032457 ランダム
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龍刀【朧火】製作所

序章【日常】

1部【朝のできごと】



「あーついてねぇ!!」

まわりの視線が気になるがそんな事気にする間もなく
一人の女の子の手を引いて
生徒達の間で[地獄への架け橋]と呼ばれている
風波高等学校の校門へとつづく坂を
浜崎 当麻(はまさき とうま)は猛ダッシュで駆け上がる。

後方で他校の不良と思われる男たち七人が何やら
罵声を発しながらおっかない顔をして追ってくる。

「ハァ、ハァあぁしつけぇな!」


何故当麻がこの状態に冒されているかと言うと・・・・







6月27日(夏)
冷房の効いた電車を降りることをためらったが
当麻は夏の暑さに身をさらすように電車を降りた。

ミーン ミーン

「あぁ暑ぃ!あちい!ベリーホット!!」

セミの鳴き声が耳障りな中
一人で叫びながら[学校]という勉強の名の下
何百人もの生徒を監禁する建造物に行くために
改札へと向かう。

「あぁ面倒くせぇ!何でこんな暑い日に行きたくもない学校へ
行かなきゃならんのだ!」

誰に話しかける訳でもないがこうでもしないと
この暑さに気が滅入りそうになる。

「あぁこんな日には冷房の効いた部屋で、モンスターハンター
でもやって一日を過ごすってのがベストなのによぉ、はぁ~」

モンスターハンターとはカプコンから
発売されたハンティングゲームの事で
そのゲームにすっかりハマってしまった当麻としては
さっさと学校で勉強を終わらせて帰りたいのだった。

「あぁ将の奴はもうリオレウスと戦えるとこまで
行ってんのにオレはまだイャンクックすら狩れないなんて・・・
はぁ~」

将とは当麻の親友で本名は浅村 将
当麻と同じくモンスターハンターにハマっている
クラスメイトである。


そんな事をぼやきながら改札をくぐると
目の前に7~8人の他校の不良と思われる
集団が改札の前で何やらたむろしている。

(はぁ~こんな暑い日にあんなに密集しちゃって
見てるこっちが暑苦しい!!)

そんなことを考えていると集団の中の一人が叫んだ

「おい!てめぇ喧嘩売ってんのか!?今何て言った!」

当麻は少し気になり様子を見てみることにする

(何叫んでんだコイツ?暑さで頭がイカレたか?)


その集団の中に取り囲まれるように
一人の風波高校(通称風高)の制服を着た
肩まである茶色い髪に凛とした表情の女の子が立っていた

「おい!聞いてんのかこのアマ!」

その女の子は表情を変えずに言い放った

「聞いてるよ、うっさいわねぇもう一度聞きたいなら一度と言わず
何度でも言ってやるわよ!
こんな暑い日に改札の前で密集して
見てるこっちが暑苦しい!ぶっちゃけ邪魔!」

当麻は顔に似合わず
神経は図太そうな女の子を見て思った


(うわぁこの女の子思ってることそのまま口に出す
タイプだぁ、安全第一!ココは関わらないでさっさと学校行こうっと)


そう思いそ~っと足早にその場から離れようとすると
今まさに踏み出さんとしている足の下に
こんなギャグでも初歩的すぎて誰も使わないようなオチが
待っていった。

(こ、これはバナナの皮ぁ!?なんでこんな所にぃ~~~!!)
とっさに避けようとするがもう間に合わない。

つるん

(あぁコケルうぅぅぅぅ!!)

と当麻は思ったが何故かこけない
こけずにバナナの皮でスケートをするように滑っている

「おーオレって天才?」
と口に出した瞬間

ズドン!
「うお」
「ぎゃ」
「ぐが!」
「うわ!」

何かに激突してこけた後
何人かの奇声が聞こえた気がした。

「イッテェ~やっぱ天才じゃねぇや、オレ」

と、立ち上がるため上を見上げると
さっきまであの暑苦しい集団に囲まれてた女の子が
怪訝そうな顔でこっちを見ている。

「あ、アレ?」

まわりを見渡すとさっきの集団の何人かが
道に転がっていた。

(も、もしかしてとんでもない事しちゃったりしたのかな
ボクチン)

そして転がっている何人かが立ち上がりコチラを何やら
おっかない顔で見ている。

「やっべぇ・・・・」

とっさに怪訝そうな表情を崩さない女の子の手を引いて
走り出す。

「あぁオレってついてねぇ~!!!」

そうして当麻の騒がしい一日が始まりを迎える・・・・


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2部【ゴリポンの鉄鎚】


うだる暑さの中、当麻は脱兎の如く走り続ける・・・・

「ゼェはぁゼェはぁ、や、やべぇそろそろ体力が」

(くそ!何であんな所にバナナの皮があるんだ!
あの日、あの時、あの場所でバナナ食って尚且つ皮を
捨てた奴を一生呪ってやるぅぅ!)



