
そこで、火葬してもらった。

もう痛くないんだよ。
もう苦しまなくていいからね。

息子。娘。私。と２ｍくらい間隔を置いてトラックの横に
座った。

悲しくて、家族、抱き合って泣くと思っていたのに、
それは、１人ずつの静かな哀悼だった。

熱の揺らぎとなって空に上っていく空気を見つめていた。

ペットの葬儀屋さんは、

「こんなに細くて、こんなに年寄りで、よくがんばって生きていましたね。
葬儀屋をしていると、
大事にされたペット、そうでないペットがよくわかります。
この犬は本当に大事にされ、
又、犬も家族を慕っていたってわかります。
こんな細い骨でこんなに長寿なのは初めて見ました。」

と涙を流された。

家族でお葬式をし、
お骨を自分たちで取り上げた。

一つ残らず、取り上げた。

そして、相談に、相談を重ね、
いつもバービーがいたお気に入りのところに
埋めた。
もう、どこにも行かなくてもいいからね。。


今、息子の友達のペット（エルちゃん）がその場所にいる。

いろんなところを掘り返していたけど、
バービーの眠っているところは掘り返さなかった。

でも、昨日、見たら、
そこだけ、鋭角に掘り返し、骨壷から、
バービーの骨が表に出ていた。

娘と私は、炎天下、
掘り起こされた土の中から、
バービーの白い骨を捜し集めた。

細い細い骨だった。
二人で泣きながら、集めた。

もう、お盆やから、外に出たかったんかもしれないね。

骨は他の人にとっては気持ちの悪いものかも知れない。

でも、私たちにとって、
それは、まさしく、バービーそのものだった。

バービー、ちゃんと、みんな、覚えているよ。



元気になり始めた私と又一緒に生きていてくれるような気がした。
ありがとう。バービー。

もう泣かないから、見ていてね。