留学生のためのスタディスキルズ推進ブログ

2005/04/15(金)18:57

留学中の鬱病

留学-生活編(121)

留学していい成果を挙げたい、と、がんばる人ほど「鬱」の壁にぶち当たりやすい気がする。 とはいえ、留学生でなくてもアメリカの大学で、競争意識の高い学生は、結構精神的に参ってしまう人が多いよう。 私の友人の1人。父親が学者だとか言う人だったけど、一緒にバイトして、その後もよく話して、陽気でみんなに好かれるいい人だったが、突然姿を見なくなった。彼の住んでた寮の住人に聞くとHe had a nervous breakdown.だと。親が来て、故郷のDCに連れ帰ったらしい。その後戻ってきたという話も聞かず、連絡も途絶えたままである。 勉強のプレッシャー、慣れない1人暮らし、友人関係…大学生となれば、悩みも多い。それに、英語での生活、文化や生活習慣、価値観の違い、海を越えた家族と友人…と加わる留学生の、不安と寂しさは、半端じゃない。 とくに、外国の大学で勉強しよう、なんて人は、志高く、日本でもがんばって勉強してきて、「日本の大学は自分には合わない!」と、考える人、または外交的で物怖じしなく、新しいことに挑戦するのが大好き!という人が多く、まさに留学が自分にあっていると思い込んでいる場合が多いのでは。 (全く逆に「日本の受験戦争に巻き込まれたくないし、とりあえず留学でもしよか~って人もいるけど。こういう人は逆に上手く乗り切れるかも) 要は、日本からアメリカの大学に入学する人は、程度の差こそあれ「井の中の蛙」が多いのかもしれない。 で、そういう人ほど、期待と現実の差に驚く。勉強は難しい、友人は出来ない…渡航後数ヶ月で、「なんか、自分の思っていたのと違う」と、程度の差はあれ必ず誰しも思うのではないだろうか。 自分も、かなり落ち込んだ方である。とくに、いろいろ悩んでも打ち解けて話し合える友人がいなかったから。 いちど精神的に不安定になると、周りにいる人すら信用できなくなって、彼らの前では悩みなんてないよ、というフリをし、1人になるとこれから4年間、やっていけるんだろうか、とパニックになった。 家族へは月に一度くらい書く手紙と、数カ月おきの電話だけ。カウンセリングの存在も、知っていはいたが自分が本当に相談しなければ行かない程度なのか分からず(そこまでいってるとは信じたくなかったし)行かずじまい、何かのきっかけでふっと霧が晴れたように吹っ切れる時までひたすら耐えてた。 今考えると、ずいぶん幼稚だったと思うし、すごい損というか、回り道をしてしまった。 20代突入という、まだ思春期が終わりきらない時期に、悩みを持つのは人間として当然のことなんだが、「留学」という特殊な状況におかれて、悩みを持つことは弱い証拠、こんなんじゃ情けない!と強がって、周りに助けを求めなかったのがいけなかったかな、と今になって思う。 ネットのない時代で、そういった意味での孤立もすごかった。留学機関が発行する雑誌なんかには「楽しく留学生活をエンジョイしてます」みたいなレポートばかり載っていて、数多い「その他」の留学生の生の声を聞くことなんてなかったから。 こんなに悩んでるの、私だけなんだろうなー、自分みたいなネクラなやつはそもそも留学なんてしないんだろうなー、と思ってたもんだ(←まさにネクラ) あの時必要だったのは、「上手くやってる他の学生に対して恥ずかしい」と、無理して悩みを内にしまいこんでしまうことではなく、または同じような人を見つけて傷のなめあいをすることでもなく(幸い、自分の周りにはそういうことをできる友達さえいなかったので、この点は救われたけど)、引け目を感じることなく素直に相談でき、「それでいいんだよ。みんなそうやって悩んでいるんだよ。君はちゃんとやっているよ」と言ってくれる人だったんだろうな、と思う。 初期は、何度か危なくなりながらも、波を乗り切った。2年目の後半くらいから、ちょっとずつよくなっていった。キャンパス外で知り合った友人(ほとんど年上)が、すごく支えになってくれた。この人たちのことは後日記事にしたい。 留学経験は、挫折をして悩むいいきっかけだと思う。私も、栃木の田舎の大将から、広い世界に出て初めて自分の弱さを見つけた。その後は挫折の連続で、落ちるトコまで落ちた感じだけど、不思議と大学時代のようなパニックには陥っていない。今は、自分の本当の力が信じられるし、あの時のように、いつかはこの状況を抜け出せることが「分かっている」からだと思う。あの時あの苦痛を経験していなかったら、その後で起こった事件で、完璧に打ちのめされていただろう。 そういう意味で、もし、「鬱」にハマってしまった留学生の人がいたら、これ読んで「鬱もよい人生経験」と、元気出してくださいね~。「情けなさ過ぎて出来ない相談」も、サイト(下にmailのあて先がある)のほうからどんどん相談してくださいな。

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