2008/10/20(月)11:23
【秩父】第二十九番 長泉院(ちょうせんいん)
第29番札所
山号:笹戸山(ささどさん)
宗派:曹洞宗
本尊:聖観世音菩薩
巡拝日:2008年5月15日
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二十八番・橋立堂から、浦山ダムへと向かう山道を登る。
程なく、左手の山の斜面、木立ちの向こうに、
さっきの鍾乳洞の出口が見える。
あらためて、あの鍾乳洞の高低差の大きさを実感する。
左手に巨大な浦山ダムを見ながら谷を降り、さらに登れば、
道の左手に枝振りの見事なしだれ桜が見えてくる。
咲いていればどれだけ立派だろうか。
そこが二十九番・長泉院。橋立堂からは車で10分とかからない。
ちなみに、秩父札所は二十八番から旧荒川村内を辿ることになる。
荒川村はいわゆる平成の大合併で2005年4月に消滅したそうだけれど、
境内には、荒川村時代に設置された案内板が、今もそのままその役割を果たしている。
境内は広く、また非常に丁寧に整備されている。
まっすぐに伸びる参道の左手にはさまざまな花木が植えられていて、
春に訪ねていればとても美しい風景を楽しめたに違いない。
この庭園の保全のための浄財を募る箱が参道にあって、
来年の春にまた訪ねてみたい一心で、些少ながらチャリリンと入れる。
庭園内には散策路が張り巡らされていて、
木々の隙間から本堂が見え隠れしている。
ご本尊を安置する本堂は、参道突き当たりの右手にある。
1833年の建立というから、今年で築175年ということになる。
シンプルながら堂々とした佇まい。高く反った瓦屋根も美しい。
この札所は俗に石札堂(せきさつどう)と呼ばれているそうで、
その由縁は、堂内に残されている1234年の石製の札にある。
他にも、葛飾北斎による桜の絵の額が飾られていたりと、
堂内には、ご本尊だけでなく、いくつか見どころがある。
入って行って間近で見られないのが残念だが、
歴史ある札所の証しが多く残された札所なのだ。
そもそも長泉院は、ここからさらに山奥の崖地に、
岩井堂のような、いわゆる懸崖造(けんがいづくり)のスタイルで建っていたという。
行けるものならその場所を訪ねたいと思ったけれど、手がかりがない。
あるいは浦山ダムに沈んでしまったのだろうか。
いずれにしても、現在の札所はおおむね、巡礼者にはやさしい場所にある。
次はついに三十番。なんとか無事にゴールを迎えられそうだ、と思っていたが、
この先、思いもよらない奥地に分け入ることになるのだった…。
笹戸山長泉院
秩父市荒川上田野557 tel.0494-54-1106