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じゃくの音楽日記帳

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演奏会(2009年)

2009.12.30
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カテゴリ:演奏会(2009年)
2009年もあと二日。きょうは、今年のコンサートで、マーラー・ブルックナー以外で特にすばらしかったものをあげておきます。()内はブログ記事の日付です。
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僕のブログ開設は今年の2月22日でしたので、その前の3公演について少し書いておきます。

○プッチーニ 蝶々夫人
オペラは長いこと敷居が高くて、ようやくここ数年、ぽちぽちと聴くようになりました。今年はオペラ好きの友人からのお誘いで、初めて新国立劇場に足を踏み入れました。それが蝶々夫人でした。その音響の良さに、驚きました。

これまでの僕のオペラ体験は、東京文化会館大ホールやNHKホールという、オケピットはあるけれどかなりデッドなホールか、あるいはオケピットのないコンサートホールでのセミ・ステージ形式での上演、どちらかのことが多かったです。前者はデッドすぎて音楽そのものが楽しめないことが多く、それに対して後者ではそこそこ楽しめることが多かったので、セミ・ステージ形式も悪くないなぁと思っていました。あるときオペラ好きの友人から、オケピットのないコンサートホールでセミ・ステージ形式でオペラを聴くと、オケの音が響きすぎて声が聴きにくくなりがちで、あまり満足できないことが多い、と言われました。そのときは、「うーんそうなのかもしれないけど、どのみち僕は言葉の意味はわからないで字幕を観ているし、オケの音響に浸るのは好きだから、まぁいいんじゃないかなぁ」といった程度の認識しかできませんでした。

しかしそのあとにこの蝶々夫人で新国立劇場のオペラを初めて体験し、オペラのために作られたホールの音響効果の良さを、はじめて認識しました。デッドすぎず響きすぎない、ほどよい響きの空間の中で、充分に広く余裕のあるオケピットにはいった大編成のオケから出てくるワンクッションおいた音響をバックに歌われる声がいかに素晴らしいものか、なるほど友人の言っていたのはこういうことだったのか、と即座に合点がいきました。

僕は荒川静香のトゥーランドットではじめて好きになったというにわかプッチーニファンですが、プッチーニの音楽には、マーラーばりの大袈裟で派手な音響のオケと、世にも美しいメロディーの歌との合体という、マーラーファンにとってはすごく親しみやすい魅力を感じています。今後もゆるゆると、プッチーニのオペラを聴いていきたいです。

○リゲティ/ル・グラン・マカーブル (日本初演、東京室内歌劇場実験オペラシリーズ 、指揮:ウリ・セガル、演出:藤田康城)

蝶々夫人に続き、今度は新国立劇場の中劇場に初めて足を踏み入れたのが、このリゲティでした。この曲、CDでは持っていましたが、ちょっと聴いただけでほとんどわけわからずにお蔵入りしていました。今回、日本初演ということで行きたいとは思っていましたが、直前までチケットを買う決心がつかずにいました。蝶々夫人で新国立劇場大劇場なるものを気持ちよく初体験できたので、よしそれでは中劇場にも行ってみよう、と決意してチケットを買おうとして主催の東京室内歌劇場に電話をしたら、「すみませんが売り切れです、もしかしたらチケットピアならまだ残券が少しあるかもしれません」と言われて、えーーっ、そんなに人気あるんですか!とあわててチケットピアに問い合わせたら、かろうじて僅かに残っていた券を買えました。当日行ってみると、なるほど、どこから集まってきたのか、客席は大入り満員です。これ、観てもやっぱり意味は良くわからなかったけれど(^^;)、音楽とか舞台は、実におもしろかったです。リゲティの音楽のすごい力に惹かれたし、途中ミラーボールを使った舞台演出も効果的でした。

東京室内歌劇場なる集団、今回はじめて知りました。今年創立40周年になるという、古楽オペラから現代オペラまで、精力的に活動しているすごい団体なんですね。このリゲティが良かったので、9月にナイマンのオペラを観にいき、これも感銘を受けました。(9/7の記事を参照ください。) 東京室内歌劇場、来年以後も、おもしろそうな演目を観にいこうと思います。

○パーセル/ダイドーとイニーアス、モンテヴェルディ/タンクレーディとクロリンダの戦い(横須賀芸術劇場開館15周年記念オペラ、演出:弥勒忠史、指揮:江崎浩司、管弦楽:トロヴァトーリ・レヴァンティ、ダイドー&魔法使い:林美智子、イニーアス:与那城敬 ほか)

今年はパーセルのアニヴァーサリーイヤーでしたが、東京近辺で大規模な公演はこれくらいだったでしょうか。僕はパーセルの音楽大好きです。ダイドーとイニーアスは、演奏会形式の上演で一度聴いただけで、舞台での上演はこれが初めてだったので、非常に楽しみにしていました。バッハ・コレギウム・ジャパンなどで活躍する弥勒さんが演出で、なんとバリ風の衣装・舞台設定でした。多分あれもやりたいこれもやりたいという気持ちからでしょう、いろいろと演出過剰気味でしたけれど、良かったです。色彩豊かな装飾の衣装がとてもきれいでしたし、ラストで、上から赤い薔薇の花びらがひらひらと、横たわるダイドーの上にそっと舞い降りてくるという、切なくも美しい見事な演出、強く心に焼き付きました。

