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じゃくの音楽日記帳

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映画

2010.10.11
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カテゴリ:映画
連休の今日、ちょっと風邪気味で行動も限られるので、TSUTAYAからDVDを借りてきて、見ました。映画「シャッターアイランド」。実におもしろい!

1950年代のアメリカの、とある孤島。ストーリーについてはネタバレになるので一切ふれませんが、実に面白かったです。そして、音楽がすごく良いのです!

映画が始まって間もなく、主人公と相棒が入っていった部屋に、レコードがかかっています。憂いを帯びたピアノカルテットです。相棒が、「ブラームス?」と尋ねると、部屋の主は「いや」と答えます。少し間をおいて、主人公が考えつつ「マーラー」と。そう、マーラーのピアノ四重奏曲断章なのです!

(一応マーラーファンとしてつっこみをいれておくと、1950年代にこの曲のレコードは出ていないと思いました。最近音楽の友社から出たマーラーのコンプリート・ディスコグラフィーを見てみると、この曲の草稿は1973年に発見され、初録音は1973年と記されています。やはり、これはありえないレコードでした。)

しかしそんなことはどうでも良いのです、この曲が実に効果的に使われています。しかもこれだけではないんです。全編にわたって、音楽のセンスが実に良いんです。抑制のきいたしずかな音楽が、あるときは不気味に、あるときは悲しみをたたえて、鳴っています。これは本当にすばらしい。

それで映画が終わって、エンドクレジットを注意して見ていると、映画に使われた音楽の曲名がずらずら出てきます、その選曲のマニアックなこと!ざざっとあげると、

リゲティ:ロンターノ, Two Etudes から Harmonies
Ingram Marshall:Fog Tropes, Prelude - the Bay
ペンデレツキ:交響曲第三番, Fluorescences
ケージ:Music for Marcel Duchamp, Root of an Unfocus
Nam Jine Paik:ジョン・ケージへのオマージュ
シェルシ:Quattro Pezzi, Unaxuctum
フェルドマン:Rothko Chapel 2
シュニトケ:賛美歌第二番(チェロとコントラバスのための)
ハリソン:Suite for Symphonic Strings から Nocture
アダムズ:Christian Zeal and Activity, 「僕のお父さんはアイブスを知っていた」から The Lake
Robert Erickson:Pacific Sirens
Tim Hodgkinson:Fragor

すごいですね。中にはまったく聞いたことのない名前もいますが、多分ここまでは皆さんクラシックの作曲家だと思います。さらに、

ブライアン・イーノ他:The Last Day, Lizard Point
Churchill Kohlman:CRY
Max Richter:On the Nature of Daylight
Clyde Otis:This Bitter Earth

などなど、おそらくクラシック以外と思われる人たちの作品も使われていました。最後の「This Bitter Earth」という曲は、エンドクレジットの後半に、弦楽を伴奏にした女性ボーカルが、しずかな悲しみをたたえて歌っていて、とても印象的です。

エンドクレジットには、
Music Supervised by Robbie Robertson
と大きく出ましたので、このRobertsonさんが音楽の責任者と思われました。

しかしさらに良くみていたら、あとの方でずっと小さく、
Music Research by Jared Levine
という名前も出てきました。良く知らないけど、普通 Music Research なんて出ないですよね。もしかしたらこのLevineさんが現代音楽マニアで、映画にあいそうな曲をいろいろと考えて、Robertsonさんに提言したのかも、などと想像しました。

それにしてもこの選曲のセンス、ほんとにナイスです。マーラーファン必見とまでは言いませんが、上記のあたりの音楽が好きな方には、おすすめの映画です。

---------------------------以下、追記です。

マーラーのピアノ四重奏曲断章の出版年代ですが、上記した音楽之友社の「コンプリート・ディスコグラフィ・オブ グスタフ・マーラー」に、浅里公三氏によるさらに詳しい記述がありましたので、引用しておきます。(同書213ページ)

”この曲は1964年にニューヨークでニューリン校訂版が出版、復活初演されるまで忘れられていた。広く知られるようになったのは、1973年にルツィチュカ校訂版がハンブルグで出版されてからである。最初に行われた録音も、同年に行われたサルヴァトーレ・アッカルドが主宰するナポリ国際音楽祭でのライブであった。”

ということで、そもそもは1960年代だったようです。いずれにしても映画の設定よりはあとの時代であることは一緒です。

僕の持っているこの曲のディスクは、浅里氏が紹介しているクレーメルらによるものと、エッシェンバッハのピアノ他による演奏(ライブ録音)です。映画をみたあとしばらくはまって、聴いていました。クレーメル盤が11分4秒、エッシェンバッハ盤が13分23秒!後者の緩急の幅の極端な広さも良いですが、やはりクレーメル盤はすばらしい。(2010年10月17日追記)






Last updated  2010.10.17 11:49:25
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