序章【日常】1部【朝のできごと】「あーついてねぇ!!」 まわりの視線が気になるがそんな事気にする間もなく 一人の女の子の手を引いて 生徒達の間で[地獄への架け橋]と呼ばれている 風波高等学校の校門へとつづく坂を 浜崎 当麻(はまさき とうま)は猛ダッシュで駆け上がる。 後方で他校の不良と思われる男たち七人が何やら 罵声を発しながらおっかない顔をして追ってくる。 「ハァ、ハァあぁしつけぇな!」 何故当麻がこの状態に冒されているかと言うと・・・・ 6月27日(夏) 冷房の効いた電車を降りることをためらったが 当麻は夏の暑さに身をさらすように電車を降りた。 ミーン ミーン 「あぁ暑ぃ!あちい!ベリーホット!!」 セミの鳴き声が耳障りな中 一人で叫びながら[学校]という勉強の名の下 何百人もの生徒を監禁する建造物に行くために 改札へと向かう。 「あぁ面倒くせぇ!何でこんな暑い日に行きたくもない学校へ 行かなきゃならんのだ!」 誰に話しかける訳でもないがこうでもしないと この暑さに気が滅入りそうになる。 「あぁこんな日には冷房の効いた部屋で、モンスターハンター でもやって一日を過ごすってのがベストなのによぉ、はぁ~」 モンスターハンターとはカプコンから 発売されたハンティングゲームの事で そのゲームにすっかりハマってしまった当麻としては さっさと学校で勉強を終わらせて帰りたいのだった。 「あぁ将の奴はもうリオレウスと戦えるとこまで 行ってんのにオレはまだイャンクックすら狩れないなんて・・・ はぁ~」 将とは当麻の親友で本名は浅村 将 当麻と同じくモンスターハンターにハマっている クラスメイトである。 そんな事をぼやきながら改札をくぐると 目の前に7~8人の他校の不良と思われる 集団が改札の前で何やらたむろしている。 (はぁ~こんな暑い日にあんなに密集しちゃって 見てるこっちが暑苦しい!!) そんなことを考えていると集団の中の一人が叫んだ 「おい!てめぇ喧嘩売ってんのか!?今何て言った!」 当麻は少し気になり様子を見てみることにする (何叫んでんだコイツ?暑さで頭がイカレたか?) その集団の中に取り囲まれるように 一人の風波高校(通称風高)の制服を着た 肩まである茶色い髪に凛とした表情の女の子が立っていた 「おい!聞いてんのかこのアマ!」 その女の子は表情を変えずに言い放った 「聞いてるよ、うっさいわねぇもう一度聞きたいなら一度と言わず 何度でも言ってやるわよ! こんな暑い日に改札の前で密集して 見てるこっちが暑苦しい!ぶっちゃけ邪魔!」 当麻は顔に似合わず 神経は図太そうな女の子を見て思った (うわぁこの女の子思ってることそのまま口に出す タイプだぁ、安全第一!ココは関わらないでさっさと学校行こうっと) そう思いそ~っと足早にその場から離れようとすると 今まさに踏み出さんとしている足の下に こんなギャグでも初歩的すぎて誰も使わないようなオチが 待っていった。 (こ、これはバナナの皮ぁ!?なんでこんな所にぃ~~~!!) とっさに避けようとするがもう間に合わない。 つるん (あぁコケルうぅぅぅぅ!!) と当麻は思ったが何故かこけない こけずにバナナの皮でスケートをするように滑っている 「おーオレって天才?」 と口に出した瞬間 ズドン! 「うお」 「ぎゃ」 「ぐが!」 「うわ!」 何かに激突してこけた後 何人かの奇声が聞こえた気がした。 「イッテェ~やっぱ天才じゃねぇや、オレ」 と、立ち上がるため上を見上げると さっきまであの暑苦しい集団に囲まれてた女の子が 怪訝そうな顔でこっちを見ている。 「あ、アレ?」 まわりを見渡すとさっきの集団の何人かが 道に転がっていた。 (も、もしかしてとんでもない事しちゃったりしたのかな ボクチン) そして転がっている何人かが立ち上がりコチラを何やら おっかない顔で見ている。 「やっべぇ・・・・」 とっさに怪訝そうな表情を崩さない女の子の手を引いて 走り出す。 「あぁオレってついてねぇ~!!!」 そうして当麻の騒がしい一日が始まりを迎える・・・・ ---------------------------------------------------------------------- 2部【ゴリポンの鉄鎚】 うだる暑さの中、当麻は脱兎の如く走り続ける・・・・ 「ゼェはぁゼェはぁ、や、やべぇそろそろ体力が」 (くそ!何であんな所にバナナの皮があるんだ! あの日、あの時、あの場所でバナナ食って尚且つ皮を 捨てた奴を一生呪ってやるぅぅ!) そんな事を考えつつ後ろを見ると 「ぶっ殺す!」