パーセルの音楽は本当に素晴らしいです。来年は2月にニケが横浜でアーサー王をやるので、今から非常に楽しみにしています。


あと最後に、12月に行われたピアノソロコンサートのことを。

○ウォン・ウィンツァン  ピアノソロコンサート
ニューエイジのピアニストで、即興演奏がすばらしい人です。この人のコンサートに臨んだのは2回目です。前回はインプロヴィゼーションは短かったですが、今回はコンサートの後半に、数十分のインプロヴィゼーションを弾いてくれました。今年で60歳になられたというウォン・ウィンツァン。これからも心に響くピアノを聴かせてください。








Last updated  2011.01.10 16:19:51
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2009.12.29
カテゴリ:演奏会(2009年)
続いて2009年のブルックナーのコンサートです。()内はブログ記事の日付です。
ほとんどの感想をブログに書いてなかったので、駆け足で書いておきます。
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  • 1番 スクロヴァチェフスキ/読響       3月 9日 サントリーホール
  • 4番 コバケン/日フィル                  4月24日 サントリーホール
  •    シャイー/ゲバントハウス        11月 2日 サントリーホール
  • 7番 ハイティンク/シカゴ響             2月 3日 サントリーホール
  •    デプリースト/都響                12月18日 サントリーホール
  • 8番 ブロムシュテット/チェコフィル  11月23日 サントリーホール
  • 9番 スクロヴァチェフスキ/読響        9月24日 サントリーホール (10/4)
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以前から気になっていて一度聴いてみたかったコバケンのブルックナー、今年はじめて聴きに行きました。4番、どこがどうというのは覚えてないんですが、やはりコバケンはマーラーがあっている、という思いを強く抱きました。もうひとつの4番はシャイー/ゲバントハウス。シャイーのブルックナーも今年はじめて聴きました。第一、第三楽章はテンポが速くせわしなく、管楽器の音などかなりきつめの表現で、ブルックナーとしてはちょっとなじめませんでした。しかし第二楽章などの弦の渋い味わいはさすがにゲバントハウスで、素晴らしかったです。終楽章は、それまでと一転、じっくりとした遅いテンポで進み、巨大な世界が作られていきました。とくにコーダは、さらに一段とテンポを落として、壮大なクライマックスが立ち現れ、凄かったです。終わってみると、部分的に鳥肌がたつようなところがいくつかありましたが、全曲通しての一貫した音楽の揺るぎなさのようなものがなく、中途半端な印象になってしまったのは残念でした。

それにしてもシャイーのやろうとしている方向には、もっと機能的現代的なオケが相応しいと思いました。この組み合わせは、指揮者にも、オケにも、どちらにも勿体ないことかも、と思ったりしました。

ハイティンクの7番は、オケが二日前のマーラー6番の大味な演奏とは違って、良く鳴って、アンサンブルもぴしりと引き締まり、まことに立派な音響世界を構築してくれました。音響的には完璧といっていい音の大伽藍でした。しかしハイティンクの作るブルックナーの世界は、今回は地味すぎるというか、淡泊すぎて、ちょっと物足りなく思いました。(2004年にサントリーで聴いたドレスデンシュターツカペレとの8番は神がかり的な演奏で凄かったのですが。。。)

こうして書いていて、シャイーがシカゴを、ハイティンクがゲバントハウスを振ったら良かったのかも、などと勝手なことを想像したりしました。

今年もう一つの7番はデプリースト/都響。前半のふたつの楽章は、スケール感こそないけれど、早めのテンポのなかにそれなりにゆったりとした味わいがありました。フレーズの出だしはもったいをつけずにあっさりと入り、フレーズの後半に少しテンポをゆっくりとしていき、音楽が若干うしろに引っ張られていく感じでした。(音楽が前に前にとつんのめっていくブルックナーは僕はもっとも敬遠したいですので、こういう感じは、悪くないです。)ちょっと驚いたのは第一楽章のコーダ。それまでの早めのテンポから一転、朝比奈御大ほどではないがそれを思い出すような遅いテンポとなり、コーダが演奏されました。朝比奈/都響のブルックナー演奏の伝統に敬意を表したのだろうかなどと思いましたが、それは考えすぎでした。(終楽章のコーダが第一楽章のそれと呼応するゆっくりしたテンポではなく、速くあっさりと終わってしまいましたので。)ともかく、前半のふたつの楽章は、小ぶりだが抑制の利いた上質の7番という感じで、かなり好感を持ちました。しかし後半のふたつの楽章は、ほど良い抑制の感じがなくなってしまいました。オケから強い激しい音を出させようとしたときに、浅くうるさい響きになってしまいました。前半が良かっただけに残念。デプリースト/都響の演奏は数えるほどしか聴いてませんが、以前聴いたマーラーの2番でもやはり同様な、大きな音のところでのきつさ、荒さが目立ってしまい、聴いていてしんどかったです。

