|
カテゴリ:奇特人間
行きつけのビストロのカウンターの片隅で酒をちびりちびりと飲んでいると
隣りの女性二人組がなにやら自分好みの会話をしている。 見れば結構な美人さん、かなりのタイプだ。 グラスに残った赤ワインをグビッと飲みほす。 酒の力を借り、勢いで声をかけてみる。 酒の力は偉大だ。人を勇敢にする。 相手が相槌を打つ。なかなかノリが良く、会話が弾む。 楽しい時間が過ぎる。声を掛けて良かった。ありがとう、一時間前の俺。 初めて会ったとは思えないような言葉のキャッチボール。 直球には直球を、変化球もおてなもの。 いつの間にか彼女を名前で呼んでいた。 それだけ短時間で親密になったんだ、やるなー自分。 そして、まさかの大収穫。 電話番号とメールアドレスをゲットした。 最高の時間を過ごし彼女達と別れた。 今日はいい日だった、とびっきりに。 フラフラと千鳥足で歩く秋の夜に吹く風が心地よい。 今日の自分を祝福してくれているようだ。 そこに烈火のごとく鳴り響く携帯の着信音。 着信主は先ほどまでカウンターで一緒に飲んでいた女性だ。 アンリビバボーすぎるこの展開、嬉しすぎる誤算。 そこで彼は叫んだ。 「ハニートラップだーーーー!!!!!」 ☆ハニートラップ・・・女性スパイが対象男性を誘惑し、性的関係を利用してうまく手なずけて 自分の思い通りに従わせたり、機密情報を聞き出したりすること。 外交官や商社マンなどが対象にされることが多い。 この男、あまりに急速な女性のアプローチに戸惑いを感じ、猜疑心を抱いたようである。 一生に一度あるかどうかのビックチャンス、 根拠のない身の危険を感じそのまま無視したそうだ。 その後、もう一度電話が来たそうだがその時も機密情報を知られてはいかん、 というわけで無視したそうである。 ここでひとつ忠告しておきますがそんな知られちゃいけない機密情報、 彼にはこれッぽちもありません。 そんな話しを延々と得意げに話す被害妄想な男N村君、今年29歳。 今では無視したことを後悔しているらしく週に三回はそのお店のカウンターに行き 彼女を待ちわびているしびらっこ~い男である。女々しい、とも言う。 ★本人のたっての希望で書きました。 こんなのになりましたけどどうでしょう、N村君? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年09月16日 19時11分21秒
コメント(0) | コメントを書く
[奇特人間] カテゴリの最新記事
|
|