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じゃくの音楽日記帳

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2012.01.01
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カテゴリ:演奏会(2011年)
続いては2011年印象に残ったコンサート、声楽編です。

4月15日 フェリシティ・ロット/リサイタル (王子ホール)
5月26日 くにたちiBACHコレギウム/モンテヴェルディ「ポッペアの戴冠」(国分寺市立いずみホール)
6月 2日 モーツァルト「コジ・ファン・トゥッテ」(新国立劇場)
6月13日 タリス・スコラーズ/ビクトリア レクイエム (東京オペラシティ)
7月18日 アンサンブル・カペラ/ビクトリア ミサ「めでたし海の星」(聖アンセルモ・カトリック目黒教会)
10月 1日 合唱舞踊団O.F.C.,オルフ祝祭合唱団 ほか/バッハ ヨハネ受難曲(合唱舞踊劇)(すみだトリフォニー)
10月15日 青木洋也,パーセルプロジェクト/パーセル オードなど (みなとみらい小ホール)
12月 9日 オランダ・バッハ協会/バッハ ロ短調ミサ (東京オペラシティ)
12月13日 スウィングル・シンガーズ/アカペラ・クリスマス(すみだトリフォニー)
12月14日 古楽アンサンブル「コントラポント」/クリスマスコンサート(渋谷区文化総合センター大和田さくらホール)

震災後、外人音楽家のコンサートが相次いで中止となるなかで、4月半ばに予定されていたロットさんのリサイタルも、当然中止になるだろうな、とあきらめていました。ところがロットさんは来日を敢行し、予定通りリサイタルをひらいてくれました!なんともありがたいことです。このリサイタル、ピアノがグレアム・ジョンソンさんというのも超楽しみでした。CDで聴くジョンソンさんの伴奏がとても素敵でしたから。当日は、期待にたがわず、ロットさんの美声と、ジョンソンさんの絶妙なピアノ、二人の至芸を聴かせてくれました。アンコールのとき、ジョンソンさんが、日本の人々のために「Tomorrow will be better.」とお話して、そういう思いを込めてR.シュトラウスの「あすの朝(Morgen)」をロットさんと演奏してくれました。来ていただき本当にありがとうございました。このリサイタルはNHKのクラシック倶楽部でも放送していました。

震災後のざらついた心には、音楽がなかなかすっと入ってこない状態が続いていましたが、ロットさん、それから器楽編で書いたカシュカシアンさんなどのリサイタルを通じて、次第に癒され感を感じ始めていました。そんななかで、5月末のモンテヴェルディのオペラには、本当に心が洗われるような感動を受けました。この公演は、礒山雅さんを音楽監督として、国立音大ドクターコースに在籍する若手歌手(プロの卵なのでしょうか)たちが、渡邊順生さんの指揮とチェンバロ・オルガン、他6名の精鋭奏者による器楽伴奏で歌うというプロジェクトです。舞台装置はソファ一つといった、とても簡素なものでしたが、すごくうまく活用されていました。衣装は本格的で美しかったです。主役のポッペアを歌った阿部雅子さんが、悪女としての迫真の演技と歌唱で、本当に見事でした。(2009年5月にバッハ・コレギウム・ジャパンほかによる上演でポッペア役を歌った森麻季さんよりも、ポッペア役としてのはまり度合いは完全に上回っていました。)あっぱれです。他の歌手たちもみな熱演、熱唱で、モンテヴェルディの音楽の純粋な美しさにただただ感動し、涙があふれてあふれて止まらない状態で聴いていました。このプロジェクト、最初は長野で行われ、好評につき再演となったということで、このあと11月にも国立市で再々演されたということです。チャンスがあればもう一度見たいです。

6月の新国立劇場の「コジ・ファン・トゥッテ」は、現代のキャンプ場を舞台にするという演出で、最初は「演出が奇抜すぎたらいやだなぁ」と不安でしたが、意外に演出は悪くなく、歌手陣たちの歌が尻上がりに好調になり、すばらしかったです。最後、両夫婦が和解してめでたしめでたしとなると思いきや、歌はもちろんそのままですが、演技は二人の妻が怒ったまま退場するというもので、びっくりしましたが、なるほどこれは面白い、と納得できる幕切れでした。

2011年はビクトリア没後400周年ということで、ビクトリアの貴重なコンサートをふたつ体験できました。ひとつは6月のタリス・スコラーズによるレクイエムです。東京オペラシティタケミツメモリアルの上質の響きで、名曲の名演奏を充分に味わえました。過去にタリス・スコラーズは、響きの比較的デッドな第一生命ホールで何回か聴きましたが、やはりオペラシティのような良い響きがあるホールだと、断然その真価が発揮できることを改めて実感しました。もうひとつは、日本の古楽アカペラグループ、アンサンブル・カペラの7月の定期演奏会で、ミサ「めでたし海の星」でした。会場の聖アンセルモ目黒教会は、豊かな残響があり、ここで聴くカペラは本当にすばらしいの一言です。大きな譜面を前に、グループの全員がひとつに集まって、その大きな譜面を見ながら歌うという独特のスタイルで、理想的な古楽合唱と思います。ふたつとも、言うことなしのビクトリアでした。

きのうの大晦日の午前中に、何気なくスイッチを入れたNHK-FMで、ビクトリア特集(?)をやっていました。途中からカペラの主催者花井哲郎氏が登場し、ビクトリアのことなどをいろいろお話されてました。この番組のために特別に録音したという、ビクトリアの「めでたし海の星」も放送されました。番組の最後には、僕の聴いた6月の東京オペラシティでのタリス・スコラーズのビクトリアのレクイエムの録音が放送され、うっとりと聴きました。
(しかし年末のNHKFMは、朝比奈三昧、マーラー特集、ビクトリア特集と、3日連続でなんとすばらしい番組を放送してくれたのでしょうか。感謝感謝の年末放送でした。)