ブロムシュテット/チェコフィルの8番は、余計なことをしないで、曲そのものに語らせるというような、匠の技を感じました。オケは、すべてのパートが必要以上に突出することなく、引っ込みすぎることもなく、すばらしいアンサンブルでした。これに凄みのようなものが加われば、さらにすごいブルックナーになったとは思いますが、それはそれとして、極上のブルックナーのひとつを聴けたと思います。ところで余談ですが、友人が、この演奏会のときバボラークに良く似た人を客席で見かけたと言っていました。バボラークの後任のホルン首席というと、2005年にマーカル指揮でマーラー5番を演奏したときに、若い人が、圧倒的な大音量で鳴らし、チェコのホルン健在なり、と強烈な存在感を放っていました。その人が今回もホルン首席でしたが、今回はそのときとは違い、完全なバランスを取ることに徹した、素晴らしい音を出していました。

来年もまた、どんなブルックナーが聴けるのか楽しみです。







Last updated  2011.01.10 16:12:27
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2009.11.25
カテゴリ:演奏会(2009年)
大分日にちが経ってしまいましたが、11月11日、ハクジュホールで聴いた小林美恵ヴァイオリンリサイタルのことを書いておきます。ピアノ加藤洋之。

プログラムは
コルンゴルド:空騒ぎ
武満徹:十一月の霧と菊の彼方から
ヴォーン・ウィリアムズ:揚げひばり
エルガー:ヴァイオリンソナタ

プログラムのメインが僕の好きなエルガーのソナタで、他にコルンゴルドの「空騒ぎ」も含んだ選曲がかなり魅力的だったので、聴きにきました。このリサイタルは、ハクジュホールの名物「リクライニング・コンサート・シリーズ」の一環で、後方の座席はリクライニング・シートとなり自由に眠れ、曲の間には演奏者が曲紹介などのトークをまじえるというフレンドリーなものです。僕はいざとなればどんな席だろうとたやすく眠れますので(^^;)、前方の普通のシートに座りました。

コルンゴルドの「空騒ぎ」は、もともとは小管弦楽用に書かれた全14曲からなるシェークスピアの喜劇の付随音楽で、初演当初から大好評を博したそうです。この曲にはおもしろいエピソードがあり、初演は大好評で追加公演が催されることになったのは良いのですが、オケとの契約が延長できなかったため、急遽コルンゴルドがヴァイオリンとピアノ用に編曲して、自分がピアノを弾いて演奏したそうです。最後の「ホーンパイプ」だけはホルン奏者を必要としたので、ウィーンフィルの首席ホルン奏者に助っ人で吹いてもらったところ、威勢がよすぎて小さな劇場を吹き飛ばしそうだったということです!(早崎隆志著「コルンゴルドとその時代」みすず書房 に載っていました。この本、コルンゴルドに関しての貴重な情報が満載の、素晴らしい本です。)

ですので、多分ヴァイオリンとピアノ用にも全曲の編曲が残されていると思うのですが、普通演奏されるのは4曲で、ユーモアあり、ロマンスありの、お洒落でチャーミングな曲です。小林さんの演奏は、表情豊かで、とても素敵でした。2曲目(野生リンゴとリンボク酒)は、酔っぱらっている感じがとっても良く出ていて、楽しめました。

十一月にちなんだ武満徹の静かな曲のあと、ヴォーン・ウィリアムズの「揚げひばり」。この曲は、小林さんがこのリクライニングコンサートの企画を受けたときに、ゆっくり気持ちよく眠れる曲ということで真っ先に思いついた曲だということでした。まさに術中にはまったワタクシ、聴きながら、気持ちよくまどろみに吸い込まれていきました。。。

最後がいよいよエルガーのソナタです。小林さんは、エルガーの演奏前のトークで、自分達(小林さんと加藤さん)はまだこの曲をあまり弾いていないこと、この前自分の教えている学生が、この曲を弾きたいと言ってきて、どうも漫画で取り上げられ若い人たちの間で人気を呼んでいるそうだ、ということを仰っていました。ご存知「のだめ」ですね。千秋とのだめが弾く場面、とっても素敵です。

さて演奏です。この曲を生で聴くのは3回目です。今夜の小林さんの演奏は、音色が多彩で、表現の幅が広く、すばらしい演奏でした。伴奏の加藤さんも、でしゃばりすぎず引っ込みすぎず、絶妙なバランスでとても良かったです。終始、眠気のねの字も感じず、音楽に引き込まれて聴かせてもらいました。この曲、下手するとつかみどころがないものになったり、一本調子になってしまいますが、小林さんの演奏はこの曲の魅力を十分に歌っていて、充分に満足しました。「まだあまり弾いていない」といいながら、こういう演奏をやってのけてしまうところ、さすがと思いました。






Last updated  2009.11.26 01:53:17
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2009.11.03
カテゴリ:演奏会(2009年)
11月2日サントリーホール、シャイー/ゲバントハウス管弦楽団の演奏会を聴きました。

プログラムは、
 メンデルスゾーン 交響曲第5番「宗教改革」
 ブルックナー 交響曲第4番「ロマンティック」

会場に行ってみると、「宗教改革」は初期稿を使用する、と掲示してありました。初期稿とはなんだろう、と思って公演プログラムを見ても、詳しいことは書いてなさそうです。あとでカジモトのサイトをみてみたら、「ホグウッドが校訂したメンデルスゾーンの新全集版に入っている、最初に書いた初期稿をベースにした独自のバージョン」という説明が出ていました。

開演時間となり、楽団員が出てきました。コンマスが先頭に、次々に登場してくる楽団員たちは、全員が出てくるまでそれぞれの位置で客席を向いて立ち続け、全員そろってから座りました。ドイツのオケらしく、礼儀正しくきちんとしていて、思わずこちらも拍手の熱意が高まります。

