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じゃくの音楽日記帳

全8件 (8件中 1-8件目)

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演奏会(2015年)

2016.01.05
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カテゴリ:演奏会(2015年)

2015年のコンサートのまとめの最後に、毎年恒例の、自分にとってのベストコンサートをあげておきます。例年と同様に、自分が受けた感動の大きさという視点を中心に、演目の稀少度(自分にとっての貴重度)なども加味した、あくまでパーソナルな (自分勝手な)ランキングです。順位の細かな上下関係には、あまり大きな意味はありません。

1. パーセル セミオペラ「妖精の女王」寺神戸亮, カークビー他 12/13 北とぴあ
2. マーラー 交響曲第4番 ハイティンク&ロンドン響 9/28サントリー
3. マーラー 交響曲第3番 ノット&東響        9/12        ミューザ川崎
4. シベリウス 交響曲第5,6,7番 尾高&札響  2/17 サントリー
5. モンテヴェルディ「聖母マリアの夕べの祈り」有村祐輔, マメリ他 9/23石橋メモリアルホール
6. マーラー 交響曲第2番 コバケン&読響        4/24東京芸術劇場
7. サーリアホ オペラ「遥かなる愛」(演奏会形式、日本初演)5/28 東京オペラシティ
8. リフシッツ:バッハ「音楽の捧げもの」 2/8 東京文化会館小ホール
9. シベリウス 交響曲第1,2番 カム&ラハティ響 11/26 東京オペラシティ
10. ボロディンSQ&レオンスカヤ:シューマンPQuintet 他 4/2 東京文化会館小ホール

2015年は僕にとってぶっちぎりのダントツ1位というのはなく、感動の大きさでいうと1,2,3位がほとんど同列横並びで、4位以下を大きく引き離しているという感じです。マーラーは、ハイティンクの4番の完璧なる絶美の演奏を筆頭に、沢山の3番や、コバケンの2番5番を聴けるなど、かなり充実した年となりました。ブルックナーは、聴いた回数は少ないながらも、ノットの7番をはじめとしてかなり良い演奏を聴けましたが、シベリウスイヤーでのシベリウスの台頭もあってベスト10入りは逃したというところです。

2016年はマーラーの演奏会が随分少なさそうで、やや寂しいですが、その分いろいろな音楽を聴き、感動できればうれしいと思います。







Last updated  2016.01.05 23:36:47
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2016.01.04
カテゴリ:演奏会(2015年)

2015 年に聴いたコンサートのまとめ、最後は声楽編です。

○古楽
  6/22 モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り  コントラポント       東京カテドラル
  9/23 モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り 有村祐輔, マメリ他   石橋メモリアルホール
  9/26 バッハ:農民カンタータ  BCJ, エルトマン他                           東京オペラシティ
 12/13 パーセル:「妖精の女王」 寺神戸亮, カークビー他                北とぴあ
 12/16「カークビーのクリスマス」カークビー, つのだたかし, 伊藤美恵 白寿ホール

○オペラ
  3/ 9 プッチーニ:「マノン・レスコー」                        新国立劇場
  5/28 サーリアホ:「遥かなる愛」(演奏会形式、日本初演)           東京オペラシティ
 10/14 ワーグナー:「ラインの黄金」  飯守泰次郎指揮              新国立劇場

○その他
  2/16 藤村実穂子 サントリー音楽賞受賞記念コンサート          サントリーホール
 11/19 ラヤトン(アカペラ)                      王子ホール
 11/30 ダーヴィッシュ(アイルランドの民族音楽)            武蔵野市民文化会館小ホール

[古楽・覚え書き]
2015年はモンテヴェルディの大作「聖母マリアの夕べの祈り」を2回も聴けました。6月は、花井哲郎さんが率いる古楽アンサンブル、コントラポントの結成10周年記念の演奏会ということでした。この曲を生で聴くのは初体験でした。東京カテドラル聖マリア大聖堂の長い響きを生かした、雰囲気の良いコンサートでした。テノールの櫻田亮さんが光っていました。そして9月は、有村祐輔さん指揮のもとに結集した合唱団と器楽アンサンブル、これに波多野睦美さん、松井亜紀さん、櫻田亮さんなどの強力歌手陣に、さらに超強力助っ人としてソプラノのロベルタ・マメリさん!が参加した公演でした。歌手陣はもちろんのこと、全体に演奏水準が非常に高く、合唱も50人を超える大合唱団で力強く、この大曲をいささかも緩むところがなく、最後まで一気に聴かせていただきました。プログラムの解説も詳細で、非常に丁寧な歌詞対訳があり、あとあとの鑑賞にもとても重宝しそうです。

バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)の演奏会からは諸般の事情でしばらく遠ざかっていましたが、久しぶりに足を運んだのが世俗カンタータシリーズ第6弾、農民カンタータをメインプロとする演奏会でした。ソプラノのモイツァ・エルトマンさんが出演するというのに期待していました。エルトマンさんは、2011年にハーディング&マーラー室内管のマーラー4番を聴いたときの歌唱が素晴らしかったです。このコンサートは2011年のマイ・ベスト・コンサートの10位にあげたものです。
さて今回のバッハの農民カンタータは、舞台上に野菜などを並べ小道具としてうまく使い、また舞台横から主役のアベックを覗き見する怪しい人たちを配するなど、ユニークで気の利いた演出が、良かったです。やはりBCJはうまいし、エルトマンさんの歌唱はさすがに素晴らしく、相手役のバスとのかけあいの演技もチャーミングで、見聞きしていてとても楽しく、農民カンタータを満喫できました。

