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テーマ:木枯し紋次郎(185)
カテゴリ:本を読む
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ただひとり惚れた女とそっくりで名前も同じ、そのうえ殺された小正太というのも小文太によく似ている。それらを宿縁と解釈して、おすみの頼みを聞いてやってもいい。場合によっては、どんなことでも引き受ける小文太である。道理や理屈は、二の次だった。その気になれば、人を斬る。逆らうやつは、容赦しない。憎むべき相手は、必ず殺す。峠花の小文太には、それしかない。要は、燃えることであった。ほかに小文太には、生き甲斐も、人生観も、生活信条らしいものもない。 「おめえさんに、助けてもらう謂れはありやせん」 「馬鹿野郎、おめえを叩っ斬るのはこの小文太だ。こんなところで、おめえに死なれてたまるかい。そうかと言っていまここで、深手を負っているおめえの息の根をとめたところで、おもしろくも何ともねえ」 「おめえさんに、叩っ斬られる謂れもありやせん」 「やかましいやい。おれにとっては不倶戴天の敵が木枯し紋次郎、おめえの身体が元通りになったときには叩っ斬って八つ裂きにしてやるぜ」 「そうですかい」 「それまで命を、おめえに預けておくだけだ。つべこべ吐かさねえで、さっさと行きやがれ」 「だったら、ご免を被りやしょう」 「囲みを破るときは、左右に動き回るんじゃあねえ。真っ直ぐに進むほうが、囲みは破りやすい。兵法の心得として、ひとつだけ教えてやるぜ」 ※真壁(茨城県桜川市) ブログランキング★TV お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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お邪魔致しやす。
男は昔惚れた女の面影をいつまでも引きずり、女のために一肌脱ごうとする。 女は惚れた男と大事な子どもの意趣返しなら、どんな非情なことでもやり遂げる。 明らかに女の業のほうが深ぇモンでござんす。 「水車は夕映えに軋んだ」のお縫を思い出しやした。 (2009.10.18 16:35:47)
お夕さん
ヤクザモン同士が斬り合うことなく凧揚げ合戦で喧嘩するなんざ何とも微笑ましい趣向ではありますが、その影では悲しい出来事があり、やはり血を見ずに済むことないのがヤクザの宿命のようで。恋の未練で女に加勢する小文太兄ぃ。それよりもしたたかで深い女の怨み。恐ろしいもんでございます。お縫もそうでした。小文太兄ぃの男気によって紋次郎さんが助かりホッと致しやした。 (2009.10.18 19:15:52) |
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