ショート・シナリオの館

2022/06/27(月)07:58

茨城味自慢:結城市のトウモロコシ「夏祭り」をご賞味あれ!

茨城県はトウモロコシの生産量全国第3位の名産地。特にトウモロコシ栽培が盛んな結城市は、茨城県の西側、関東平野のほぼ中央にあり、昔懐かしい城下町の原形が北端の市街地に残る一方、南部は一大農業地域になっています。結城市は、昔から白菜中心の農業地域でしたが、白菜の連作障害を防ぐために、初夏から秋にかけて陸稲を栽培していました。しかし、陸稲ではなく、収益性に優れるトウモロコシを導入する事例が増えていき、このことがきっかけとなって栽培面積も増え、今や県を代表するトウモロコシ産地となりました。お薦めの品種は、ひと粒ひと粒が黄色い「味来」(みらい)という種類で、「夏祭り」のブランド名で販売しています。実の皮が柔らかくシャキシャキとした食感で、糖度は17度と甘くてみずみずしく、栄養価が高いので夏バテ防止や美容・老化防止にぴったりです。また、でんぷん質が少ないため、加工品にも向いています。そして現在、力を入れているのが、夏祭り(味来)の品種改良型で、小ぶりながら食味のよいピクニックコーン。平均糖度は18度以上で、夏祭り以上の甘味を誇ります。日持ちが良いのも大きな特長です。茨城県結城市のスイートコーン・トウモロコシの紹介です。 <トウモロコシは世界三大穀物>トウモロコシは「小麦」「お米」と共に世界の三大穀物。その生産量は8億トンで、小麦の6億トン、お米の4億トンを上回り、さらに年々大きく増加している傾向にあります。世界のトウモロコシ生産量全体のうち約1/3が食用で、残りは家畜の飼料や工業用の原料、バイオ燃料などとして活用されています。トウモロコシの原産地は南米。コロンブスがヨーロッパに持ち帰ったことから、世界中で広く栽培され食されるようになりました。日本には、16世紀に長崎に伝来。明治に行われた北海道開拓で本格的に栽培され、今でも産地ランキング1位は北海道です。多くの品種がありますが、皆さんがよくご存知の食用の甘いスイートコーンが広く出回るようになったのは、第二次世界大戦後です。それまでは加工用のポップコーン、ソフトコーン、フリントコーンなどの品種がメインでした。 <とうもろこし生産量ランキンギ>世界ランキング:1位アメリカ(31%)、2位中国(22.4%)で世界全体の53%       生産しています。次いで、3位アルゼンチン、4位メキシコ、5位ウクライナ・・・日本はランク外で150位以下です(2020年)。尚、日本が輸入しているトウモロコシの用途は65%が飼料用、20%がコーンスターチ用です。そして、輸入先はアメリカからが89%です。日本は世界一のトウモロコシ輸入国ですが、その大部分をアメリカ産に依存しています。2.国内ランキング:年間生産量の断トツ1位は北海道(38.4%)、2位千葉県  (7.9%)、3位茨城県(6.9%)4位群馬県(5.2%)と関東圏が頑張っていま  す。ただ、時期によって出荷のランキングには違いがあります。スイートコー  ンでは、出始める5月は、温暖な気候である九州、なかでも宮崎県、長崎県、  熊本県などがメインで、北海道が最盛期を迎えるのは、7月~9月にかけてなの  です。尚、スイートコーンはほぼ100%国内自給なのですよ。その中で、茨城 県は北海道についで生産量が第2位です。 <とうもろこしの種類・品種>トウモロコシは食用の品種以外に、加工して油にする、家畜のエサ、バイオ燃料など、すべてを含むと千種類を超えるといわれています。食用品種においても品種改良されたものでも数百種類です。ここでは食用の代表、スイートコーンの中の代表品種に絞ります。ゴールデンコーン(黄粒種):昔からとうもろこしといえば、黄色い粒のものを思い浮かべるのが自然ですね。