そして12月にはカークビ—さんの参加された夢のようなパーセルと、クリスマスコンサート。これについては最近記事にしたとおりです。

[オペラ・覚え書き]
オペラでの今年の最大の収穫は、現代フィンランドの女性作曲家サーリアホの「遥かなる愛」(演奏会形式・日本初演)を見れたことでした。東京オペラシティで毎年行われている現代音楽企画の「コンポージアム」の一環として行われたものです。事前の紹介で、会場にはスピーカーも多数配置されるということで、どんな感じに使われるのかと思っていたら、非常に微妙でデリケートな使い方で、うっかりすると使っているのが判らない程度の電子音響を効果的に付加していて、素敵でした。使っている時間もおそらく、たまに、ほんの僅かだったと思います。海外の現代オペラを、もっと日本で上演する機会が増えたらと思います。新国立劇場が率先してとりあげてほしいです。

その新国立劇場の2015年の演目で、個人的にもっとも期待していたのは、飯守泰次郎指揮のワーグナー「ラインの黄金」でした。2014年の飯守指揮の「パルシファル」がゆったりしたテンポの超絶的な名演だったからです。しかし今回は音楽が今一つ冴えないままに終わってしまいました。ヴォータン役はラジライネンさんで、もうちょっとパワーがほしかったです。飯守氏の今後のワーグナーシリーズには引き続き期待しています。

[その他・覚え書き]
藤村実穂子さんは、2009年の紀尾井ホールでのリサイタルを皮切りに、リサイタルやマーラーのコンサート、オペラなどで随時聴いてきました。名手ウォルフラム・リーガーさんのピアノとの絶妙なドイツ・リートや、圧倒的な貫禄あるオペラやマーラーでの歌いっぷり、つくづくすごい方です。サントリー音楽賞受賞記念コンサートは、ワーグナーを中心に行われました。プログラムには、自分を厳しく律して、苦労と闘い精進してきた藤村さんの言葉が書かれていて、大変興味深いです。一ヵ所だけ引用すると
“10代の頃レコードを集めては聞いていた巨匠達が、今では私の名前で指名してくれる。”
これからも長いご活躍を願っています。

2015年に聴いたアカペラは一つだけでした。フィンランドの6人組アカペラ・グループ「ラヤトン」です。このグループは、2013年の来日公演で初めて知りました。声を同質にしてあわせる方向ではなくて、異質な声を異質なままあわせて独自のハーモニーを作るところが、個性的な魅力を放っていて素敵でした。2013年のマイ・ベスト・コンサートの10位に選びました。その後楽しみにしていたラヤトンの再来日のコンサート、今回は北欧の古い伝承歌からビートルズまでの多彩なプログラムでした。最後はシベリウス・イヤーにふさわしく「フィンランディア賛歌」で、ばしっと締めていただきました。







Last updated  2016.01.05 11:16:45
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2016.01.03
カテゴリ:演奏会(2015年)

2015年に聴いたコンサートのまとめ、続いては器楽曲編です。

○ピアノリサイタル
  1/31  オルガ・シェプス                           武蔵野市民文化会館小ホール
  2/ 8 リフシッツ バッハ:音楽の捧げもの                  東京文化会館小ホール
  3/ 2 ブロンフマン プロコフィエフ:ソナタ6,7,8               武蔵野市民文化会館小ホール
  4/ 3 メルニコフ ショパン&スクリャービン                 武蔵野市民文化会館小ホール
  8/ 8 アンダーソン&ロウ(ピアノデュオ)                  武蔵野市民文化会館小ホール
  11/23  ラシュコフスキー スクリャービン:ピアノソナタ全曲 武蔵野市民文化会館小ホール

○室内楽
  2/ 8 リザレフ(Va)&リフシッツ ショスタコービッチVaSほか 武蔵野市民文化会館小ホール
  4/ 2 ボロディンSQ&レオンスカヤ シューマンPQuintet ほか 東京文化会館小ホール
  4/ 7 エマ・ジョンソン(Cl)                   武蔵野市民文化会館小ホール
  6/ 4 庄司紗矢香(Vn)&カシオーリ(P)                  いずみホール(大阪)    
  6/16  カレファックス(木管五重奏) バッハ:ゴルトベルク変奏曲 武蔵野市民文化会館小ホール

○その他
 11/23 シャイ・マエストロ(Jazz Piano Solo)                  スイングホール

[ピアノリサイタル・覚え書き]
1月のオルガ・シェプスのリサイタルは、本プロのチャイコフスキーとショパンは普通で、アンコールのプロコフィエフが俄然冴えに冴えた演奏でした。

2月のリフシッツのバッハは、全3回にわたって行われた「バッハの宇宙」の一夜でした。メインプロの「音楽の捧げもの」が素晴らしかったです。リフシッツは近年日本で、2010年にゴルドベルク変奏曲、2012年にフーガの技法、そして2015年が平均律全曲、音楽の捧げものと、バッハの大作をいろいろと演奏してくれています。このうち僕が聴けたのはフーガの技法と今回の音楽の捧げものだけですが、いずれも対位法の深み、静謐を大事にする美しさが本当に素晴らしいです。ニコラーエワ、コロリオフ、ソコロフと綺羅星のように輝くロシアのバッハ演奏の伝統を嗣ぐ、貴重なバッハ弾きのリフシッツ、今後もできるだけ聴いていきたいと思います。

