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空想作家と専属イラストレーター&猫7匹の                 愛妻家の食卓

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2009.03.22
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カテゴリ:良平

大感謝企画『願い石~夢猫チャーリーの贈り物・第12話』


「・・・何から話せばいいのかなぁ・・・元気だった?」

色々な思いが多すぎて言葉がみつからなかった。

〔うん、涼兄ちゃんは?〕

「まぁまぁかな・・・」

〔私ね、涼兄ちゃんに会えるかもしれないって今まで何度もここに来たんだよ〕

「でも、あの後すぐお母さんと一緒に田舎に戻ったんじゃなかったの?」

〔うん、でも何度も足を運んだよ、涼兄ちゃんに会いたくて・・・一人で一日中ここに立ってた事もあった〕

「そっか・・・僕は年に2回ぐらいしか来てなかったから・・・ごめんね・・・かおりちゃんも辛かったんだね」

〔うん・・・でも涼兄ちゃんもきっと同じ思いで過ごしてきたんだよね・・・〕

消えることの無い辛い思いを抱えてきた事の辛さが痛いほどよく分かった。と、同時にまた突然、持病の胸の痛みが僕を襲った・・・

「うっ・・・」

〔大丈夫?涼兄ちゃん・・・病気なの?〕

「ごめん・・・大丈夫だよ、すぐ治まるから」

僕は呼吸を整えた。

〔もしかして、昔の事が関係してるの?〕

「カツが亡くなったあの日、胸が張り裂けそうになった。それからずっと時々・・・」

〔ずっと?・・・涼兄ちゃんがそこまで苦しんでたなんて・・・〕

彼女はまた涙をこぼした。

「消せないし、消したくないから仕方ないんだ、大丈夫だよ」

〔ごめんなさい・・・〕

「どうして、かおりちゃんが謝るのさ、さっきも言ったけど想いは一緒なんだから・・・そういえばチャーリー?僕も追いかけてたんだけど?」

〔うん、確かに私も追いかけて・・・どうなってるのかな?〕

「幻?」

〔同時に?〕

「そんなことないよ、あんなはっきりしてたのに・・・夢で何か言ってなかった?今、かおりちゃんの夢の中に居るんでしょ?」

〔うん・・・でも、昨日お別れを言ったの・・・でも、ここに来たら今度こそ涼兄ちゃんと会えるって言ったから、それで頭いっぱいになって・・・後は何も考えられなくて〕

「かおりちゃんにも別れを?・・・この世界にチャーリーが来たってこと?」

〔そうならいいのになぁ・・・どこに行ったのかな?・・・もう会えないのかなぁ〕

「まったく、いつも勝手なんだから・・・チャーリー!居たら出てきて!」

僕は辺りかまわず叫んだ。

〔・・・〕

僕らは辺りを見渡した。

ニャーオ・・・

〔チャーリー?・・・〕

ニャーオ・・・

「どこ?」

近づく声を必死に探した。

ニャーオ

〔あっ!チャーリー!〕

「チャーリー?」

チャーリーは塀の上を歩いて近づいてきた。そして、

ウニャッ!

僕たちの目の前に降り立った。

「まったく人騒がせなんだから」

〔会えた・・・〕

チャーリーは喉を鳴らして僕とかおりちゃんの足元に体をすり寄せた。

「チャーリーなんだろ?ちゃんと説明しろよ!」

だけど、チャーリーはただ足元に絡むばかり・・・

「もしかしてチャーリーに似ているだけでチャーリーじゃない?」

〔そんなことないよ、小さいけど・・・間違いなくチャーリーだと思う〕

「そうだよね、こんな偶然あるはずないよね」

〔うん、チャーリーだよ〕

そう言うと、かおりちゃんはチャーリーに手を伸ばした。

〔現実でチャーリーに触れられるなんて・・・〕

チャーリーは喉をいっそうゴロゴロと鳴らした。

〔あなたってつくづく不思議な猫ね、昨日までは夢の中に居たのに・・・〕

「ホントにどうなってるんだろう?」

僕もしゃがんでチャーリーを撫ぜた。チャーリーはよほど気持ちよかったのかその場でお腹を見せて寝転んだ。

その可愛さに僕たちもしばらく一緒になってチャーリーを撫ぜていた。

〔もうチャーリーはこの世界の猫になったのかな〕

「うん、たぶん・・・」

〔今はただの野良猫ってとこだよね?〕

「そうだね」

〔じゃあ、私が飼っていいよね?〕

「えっ、本気?」

〔うん、だってずっと一緒に居た友達だもん〕

ウニャ!

「そっか、チャーリーも喜んでるみたいだし、それがいいね」

〔うん!今日から家族よ、チャーリー〕

ニャーオ

「でも、田舎まで大変じゃない?」

〔あっ、舞い上がって言い忘れてた・・・私ね、この町に先週引越ししてきたの〕

「えっ!ホントに?」

〔うん〕

「じゃあ、ここから近いの?」

〔前と一緒よ〕

「あの家に?」

〔うん、ホントにごめんなさい・・・〕

「そんなのいいよ、僕だって聞きたいこととか沢山で何から話したらいいか分からないんだから」

〔そうよね、あれから1度も会ってなかったんだから・・・涼兄ちゃんの一番聞きたいことって、やっぱり和義の願い事でしょ?〕

「そうだね、ずっと気になっているよ」

〔やっぱり、チャーリーは何も言わなかったのね〕

「かおりちゃんは知ってるの?」

〔ううん、はっきりは言ってくれなかった・・・ただ・・・〕

「ただ、何?」


つづく。




良平です。

いよいよ後1話です!

次が最終回です!





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Last updated  2009.03.22 07:57:34
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