すれ違いざまに、ほんのりと鼻の頭をくすぐった。
かすかだが、確かな存在感。
脳みそのどこかに、確かに刻みこまれた軌跡。
突然巻き起こる、フラッシュバック。
ほんの一瞬の出来事に、
神経がピンとはる。
人の記憶を支配するもの。
それからは逃れられない。
一瞬の、フラッシュバック。
かすかな接触で鮮やかなビジョンが、
眼前に横たわるその瞬間。
少女は息を飲む。
感覚がよみがえる。
どんなに努力しても、
どの引き出しにしまったのかわからなかった記憶。
一瞬にしてカギが開き、
中身が露呈されたその瞬間。
引き出しの場所はまだ曖昧なのに、
中身だけが鮮やかに、あまりにも鮮やかにそこにある。
見ても、聞いても、触れても、
蘇らなかった記憶。
一瞬のうちにベールを脱ぐ過去。
すれ違いざまに、
少女の肩をつかんで離さないかすかな存在感。
■犯罪都市 下北■
なぁに、下北でね、
すれ違ったおにいちゃんが、すってたモノ。
あのニオイ、忘れられないあのニオイ。
アメリカはLAでいやっていうほどかがされたあのニオイ。
日本だと牢屋に入れられちゃうハズなのに、漂ってたあのニオイ。
こわいねぇ、頭スポンジになっちゃうんだよ。
注:あたしはまったくもって健全です。
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