4月のメルニコフは、ショパンとスクリャービンのプログラムを聴いて、良かったけれど、これと別に行われたショスタコ―ヴィチの24の前奏曲とフーガの全曲演奏会には都合がつかず、聴きそびれたのが残念無念でした。

昨年が没後100周年だったスクリャービンは、シベリウスにおされて今一つ盛り上がりに欠けましたが、11月に、シベリア生まれの若いピアニストが、なんとピアノソナタ全曲を1番から10番まで順番に、1日で演奏するというすごいリサイタルがありました。2番3番以外はあまり馴染みがなかったので、この機会にと思ってソフロニツキーの全集でそれなりにひととおり予習していったので、いろいろ発見があり、貴重な体験でした。特に5番が、音型や響きなどの点で、「法悦の詩」とかなり共通のものがあり、聴きごたえがありました。あとで調べたら、ピアノソナタ第5番が作品53(1907年)、「法悦の詩」が作品54(1908年)と、ほぼ同時代に作られていました。プログラムの解説もわかりやすくスクリャービンの音楽への愛がにじみでていて、素敵でした。

[室内楽・覚え書き]
室内楽では、リザレフ(Va)とリフシッツ(P)という豪華な組み合わせによるデュオ・リサイタルが思いがけず行われました。ヴィオリストのリザレフは、以前ラクリンのヴァイオリン、マイスキーのチェロとのトリオで、バッハのゴルドベルク変奏曲の弦楽三重奏版(シトコヴェッキー編曲)を聴きました。ラクリン、マイスキーとがっしりと素晴らしい演奏を繰り広げていましたので、すごい人だと思いました。そのリザレフが、リフシッツと組むのです。しかもヒンデミットやショスタコーヴィチのヴィオラソナタが聴けるというすごいプログラム。なんでも話が急に決まって、リザレフがわざわざこのリサイタルのためだけに来日し、またすぐ帰っていったそうです!ものすごく深い演奏というわけではなかったけれど、いいものを聴けました。またいずれ彼のヴィオラをじっくり聴きたいと思います。

4月には、東京・春・音楽祭の「リヒテルに捧ぐ(生誕100年記念)」シリーズの一つとして行われた、ボロディンSQとレオンスカヤという、これも豪華な組み合わせによるシューマンとショスタコーヴィチの五重奏曲を堪能しました。貫禄十分、文句なく素晴らしい演奏でした。会場の東京文化会館内にはリヒテルの写真などがいろいろ飾ってあり、興味深かったです。

6月には、仕事で大阪に行ったとき、丁度やっていたいずみホールでの庄司紗矢香のリサイタルを聴きました。響きの良さで定評のあるいずみホールをいつか聴いてみたかったのが、ようやく実現しました。2階サイドで聴きました。天井が高く広い空間で、評判通り美しい響きを楽しめました。座席数821席ということですから、東京だと紀尾井ホール(座席数800席)とほぼ同じになりますが、空間、座席の広さなどいずみホールの方がゆったりと贅沢な作りと思いました、

6月にはもう一つ、カレファックス リード・クインテットという木管五重奏団の肩の凝らないコンサートを聴けました。オーボエ、クラリネット、サクソフォーン、バスクラ、バスーンの5人で、メインはバッハのゴルドベルク変奏曲。変化があって楽しめるなかなか良い編曲で、ゴルドベルクのひとつの「ヴァリエーション」として十分に存在価値ある演奏と思いました。彼らは来日を繰り返しているということですので、次の機会も聴いてみたいと思いました。

[その他・覚え書き]
2015年に唯一聴いたジャズのライブは、ソロピアノでした。シャイ・マエストロというイスラエルの人。スイングホールは客席数180席と小さく響きの良いホールです。僕は前の方の席だったので、ここでがんがん弾かれたらちょっときついかもと思って臨みましたが、抒情的で耽美的で、音色がとても美しくやさしいタッチで、素晴らしいソロライブを楽しめました。

しかし惜しいことに、始まってほどなく、前から2列目のほぼ中央の席で、聴衆の一人が、盛大な寝息を立てて眠り始めたのでした。大きいホールならさほど気にならない寝息でも、このような小さなホールで、繊細なピアノの演奏には大きな妨げとなります。それでもまだ聴衆が困るだけならまだしもですが、それ以上でした。そもそもこのホールは、舞台の高さは客席とほとんど差がなく、客席との一体感が強い作りですし、しかもその方の席が最高というか最悪でした。よくピアニストが演奏しながら少し客席の方に顔を斜めに向けて弾きますよね。その角度だと、ピアニストの視野のほぼ中央に、その方の姿が大きく映ったはずです。ピアニストとの距離も直線にしてわずか2-3mぐらいなので、もちろんその寝息がピアニストに盛大に聴こえているわけです。それで、ピアニストがその寝息をとても気にして、明らかに困っていて、途中その人をちらちら見たり、困ったように肩をすくめたり、ぼそっとぐちを言ったりしながら弾いたのです。ピアニストがこれほど困っているのだから、寝ている方の隣の人がつんつんして起こせばいいのにと思いましたが、隣の方はそれもせず、かくて前半の途中から前半の最後まで、盛大な寝息が響く中でのリサイタルになってしまいました。