オケは両翼配置で、コントラバスは下手奥でした。珍しかったのは、コントラファゴットの向かって右隣に、テューバをぎゅーっと圧迫して細長~くして、さらに全体をふたまわりほど小さくしたような金管楽器が陣取ったことです。今年8月の高関健/読響のヘンデルの王宮の花火の演奏のときに見たのと、同種の楽器でしょうか。(王宮の花火のときには、もうひと回り大きかったかもしれませんが、細長くつぶしたテューバという点では同じ。)あとで金管楽器に詳しい友人が、「オフィクレイド」ではないかと教えてくれました。

ウィキペディアで「宗教改革」の楽器編成を見てみたら、メンデルスゾーンはこの曲に、セルパンという蛇のような形をした低音楽器(木管と金管の中間的な楽器)を使用したということです。(ウィキペディアのセルパンの項に写真がありました、本当に蛇みたいです!)しかし時代とともにセルバンがすたれ、オフィクレイドにとって代わられ、それがさらにテューバに代わってきているということです。なるほど。ちなみに先週の下野/読響の宗教改革の演奏は、多分普通のテューバを使っていたと思います。きょうはホグウッドとシャイーのこだわりで、オフィクレイドが使われたということなのでしょうか。(そういえば8月のヘンデルの王宮の花火も、「ホグウッド校訂による2008年の新しい版」を使用していました。これもホグウッドと高関さんのこだわりですね。)

チューニングが終わり、指揮者の登場です。大柄なシャイーが登場して、普通より高い指揮台に乗り、いよいよ第一楽章が始まりました。シャイーは早めのテンポでぐいぐいと進み、アクセント付けも強烈です。なめらかな美しさよりも、表面はがさがさ・ざらざらしていても勢いと芯がある音楽、を目指しているような姿勢と感じました。続く第二楽章も、早めのテンポで終始しました。

それに対し憂いを帯びた、みじかい間奏曲的な性格の第三楽章は、弦を中心に、比較的ゆっくり歌われ、味わい深いです。コントラバスの持続音が残り、静かに消えてゆき、そのまま終楽章にはいっていきます。ところで稿の違いに関しては、第一楽章からここまで、僕には違いがさっぱりわかりませんでした。しかし第四楽章の開始のところが、大きく異なりました。

通常の稿だと、ここでフルート・ソロでルターの賛美歌のメロディーが清らかに歌われはじめ、きわめて印象的なところですね。今回は、フルート・ソロが、まったく別のメロディーを優しく吹き始めました。やがて他の楽器も少し加わってきて、ひとくさり歌が歌われました。この部分は1~2分はあったでしょうか、結構長く、それが一区切りしたあたりで、引き続いてフルート・ソロが、ついにルターの賛美歌のメロディーを奏で始めました。そこからあとは、通常稿と同じ流れでした。ルターのコラールがだんだん楽器が増えて盛り上がっていき、続いてテンポが速まり長調の祝典的な第一主題などの部分、続く短調のフーガの部分、そのあとルターのメロディの一部やいろいろな主題がさまざまに歌われ展開されていく部分、やがてフーガの主題にルターのコラールがかぶさって同時進行していく部分(このあたりがまさに「プチブル5」の雰囲気が最高潮となる、僕の大好きなところです)と続きます。このまま通常稿と同じように終わっていくのかと思いました。しかし終結部にも、大きな違いがありました。

通常稿だと、一番最後にルターのコラールが高々と歌われて、幕を閉じますね。ところが初期稿では、締めくくりにはこのルターのコラールは使われず、ドミソミ的な音型をベートーヴェン的に少ししつこく繰り返して終わるという、まぁ普通の交響曲の終わり方、という感じでした。

初期稿と通常稿との細かな違いは僕などには全くわかりませんので置いておくとして、今夜の演奏を聴いて僕にもわかった大きな違い、すなわちメンデルスゾーンの改訂の要点は、上記の2点だと言って良いでしょう。ひとつは終楽章冒頭のかなりの部分をばっさり削除して、いきなりフルート・ソロによるルターのメロディーから始まるようにしたこと。もうひとつは曲の最後をそのルターのコラールの高らかな歌で締めくくった、ということです。前者は、ばっさり削除することで、第三楽章の暗く沈んだ雰囲気からぱっと切り替わってルターのコラールが一筋の光がさしてくるように明るく歌われ始めることで、このコラールのポジティブな意味がはっきり際立って示されます。後者も、最後の締めくくりにルターのコラールを輝かしく用いることにより、ルターを讃え宗教改革を讃えるというメッセージ性が極めて明瞭に、強い説得力を持って響きます。メンデルスゾーンは、このように改訂することでルターを讃えると同時に、自身の信仰心の確固たる強い表明ができたと思ったことでしょう。通常稿のこの2箇所から得る感動は本当に大きく、作曲者がこのように改訂した必然性が理解できます。さすが天才メンデルスゾーン。

初期稿は、研究的・資料的には価値あるでしょうけど、音楽的には断然通常稿が優れていると思いました。それにしてもメンデルスゾーンがこの改訂をいつ頃したのか、興味深いところです。この曲、完成から初演まで、かなりの紆余曲折を経ているそうですので。。。