古くからあるスイートコーンの基本となる品種です。(ゴールドラッシュ・みわくのコーン・味来・おひさまコーン・ピクニックコーン・ミエルコーン・キラキラコーン・サニーショコラ・・・)シルバーコーン(白粒種):粒の色が白いのが特徴です。やや小粒の実は艶があり、皮がやわらかく甘みが強いため、生で食べたりサラダなどに人気。加熱する場合も短時間で済みます。(ピュアホワイト・バニラッシュ・ルーシー90・ホワイトレディー・・・)バイカラーコーン(バイカラー種):ゴールデンコーンとシルバーコーンをかけ合わせて作られた交雑種です。黄色と白色の粒が、3対1の割合で現れるのが一番の特徴。アメリカで育成された品種で、3種類のなかでは一番甘みが強いとされ、日本で特に人気があります。(甘々娘・ハニーバンダム・カクテル・ピーターコーン・ウッディ―コーン・ゆめのコーン・アンサンブル・・・) 近年では、より甘く品種改良されたものが多く、茹でたり、蒸したりせずに生で食べられるタイプもあります。王道の品種はゴールドラッシュや味来。近年では、白いピュアホワイトやバイカラーの甘々娘も人気を集めています。皆さん、いくつぐらいご存知ですか? <今のトウモロコシはなぜ甘いのか?>実感として今のトウモロコシは甘いです。生で食べても甘さを強く感じます。昔は生で食べた記憶がありませんから、品種改良で甘さを追求してきたということでしょうね。甘さの原因は食べる部分に糖類が貯まっているから感じるのですが、甘さの主役はショ糖ですが、それ以外に、果糖や葡萄糖(グルコース)、麦芽糖が含まれるそうで、これらの構成が品種や栽培条件、成熟段階によって大きく変わります。ショ糖は、葉で営まれる光合成でつくられて、種子の部分に運ばれ、最終的にはそこで進行するデンプンやタンパク質の合成のための材料となります。このため、運び込まれる速さがデンプンなどの合成に使われる速さを上回る場合には、ショ糖の蓄積がおこることになります。トウモロコシは「とれたての方が美味しい」とか、「朝どりしたものが美味しい」とか言われたりするのは、このような代謝のバランスに関係した話なのです。ですから、甘いのは種子がまだ完熟に至らない段階までの話ということになります。 <トウモロコシの豆知識>1.トウモロコシの見分け方:頭のひげが濃い茶色でふさふさしたものを選びましょう。熟すにつれて茶色いひげが濃くなるので熟度の目安になります。ひげの数は実(粒)の数と一致するので、多いほうが実の数も詰まっています。また軸の切り口がみずみずしくて持ったときに重みがあり、外皮が鮮やかな緑色のものが新鮮です。皮がむかれている場合は粒がふっくらとしていてツヤがあり、ぎっしりと詰まっているものを選びましょう。2、美味しい食べ方:(1)朝獲りが入手出来たら、まずは、「生」で食べましょう。瑞々しさを感じ、   ぷりぷりシャキシャキのスイートコーンを味わえます。(2)レンジでチン:①トウモロコシの皮をむき、軽く水をつけます(薄皮つきで   もOKです)②ラップで包みます。③レンジで3~4分(1本あたり)加熱しま   す。(3)魚焼きグリルで真っ黒に焼き上げる:皮付きのまま、魚焼きグリルで真っ黒   に焼き上げることで、甘みがギュッと閉じ込められ、甘さが際立ちます!   ①先端のひげ部分を切り落とします。②外側のむけている皮を剥がします   (剥がしすぎ注意!)③魚焼きグリルで、皮が真っ黒になるまで焼き上げる  (強火でひっくり返しながら)(4)茹でる:皮が薄い品種(ゴールドラッシュなど)は茹ですぎると美味しさが   なくなります!鮮やかな黄色になるくらいの2~3分でお湯から上げてくだ   さい。①薄皮1枚~2枚を残して、皮を剥きます。②お湯を沸かし、2~   2.5%の濃度になるよう、塩を入れます。③茹でます(2~3分)(5)その他:各種レシピの素材としても活用されています。