休憩のあと登場したピアニストが、最初に真顔で、「眠らないで聴いてほしい、眠るなら外で」というようなことをしゃべってから弾き始めました。これも異例ですよね。そして普通、前半に盛大に眠ると後半は目覚めることが多いかと思うのですが、その方はすぐにふたたび大きな寝息を立て始めたのです!なんたること、今度はまわりのかたもさすがにときどきつんつんして起こしにかかります。その人も起こされた瞬間はすまなそうな身振りをするのですが、またすぐに深い眠りにはいり、再び寝息が。。。。そんなことが続いているうちに、リサイタルが終わってしまいました。あぁ罹災たる。。。その寝ていた方は、人のよさそうな方だったし、まさかここまでのことになっていたとは「夢にも」思わなかったことでしょう。

豪胆な演奏家なら、寝息だろうと何だろうとものともせずに、弾きまくるのかもしれません。「寝息で困って演奏の集中の妨げになってしまうようではプロとしては失格だ、しかもクラシックではなくジャズピアニストであれば、ノイズにタフなはずではないか」という人もいるかもしれません。しかし今回に関しては、そばで一部始終を体験した者として、あの寝息は限度を超えていたと思います。ピアニストの嘆きはもっともだと思いました。
シャイ・マエストロさんに、終演後にサインをいただき、素敵な音楽を聴かせていただいたお礼を言いました。これにこりずまたライブをやっていただきたいと思います。







Last updated  2016.01.04 16:44:26
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2016.01.02
カテゴリ:演奏会(2015年)

2015年に聴いたコンサートのまとめ、続いてはマーラー以外のオケものです。

○ブルックナー
      7番 インキネン&日フィル         4/25 サントリー
      ノット&東響             6/ 6 サントリー
      ハイティンク&ロンドン響       9/30 ミューザ川崎
  8番 ヤノフスキ&ベルリン放響       3/18 みなとみらい
  9番 ティーレマン&ドレスデン国立歌劇場管 2/22 みなとみらい

○シベリウス
  5,6,7番 尾高&札響            2/17 サントリー
  5,7番  リントゥ&フィンランド放響    11/ 2  すみだトリフォニー
  1,2番 3,4番 5,6,7番 カム&ラハティ響   11/26,27,29 東京オペラシティ
  5,6,7番 ヴァンスカ&読響         12/ 4 サントリー

○その他
  武満・吉松・リゲティ・クセナキス(井上道義&新日フィル)              1/29 サントリー
  スメタナ「我が祖国」 (フルシャ&プラハフィル)                      2/ 5  東京芸術劇場
  チャイコフスキー交響曲第5番(フェドセーエフ&チャイコフスキーSO)5/31 サントリー
  ブラームス交響曲第3番第4番(大植&東フィル)                           9/22 オーチャード

近年、自分的にはコンサートに行く頻度が減っているブルックナーです。7番はノット&東響が、両翼配置の良さを生かした、引き締まってバランスのとれた、素晴らしい演奏でした。ブルックナーとマーラーの両方をハイレベルで演奏するノットに率いられた東響のさらなる進化が非常に楽しみな2016年です。ハイティンクのブルックナーは、僕は今までにドレスデン国立歌劇場管との8番(2004年)、シカゴ響との7番(2009年)、ロンドン響との9番(2013年)を聴きました。ドレスデンとの8番が深い呼吸で非常な名演でした。今回の7番は、中庸のテンポで、個人的には特別にどうということのないブルックナーに聞こえてしまいました。その2日前にマーラー4番の奇跡的な演奏をしていただき、当方の受容キャパシティがマーラーの音楽で満杯になってしまい、そこからの切り替えが間に合わなかったというタイミングの悪さもあったかもしれません。終演後の会場は、マーラーの時よりも格段に大きな盛り上がりでハイティンクを称えていました。なお最初のオケの入場で、入場が間もなく終わろうとするときに、あわてて舞台下手奥(向かって左側)に椅子が一つ追加されましたが、曲が始まってもそこには誰も座らず空席のままでした。あれは何なのだろうと思っていると、第一楽章が終わって第二楽章が始まる前に、それまで舞台上手奥(向かって右奥)に座って吹いていたチューバ奏者が、巨大な楽器を持って舞台下手奥に移動し、その空席に座って、第二楽章をそこで吹きました。ホルン隊の半分のワーグナーチューバ持ち替え部隊のすぐ隣でチューバを吹いたというわけです。そして第二楽章が終わると、また楽器を持ってもとの上手奥に移動し、最後まで元の席で吹きました。第二楽章でチューバをワーグナーチューバのそばで吹かせるという方法は好ましいのですが、わざわざそのために楽章間で移動するというのはあまり賢明な方法ではないように思いましたし、それによってチューバがトロンボーン隊から離れてしまうという欠点もありました。チューバの配置に関しては、ホルン隊とトロンボーン隊の位置を工夫することで、最初からチューバをワーグナーチューバのそばでかつトロンボーンのそばに配置するという方法を何度か見たことがあり、そのほうが移動しなくて落ち着くし、良いと思います。
ヤノフスキの8番は、スケールは大きくないけれど、職人気質の堅実なブルックナーという感じで、なかなか良いブルックナーでした。

