テーマ:猫のいる生活(138971)
カテゴリ:良平
〈そうや、わしら親友なんや、カツからは涼の話いっぱい聞いてるで、優しくしてくれてるみたいやな、おおきに〉 「弟みたいで可愛くて、チャーリーさんはどうしてカツと?」 〈チャーリーでええよ、わしは夢の国の住人や、こうやってちょくちょく人の夢におじゃまするんや、それである時、毎日夢で泣いてる子を見つけたんや、それがカツやった・・・最初は涼みたいに心開いてくれへんかったし、泣くばっかりやった・・・夢は唯一、現実を忘れられて誰もが幸せな気分になれる所やのに〉 「カツは病気なんだ・・・」 〈あぁ知ってる、だからわしはカツのそばを離れへん、出来る事は何でもやったる、夢の国の住人としてのルールもやぶった・・・〉 「ルールって?」 〈夢は夢、夢以上やったらあかんねん〉 「どういうこと?」 〈現実の世界に決して影響を与えたらあかんねん〉 「願い石のこと?」 〈そうや〉 「ペナルティーはあるの?」 〈ある、本来わしらは自由や、永遠に存在し、誰の夢の中にも行けるんや、でも、もうわしは永遠とは違う、もうカツの夢の範囲しか行動でけへん。もしカツが消えたら・・・わしはカツだけの夢になったんや!わしがここに居るんはカツが涼の夢を見るからや〉 「どうして?そこまでしてカツを?」 〈さぁな、ただほっとけなかったんや、そこは涼と一緒やろ?〉 「うん」 そして、なぜか突然、悪い胸騒ぎが僕を襲った。 「カツを助けられる?」 〈わしに出来ることはささいな願いを叶える事ぐらいや・・・〉 「願い石で?」 〈そうや、ほんのささいな事や〉 「カツの病気を治せないの?」 〈命に関わる事なんて、めっそうもない〉 「そんなぁ・・・じゃあチャーリーには何が出来るのさ!」 〈そんな風に言うな、わしだって助けられへん辛さでいっぱいなんや〉 チャーリーは悲しげにうつむいた。 「ごめんなさい・・・でも、どうして願い石なの?願い石って何なの?」 〈わしのささいな力を増幅させるんや、あきらめずに願いを込めて蹴り続ける力がそのままわしの力になるんや〉 「でも、上手くいかないよ・・・じゃまする犬がいるんだ」 〈あぁ、コロの事か?〉 「コロ?あの大きな犬の事?」 〈そうや、奴はじゃましてるんやない、手伝ってるんや〉 「手伝ってる?だって石ころを取っちゃうんだよ!」 〈カツの体力を考えてわしが作った休憩地点ってとこや〉 「そんな事、カツは知らないよ!」 〈だから、涼に言ってるんや、わしが直接言えないルールやからな〉 「・・・分かった、でも、どうすればいいの?」 〈コロにここから始めるから石をちょうだいって言えばいいんや〉 「誰が?」 〈涼や!〉 「僕?それでいいんだ・・・でも、どう説明すればいいの?」 〈そこは涼に任せるわ〉 「そんなぁ・・・」 〈・・・おっと!カツが呼んでいる、もう行かなきゃ〉 「えっ!もう?もっともっと聞きたいことがあるのに」 〈また会える〉 「うん・・・ありがとう」 〈カツをよろしくな〉 「うん、チャーリーもカツをよろしくね」 〈あぁ〉 そうして、おしゃべりな猫チャーリーは消え、僕は深い眠りについた。 そして、次の朝、さっそく僕はカツに夢の話をした。 「昨日、夢でおしゃべりな猫にあったぞ」 〔えっ!チャーリーに会ったの?〕 「うん、カツの言ってたようにホントおしゃべりで楽しい猫だったよ」 僕はこんな不思議な体験をまったく疑ってなかった。 〔夢の中の話だけど、ずっと前から親友なんだ〕 「いい奴だな」 〔うん、大好きなんだ〕 もちろん言ってはいけない願い石のことは言わなかった。 「願い石、今日もやるんだろ?」 〔うん、チャーリーにも言われたんだ、あきらめるなって〕 「じゃあ放課後、裏門で待ち合わせな」 〔うん!〕 そして、放課後・・・ 先に来ていたカツはまた裏門の中でうろうろと石ころを探していた。 「カツ!」 〔あっ、お兄ちゃん!もう少し待って、まだ石ころが決まらないんだ〕 「今日は探さなくていいよ、それよりためしたい事があるんだ、とにかくあの犬の所に行こう」 〔犬の所に?うん、分かった〕 そうして犬がいる所まで行くと、犬は昨日と同じく嬉しそうに顔を犬小屋から出していた。 〔どうするの?〕 「あの犬から石ころを渡してもらうんだ」 〔小屋の中だよ?どうやって取るの?〕 「だから、渡してもらうんだって」 〔そんなことできるの?〕 「何でもやってみないとな!」 そして、僕はチャーリーを信じて犬に近づき話しかけた。カツはその様子を心配そうに離れて見ていた。 「コロ?僕はチャーリーの友達だ、その石ころはあそこにいる子の願い石なんだ、渡してくれないか?」 そう言うとコロは小屋に入り、石ころをくわえて小屋から出て、しっぽをフリフリ、道の真中まで歩いてそこに置いた。 「ありがとう!」 ワン!・・・ そして、また小屋に戻った。 「カツ、おいで!」 カツは犬の方を見ながら恐る恐る僕の所に来た。 〔お兄ちゃん、凄い!でも、どうして?どういう事?〕 「昨日、ずっと考えてたんだ・・・この犬は大きいけど優しそうだし・・・もしかしたらゲームのつもりなんじゃないかなって!・・・つまり遊んでいるだけじゃないのかなって!」 チャーリーに聞いたとは言えない。 〔・・・つまりどういう事?〕 「ここはゲームでいうセーブするとこなんだ、この犬は意地悪してるんじゃないんだ」 〔そうだったんだ!じゃあここから初めていいんだね?〕 「うん、そうだ」 〔じゃあここから、スタートだ!〕 カツが素直でよかった・・・もし、また学校からじゃチャーリーが言ったようにカツの体力がもたないし、時間的にも無理だっただろう。 つづく。 人気ブログランキングへ ↑皆に読んでもらいたい物語が沢山あります。応援してください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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