ところでカジモトのサイトによると、シャイーは今年のあたまには逆にこの曲の「最終版」という、これまた通常演奏されないバージョンを演奏したそうです。シャイーの、飽く事なき探求心に脱帽です。「最終版」も興味がわきます。

稿の違いについてばかり書いてしまいました。演奏の特徴についても少し書いておきます。先週の下野/読響が端正なたたずまいを崩さず、古典的形式美と響きの美しさを尊重した演奏だったのと対照的に、今夜のシャイーの演奏は、ほとばしる気迫で疾風怒濤、形よりも勢いを優先した演奏でした。特に終楽章でのシャイーの気迫は凄く、フーガの各声部の切り込みの鋭さなど、かなりの盛り上がりを作ってくれて、感動的でした。しかし個人的には、シャイーを聴いていてややせわしく、ときどき単調な感じがしたことも事実です。僕としては、下野さんのアプローチの方が落ち着いて聴けて好きです。

長くなってしまったので、ブルックナーはまた別に書きます。







Last updated  2009.11.04 00:04:23
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2009.11.01
カテゴリ:演奏会(2009年)
10月26日サントリーホール、第519回読響名曲シリーズで、オール・メンデルスゾーン・プログラムを聴きました。指揮は先日の2番「賛歌」と同じく下野竜也、ピアノは小菅優。

プログラムは
 メンデルスゾーン 交響曲第1番
 メンデルスゾーン ピアノ協奏曲第1番
 メンデルスゾーン 交響曲第5番「宗教改革」

なおこれは、今年読響が行ったメンデルスゾーン生誕200年記念プログラムの第4弾、最後のものです。計4回で、第1番から5番までの交響曲が全部演奏されるわけです。ありがたい企画です。

しかし交響曲第1番、この日当方はやや寝不足・疲労気味で、心地よいサウンドを聴きながらついつい睡眠の魔力に吸い込まれてしまい、ほとんど覚えていないうちに終わってしまいました。不覚。。。

次のピアノ協奏曲第1番は、3楽章形式で、真ん中の緩徐楽章が聴きものでした。この楽章は、ヴァイオリンは最後の方までずっと休みで、ヴィオラとチェロを主とした弦に、ホルンや木管がときどき加わり、静かでやさしい音楽が奏でられ、その中にピアノの歌がとけ込んできて、たおやかな歌がしっとりと歌われ、しあわせなひとときでした。チェロもホルンも木管も良いですし、そしていつも思うことですが、読響のヴィオラセクションの響きは深く豊かで、ほれぼれとさせられます。小菅さんのピアノは、このようなところでの歌い回しに独特な魅力を感じました。

いよいよ「宗教改革」。この曲の最初の方に出てくる「ドレスデン・アーメン」は、ワーグナーのパルシファルにも重要な動機として出てきますけど、それとは別に、個人的には、バッハ→メンデルスゾーン→ブルックナーという大きな流れのようなものを感じます。バッハとの関連は誰しも同感でしょう、終楽章で中心的な役割を果たすルターによる賛美歌「神は我がやぐら」のコラールを、バッハはカンタータ80番その他で使っています。曲全体的にも対位法的な書法が目立ち、メンデルスゾーンのバッハへの傾倒ぶりを強く感じます。(メンデルスゾーンがバッハのマタイ受難曲を復活蘇演したのは、この曲が完成する前年だそうです。)

しかし一方ブルックナーとの関連は、あまり賛同は得られないかもしれません。「この曲を聴くと、この曲の延長方向かなたに、ブルックナーの第5、とくに終楽章の山並みが、遠くに浮かびあがってくるんです。」と言ったら、「それは君だけだね」と言われてしまうかもしれません。そもそもブルックナーはカトリックですし(汗)。でも僕はなんとなく、第一楽章序奏部の荘重な雰囲気とか、終楽章のコラールとフーガの重要性とか、音楽の基盤にある信仰心などに、両者の共通性を感じるのです。それで先日の第2番「賛歌」がマーラーになぞらえて「プチ千人」とすれば、第5番「宗教改革」は、僕にとっては「プチブル5」なのであります。

さて演奏が始まりました。下野さんの丁寧な指揮は、古典的な様式感がきちっとしていて、その中に適度なしなやかさ、歌謡性があり、とても魅力的です。大袈裟な表現はせず、秩序がいつも整然としているというか、バランスがいつでもうまく保たれています。こういうアプローチが下野さんの持ち味なのでしょうか。一番最後のコラールのところも、スコアの指示がどうなっているのか知りませんが、大音量で堂々と鳴らすのでなく、音量はやや抑えめにして、音色の美しさ、響きの純粋さを優先した鳴らし方でした。そのようにして最後のコラールが美しく響き、聴後にあたたかい充実感が残りました。

欲を言えば、これにさらに、対位法的な彫りの深さとか、胸が高ぶるような高揚感が加われば、さらにすごいだろうとは思いましたが、今夜の演奏、これはこれで充分にすばらしいです。メンデルスゾーンを堪能した一夜でした。下野さんと読響に感謝です。