2015年はシベリウス記念年で、5,6,7番を一夜で演奏する演奏会を3回(尾高、カム、ヴァンスカ)聴けた充実の年になりました。個人的には尾高&札響が一番感銘を受けました。ついでカム&ラハティ響も素晴らしかったです。この両者は、それぞれ音楽監督としての一つの時代をオケと築き、その時代の最後を締める演奏会という、特別なものであったということも大きいかと思います。一方でヴァンスカは、かつてラハティ響を率いて来日したときのタピオラの凍てつくような美しさ、別次元のような純度の高さが強く印象に残っていたので大いに期待していましたが、それほどではなかったです。
なお5,6,7番の演奏会の休憩の取り方は、尾高&札響が5番のあと休憩して、6番のあと休憩して、最後7番と、1曲ずつ区切りをつけて演奏して、それぞれの曲を最大限に尊重する姿勢が感じられましたし、聴くほうも休憩をはさむことで気持ちを新たにして聴くことができて、個人的には一番良かったです。カムとヴァンスカは、5番のあと休憩、そして6番と7番を休憩なしで演奏するというものでした。カムはそれでも6番と7番を独立した曲として受け止めやすかったですが、ヴァンスカを聴いていて、なんだか6番が7番の前奏曲のような感じがして、ちょっと違和感がありました。あと一夜で5番と7番をやったリントゥは、前半がタピオラと7番で、休憩をはさんで5番でした。やはり7番最後の方が心的なバランスはやはりいいかなと思いました。

その他では、1月の井上道義&新日フィルの定期演奏会が選曲・演奏とも秀逸で楽しめました。武満徹の「地平線のドーリア」、吉松隆のトロンボーン協奏曲「オリオン・マシーン」、リゲティの「ロンターノ」、クセナキスの「ノモス・ガンマ」というプログラム。ノモス・ガンマという曲は全然知りませんでした。指揮者が中央に位置し、それを円形に取り囲んだオケが演奏するというユニークな曲で、井上道義の得意レパートリーということです。井上道義がタコのように身をくねらせながらこの曲のパワーを引き出し、これは凄かったです。

フェドセーエフ&チャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラを、僕は2012年に悲愴をメインとするオール・チャイコフスキー・プログラムで初めて聴き、圧倒的な感銘を受けました。今回はチャイコの5番、2012年ほどの感銘には至りませんでしたが、やはり充実のロシアの歌の魂を聴かせていただきました。83歳になるフェドセーエフと、彼が40年以上にわたって率いているこのオケ、次の機会にも是非聴きたいと思います。

 







Last updated  2016.01.02 21:17:29
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2015.12.27
カテゴリ:演奏会(2015年)

12月16日、「カークビーのクリスマス」を聴きました。アットホームな、素敵なコンサートでした。

「エマ・カークビーのクリスマス」
ソプラノ:エマ・カークビー
リュート:つのだたかし
バロック・ハープ:伊藤美恵

12月16日 白寿ホール

白寿ホールは、小さくてとても残響の多いホールです。ピアノとかを不用意に弾かれると響きすぎてしんどくなってしまうほどです。今回のような小さな音の楽器を小さな編成で味わうには、うってつけのホールです。

カークビーさんはこのホールで良く歌ってくれるようです。僕が今までカークビーさんを聴いたのは、先日のパーセルを入れて確か4回で、そのうち2回がここ白寿ホールです。記憶が不確かですがその2回のうち1回はロンドンバロックとの演奏で、このときは伴奏にいささかデリカシーが乏しくて、折角のカークビーさんの歌がもったいなかったです。もう1回は、今回と同じつのだたかしさんのリュートとのリサイタルでした。このリサイタルのとき、カークビーさんは水分補給のために、ペットボトルではなくティーカップを椅子の脇のサイド・テーブルに置いていました。イギリスらしくて素敵でした。ティーカップの中身が水なのか紅茶なのかは謎でしたので、もしも今回もティーカップだったら、あとでサイン会があればそのときにお尋ねしてみたいなぁと思っていました。でも今回は普通にペットボトルでした。

このコンサート開催にあたってつのだたかしさんとカークビーさんが曲を相談して、もうクリスマスが近い時期だからクリスマスコンサートでいいでしょう、ということになり、カークビーさんが選曲してプログラムを組んだ、ということでした。

リュートあるいはバロックハープのソロや二重奏があり、そしてリュート伴奏あるいはバロックハープ伴奏によるカークビーさんの歌があり、もちろん3人の演奏もありと、いろいろ楽しめました。3人全員が、自分が演奏しないときでもいつもステージ上の椅子に座っていて、途中につのださんや伊藤さんが、カークービーさんにまつわる思い出話をしたり、カークビーさんも座って歌ったり、立って歌ったり、器楽の調べに耳を傾けたりと、本当にアットホームな親しい雰囲気の中でコンサートが進みました。味わいのある静かな音楽を、リラックスしてじっくりと聴くことができた、なんとも素敵で贅沢な、クリスマス音楽のひと時でした。

導入の2つの歌のあと、やや憂いを帯びたリュートソロの2曲が美しく、そしてその次に歌われたキャンピオンの歌曲「Author of Light」とダウランドの歌曲「In this trembling shadow cast」(リュート伴奏)が、個人的にはもう最高でした。なんとなく聴きおぼえがある曲だったので、後日手持ちのCDでこの曲を探したところ、ソプラノとリュートの編成の演奏は持ってなくて、他の編成のだけしか持っていませんでした。ダウランドをはじめ、この時代のイギリス音楽は本当に僕の心に沁みる曲が多いです。この曲をこのような親密な雰囲気の中でカークビーさんの歌できけて、なんとも幸せなことでした。