そんな事を考えつつ後ろを見ると
「ぶっ殺す!」とか「全裸にして大通りの電柱に縛り付ける!」
などハレンチ極まりない言葉を発してる輩と、
一緒に、しかも同スピードで走っているのに
汗一つかかず涼しげな顔の我が不幸のもともとの原因の
物体A(女の子)の姿が見えた。



(何故物体Aは体力限界なオレに比べ息一つ切らしていないのか
気になるが今はすぐそこまで迫っている
不良集団から逃れる方が先決だ!)


「はっ!アレはもしや校門!?」


間近に迫る不良とあと少しでたどり着ける校門
そこにわずかな希望を抱き全力疾走する。

「のおおおおああああああぁ~!!!」


当麻は一気に校内へと飛び込むとゆっくりと走るのを止め
不良達の方を見て微笑した。


「はぁ、はぁ、ふっふっふ不良ども!貴様らはこの校内には
入ることなどできないのだよ!何故ならば!!」


そんなこと聴く気もない不良達は校内へなだれ込もうとする
だがしかしその不良たちは校門前の一対の巨体によって
はじかれる。

そしてその巨体は静かに口を開いた

「我が校に何か用かね?」

図太い声とその巨体の放つオーラは凄まじかった。
だが怯えながらも一人の不良が言った。


「う、うるせぇ!テメェの後ろの奴に用があんだ!
部外者は引っ込んでろ!」


その巨体はチラッと当麻の方を見た

「このバカがまた何かやらかしたんですか?」

この巨体は風波高校の教員で
通称ゴリポン
本名は野毛山 徳(のげやま のぼる)
身長は2メートル弱
ゴツイ体に体育教師
校門で遅刻の者にはグラウンドを走らせ
部外者は断固拒絶する
ゴリポンの異名は[鉄壁のコングマウンテン]。


当麻は一瞬肩をビクッとさせ恐る恐る言った。

「い、いやチョットこけてそいつらにぶつかっちまったんだよ」


ゴリポンは呆れたような表情でこっちを見て
大きなため息をした後言った


「え~と、まぁアレだよ!イキナリ向こうキレちゃって
謝る暇なかったんだな~これが♪」


ゴリポンの眉間がピクッと動いた


「こんのバカ者!それはお前が悪い、今すぐ謝れ!」

「わ、わかったよ・・・すみませんでした・・・」


不良達はあっけらかんとして
ふと我に戻ったかのように叫んだ。


「ふ、ふざけんな!そんなんで済まされると思ってんのか!」


当麻はゴリポンを見上げて言った


「済まされないそうです・・・・」


ゴリポンは不良に視線を戻した


「じゃあどうしたらいいんだ?」


不良は嘲笑して


「そーだなボッコボコだ!でなきゃ気がすまねぇ!」


ゴリポンも嘲笑し、つぶやいた


「ボコボコにすれば帰ってくれるんだな?よーしいいだろう!」


ゴリポンは指をボキボキ鳴らしながら不良達に近づいていく


「え?お、おいちょっと待てよ!ボコボコにすんのはオレじゃなくてあっちだっぎゃあああああ!!!」


(あーあ可哀想に、まぁオレの知ったこっちゃないけどなぁ
さっさと教室にいこ~っと)


当麻は苦笑いし下駄箱のある所へ向かって歩き出したが
その時。

ゴスッ!

凄まじい音と共に頭に激痛がほとばしる

「イッテェ~~!!な、なんだ~?」

「イッテェ~じゃないわよ、アンタあたしをここまで
引っ張りまわしてしまいには無視する気!?」

そこにはさっきまで坂を一緒に駆け上がってきた
あの女の子がいた。


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3部【物体Aと悪友】


当麻は頭をおさえながら目の前の女の子にむかって
叫んでいた。

「だ、だからってそのいかにも物を無理やり押し込んで
尚且つ!硬そうなバックで後頭部殴んなくても
ちょっと待ってそこのお兄さんってやさしく
語りかけるぐらいしろや!物体A!」

「へぇ~精一杯やさしく殴ったつもりだったんだけど?」

まだジンジンする頭をおさえて当麻は
力の限り反論する


「まず殴る強さがどのって言ってる時点で
根本的にちがってるじゃねぇか!」

そんな事を言い争っているうちに当麻はふと
思った。


(あ、あぁ!!なるほど!そういう事か!そうかそうか!
もしかしてコイツオレに、「あのおっかない不良達から
私を助けてくださってありがとう!」っと言いたいのに
自分の性格故になかなか不器用で
素直になれないようなアル意味萌える不器用なタイプの女の子?
そぉかじゃあコッチが素直に受け入れてやればいいんだな?)