第5番「宗教改革」は、今来日中のシャイー/ゲバントハウス管弦楽団により、明日サントリーホールで演奏されます。この曲はベルリンで初演された後、次第に人気がすたれ忘れられていったそうです。作曲者の死後20年以上もたったとき、ライプツィヒで演奏されてから、この曲の魅力が認められ広まっていったということです。そういう意味で明日は、この曲の受容史に重要な役割を持つ、ご当地の人たちによる演奏です。下野さん&読響とまたどのように違った演奏になるのか、楽しみです。






Last updated  2009.11.01 23:22:49
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2009.10.28
カテゴリ:演奏会(2009年)
10月17日サントリーホール、第486回読響定期演奏会で、メンデルスゾーンの交響曲第2番「賛歌」その他を聴きました。これも時間がたってしまいましたが、価値ある体験でしたので書いておこうと思います。指揮は下野竜也。メンデルスゾーンについてだけ書きます。

合唱付きのこの曲、僕はブリリアントのメンデルスゾーン交響曲全集のCDで聴いたことはありましたが、正直あんまり印象に残ってなかったです。でもメンデルスゾーン生誕200年の記念年だからこそ聴ける貴重な機会だと思い、聴きに来ました。

この演奏会に来てみて、編成が巨大なことにあらためて驚きました。オルガンつきの2管編成のフルオケ、3人の独唱者、混声4部の合唱という大編成です。プログラムの解説によると、初演時は500人以上で演奏したということですから、マーラーになぞらえて言えば、まさに「プチ千人」と呼べる規模です。そして規模だけでなく、神を讃えるという内容も、音楽の充実ぶりも、「プチ千人」にふさわしい、堂々たる良い曲でした。

メンデルスゾーンはこの曲を、「賛歌:聖書の言葉による交響曲カンタータ」と命名したそうです。第一部「シンフォニア」はオケのみで20分強で前奏曲的な性格の部分です。第二部が曲の中心で、オルガン、合唱、独唱がいろいろな組み合わせで加わり、神を讃える音楽が45分余りにわたって歌われていきます。途中にはアカペラの合唱が静かに歌われるところもあり、印象的でした。最後は、曲の冒頭に現れたトロンボーンによるテーマが、高らかに堂々と歌われて、大曲が締めくくられました。

独唱者3人(テノール1,ソプラノ2)はステージ上で歌い、総勢80人の合唱団はP席部分で歌っていました。この合唱団の配置が変わっていて、良くあるように左から右にソプラノ、アルト、テノール、バスという配置ではなく、それぞれのパートが横1列で長く並び、合計4列の配置となっていました。(ステージの一番近くの列から、ソプラノ、アルト、テノール、そして最後列がバスだったと思います。)この配置、かなり気が利いているというか、感心しました。この方式だと客席のどこできいても、4部がうまくとけあって聴きやすいと思います。僕の席はかなり横の方でしたが、この効果もあって、気持ちよくきけました。独唱者ではテノールが特に良かったでした。下野さんの丁寧な指揮のもと、読響はいつものように精度の高い演奏で、この曲の魅力を十分に感じることができました。

管弦楽:読売交響楽団
指揮:下野竜也
合唱:新国立劇場合唱団
テノール:長田峰男
ソプラノ:澤畑恵美、國光ともこ






Last updated  2009.10.29 01:02:34
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2009.10.24
カテゴリ:演奏会(2009年)
元ベルリンフィルのソロ・オーボエ奏者、あのハンスイェルク・シェレンベルガーさんらによるオーボエとハープのデュオ・リサイタルを聴きました。10月1日、ハクジュホールです。随分日が経ってしまいましたが、この日の感動を是非書きとどめておきたくて、今更ながら書きます。

ハクジュホールは、座席数300の小さなホールです。このホールがユニークなのは、コンサートによっては後方の175席がリクライニング・シート90席としてセッティングされ、チケットを買うときに通常の席かリクライニング・シートか、どちらか好きな方を選べます。リクライニング・シートでゆったりと眠りながら聴いてもよいという、度量の大きな(^^)ホールなんです。しかしこのホールの最大の特徴は、その長い残響です。東京界隈のこの規模のホールで僕の知る範囲ではもっとも長いです。ピアノなどは残響がありすぎて、ともすれば濁ってしまうこともありますが、ものによっては 、この長い残響がとてもプラスに作用します。この日はまさに、この長い響きがプラスに作用したリサイタルでした。

ハープを弾くのは、マルギット=アナ・シュースという方です。1987年からしばらくベルリンフィルでハープを弾いていたということですので、そのときにシェレンベルガーさんと意気投合したのでしょうか。会場で売られていたCDの中にはこのお二人による演奏のものも多くありました。

プログラムは
  テレマン:ソナタ変ホ長調
  シュポア:幻想曲ハ短調 作品35(ハープ・ソロ)
  マレ:「スペインのフォリア」による変奏曲
  ボクサ:夜想曲第2番ヘ長調 作品50-2
  C.P.E.バッハ:無伴奏フルートソナタ イ短調(オーボエ・ソロ)
  ハメル:7つのバガテルより~4つの小品(2008)
  パスクッリ:ベッリーニへのオマージュ

1曲目のテレマンが始まって何秒かで、これはすごい、すごいリサイタルに来てしまった!!と僕の体に衝撃が走りました。オーボエはもちろんですが、ハープもまた、単なる伴奏でなく、ふたり対等の演奏から、実に彫り深い音楽が流れてくるんです。聴き始めて間もなく、ふと「いきなりこんなすごい演奏で始まるなんて、いったいアンコールの頃にはどうなってしまうんだろう」などと不純な(?)思いがよぎったほどです。(誤解のないように付記しておくと、普段アンコールを期待して聴くということはありません。このときは何故か、珍しくそういう思いが生じました。)