とか「全裸にして大通りの電柱に縛り付ける!」 などハレンチ極まりない言葉を発してる輩と、 一緒に、しかも同スピードで走っているのに 汗一つかかず涼しげな顔の我が不幸のもともとの原因の 物体A(女の子)の姿が見えた。 (何故物体Aは体力限界なオレに比べ息一つ切らしていないのか 気になるが今はすぐそこまで迫っている 不良集団から逃れる方が先決だ!) 「はっ!アレはもしや校門!?」 間近に迫る不良とあと少しでたどり着ける校門 そこにわずかな希望を抱き全力疾走する。 「のおおおおああああああぁ~!!!」 当麻は一気に校内へと飛び込むとゆっくりと走るのを止め 不良達の方を見て微笑した。 「はぁ、はぁ、ふっふっふ不良ども!貴様らはこの校内には 入ることなどできないのだよ!何故ならば!!」 そんなこと聴く気もない不良達は校内へなだれ込もうとする だがしかしその不良たちは校門前の一対の巨体によって はじかれる。 そしてその巨体は静かに口を開いた 「我が校に何か用かね?」 図太い声とその巨体の放つオーラは凄まじかった。 だが怯えながらも一人の不良が言った。 「う、うるせぇ!テメェの後ろの奴に用があんだ! 部外者は引っ込んでろ!」 その巨体はチラッと当麻の方を見た 「このバカがまた何かやらかしたんですか?」 この巨体は風波高校の教員で 通称ゴリポン 本名は野毛山 徳(のげやま のぼる) 身長は2メートル弱 ゴツイ体に体育教師 校門で遅刻の者にはグラウンドを走らせ 部外者は断固拒絶する ゴリポンの異名は[鉄壁のコングマウンテン]。 当麻は一瞬肩をビクッとさせ恐る恐る言った。 「い、いやチョットこけてそいつらにぶつかっちまったんだよ」 ゴリポンは呆れたような表情でこっちを見て 大きなため息をした後言った 「え~と、まぁアレだよ!イキナリ向こうキレちゃって 謝る暇なかったんだな~これが♪」 ゴリポンの眉間がピクッと動いた 「こんのバカ者!それはお前が悪い、今すぐ謝れ!」 「わ、わかったよ・・・すみませんでした・・・」 不良達はあっけらかんとして ふと我に戻ったかのように叫んだ。 「ふ、ふざけんな!そんなんで済まされると思ってんのか!」 当麻はゴリポンを見上げて言った 「済まされないそうです・・・・」 ゴリポンは不良に視線を戻した 「じゃあどうしたらいいんだ?」 不良は嘲笑して 「そーだなボッコボコだ!でなきゃ気がすまねぇ!」 ゴリポンも嘲笑し、つぶやいた 「ボコボコにすれば帰ってくれるんだな?よーしいいだろう!」 ゴリポンは指をボキボキ鳴らしながら不良達に近づいていく 「え?お、おいちょっと待てよ!ボコボコにすんのはオレじゃなくてあっちだっぎゃあああああ!!!」 (あーあ可哀想に、まぁオレの知ったこっちゃないけどなぁ さっさと教室にいこ~っと) 当麻は苦笑いし下駄箱のある所へ向かって歩き出したが その時。 ゴスッ! 凄まじい音と共に頭に激痛がほとばしる 「イッテェ~~!!な、なんだ~?」 「イッテェ~じゃないわよ、アンタあたしをここまで 引っ張りまわしてしまいには無視する気!?」 そこにはさっきまで坂を一緒に駆け上がってきた あの女の子がいた。 ---------------------------------------------------------------------- 3部【物体Aと悪友】 当麻は頭をおさえながら目の前の女の子にむかって 叫んでいた。 「だ、だからってそのいかにも物を無理やり押し込んで 尚且つ!硬そうなバックで後頭部殴んなくても ちょっと待ってそこのお兄さんってやさしく 語りかけるぐらいしろや!物体A!」 「へぇ~精一杯やさしく殴ったつもりだったんだけど?」 まだジンジンする頭をおさえて当麻は 力の限り反論する 「まず殴る強さがどのって言ってる時点で 根本的にちがってるじゃねぇか!」 そんな事を言い争っているうちに当麻はふと 思った。 (あ、あぁ!!なるほど!そういう事か!そうかそうか! もしかしてコイツオレに、「あのおっかない不良達から 私を助けてくださってありがとう!」っと言いたいのに 自分の性格故になかなか不器用で 素直になれないようなアル意味萌える不器用なタイプの女の子? そぉかじゃあコッチが素直に受け入れてやればいいんだな?) 「そぉか物体A!お前の気持ちはよ~~~っく分かった!」 「は?」 「だけどな、お礼なんかいらないぜ!