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2011.08.18
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カテゴリ:カテゴリ未分類
◆タイトルはどこの台詞でしょう?



空の境界です。ゆるさない、と書いて離さないというルビを振る。
ああ、その通りだ、そう思った時が、私にもありました。
赦さないということは、その人から逃れることも、その人の逃すこともできない。
執着を、保ち続ける。それも、赦さないなんて、それは過度な執着。
愛より、恋より、もっと激しい執着。

一緒に、映画を見ていたんです。あのころは、まだ。
だから。この話をしながら、私は言ったんです。
「許さないって書いて離さないって、やっと実感した」

「あなたのこと一生許せない」とも。

彼は言いました。

「一生許さないで。離さないで」

抱きしめながら、泣きながら。苦しみながら、悲しみながら。

でもそれって、そんなに簡単なことではないのです。
許さないのは、自分がツライ。
憎むのは簡単というけれど、私は、そういう自分でありたくない。
人を憎み続けるような人でありたくない。そうやって、自分の可能性やキャパシティを狭くしたくない。視野だって狭くなる。
だから、許すしか、なくなった。
最初の頃は、半年ぐらいは。許せなかったよ、許さなかった。
でもあからさまな拒絶を見て、私はもう解放されるべきだと思ったんだ。
未来は、もうない。
幸せが戻ることはない。
だって、もう二度と、あんな情熱的な恋、したくないんでしょう。
自分を犠牲にしてまでも愛するような、別れるぐらいなら死にたくなるような、そんな依存と恋愛は、嫌なんでしょう。
自分を見失うのが怖いんだ。
友人で居るのはとても都合がいいし、お互いでしか話せない内容もあるし、良い友人になれる、と。
そう言いながら、自分に関心を持って欲しくないと、同時に言った。
関わってほしくない、と。
それならなぜ? なぜ、カラオケに誘えばついてきたの。
なぜ、一緒に動画を見たの。
なぜ。

簡単でしょう?
居心地はいいけど、もう深入りして、傷つきたくないから。
それほどにトラウマなのだ。彼の人生の中で。
私にとっても大きな傷になった。心も身体も壊れた。
彼の心も壊れた。
私は、壊れたのって初めてじゃないから、彼程には引きずっていない。
だって壊れても直る時が来る。環境が変われば、処置を施せば、壊れた心も生き返る。
それを私は知っているけれど彼はまだ知らないのだ。


まるで中学時代の自分を見ているようだった。
必要とされたい、一緒にいたい、でもまた拒絶されるのは怖いから深入りさせたくないし、したくない。
そうやって孤立していく。
本当の生々しい感情を殺したまま、うその自分で生きていく。まるで不感症みたいなフリをして。
そうするしか、手立てはないのはわかるよ。
私だって一時期そうだったもの。冷たい人間だと思った。自分が。誰も信じたくなかった。
でも、私には小説があったから。
それは希望だから。
立ち直ることができた。完全ではないけれど、未練というより、執着はもうない。
男としての彼に執着は、ない。
だって愛されることは二度とない。私、あの顔、知ってる。
鏡で見たことある。
あの声の色知っている。
自分の内側から聞こえてきたことがある。
誰に手を差し伸べられても怖かった。何もかもが怖くて、誰も信じたくなくて、傷つきたくなくて、誰とも深入りをしなかった。孤独、だったと思う。
高校に入ってから変わった。
私は友人に恵まれて、一線をひいてはいたけれど、私は友人という生き物を信じることができるようになった。信じることができるようになったら、信頼が生まれた。
自然とすべてに感謝できた。生きていてよかったと思えた。
生きていていいんだと、思えた。

でもきっと彼は変わる気がない。視野が狭いから。変わるだろうか?

職場の、おばちゃんマドンナがね。大好きで尊敬しているパートさんなんだけど。
元妻のこと嫌いだったら、どんなに子供が好きでも会いに来ないよ。
一緒に会うんだから、そのうち寄りが戻るわよ。

そう言われた。
でも離婚に至るまでの、泥沼さを知らないから。
そうね、寄りが戻るのなら、一番それが無難に幸せでしょう。誰にとっても一番いい選択だわ。
でもきっと無理よ。
激しい恋だった。大恋愛すぎた。失った代償は大きすぎて、また相手に心を開くことは、もうできない。
私だって。
どんなに執着していても、一歩手前で心は開けなかった。
依存は怖い。