続く10月には、カウンターテナーの青木洋也さんが関わったふたつのすぐれたプロジェクトがありました。ひとつはバレーと合体したバッハのヨハネ受難曲。これは合唱舞踊団O.F.C.というグループを中心としたパフォーマンス(演出・振付は佐多達枝さんという方)で、独唱者や古楽器演奏はすぐれたプロ奏者たちが集まり、オケはピットで、舞台上では合唱とバレーが踊られるという、ユニークな催しでした。青木さんは指揮をして、ときにアルトの独唱も歌いました。合唱団は、普段は舞台上のメンバーが歌い、コラールはパイプオルガンの伴奏でオルガンの前の高いところに位置したメンバーが歌うという、空間効果を充分に考えた演出でした。コラールが本当に美しく響きました。バレーは非常に見ごたえありましたし、エヴァンゲリストの畑儀文さんを筆頭に独唱者はレベルが高く、また器楽陣も三宮さんのオーボエ、前田さんのフルートなど豪華メンバーによる立派な演奏でした。とても感動しました。

もうひとつは、青木さんが主宰している「パーセルプロジェクト」の2年目の演奏会。(2010年の第1回ではなんとアーサー王を上演したそうです!全然知らなくて、行きそびれてしまいました。残念無念。)2011年の第2回では、オード3曲(聖セシリアの祝日のためのオード、メアリー女王の誕生日のためのオードなど)が演奏されました。パーセルのオードを生で聞けるというだけでも貴重な体験でしたし、青木さんの神秘的な歌唱もじっくり聞かせていただきました。このパーセルプロジェクト、今年も聴くのが大変楽しみです。

12月、オランダバッハ協会のロ短調ミサは、地味ながら誠実で質実剛健なバッハ演奏で、すばらしかったです。2010年のドレスデンの人たちのマタイ受難曲もそうでしたが、海外のこういうバッハ演奏を聴くと、派手さはないけれど内容をじっくり消化しきっている感じがして、こちらも安心して音楽に浸れて、気分が落ち着きます。今回、合唱団の配列も良かったです。後ろに一列に並んだ合唱団が、良くあるように左から右に順にソプラノ、アルト、テノール、バスという配列でなくて、女声が一番右側と左側に位置し、その間に男声が位置していました。詳しい並び方は良くわかりませんでしたが、もしかしたらソプラノ、アルトがそれぞれ左右に分散して歌っていたのかな、と思いました。この配置、響きとしてとても良かったです。(このような配置によるすぐれた演奏に接すると、オケにしても、合唱にしても、単に左から右に音の高い順に並べるという方法は、響きのメリットはほとんどないように思います。)

スウィングル・シンガーズのアカペラ、これも一度は聴いてみたいグループでした。最初に登場した彼らがマイクを持っているのに愕然として、「PA使用なのか、しまった!」と思いましたが、そんな感じもつかの間、始まってまもなく、彼らの技術とハーモニーの完璧さに、「このように巧みにPAを使うのが彼らのスタイルなんだ」と納得して、あとは完全に彼らの世界を楽しめました。ともかく想像以上にうまい!なんでこんなにきれいなアカペラができるの、と驚くばかりです。昔はボイス・パーカッションと言われていたパート、今はヒューマン・リズム・ボックスというんですね、このリズムボックス担当の人が、めちゃうまで、人間を超えています(^^)。リード役のソプラノも、本当にきれいな声で、うまい。バッハからビートルズまで、実に楽しく美しいアカペラに浸ったひと時でした。プログラム後半にはチャイコフスキーの1812年をやりました。アカペラでこういう曲をやるというのは「超絶技巧を示すため」みたいな感じがして、あまり進んで聴きたいとは思わないで聴いていましたが、面白かったのは、大砲のところです。オケでやるときは、大砲の打ち鳴らしたときの「ドーン」という発射音になりますよね。それが、この人たちは、発射音ではなくて、発射された大砲の玉が、近くに迫ってきて着弾する「ヒューーーーードーン!」という擬音を出すんです、これが繰り返されるので、聞いていて思わず笑ってしまいました。アンコールはジングルベルなどの陽気なクリスマスソングに引き続いて、最後は日本語による「蛍の光」でしっとりと閉めてくれました。

声楽編の最後にあげたのは、カペラの花井哲郎氏がやはり主宰する古楽アンサンブルグループ「コントラポント」の定期公演、「コントラポントと祝う楽しいクリスマス」です。合唱7名、器楽10人で、クリスマスにちなんだ曲がいろいろ演奏されました。手作りの、アットホームな暖かいクリスマスの集い、という感じで始まった素敵な演奏会でした。それがプログラム後半にはどんどん深みをまして行き、とりわけ最後のシャルパンティエの「真夜中のミサ、主イエス・キリスト御誕生の歌」は聴きものでした!演奏者みな良かったですし、特にコンミスの方のヴァイオリンはすばらしい音色で、名曲の名演奏に心打たれました。素敵なコンセプト、素敵な演奏の、いい演奏会でした。お客さんは少なくて勿体なかったけれど、こういった質の高い演奏会を続けていれば、だんだんと世の中の認知度が上がっていくことと思います。





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Last updated  2012.01.02 00:55:07
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