プログラムの前半は主にイギリスの音楽で、休憩をはさんだ後半は、よりリラックスした感じになり世界のクリスマスキャロルが歌われ、そしてアンコールは民謡2曲を歌っていただきました。いやーこれは満喫しました。これで僕のコンサート通い、今年はおしまいです。

カークビーさん、お元気で是非また日本にいらしてください。今度はお正月に来日いかがでしょうか。新春コンサートの傍ら、初詣などもお楽しみいただき、そこでやっていただくのはもちろん、

絵馬・書くびー。

Kirkby3 500.png

このプログラム表紙の絵を拡大したのが下です。右下にリュート、左下にバロックハープがあるので、この絵が使われたということです。そうするとカークビーさんがマリアですね。

Kirkby4 500.jpg







Last updated  2015.12.27 20:48:48
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2015.12.13
カテゴリ:演奏会(2015年)

パーセルの「妖精の女王」を見て、聴いて、体験しました。日本の古楽演奏史に語り継がれるであろう、記念碑的な上演でしたし、すべてが完璧に素晴らしい、夢のように幸福なひと時でした。

セミオペラ「妖精の女王」 
12月13日 北とぴあ さくらホール

原作:シェイクスピア「真夏の夜の夢」
音楽:ヘンリー・パーセル
指揮:寺神戸亮
演出:宮城聰
合唱・管弦楽:レ・ボレアード
俳優:SPAC(静岡県舞台芸術センター)の方々
歌手:エマ・カークビー(S)、広瀬奈緒(S)、波多野睦美(Mes)、中嶋俊晴(CT)、ケヴィン・スケルトン(T)、大山大輔(Bar)

北とぴあ国際音楽祭2015の一環としての上演でした。北とぴあ国際音楽祭は、20年前から行われている、古楽オペラを中心とする北区の音楽祭です。寺神戸亮さんが関わって、毎年ハイレベルのバロックオペラ等が上演されます。20年前の第1回は、パーセルの「ダイドーとエネアス」が採り上げられたそうです。僕がこの音楽祭のことを知ったのはもっとずっと後で、数年前からです。モンテヴェルディの「オルフェオ」、ハイドンの「月の世界」、シャルパンティエの「病は気から」など、珠玉のオペラを堪能させてもらいました。

今回はパーセルのセミオペラの大作「妖精の女王」、しかもなんとカークビーさんが来て歌ってくれるというすごいことになり、大変楽しみにしていました。セミオペラというのは、半分は劇、半分は音楽(と舞踊)で、劇のところは俳優がセリフを言い演技をし、ときどき挿入される音楽部分で器楽曲や、歌手の歌や、合唱が歌われる、という感じで進んでいきます。劇と音楽がほぼ同じ比重を持ちます。

今回がどういう上演になるのかわからなかったけれど、なんとなく、音楽中心に進められ、劇部分は付けたし程度だろうなと思っていました。そうしたら全然違って、劇部分も本格的でした。舞踊の要素はやや乏しかったかもしれないけれど、それを除けばセミオペラとして完全な形での上演でした。プログラムによると、このような本格的な形での上演は、日本では多分初演になるだろう、ということでした。

劇部分(セリフは日本語で非常にわかりやすい)がドタバタ喜劇調で始まり、笑いながら楽しんでいると、ぱっと最初の器楽曲が始まり、その途端に、あまりの音楽の美しさに反射的に涙がでてきてしまいました。このドタバタ喜劇の笑いと、音楽の純粋な美しさからの涙、そのような意味での笑いあり涙ありの繰り返しで、最高に幸福な、贅沢すぎるひとときでした。1回の休憩をいれてたっぷり3時間半の上演を堪能しました。

オケピットは使わず、舞台の前半分はオケ、舞台の後ろ半分は2メートルくらい高くして、そこが妖精の森の舞台となり、ある時は俳優が、ある時は合唱と歌手が、あるときはその両者が入り乱れて物語が進みます。またオケの手前、舞台の一番客席寄りのところでも、俳優の演技や、ときに歌手が歌う場所としても使われ、本当にうまいこと考えられた舞台でした。舞台美術も夜の森の神秘を現す美しいもので、とても素敵でした。俳優さんたちの、ともかくハチャメチャでパワーある演技は大したものでしたし、劇半ばでの村人たちによるお芝居の練習も、小気味よいテンポでとても楽しめました。そしてこれらすべてにわたって、演出が光っていました。ユーモアの中にも節度と気品が保たれていて、大胆でいて、しかし音楽に謙虚で、音楽の美しさをいささかも損なわず、本当にすばらしかったです。プログラムに載っているこの演出の方の書いた文章も素敵で、その一部を抜き出すと、“聴いているうちに、なぜこう、いともたやすく言葉が音楽になるのだろうと不思議になってくるところは・・・(中略)・・・もっぱらパーセルの天才のなしたわざなのだろうと思います。”とか、“シェイクスピアにふさわしい相棒は、後の世に生まれたパーセルをおいてほかにない、と思わずにはいられないのでした。”などなど。