あれほどの快楽的で、ただ一緒にいるだけで幸せになれるような恋愛には、もう巡り合えないだろうと思う。
どうして、そんな人と出会ってしまったんだろう。
それはとても幸福なことで、とても不幸なことだ。
だって、離婚しなくたって、いつかは失う。
幸福が大きければ伴う不幸だって大きい。それは比例するもの。
幸せに満ちる程不安が募って、ちいさな裏切りさえ許容できない大きな裏切りに体内で変化する。
そんな恋、知らなければよかった。


ねえ、私、かえりたいの。
本当は、かえりたい。
私が一番、一番素直で、一番自分に正直でいられたあの頃に、かえりたい。
あなたのところに、変わってしまう前のあなたのところにかえりたい。
かえりたいよ。
かえりたい。
でも二度とかえれることなんてない。
永遠に、私の安息は失われた。
でもだってしょうがないじゃない。そうするしかなかった。もうずっと前から破綻していた。
それでも一緒にいると麻薬のように幸せだったから。
でもそれじゃあ本当の幸せには、届かないから。
知っていたから。全部。
お互いに変わらなければいけないこと。
もう、変わるには、ショック療法しかないのだということ。
手荒い作業で傷を作らなければ変わることもできない程泥に足をとられていたこと。
後戻りする機会を失っていたこと。

ねえ、私は、
あなたを、不幸にすることしか、できていないね。
一瞬の幸せがなんだというの。
傷つけることでしか救えない。
道を、方向転換させるためには、傷つけることでしか、無理やりにしかできない。
私は、ねえ、本当、ひどい人間だね。
罪深い、ね。

出会わなければよかったのにね。それすらも思っていないでしょう。
もう忘れたい過去だから。
何も思い出したくない、考えたくない、考えないようにしていれば、気がつかないよね。
出会わなければよかったという思考には。
きっと、出会ったことを後悔している?
そう訊ねれば彼は素っ気無く「いや、そういう風には思ってない」
何も感じていない風にそう答えるのでしょう。

でもね。
あなたはもう私に感謝をすることはない。
愛もない。
恐怖しかない。
それはつまり、私があなたを不幸にしたということなのよ。
変えてしまった。でも、あのまま、依存し続けて、そうしないと生きていけないような状態じゃ、だめだったんだよ。


幸せだった記憶は、ありますか?
残したいものですか?
残したく、ないでしょう。
捨ててしまいたいでしょう。
できれば、証拠の命ごと。


ずるいよね。鈍感な人って、幸せだね?
とても不幸で、とても幸せね?
知らなくていいことは知らないで済む。
自分の思い込みだけで生きていける。
現実の惨さを、知らないでも、生きていけたはずなのにね。私にさえ出会わなければ。


でも、ごめんね。
私はあなたを手放すつもりはないんだ。もう恋愛感情はない。だって、閉じ込めた。
怖いから。拒絶が。軽蔑が。
だから良い友人でいられるようにと、がんばりたいのに、娘のことが関わるとうまくいかない。
ねえ、私はあなたにとって、どんな存在?
いつもいつも、荒れてひどいことを言って、それでも友人って答えてくれた。
そこに虚偽はないというの?
「私たちの関係って、なに?」
「友人じゃないの?」

死ねとまでメールで送った後に、そう言った彼。
どういうつもりだろうね。もう今更、社交辞令なんていらないのにさ。
友人じゃあ、ないでしょう。
私はとてもひどい人間だもの。
キミに憧れるだけの、蛾だ。


「軽蔑されたくなくて」
「なんで? しないよ」

それってさ。
軽蔑する程関心もないっていうことでしょう?


そんなに無関心なのに。
私と一緒に居て、もうキミに利益は、ないだろう。
いいんだ、はっきり言って。お願いだから。
要らないなら要らないと、言って。
友人も辞める。
パパとママの演技が必要ならする。
でも、
友人として当たり前のメールやなんか、連絡とかは、しないよ。
話もしない。質問もしない。

なにも失くすから。


嫌いより、無関心の方がひどいのよ?
関心なんてまったく持たれていないのにさ、友人だなんて、おかしいでしょ。
必要ないなら、お互い、そんな立ち位置、言葉だけの地位は捨ててもいいんじゃないかな。
縛られなくても。


だって、キミに私は、必要ないだろう。
私にとってキミが必要でも、キミにはもう、私なんて、要らないだろう。
知っている。恋がなくなれば私に価値なんてない。
人間としての価値なんて私にはどこにもない。


でも死なないよ?
無価値な人間がいてもいいでしょう。
不幸をばらまく人間がいたって、いいでしょう。
生んでもらった以上、それぐらいのエゴ、許してよ。生まれてしまったのだから、許して。
存在することを、生きることを、許して。
死にたく、ないよ。
誰にとっても必要のない存在だとしても。





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Last updated  2011.08.19 04:55:17
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