2008/10/20(月)11:23
【秩父】第三十番 法雲寺(ほううんじ)
第30番札所
山号:瑞龍山(ずいりゅうさん)
宗派:臨済宗建長寺派
本尊:如意輪観世音菩薩
巡拝日:2008年6月5日
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前回の巡礼から半月と少し。5回目の秩父である。
いよいよ三十番台に入り、人生初の巡礼旅もいよいよ佳境に突入する。
特に三十番以降は山深い場所にあるということは既にわかっていて、
ゆえに期待もあり、また一抹の不安もある。
しかも、5回目にして初めて、雨模様の巡礼だ。
というわけで、今回初めて、道連れを伴った。
これでもう、鬼が出ようが何が出ようが、ひるむわけにはいかない。
三十番・法雲寺は、予想に違わぬ山の中にある。
秩父市街を抜け、二十九番までの札所へ向かう分岐路をいくつも通り越し、
雁坂峠方面へ向かって、ひたすらに国道を走る。
まだ先か、もうすぐか、あるいは通り越してしまったのか、
と少し不安になり始めたときに、ようやく三十番への案内板が目に入る。
そこはもう、秩父鉄道の終点・三峰口駅のひとつ手前、白久駅の周辺。
駅前の細い路地を抜け、谷あいの山道を進むと、その突き当たりに法雲寺がある。
苔むし朽ちた石碑が出迎えてくれる。
境内に入ると、池を中央に配した美しい庭園が、本堂の前に造られている。
広くはないが、池の周囲にはたくさんのツツジやサツキが植えられていて、
最盛期は過ぎたようだけれど、遅咲きの花が境内を彩っている。
そして、その庭園の池越しに、観音堂の屋根を見ることができる。
観音堂は、庭園からさらに石段を登った場所に建っている。
境内は1849年に火災に遭い、焼け残ったのはこの観音堂のみだったという。
つまり、少なくとも築160年は経っていることになる。
朱の色は色あせてはいるけれど、それがまた歴史と風格を感じさせる。
ご本尊は美しい曲線美の如意輪観世音さま。
黄金に光り輝き、ふくよかな姿が色気すら漂わせている。
向拝の脇には龍の骨や天狗の爪と伝えられている寺宝が陳列され、
また江戸期以前の納札も残っているなど、
とにかく歴史を物語るものが、この札所には多い。
観音堂の前では、団体の巡拝者たちがお経をあげている。
ここに辿り着く途中の道でも団体さんを追い越したし、
我々が到着する前にも別の団体がいたらしい。
今回の総開帳も、あと一ヶ月あまり。
いよいよ団体客も増えているように感じる。
おかげで、納経所でもひとしきり待たされるが、これはもう慣れたものだ。
それにしても。
雨の巡礼も、思っていたほど悪いものでもない。
少なくとも、この庭園とそれを取り囲む木々の緑は、
青空よりもむしろ、この湿った空気にこそ、調和するように感じた。
瑞龍山法雲寺
秩父市荒川白久432 tel.0494-54-0108