そして何よりもパーセルの音楽!今までCDで音楽だけ聴いていても、音楽の美しさは十分に感じられるものの、ストーリー進行との関連は全然わかりませんでした。今回劇と平行して聴いたことで、内容がよく理解でき、より一層心にしみてきました。音楽はどこをとっても本当に素晴らしいのですが、特に印象的な場面をあげてみます。第1幕では、酔いどれ詩人と、詩人をからかいつねる妖精たちの掛け合いが面白かったです。第2幕は途中から、にぎやかな楽しい音楽が一転して夜の静寂と神秘の音楽になり、ここでカークビーさんがしずしずと登場する場面が何とも素敵でした。ここからのアリアの4連続はひとつのクライマックスと言っていい圧巻でした。「夜」がカークビーさん、「神秘」が波多野睦美さん、「眠り」がスケルトンさん、「秘密」が大山大輔さんと合唱。続く第三幕は、冒頭の有名な「愛が甘い情熱なら」を波多野さんがしっとりと歌い、コリドン(中嶋さん、女役)とモプサ(大山さん)の対話では男二人のからみの二重唱が抱腹絶倒でした。休憩をはさんで第4幕で再び出てくる4連続アリアは、「春」が広瀬さん、「夏」が中嶋さん、「秋」がスケルトンさん、「冬」が大山さんでした。最後の第5幕では、「ジュノーの歌」が波多野さん、そしてこの作品でもっとも有名な「嘆きの歌」はもちろんカークビーさんの歌で、寺神戸さんが静かにヴァイオリンを添えました。深い味わいのある名唱でした。

なにしろパーセルのオペラ上演の中でのカークビーさんの歌が聴けるなんていうことが奇跡的ですし、他の歌手陣も本当に充実していました。なかでもテノールのケヴィン・スケルトンという方は、僕は今日初めて認識しましたが、歌と所作の調和した神秘的な美しさに感銘を受けました。器楽陣も、三宮正満さんのオーボエ、濱田芳通さんのリコーダー、福沢宏さんのヴィオラ・ダ・ガンバなどなど、豪華メンバーによる素晴らしいアンサンブルを聴かせてくれました。

「妖精の女王」の、セミオペラとしての本格的上演のおそらく日本初演、しかもカークビーさんが参加というこの上演は、日本の古楽演奏史上で語り継がれていくことは間違いないと思います。出演者も観客も、カークビーさんへのリスペクトで一つになった会場で、劇と音楽の一つになった極上の夢世界が、そこに成就していました。この場に立ちあえたこと、大きな感動をいただいたこと、本当にうれしく思います。パーセルとカークビーさんと寺神戸さんと皆々様に、心から感謝です。音楽ってすばらしい。

妖精の女王北とぴあ国際音楽祭.jpg

 







Last updated  2015.12.14 16:16:52
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2015.11.30
カテゴリ:演奏会(2015年)

オッコ・カム指揮、ラハティ響のシベリウスチクルスを聴きました。
11月26日 交響曲第1番、第2番
11月27日 交響曲第3番、ヴァイオリン協奏曲、交響曲第4番
11月29日 交響曲第5番、第6番、第7番

東京オペラシティ コンサートホール

初日の1番、2番。細かいことはあまり気にせず、やや速めのテンポでぐいぐいと推進していく、明るく力強いシベリウスでした。カムの歌心も素敵で、僕は満足し、感動しました。アンコールは、かなりマイナーな、知らない曲を3曲演奏してくれました。聴衆もかなり盛り上がり、オケが引っ込んだ後にも拍手が続きカムの呼び戻しがありました。

おおらかで力強くまっすぐな歌に感動し、いい演奏会に来ることができたという幸福感を抱きました。しかしその一方で、音楽表現の繊細さには乏しかったため、二日目三日目はどうなるんだろうという懸念も抱きながら、帰路に着きました。

二日目の3番、4番。昨日と同じ方向性の演奏でした。3番は、7曲中でカムがもっとも好きな曲だそうです。曲調的にも一応1,2番の延長線上にあるので、初日と同じようにあまり違和感なく聴けました。しかしヴァイオリン協奏曲は、ソリスト(フィンランドの人)に余裕がなく、聴くのがちょっとしんどい演奏でした。続く4番も、(もともとこの曲をあまり良くわからない僕が言う資格はありませんけれど)、今一つまとまらない感がありました。この曲でソロで活躍するチェロの首席の方は、美音ではあるのですが何かもう一つ淡々としていて、カムさんの歌わせたい方向と、ちょとずれがあるように感じました。ということで個人的には二日目の満足度はかなり後退しました。

それでも、この日も聴衆の盛り上がりは相当なものでした。アンコールはやはり3曲で、最初が悲しきワルツ、2曲目がクリスチャン2世からミュゼット、3曲目はかなりマイナーな曲でした。二日目にも、カムの呼び戻しが1回ありました。

ここまで初日も二日目も、アンコール3曲。初日のアンコールはすべてマイナーな曲で、二日目のアンコールには有名曲を一つ入れてきました、この流れですから、二日目が終わった時点で、「最終日のアンコールも3曲で、きっと1曲目はアンダンテ・フェスティーボで、2曲目に何かやって、最後はフインランディアで締めるに違いないだろう」と確信しました。

いよいよ最終日の5,6,7番。この日も同じ路線の演奏で、明るく力強くおおらかでのびのびとして、随所にカムさんの歌心が現れて、素敵な場面がありました。しかしその反面、繊細さには乏しく、音量もピアノ以下がほとんどなく、いつもメゾピアノ以上の音に終始するといった感じの演奏でした。

