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空想作家と専属イラストレーター&猫7匹の                 愛妻家の食卓

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2009.04.07
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カテゴリ:良平
『天使の手鏡』・第6章『始動』・・・第1話

私の使命は変わらないと真っ先にトマスが伝えてくれたので、いつものように診療所を開けていました。
 
しかし、他の天使たちは毎日のように、新しい使命について話し合っていましす。

私は何だか取り残されたようで余計に落ち着かず、診療所の片付けや掃除などを
していました。すると、

〔先生、いらっしゃいますか?〕

と、一人の女性が訪ねてきました。

「はい、どうぞ」

〔失礼します〕

患者ではないように感じました。

「どうしましたか?」

〔この子たちの翼を診てほしいのです〕

彼女はそう言うと天使のゆりかご(天使の羽で作られた浮かぶゆりかご)を七つ紐で繋いだものを引っ張り入れました。

「その子たちはまさか・・・」

〔はい、昨日生まれ変わった子供たちです。今日は初めての検診をお願いしようかと、お忙しいですか?〕

「いえ・・・」

私は慌ててその子たちに駆け寄りました。そう、彼を探したのです・・・

「オルガ・・・」

姿が変わっても私には分かりました。

〔まさか、お知り合いだったのですか?〕

「はい、以前ここに・・・」

〔彼は中でもリーダー的な存在だったと聞きました〕

「そうですか・・・」

彼はもちろん記憶はないでしょうが、つぶらな瞳で私を見つめ、満面の笑顔で小さな手を伸ばしました。

「・・・」

涙が自然と出ました。私は抱きかかえ、抱きしめました。そして、私の狭い心で辛くあたったことを謝りました。

「オルガ・・・1番辛い思いをしていたのは君たちだったんだね、私は何も見ず、聞き入れず君を拒否してしまった・・・本当にすまなかった」

〔先生・・・〕

「すみません、どうしても謝りたくて」

〔いえ・・・〕

「それでは診てみましょう」

〔お願いします〕

私は1人ずつ抱きかかえ、翼の具合を診ました。

プットたちの翼はとても元気で良い翼を持っていました。・

「みんな大丈夫です。とても良い天使になることでしょう、どうかこの子たちを大切に育ててやってください・・・この子たちは未来です。どうかよろしくお願いします」

〔はい、それが私の使命です。私の全てをかけて大切に育てます。それではまた次の検診の時に〕

「はい、お願いします・・・」

私は最後にまたオルガに手を伸ばしました。すると、オルガは小さな、小さな手で私の指を握りました。

「大きくなったら、沢山話そうな・・・」

そうして、彼女とプットたちは帰っていきました。

彼が変わったことが私の心の痛みになっていましたが、あの笑顔を見てやっと良かったと思えました・・・


それから、今日はあの子たち以外誰も訪れませんでした。
こんなに長く、孤独に感じる日は初めてでした・・・

そして、夜になるとまたサラの事を想い、それを打ち消し、それを朝まで繰り返しました・・・

その日、昨日の静けさが嘘だったように朝から沢山の天使たちが新しい使命を知らせにやってきてくれました。

と、同時に戸惑いを打ち明ける天使たちも沢山居ました。それはやはり以前、人と関わりを持つ者ばかりでした。

そんな中、祭典の時に一緒だったヴィクターがやってきたのです。

「ヴィクター待っていたぞ、新しい使命は言い渡されたかい?」

[はい、もう知っていらっしゃるでしょうが、今回から同じ使命を言い渡された者同士、班を組み、使命を複数でします]

「また迷う者がでないように、そして、助け合えるようにだね?」

[はい、私たちの班の使命は地をよみがえさせるという使命です]

「地をよみがえさせる?」

[そうです。人によって草木が生えなくなってしまった地をよみがえさせるのです。また、草木に直接、強い生命力を与え、地に力を与えるのです]

「君が来る前にも何人か同じように自然や人以外の動物に関わる使命の者がいた」

[はい、ほとんどがそうなりました]

「時間がかかっても、いずれ人に影響を与えられると、ここの主天使様が言っていた」

[はい、ひとたび人に気付かせられれば、人は変わると私は信じています]

「そうだな、良い使命をもらったな」

[はい、そして私はその班のリーダーに任命されました]

「素晴らしい!やったじゃないか、君なら大丈夫だ、自信を持ってやりなさい!」

[・・・はい・・・]

「嬉しくはないのかい?何か不安でもあるのかい?」

すると、ヴィクターは悩みを打ち明けました・・・

つづく。




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Last updated  2009.04.07 09:13:48
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