テーマ:DVD映画鑑賞(13576)
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ニューヨークの変貌ぶりは目を見張るものがあります。かって摩天楼と言われた高層ビル街も、ワールドセンタービルの建設と崩壊などで、様変わりしました。 パリやロンドンの中心部は、昔と変わらぬたたずまいを見せています。パリ8区のモンテーニュ通りも、ほとんど変わっていません。ただし、パリジェンヌの気質までは保障できませんが。 製作=2005年 フランス映画 ユーロスペース配給 106分。監督・脚本=ダニエル・トンプソン。出演=セシール・ド・フランス、ヴァレリー・ルメルシエ、アルベール・デュポンテル、シドニー・ポラック、クリストファー・トンプソン、クロード・ブラッスール、ダニ パリに憧れてマコンから上京してきたジェシカ(セシル・ドゥ・フランス)は、ギャルソンとして由緒ある「カフェ・ド・テアトル」で働きます。パリでも有名なそのカフェには、映画監督や有名女優、資産家などセレブの人々がお客さんでした。TVドラマで人気を博す女優のカトリーヌ(ヴァレリー・ルメルシェ)、美術収集家・グランベール(クロード・ブラッスール)、著名ピアニストのジャン=フランソワ(アルベール・デュポンテル)などです。 高校時代、名画座で戦前・戦後のフランス映画をたくさん見ました。多感な文学少年時代ですから、受けた影響も半端ではありません。その後、ヌーベルバーグや活字ではアンチロマンの小説を読みふけり、難解な習作を書いて師匠を困惑させたことがあります。 本作はいかにも女流監督らしい細部に目が行き届いた佳作です。パリの街並みも綺麗に撮られていて、観光気分も満足させてくれました。30年ぶりに行きたくなりましたが、体調がよくないと時差が克服出来ないのでたぶん無理でしょう。 それぞれの分野で成功した人間が、必ずしも幸福というわけではありません。成功は虚名であり、人生の実質とは無関係なようです。幸福は主観的な思い込みに過ぎないのかもしれません。好きな道で生きるのが一番ということでしょうか。 全編に横溢するシニカルな視線。人物の性格がきちんと描かれていて、モーパッサンの小説に通じるものがありました。フランス的なエスプリが心地よい作品です。ハリウッドの大作を見慣れた人には、一服の清涼剤になるでしょう。 ヒロインの健気な心意気にも拍手を送りたくなりました。「舞台に近すぎず、遠すぎない席を探しているの」「隣は空いてるかい」パリで拾った恋は前途多難な気がしますが、彼女ならがんばり抜くでしょう。 「この年になると、過ぎ去ったことより残された日のことを考える」という老コレクターに共感したのは、自分も年取ったからでしょう。モンテーニュ通りの24時間には、パリのエキスが凝縮されているようでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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