これが超一流の風格というものなんですね。シェレンベルガーさん、吹いているときの姿勢、身の動かし方もいいですが、フレーズを吹き終わって少し休みにはいるとき、休みの姿勢へのなにげない移行のしかたにも、気品が漂っていて、音楽の一部を形作っているかのように感じました。ハープもまた力強くそして優雅で、さすがベルリンフィルで弾いていた方です。そしてお二人の呼吸が本当にぴったり。

プログラムのそれぞれの曲、それぞれに聴き応えがありました。それらについてはちょっとはしょって、アンコールについて書きます。

盛大な拍手にこたえてのアンコールの1曲目は、イベールの間奏曲。さらなる盛大な拍手があり、次のアンコールです。シェレンベルガーさんは演奏の前に「I sing a song for you」と話されました(僕のヒヤリング能力ではこころもとないんですが、ともかくそのような内容の言葉でした)。そしてシューマンの歌曲の演奏が始まりました。これが絶品。歌心あふれていて、涙がじわーっと出てきてしまいます。あとで曲名の掲示を見てみたら、「月の夜」と「君は花のように」という歌曲でした。僕はシューマンの歌曲はほとんど未開拓なので、今後いろいろと聴いていきたいなぁ、と強く思いました。

シェレンベルガーさん目当てに来たリサイタルでしたが、このお二人のデュオとしての音楽がとっても充実していて、貴重な感動体験となりました。このお二人、ご夫婦とのことで、息がぴったりなのも宜なるかな。このリサイタル、NHKでハイビジョン収録していました。放送予定はBShi「クラシック倶楽部」で11月12日6時~、11月19日13時~ということです。見るのが楽しみです。






Last updated  2009.10.25 01:45:22
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2009.10.04
カテゴリ:演奏会(2009年)
読響第518回名曲シリーズ(9月24日サントリーホール)を聴きました。指揮はスクロバチェフスキ、ピアノはアンドレ・ワッツで、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番と、ブルックナーの交響曲第9番です。

ベートーヴェンは、ワッツのピアノが本当にききものでした。鍵盤と対峙するのでなく、手が鍵盤の上をころころと楽しく動き回って、鍵盤と手とが呼吸がぴったりとあって反応しあっているような感じです。そこから紡ぎ出される音楽は、温かく、さりげなく、それでいて確固としています。ワッツの存在感が、じわじわっと少しずつ大きくふくらんでくるような、すばらしい演奏でした。

そしてブルックナーの9番。スクロヴァチェフスキの9番を聴くのは2回目になります。最初は2002年4月、スクロヴァチェフスキがN響を振ったNHKホールでのコンサートでした。朝比奈・ヴァントが相次いで没して大きな衝撃を受けて以後、僕がはじめて臨んだ演奏会であり、特別な感慨深いコンサートでした。そのあと東京のオケではブルックナー9番がほとんど演奏会で取り上げられない時期が長く続きました。それはあたかも朝比奈御大に敬意を表し喪に服しているかのようでした。2008年7月9日、朝比奈隆生誕100周年の誕生日に、大植さんが大阪フィルとシンフォニーホールで9番を演奏しました。記念碑的なすばらしい演奏会でした。そのようにしてひとつのけじめが着くのを東京でも待っていたかのようにその後東京のオケでこの曲がふたたび取り上げられ始めています。2008年9月のヘンヒェン/日フィル、今回のスクロヴァ/読響、来年2月に尾高/東フィル、3月にハウシルト/新日フィル。

さて今回のスクロヴァチェフスキの9番、第一楽章は緩急の変化が大きく、ちょっと落ち着かない感じでした。しかし第三楽章は、全体的にゆっくりとしたテンポで一貫し、いい演奏でした。スクロヴァチェフスキは例によってスコアにいろいろと手を加えているらしく、ところどころ聞き慣れない音量バランスで大きく聞こえてくるパートがあったりしましたが、それ自体に強い違和感はありませんでした。読響は今回もいい音を出してくれていました。ただ僕としては残念ながら圧倒的な感銘というまでの体験にはいたれませんでした。

ところでプログラムにはスクロヴァチェフスキ/読響のブルックナー演奏歴が載っていました。2000年3月の9番からはじまっています。その後8,7,6,4,3,2,5,0,1番と続き、そして今回再び9番でした。来年3月はスクロヴァチェフスキが読響音楽監督として最後の演奏会で、8番です。

蛇足ですが来年3月下旬はブルックナー8番ラッシュが凄いことになってますね。3月25日がスクロヴァ/読響とインバル/都響の同日同時演奏対決。翌26日がスクロヴァ/読響、そして28日がティーレマン/ミュンヘンフィルです。聴く方も体力をつけておかないと。






Last updated  2009.10.05 12:34:57
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2009.09.30
カテゴリ:演奏会(2009年)
新日フィル第451回定期演奏会(9月23日、サントリーホール)を聴きました。
指揮はアルミンクで、プログラムは
  シュニトケの「モーツ・アルト・ア・ラ・ハイドン」、
  シマノフスキの交響曲第4番「協奏交響曲」、
  シューベルトの交響曲第8番「グレイト」でした。