それでも聴衆の盛り上がりはものすごかったです。アンコールは予想通りで、1曲目はアンダンテ・フェスティーボ、2曲目はマイナーな曲で、そして最後のとどめはフィンランディアでした。このフィンランディアは、問答無用の爆演でした。コントラバスは5台だったのですが、5台とは思えない重厚な音が冒頭から出ていました。金管も冒頭から遠慮なく鳴らすこと鳴らすこと。シベリウスチクルスの締めくくりとして、豪放な音と熱い歌を、たっぷりと味わいました。素晴らしいフィンランディアでした。

フィンランディアが終わって、聴衆の盛り上がりはいよいよ最高潮。盛大な拍手はいつまでも続き、やがてオケが引っ込み、呼び戻しの拍手にこたえてカムが戻ってくるころには、聴衆の多くは立ち上がって拍手をしていました。ステージ中央に戻ったカムは、にこにこしながら、オケの団員を手招きして呼び戻します。それに応えて、一度退場したオケの団員たちが、楽器は持たず大挙してぞろぞろっと出てきて、ステージの前に2列くらいでずらっと左右に並びました。この頃になると会場のほぼ全員がスタンディングで熱烈な拍手を送ってオケとカムを称えます。カムもオケの皆様も本当にうれしそうで、カムの合図で全員が3度深くお辞儀をしました。オケとカムが引っ込んだ後、さらにもう一度カムの呼び戻しがあり、それでようやく拍手がおさまりお開きとなりました。

・・・終わってみると、今回のカム&ラハティ響のシベリウスチクルス、正直それほど洗練された演奏ではなかったです。

以前、ヴァンスカの振ったラハティ響を、2006年にすみだトリフォニーホールで聴きました。シベリウスのタピオラほかのプログラムでした。このときのタピオラは、極北の、厳しく、冷たく、透明な美しさが驚異的で、凄味があり、今でも強烈な印象が残っています。

今回の演奏は、このときと同じオケとは到底思えないような、方向性がまるで違うシベリウスでした。北を目指すのではなく、南へのあこがれというか、南を志向するような、素直で素朴でおおらかな、生命賛歌のシベリウス。

この2月に聴いた尾高さん&札響のシベリウス(5,6,7番)が、普通に僕たちが抱く北のイメージに合った、清冽な、凛とした演奏だったのに対して、フィンランドご当地の人々が演奏する今回のシベリウスは、もしかしたら北に暮らす人々が内に持つ南へのあこがれのようなものが外に向かって放射された演奏なのかもしれない、などと勝手に思いました。

良く言えばおおらか、逆に言えば大雑把な演奏だったわけですが、これを聴いて、あまり不満な感じはせず、不思議に肯定的な、幸せな気持ちに包まれました。「細かなところはいろいろ問題あるけれど、でもいいじゃないか、みな前向きに生きていこう」みたいな、大きな心になれるような音楽でした。カムさんのお人柄によるところが大きいのだろうと思います。会場も3日を通じて、良い意味での「これでいいじゃないの」という暖かい共感的な雰囲気に包まれたチクルスでした。カムさんもオケの人たちも、この共感的な聴衆の中での演奏は、相当やりがいがあったことと思います。カムさん、ラハティ響の皆様、ありがとうございました。

最終日は、はるばる関西から5,6,7番を聴きに来た友人G氏と一緒に聴いたのですが、そのG氏が名言を。「これはフィンランドの大フィルだ!」と。少し前までの大フィルが持っていたおおらかな魅力と重なりあうその特質を、ずばりと喝破した慧眼に、うなりました。

カムさんはこの先どこにゆくのか。ラハティ響のこの先はどこに向かうのか。
その方向がどうであっても、そこにはいつもシベリウスの音楽があることでしょう。

 







Last updated  2015.12.01 00:23:23
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2015.05.06
カテゴリ:演奏会(2015年)
去る2月17日、サントリーホールで尾高忠明指揮、札幌交響楽団の東京公演を聴きました。シベリウスの交響曲5番、6番、7番というプログラムです。僕は6番を生で聴くのは初めての機会でしたし、尾高忠明さんが今年3月で札響の音楽監督を退任され、音楽監督として札響との最後の国内演奏会になるということで、是非聴きたいと思っていました。

尾高さんと札響が紡ぎだす音は、清冽で美しく、シベリウスの凛とした音楽がきけて、感動しました。この日のプログラム、休憩はどこでとるのだろうと思っていたら、5番をやって少し休憩、6番をやって少し休憩、そして7番という構成で、一曲一曲に気分をいれかえて聴けるという好プログラミングでした。6番の終楽章冒頭の、弦の美しいカンタービレでは、弦楽と一緒にホルンも吹いていることを知ってびっくりするなど、自分にとって新たな発見もありました。アンコールはアンダンテ・フェスティーヴォで、これも弦楽合奏がほれぼれとする響きでした。

なんと17年間という尾高・札響コンビの締めくくりにふさわしい感動的な演奏会でした。
この演奏会は火曜の夜でしたが、はるか遠方からこの演奏会のために新幹線で駆けつけた友人とも会えて、感動を分かち合えました。友人は終演後、僕に心づくしのお土産を渡すと、翌日の仕事のためすぐに帰路についてゆきました。ありがとう、お土産美味しかったです。






Last updated  2015.05.07 00:16:18
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