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    小説「旅立ち」・・・・料亭で(2)

祖父は二度結婚をした。その二度の結婚のあいだ中にも、多くの女が周辺にいたと言う。最初の妻は私の父カニムイの母マイツである。マイツは二人の子供を生んで家から追い出されたと父は話した。その祖母の顔を私は知らない。父が少年期のころマイツは帰らぬ人となったからだ。父にはこのマイツのみが唯一の母親であり、後妻をけして母とは認めず、16歳で家を出たっきり、加齢した。この祖母と暮らすようになったのは、私の母が無くなった中学一年から中学三年の夏までである。私の軽率な言動から、祖父母たちは、腹違いの父の妹と一緒に暮らすようになったのだ。父の腹違いの妹の家は、母屋の三番座から部屋続きに建てられていた。

 祖母の名はマンダルといった。私がずうっと「ばあちゃん」と呼び続けてきた人である。マンダルとの間には、私の知る限りでは3人の子が生まれ育った。ところで、祖父イトウヌの子は、この5人だけではない。他の女に産ませた二人の男の子と一人の女の子がいる。父カニムイの腹違いの弟妹である。二人はO村の女との間にもうけた子、一人はH島の女に産ませた男の子である。O村のおじは、私もよく逢っていた。H島のおじには二・三度会ったきりで記憶は朧である。その他の女との間には、子供は出来なかったが、イトウヌのお抱えの女は沢山いたとのことである。もしかしたら、私の記憶の中にある祖父の茶飲み友達(おばあさんたちが多かった)が、その女たちであったのかもしれない。二番座の前の一間廊下で、祖母マンダルの淹れたお茶をそそとして啜り、一方祖父は、五寸程高くなっている座敷で、胡坐をかいて座り、刻みたばこを器用に丸め、長い煙管の先端に埋め込み、それを口をすぼめて吸っていた。

 父カニムイは思い出すように話す。
「じいちゃんの女遊びは、ほとんど病的で、とおちゃんの母マイツもそのために追いだされたようだ。残念でならない。とおちゃんが仏壇を持つようになったら、ばあちゃんの位牌も必ず家の仏壇に入れる。じいちゃんの女遊びのために、せっかくひいじいさんから相続した土地も、こんなに減って200坪になってしまった。とうちゃんの代では財産を取り戻すことも出来なかった。おまえは頑張って、財産を増やしかな生活が出来るようになって欲しい」。ちなみに、昔流に私を呼ぶとすれば「イトウヌ」だそうだ。

代ちゃんが最後の曲で踊ったとき、その間中私は、手のひらが痛くなるほど強く手拍子をして、代ちゃ踊りを凝視した。こんなに美しい代ちゃんをこれまで一度だって見たことがないとまた、思った。そ思いながら、自分の顔や体がだんだん火照っていくのがわかった。踊りは最後のカチャーシーで上がった。車座になって話し込んでいた座がまた崩れ、別の塊がそこここに出来た。割り込んで女たちが騒いだ。その動作と同じくらい話も猥雑になった。一人の女が、おおきなな声で「そこっ!そこっ!!はーっさ、どうして船会社の人はこんなに助平なのかね・・・・・・」と叫ぶと、みなの視線が一点に集中した。これをきっかけに、乱痴気騒ぎとなった。

 用を足しに便所に発ったとき、別の部屋での座興を済ませた代ちゃんとすれ違った。代ちゃんは、擦れ違いざまズボンのポケットに何かをねじ込んだ.確かめるとそれは、数枚の札であった。そういえば代ちゃんは、母親から貰った小金をためて、その中から小遣いをこっそりと私に渡してくれていた。はじめのうちは何か悪いことをしているようで、そのたびに少し沈鬱になったが、回が重なるにつれ、お互いに秘密をもっ快感を味わいはじめていた。代ちゃんから小遣いが貰えるのも、今日が最後だと、心に決めた。

