2012/05/24(木)19:45
金環日食と天体錯視
夫:お~い!雲は多いが、隙間から太陽が時々顔を出している。うまくすると金環日食が
見られるかもしれないぞ。
お~!まもなく金環日食になりそうだ。早く庭に出ておいで。
妻:は~い!今行くわ。
夫:テレビや新聞でこれだけ騒がれている天体ショーだから、見ないわけにはいかない
ね。
妻:本当にね!
夫:お~!金環日食の始まりだ。きれいだね。本当に金の指輪みたいだね。
妻:本当にきれい。写真に撮りたいな。
夫:観測メガネ越しでも写すとカメラが壊れると言ってたよ。大丈夫かい。
妻:カメラが壊れてもこのチャンスは逃せないわ。
あら!きれいに撮れた。うれしい!
夫:本当に写ったね。お見事!でもカメラは大丈夫だったのかな?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
夫:天体ショーも終わったね。観察しながら一つ気付いたことがあるんだ。
妻:どんなこと!
夫:観測メガネで見る大きさが地球から見える太陽の本当の大きさだよね。太陽って
小さいなと思ったんだ。でも昼間の太陽を肉眼で見るともっと大きいし、水平線
に沈んでいく太陽は更に大きいよね。考えてみたけど、昼間の太陽も沈む太陽も
観測メガネで見たらみんな同じ大きさのはずだな。ということは、肉眼で見る太
陽の大きさは目の錯覚で大きく見えているわけだ。人間の目は物体を正確な大き
さで見る力があるのに、どうして太陽だけは正確な大きさで見られないのかな?
妻:太陽から出る熱で輪郭がぼやけるからなのかな~。もしかしたら、発する色が膨
張色だから大きく見えるのかもしれないわね。
夫:昼間の太陽と沈む太陽の大きさは比較対照の有無が影響してるのかもしれないね。
沈む太陽は地平線や山の稜線等が目に入り、無意識の中で比較して認識してるの
かもしれない。一方、昼間の太陽は比較対照がないものね。
妻:本当のところはどうなのかしら?
夫:ちょっと調べてみるね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
夫:国立天文台も宇宙航空研究開発機構(JAXA)も目の錯覚だと言ってるね。特に
JAXAでは目の錯覚にも二つあって、一つは地表近くでは地上の建物などと大きさを
無意識に比べてしまい、大きく思ってしまうという錯覚と、もう一つは地表近くではゆ
がんだ形になって大きく見える錯覚があると言っている。これを天体錯視と言うそうだ
よ。原因の詳しいことは分かっていないようだ。
その他には地平線付近のほうが大気の水蒸気濃度が高いために、大気がレンズの
働きをしているから大きく見える、という説もあったよ。
妻:でも、本当に不思議な現象ね。
夫:ところで、本当の太陽の大きさって正確に測られているのか知っているかい。
妻:ううん、知らない。
夫:これはテレビニュースの受け売りだけど、正確な大きさは分かっていないそうだよ。
直径が分かっている月と金環の輪の幅からかなり正確な数値が計測できるそうで、
今回は金環が見えるギリギリの外側のラインに多くのボランテイアが貼りついて観
測したそうだ
妻:へぇ~、そうなんだ。今回の金環日食は天体ショーだけではなく、学問的な意味で
も大きな出来事なのね。
夫:こんな体験はもう二度とできないだろうね。何とか見ることが出来て本当に良かっ
た。冥土の土産ができたよ。