3.トウモロコシの活用:ヒゲには甘みがあり、トウモロコシご飯などを炊く場合  は、一緒に入れるとよい。さらにトウモロコシのヒゲを使ったお茶もありま  す。韓国ではポピュラーな存在なのです。甘みがあり、独特の香ばしさが感じ  られるそうです。4.栄養価と効能:ビタミンB1・E、パントテン酸、カリウム、食物繊維、ナイア  シン、葉酸などが含まれています。特に、胚芽の部分には、元気な体に欠かせ  ないビタミンB群や還元力の強いビタミンEも含まれています。また、カリウ     ムは体のバランスを整えるとされているほか、マグネシウムは体内酵素の働き   を助けるなど、非常にバランスに秀でた野菜なのです。さらに、一粒ひと粒の   皮がセルロースという不溶性の食物繊維でできているので、スッキリ作用にも   つながると言われています。5.保存方法:気温の低い早朝に収穫されますが、時間の経過や気温の上昇にとも  なって糖度が減少し甘味が落ちます。その日のうちに食べきれない場合は、丸  ごとまたはカットしてゆでて、熱いうちにラップで包み、冷めたら冷蔵庫に入  れます。冷めてからラップすると粒皮にシワが寄って味と食感が落ちてしまい  ます。 <茨城県は甘味にこだわった品種選定>JA北つくば結城園芸部会トウモロコシ部は、昭和60年に設立され、地域で本格的なトウモロコシ栽培をスタートしました。部会では様々な品種を試験栽培し、その時々で一番おいしい品種を導入してきましたが、平成9年に「味来(みらい)」という品種が選ばれました。「味来」はそれまでの品種よりも甘みが強く、ジューシーで皮もやわらかいトウモロコシで、部会ではこれを「夏祭り」という独自ブランドとして生産・販売することにしました。現在84名の部会員で、約150haの面積で栽培しています。トウモロコシは、日中高温になると甘さが低下しやすいため、収穫は朝8時までと厳しく決められています。また、収穫されたトウモロコシは、その鮮度を損なわないように「真空予冷」をかけることで、通常の冷蔵庫よりも、すばやく冷やして鮮度と味を維持します。その後、次々と大型トラックで出荷され、各地に販売されていきます。真空予冷とは、真空予冷装置の中で一定時間真空状態にさらす事で熱を奪い、短時間でトウモロコシを冷やす鮮度維持システムです。「夏祭り」の中でも、収穫した当日の朝に店頭に並ぶ「朝どりトウモロコシ」という商品があります。収穫を始めるのは深夜2時。早朝4時半までにJAに出荷し、5時にはお店に向けて配送するシステムになっています。これらの取り組みにより、朝10時には都内の量販店の店頭に、より新鮮で美味しい「夏祭り」が並び、トウモロコシ本来の甘さを味わうことができます。朝どりトウモロコシは量販店との完全契約販売で、シーズンが始まると約1ヶ月間、農家の方は休み無しで収穫し続けます。それでも、「もっと美味しいものを届けたい!」という一心で、農家の方は朝どりトウモロコシに取り組んでいます。 通常のトウモロコシよりも一回り小さいですが、皮がとても柔らかく、非常に甘い「ピクニックコーン」という品種もあります。その作付け面積は、「味来」の150haに対して、わずか1ha。というのも、店頭で他の品種と並んだ場合、その小ささゆえに、お客様の手になかなか取っていただけない品種だからです。しかし、その味は、「味来」よりも甘く、やわらかい食感とすっきりとした甘さが特徴です。「冷たくされると甘いんです。」というキャッチコピーのとおり、冷蔵庫で冷やして食べるとより一層甘さが引き立ちます。直売所などでも稀にしか並ぶことがありませんが、見つけた時はぜひ手に取ってみてください。  是非、結城市の「夏祭り」をご賞味あれ!

続きを読む

このブログでよく読まれている記事

もっと見る

総合記事ランキング

もっと見る