 控え室の襖を少し開け、目で(ありがとう)と合図した。襖を閉めかけたとき、奥の鏡で化粧直しおしていた代ちゃんが、
「えびす亭でまっていて・・・・・」と、振り向きもせずに、小さな声で言った。
歓迎会は、早めに終わり部屋の襖がいっせいに空けられた。が、まだ、酒宴の座は続いていた。二次会に誘われたが断った。部屋の中から総務課長が、
「おい、未成年、発展するなよー」と、人差し指と中指の間に親指を突っ込んで、腕を振り回している。酒宴の座はなおも乱れ、女たちがせいいっぱい色めいて男に絡み付いていた。自分をなくした男たちが女を弄ぶ。昼間の人格がもろくも崩れて行く。しかし、それでいいのだ。人間の人格なんて一つの仮面なんだと、自分に言い聞かせる。仮面でもいいから昼間だけでも、いち人格者でいたいと思う。少なくとも自分はいかなる意味でも、りっぱな人格者であると自認するものよりは、まだ、ましだと思った。
「えびす亭」では、代ちゃんの仕事も終わっていた。舞台化粧のまま普段着(和服)に着替えた代ちゃんが、菊の間で待っていた。つい、一月ほど前までは、中学を卒業してすぐ、踊り子となった代ちゃんと高校へ通うこととなった私は、隔たりのある世界で生きてきた。でも、中学時代から続いている二人の秘密はまだ続いている。今日は、うんと背伸びして堂々と大人の話をしようと考えた。この一ヶ月、私は毎日というほど、艀の船員たちと話し込み、酒を酌み交わし、代ちゃんとのヒソヒソ話の検証に励んだのだ。その度に、大人たちの困惑した顔が返ってきたが、私の執拗さに根負けし酔いの勢いに任せて卑猥な話の虜となっていった。

 部屋に料理と酒を運んできたのは「君ちゃん」という名の女だった。卵形の顔にすべてが容よくおさまっていて別嬪だった。艶のある長い髪を束ね後ろに丸めている。丸い大きな目が特に印象的だった。私は、この女の姿に、淡い郷愁を感じ始めていた。代ちゃんが、
「君ちゃん、たのむわね・・・・・」と言って部屋を出た。その意味を私は即座に理解した。
君ちゃんとの話はあたりさわりのないことだった。話の中によく本船の船長の話がでた。すこし不愉快に思ったが、そのとき私は、君ちゃんに対する不思議な感情の整理をしあぐねていた。(卵型の顔、大きな眼、少し厚めの唇、長く艶やかな髪・・・・・)。私は眼を閉じていた。
「どうしたの・・・・・」と君ちゃんが寄りかかってくる。化粧の濃密な匂いが纏わりついた。
「いや、なんでもない」と答えて、話題を変えた。

その晩、君ちゃんと旅館に行った。旅館の玄関で、私はきっと羞恥で顔が紅潮していたのかもしれない。旅館の小さな窓口から、しわくちゃの顔が突き出て、
「あい、君ちゃん、今日は、船長さんでないの~・・・・・・・二階の5番」と訝しがっていた。5番は
二階の奥にあった。どの部屋にも人がいて、衣擦れや睦言が廊下に充満していた。お互いの声など気にならない様子だ。声は人格の埒外だとでもいうように・・・・・・。
部屋は整然とはしていたが澱んだ空気が充満していた。君ちゃんが(寝ましょうか)と誘ったが、私には、何かが心の片隅に強く居座っていた。
「君ちゃん、こんなかたちで君と会うのは嫌だ」と呟く。
君ちゃんは、あっけに取られて私の顔を覗き込んでいた。わたしは、その時、君ちゃんをとても欲しかった。愛欲を貪りつくしたかったのだ。しかし、そんな私の気持ちを躊躇させるものがあった。心の片隅に強く居座り続けるもの。それは、私の母であった。父カニムイがかつて身請けしたという母であった。君ちゃんは、私の母の過去の姿なのである。

 翌朝、目覚めて離れに行くと、代ちゃんがニヤニヤしながら私の股間の辺りを見ていた。私もニヤニヤしながら、代ちゃんの豊かな乳房の辺りを見返していた。
(おわり)


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Last updated  June 27, 2006 01:58:08 PM



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