「そぉか物体A!お前の気持ちはよ~~~っく分かった!」

「は?」

「だけどな、お礼なんかいらないぜ!まぁオレの心の中で
熱く燃えている善意って奴がさ、見過ごせなかった
だけなのだからぁ!」

(ふっ我ながら決まったぜ!)

そんな事を思っていた瞬間
バックという名の凶器が顔面めがけて飛んできた。
ギリギリのところで避けるが
髪の毛に微妙にカスった。

「あ、危ねぇな物体Aお礼をされる筋合いはあっても
もう一発殴られる筋合いはねぇぞ!」

「さっきっから何?人の事物体呼ばわりして
更にはお礼はいらない?、ふざけんじゃないわよ
アタシが言いたいのはねその逆!」

「ぎゃく~?」

「そう!人の喧嘩に勝手に割り込んできて
人の事勝手にここまで引っ張ってきて終いには礼はいらいない?
あの喧嘩、逃げたことでアタシのプライドがズタズタよ!」

当麻はその無茶苦茶な理由に
段々腹が立ってきた。


「お、おいヒデェな!善意ってのは嘘だけど
身を挺して助けたのは事実だぞ!それなのに
なんでオレが責められなきゃならねぇんだ」

その女の子は間髪いれずに
言い返してきた

「うるさい!黙れ!だいたい物体Aって何?
アタシの名前は棗 聡美(なつめ さとみ)
物体A何て名前じゃないわよ!」

「あ~?聞こえんなぁ何だって?私の名前は
物体Aです?あぁ知ってるとも!」

当麻もいい加減キレていた
と、そこへ不良達をボコボコにしてきた
ゴリポンがやってきた。

「まぁまぁ2人とも!仲良くいこうじゃないか
折角のお天と様も泣いてるぞ~」

ゴリポンは当麻の制服をつかんで
ズルズル引きずるように歩いていく

「お、おいゴリポン!離せ!まだ話がぁ~~」

ズリズリ
まだ尚も引きずられる当麻

ハッハッハッハ!と言いながら当麻はそのまま
ゴリポンに引きずられながら教室まで連れて行かれた。

「い、一体何なんだよアイツ!!」

一人残された聡美はバッカヤローと
周りの視線も気にせず大声で叫んだ後
自分の教室へと向かっていった。

~数時間後教室にて~

今ようやくホームルームが終わり
放課後となった頃、当麻は一人
今日の学校もようやく終わりを迎えたことへの
喜びを噛み締めていた。

「はぁ終わった~!さぁささっと家に帰って
モンスターハンターだぁい!」

そこへ人の帰りを邪魔する
悪魔がやってきた

「お~い、はまやん!」

人の事を変なあだ名で呼ぶ
親友・・・ってぇのも何か気持ち悪いからこう表現しよう
一応友達の浅村 将(あさむら しょう)がやってきた

「おいおい、はまやん!今日暇か?この世にな
渋谷という女の子がワンサカいる楽園があるらしいのだ!
今日二人でその楽園のエンジェル達をナンパしに
いかないか~い?」

少々興味がある話だがこんな暑い日に
渋谷まで行く気にならない当麻は
将に向かって叫んだ


「だぁー!うるせぇ!今日は家でモンスターハンターやる日と
朝起きた時に決めたんだ!」

将は心底残念そうな顔をしたと思ったら
急に顔をパッと輝かせて言った

「はぁ~仕方がない、今日ははまやんの家で
モンスターハンターでも一緒にやるかぁ」

「お、おい!何勝手に決めてんだよ!」

「まぁまぁイイじゃない、ここは大目に見てよ~、それに
明日は休日だし今日ははまやんの家に泊まることにしよう!
そう決めた!」

当麻は断ろうとしたが間髪いれずに
将が言った。

「はまやん一人暮らしなんだからさぁ
別に親の了解を得なくともいいじゃん、な?♪」

たしかに当麻は一人暮らしで
両親は仕事で東京の方に住んでいる
だがあんまり気乗りしない

(でもコイツ首を縦に振らないと
結局一晩中人の家のドアをノックし続けて
「入れてくれぇ~はまやん~!」
とか言いながら泣き叫ぶんだろおなぁ、現に一回あったし・・・)


「はぁ~分かったよ、けどオレがリオレウス討伐するまで
一切お前にはやらせないからな」

「そ、そんなぁ~」

こうして二人は約束を交わした
自分達に降りかかる不幸への第一歩とも知らずに・・・・

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~あとがき~
ちわ~ヨーグルトでっす、いやぁ小説書くのって
しんどいですなぁ~
しかもこれだけ書いているのに今だモンスターハンターに
あまり関わりがないときたw
しかし今回で序章は終わり!
次章からはモンスターハンターと深く関わって
くるので楽しみにまっててくだせい!

でわこの辺で~

see you next time♪バイバ~イ





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