カテゴリ:Julieのドラマ
そして、法廷へ 新田 「どうです、先生、勝てそうですか。」 後藤田「さあ、こんなやっかいな裁判は初めてですから。」 新田 「相変わらず頼りにならんね。」 後藤田「全力は尽くします。弁護士として、この裁判に勝ちたいですから。」 新田 「はい」 裁判は始まった。 後藤田「亀井雅美さん、あなたは第一病棟の看護士として、数多くの患者を看取ってきたそうですね。その経験の上で、患者さんが安らかに生を終えるために、一番大切なものは、なんだと思いますか。」 後藤田「新田さんには、家族は居ません。予測されている意識障害が起これば、心の支えを確認する事もできません。それでもあなたは、一日も長く生きろといえますか。」 後藤田「先ほど貴方は一人の人間として、新田さんに一日も長く生きて欲しいと言いましたね。 一人の人間としてとは、どういうことですか。」 後藤田「割り切れないので?」 後藤田「お父さん、つまり実の父親に対するように、ということですか。」 後藤田「ありがとうございました。」 後藤田「裁判長、ここで申立人の話を聞きたいのですが。」 後藤田「只今の亀井雅美さんの話はききましたか。亀井さんは貴方の事を、実の父親のように見送りたいと言っていますが。」 新田 「大変ありがたい事です。しかしこの先その亀井さんにも多大な迷惑をかけ、深く傷つけるようなことを言うかもしれません。その日がいつ来るか判らないのが、私はたまらなく苦しいのです。死ぬ事よりも。」 後藤田「死ぬ事よりも?実際にあなたはかつて、自殺を試みた事があるそうですね。」 新田 「はい。亀井さんに止められました。」 新田 「正直言って嬉しかった。こんな私のために、アカの他人の私のために涙を流し、本気で励ましてくれるひとがいるなんて。出来れば死ぬ時には、この幸せな記憶を思い出し、この世に生まれてきた事を感謝しながら息絶えたいと、そう思いました。」 後藤田「だから、意識障害によって、貴方があなたであることを失う前に、速やかな死を迎えたいんですね。」 新田 「最後の瞬間まで、自分でいたいんです。」 後藤田「先ほど担当看護士である亀井さんは、患者が安らかに死を迎えるためには、心の支えが必要であると証言しました。申立人にとっては、幸せな記憶こそが心の支えてあります。その支えを奪わない為には、申立人の人格権を保全する必要があります。本件は安楽死を求める訴えではありますが、申立人は死ぬ事を求めているのではありません。最後の時間を生きる事を求めているのです。終わります。」 裁判が終わり、新田の申し立ては却下された。 後藤田「お役に立てず、申し訳ありませんでした。」 新田 「能無し弁護士が。」 後藤田「お言葉ですが、依頼人殿。安楽死が日本で認められるようになるには、まだまだ沢山のハードルがあるんです。」 新田 「言い訳をするな。」 後藤田「でも、死を前にした人間が、何を思うのか、一石を投じる事が出来たと思うんですがね。」 新田 「一石なんか投じるより、生きたいねぇ。言っていいか、後藤田。死にたくないって。」 後藤田「ああ、言えよ。」 新田 「もっと、生きたい。ずっと生きたい。あと3年。1年でいいから、生きていたいよ。」 後藤田「俺も、生きて欲しいよ。やっと会えたんだ。」 新田 「ありがとう。ホントは、お前には謝らなきゃいけないんだけど、おれは死ぬと判って、知ったんだ。人間はごめんって言いながら死ぬ奴と、ありがとうって言いながら死ぬ奴がいる。俺は、ありがとうって言って死にたい。」 後藤田「相変わらず我儘なやつだな。」 新田 「ありがとう。」 後藤田「自分勝手で自己中心的で、反省もくそもあったもんじゃない。」 新田 「ありがとう。」 後藤田「本当に最低だよ。お前は。」 新田 「ありがとう。ありがとう。」 涙をこらえる、後藤田先生。そして、新田は3日後に亡くなった・・・ ハァ~重いテーマでしたね。そして、出演シーンと共に、セリフの多い事・・・ ビデオを見ながら、キャプチャーして、セリフを起こして・・・ でも、お蔭で昨日は見逃していたシーン、聞き逃していたセリフ、そして、感動のストーリーがより心に沁みました。 今回も、後藤田先生に、感謝。 サリー、じゃない、岸部一徳さんも素敵な俳優さんになられましたね。 一徳さんと、Julieだから出来たドラマかもしれません。 ←ナント、夢の1位です!応援ありがとうございます。まだまだがんばりますので、読んでいただいたら、ポチッとね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.05.02 19:30:13
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