自分を映す"鏡"
自分を映す"鏡"私たちは、とかく比較相対をして物事を判断し、あれが好きだ、これが嫌いだと、選り好みをしてしまいます。しかし、死の世界というものを考えてみますと、そこにはそのような相対的な価値判断は存在しません。「涅槃」ということには、相対的なものの見方を滅して、絶対的な見方ができるようになるという意味もあるのではないかと、私は思います。身近な問題で考えますと、私たちは人間同士、好きな人、嫌いな人がいます。しかし、よく見ますと、嫌いな人ほど自分と似ているところが多いものです。よく似ているからこそ、その悪いところも分かり、嫌いになってしまう。嫌いな人は自分を映す"鏡"であるとも言われます。ですから、選り好みをしないで、嫌いな人からこそ、自分というものをよく学ばさせて頂こうという気持ちになりますと、その人を尊重することができ、そこに調和というものが生まれてまいります。そのように、自らが無我になり、無私になって、選り好みをせずに絶対的なものの見方をしていくということが、「涅槃」に通じるのだと私は思います。『佼成新聞』より