シュニトケの「モーツ・アルト・ア・ラ・ハイドン」は、弦楽器13人の奏者と指揮者による、モーツァルトの断片がコラージュされた作品。クレーメルらによるCDでは聴いていましたが、実演に臨むのは初めてです。

奏者とアルミンクが出てきて演奏が始まると思ったら、ホールの照明が完全に消され、真っ暗になり、その状態で演奏が始まりました。ホール内は通路の誘導灯がかすかに明るいだけで、次第に目が慣れてきても本当に暗く、なにも見えない状態。これでは楽譜はおろか演奏者や指揮者がお互いに姿さえまったく見えないだろうに、良く弾けるなぁと感心して聴いていました。(家に帰ったあとでCDの解説を読んだら、この部分は即興演奏だということでした、それなら納得。)この暗闇の時間は結構長く続き、そのあと急に音量が上がるところで照明がぱっとつけられ、普通の明るさになりました。

音楽はモーツァルトの曲の断片と、無調の音楽が交錯する、いかにもシュニトケらしい作りですが、シュニトケにしてはそれほど深刻ではなく、わりと気軽に聴けます。奏者が途中で位置を変え、しばらくしてまた元の位置に戻るときにはくるくると回りながら戻ったりと、芝居的な仕掛けが織り交ぜられています。そして最後は、奏者が演奏しながら舞台の左右にゆっくりとひっこんでいき、照明がだんだん暗くなり、音量もだんだん小さくなります。しかし指揮者にだけは照明が残り、スポットを浴びた様な状態で指揮を続け、他は真っ暗になりました。奏者達の大半は退場し、指揮者はそれに気づかず一生懸命指揮を続け、やがて音楽が完全に消え、指揮者がはっと気がつくと奏者達は消えていて、指揮者が肩をすくめて、おしまい、でした。ハイドンの告別を思い出す仕掛けで、モーツァルトと思って聴いていると最後はアラ、ハイドン?というわけですね(^^)。CDの曲名表示のところに付加的に、英語で Game with music for two violins, two small string orchestras, double bass and conductor とあり、Game ってなんだろう、と思っていましたが、なるほど実演に接してみてゲーム(遊び、戯れ)という感じがわかりました。

次のシマノフスキの交響曲第4番「協奏交響曲」は、舞台中央に通常の協奏曲の配置で置かれたピアノが大活躍し、モデラート、アンダンテ、アレグロの3楽章形式で、形としてはピアノ協奏曲そのものです。(ピアノはクン=ウー・パイク。)土俗的なパワーと民族的な色彩感があり、ときどきスクリャービンの響きが思い起こされます。第二楽章冒頭、弦とピアノとハープで醸し出すせせらぎのような雰囲気の上にフルートやヴィオラソロなどが妖しい魅力ある歌を歌うところが美しかったです。

プログラム最後は一転してシューベルト。しかし強弱差の強調や鋭いアタックが目立ち、この曲の自然で息の長い流れが損なわれてしまい、単調で退屈な演奏に感じました。ちょっと残念。

きょうのプログラムは3人ともSで始まる作曲家たちでしたが、どうせならトリを、シュニトケにちなんでショスタコか、シマノフスキにちなんでスクリャービンにでもしたらプログラム全体として統一感が出てもっと良かったかなぁ。そうは言ってもシュニトケとシマノフスキを聴けたという貴重な演奏会でした。







Last updated  2009.10.01 00:15:03
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2009.09.23
カテゴリ:演奏会(2009年)
ドレスデン・ア・カペラ合唱団(ザクセン・ヴォーカル・アンサンブル)を聴きました。9月21日、武蔵野市民文化会館小ホール。

プログラムの解説によると、この混声の20余名の合唱団は、指揮者マティアス・ユング(今年45歳)という人により1996年に結成され、とくにバッハ演奏で注目を集めているということです。今回が初来日だそうです。

コンサートの前半は、バッハのモテットから4曲。2群の4部合唱でバッハの複雑な曲が歌われました。しかし調子がまだ充分に出なかったのか、力強くきっちりとしている反面、ちょっと角がとんがりすぎているように感じました。大きな教会で聴くには良いのかもしれないけれど、この小さいホールで至近距離で聴くには、耳あたりがきつすぎて、ちょっと疲れました。

休憩をはさんで、後半はまずメンデルスゾーンの、4声の無伴奏歌曲集からの小さな諸作品でした。バッハよりシンプルな響きで、合唱団の調子も上がってきたようで、きれいだなと思う瞬間が多々ありました。

そして圧巻は、プログラム最後に歌われたシュッツのモテット3曲ー「バビロン川のほとりで」「ヤハヴェよ、汝のすみかはいかに麗しく」「私の魂は主をたたう」ーでした。その響きには芯があり安定していて、バッハで感じたきつさは微塵もなく、とても美しかったです。

ドイツの合唱団によるドイツもののアカペラのコンサート、きょうは何といっても、シュッツの音楽の魅力を強く感じられたことが大きな喜びでした。会場でいろいろ売られていたこの合唱団のCDから、シュッツのCD(Tacet)などを買って、帰路につきました。







Last updated  2009.09.24 01:11:47
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