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じゃくの音楽日記帳

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2011.12.31
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カテゴリ:演奏会(2011年)
続いて2011年ブルックナー演奏会。今年足を運んだ演奏会は少なめでした。

4番 7月19日 下野/読響 (サントリー)
   10月17日 エッシェンバッハ/ウィーンフィル (サントリー)
   10月19日 スクロヴァチェフスキ/ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィル

8番 3月 4日 シャイー/ゲヴァントハウス管 (サントリー)
   9月 5日 内藤彰/東京ニューシティ管 (東京文化会館)

9番 2月20日 大植/大フィル (サントリー)
   9月30日 ケント・ナガノ/バイエルン国立管 (東京文化会館)
   10月20日 スクロヴァチェフスキ/ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィル

4番:記事にしたスクロヴァチェフスキとドイツのオケの力演が、別格です。それと、7月に下野さんが初めて読響でブルックナーを振った4番も、すばらしかったです。第一、第二楽章はやや音を抑えぎみにしてうるさくならず、ゆったりとした演奏でした。第三楽章から力強くなり、最終楽章は力強さとゆったり感を併せ持ち、堂々たるものでした。(第三楽章が終わった直後に思わず拍手が鳴ったとき、下野さんはオケのほうを向いたままでしたが軽く会釈して拍手に答えていました。こういうところにもお人柄の良さを感じます。)この演奏、先日自局のテレビ放送で、地上波、ついで衛星波の両方で、異例の全曲放送をやっていたのも、この演奏の価値を称える扱いで、うれしく思いました。下野さんはこの世代で傑出したブルックナー振りと思います。さすがに晩年の朝比奈のもとで研鑽をつんだだけのことはあります。(おととい、没後10周年を迎えた朝比奈隆をしのぶ、NHK-FMの「朝比奈隆三昧」の長時間放送番組で、下野さんも少し登場して、謙虚で素敵なコメントをお話されてました。下野さんが最後に朝比奈さんに会ったのが、2001年7月のサントリー公演のときで、そのときに8番のスコアにサインしてもらったそうです。そのときの演奏会は、僕にとっても朝比奈の生体験の最後となったものでした。驚異的に若々しいエネルギーにあふれたブルックナーでした。)下野さん、今年は大阪で2番を、兵庫で8番を振ったようですね。下野さんのブルックナー、今後が非常に楽しみです。

対照的に最悪だったのが、エッシェンバッハの4番でした。すべてを白日のもとにさらしてしまい、陰影のイの字もない演奏。エッシェンバッハはマーラーには向いていても、ブルックナー向きではないことを強く実感しました。しかし終演後の拍手喝采は信じがたいほどものすごく大きく、それを後にして早々に帰路についたものです。このわずか二日後に、スクロヴァのすばらしい4番を体験したので、その違いの大きさはひときわでした。

8番:3月のシャイーは、部分的にはいいところもありましたが、全体として荒々しすぎで、やはり失望感は否めませんでした。9月の内藤&東京ニューシティは、3月下旬の予定が震災のため順延となったものです。内藤氏のブルックナー、一度は聴いてみたいと思っていました。創立20周年記念で、再演の要望のもっとも多かったブルックナーの8番(アダージョ2という異稿)を再演するというので、初めて訪れました。「アダージョ2」というのは、時系列的には第1稿と第2稿の間に位置するが、単なる中間的な稿ではなくて、独自の主張がある稿ということでした、聴いてみると、確かになかなか良いところがありました。

9番:4番と同じく、10月のスクロヴァチェフスキとドイツのオケが、別格の演奏を聞かせてくれました。ただただ脱帽でした。それから2月の大植&大フィルも、両者の心技体が充実しきっているからこそ出せる、美しく深い響きの、稀有な9番演奏でした。9月のケント・ナガノは、第一楽章の冒頭や、コーダなど、凄く遅いテンポをとり、部分的には良いのですが、途中のテンポ変化が大きく、大きな感銘は得られませんでした。なおこの演奏会では、テ・デウムも続けて演奏したのですが、なんと9番の始まる前から合唱団が入場していて、9番の演奏の後本当にただちにテ・デウムが開始されるという、実に気合のはいった構成でした。合唱は、当初はアウディ・ユーゲント・コーラスアカデミーという予定だったそうですが、当日はバイエルン国立歌劇場合唱団に変更されていました。(原発の影響で若い人たちが来日をとりやめたのでしょう、妥当な判断と思います。)さすがはバイエルン国立歌劇場合唱団で、合唱が非常に力強く美しく、とても立派な、聴き応えのあるテ・デウムでした。この演奏は、9番とテ・デウムとを合わせて完全に一つの曲として扱っていたと思います。テ・デウムを続けて演奏するのであれば、こうなってしかるべし、と思います。だけれど9番のアダージョのあとには、やはりどんな音楽もないほうがいい、と強く思った演奏会でした。

さっきも少し書いた、NHK-FMでおととい放送した「朝比奈隆三昧」は、感動的な番組でした。僕は途中(昼頃)から、ひとり職場で仕事(残務整理)をしながらネットラジオで、ながらでずっと夜9時まで聴きました。朝比奈とブラームスのピアノ協奏曲第一番を繰り返し演奏した伊藤恵さんのお話:ヨーロッパ演奏旅行のときは朝比奈から「ご婦人は結婚・子作りも大事な仕事だから・・」と話されて音楽家としてだめだしされたのかとショックだったが、のちには大フィルとの練習を始めるときに朝比奈御大がオケに「みなさん、この人は女性ではありません、すごい音を出しますから皆さんも負けずにやってください」と話した、というエピソードが楽しかったです。こういう大フィルと伊藤さんとの歴史を、大植さんが引き継いで朝比奈隆生誕100周年記念演奏会で共演されたりしたんですね。
それから元大フィルティンパニー奏者中谷さん(新日フィルのティンパニー奏者とともに晩年の朝比奈の信頼あつく、西の中谷、と呼ばれた人ですね)のお話:チャイコの6番(?)で若いときに自分が大失敗をして、終わってからあぁもうこれでくびか、と思いながら朝比奈に誤りにいったら、まぁ座れ、と言われて、いろいろな失敗談を1時間ほどしてくれたこと、「指揮を見るな!」と言われて見ないでたたくと「遅い!」と言われたこと、など、また最後の名古屋での演奏会の思い出など、貴重なお話を沢山きけました。上にも書いた、2001年7月のサントリーでのブルックナー8番が放送されて、中谷さんのティンパニーがものすごいエネルギーでたたかれていました。このとき僕は2階LAブロック最前列、ハープの真上くらいの席で聴いていたことを、昨日のことのように思い出しました。

この番組、19時からは大植さん&大フィルのベートーヴェン9番の演奏会を生中継していましたね。なんとも粋な企画です。単に朝比奈隆の回顧だけに終わらず、大フィルのこれからを応援する番組となっていました。市長も聴いてくれてたらいいんだけど。来年以後も、大フィルの充実を、心から願っています。





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Last updated  2012.01.01 23:47:53
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