まぁオレの心の中で 熱く燃えている善意って奴がさ、見過ごせなかった だけなのだからぁ!」 (ふっ我ながら決まったぜ!) そんな事を思っていた瞬間 バックという名の凶器が顔面めがけて飛んできた。 ギリギリのところで避けるが 髪の毛に微妙にカスった。 「あ、危ねぇな物体Aお礼をされる筋合いはあっても もう一発殴られる筋合いはねぇぞ!」 「さっきっから何?人の事物体呼ばわりして 更にはお礼はいらない?、ふざけんじゃないわよ アタシが言いたいのはねその逆!」 「ぎゃく~?」 「そう!人の喧嘩に勝手に割り込んできて 人の事勝手にここまで引っ張ってきて終いには礼はいらいない? あの喧嘩、逃げたことでアタシのプライドがズタズタよ!」 当麻はその無茶苦茶な理由に 段々腹が立ってきた。 「お、おいヒデェな!善意ってのは嘘だけど 身を挺して助けたのは事実だぞ!それなのに なんでオレが責められなきゃならねぇんだ」 その女の子は間髪いれずに 言い返してきた 「うるさい!黙れ!だいたい物体Aって何? アタシの名前は棗 聡美(なつめ さとみ) 物体A何て名前じゃないわよ!」 「あ~?聞こえんなぁ何だって?私の名前は 物体Aです?あぁ知ってるとも!」 当麻もいい加減キレていた と、そこへ不良達をボコボコにしてきた ゴリポンがやってきた。 「まぁまぁ2人とも!仲良くいこうじゃないか 折角のお天と様も泣いてるぞ~」 ゴリポンは当麻の制服をつかんで ズルズル引きずるように歩いていく 「お、おいゴリポン!離せ!まだ話がぁ~~」 ズリズリ まだ尚も引きずられる当麻 ハッハッハッハ!と言いながら当麻はそのまま ゴリポンに引きずられながら教室まで連れて行かれた。 「い、一体何なんだよアイツ!!」 一人残された聡美はバッカヤローと 周りの視線も気にせず大声で叫んだ後 自分の教室へと向かっていった。 ~数時間後教室にて~ 今ようやくホームルームが終わり 放課後となった頃、当麻は一人 今日の学校もようやく終わりを迎えたことへの 喜びを噛み締めていた。 「はぁ終わった~!さぁささっと家に帰って モンスターハンターだぁい!」 そこへ人の帰りを邪魔する 悪魔がやってきた 「お~い、はまやん!」 人の事を変なあだ名で呼ぶ 親友・・・ってぇのも何か気持ち悪いからこう表現しよう 一応友達の浅村 将(あさむら しょう)がやってきた 「おいおい、はまやん!今日暇か?この世にな 渋谷という女の子がワンサカいる楽園があるらしいのだ! 今日二人でその楽園のエンジェル達をナンパしに いかないか~い?」 少々興味がある話だがこんな暑い日に 渋谷まで行く気にならない当麻は 将に向かって叫んだ 「だぁー!うるせぇ!今日は家でモンスターハンターやる日と 朝起きた時に決めたんだ!」 将は心底残念そうな顔をしたと思ったら 急に顔をパッと輝かせて言った 「はぁ~仕方がない、今日ははまやんの家で モンスターハンターでも一緒にやるかぁ」 「お、おい!何勝手に決めてんだよ!」 「まぁまぁイイじゃない、ここは大目に見てよ~、それに 明日は休日だし今日ははまやんの家に泊まることにしよう! そう決めた!」 当麻は断ろうとしたが間髪いれずに 将が言った。 「はまやん一人暮らしなんだからさぁ 別に親の了解を得なくともいいじゃん、な?♪」 たしかに当麻は一人暮らしで 両親は仕事で東京の方に住んでいる だがあんまり気乗りしない (でもコイツ首を縦に振らないと 結局一晩中人の家のドアをノックし続けて 「入れてくれぇ~はまやん~!」 とか言いながら泣き叫ぶんだろおなぁ、現に一回あったし・・・) 「はぁ~分かったよ、けどオレがリオレウス討伐するまで 一切お前にはやらせないからな」 「そ、そんなぁ~」 こうして二人は約束を交わした 自分達に降りかかる不幸への第一歩とも知らずに・・・・ ---------------------------------------------------------------------- ~あとがき~ ちわ~ヨーグルトでっす、いやぁ小説書くのって しんどいですなぁ~ しかもこれだけ書いているのに今だモンスターハンターに あまり関わりがないときたw しかし今回で序章は終わり! 次章からはモンスターハンターと深く関わって くるので楽しみにまっててくだせい! でわこの辺で~ see you next time♪バイバ~イ ジャンル別一覧
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