カテゴリ:歴史あれこれ
秋田県では山間部周辺に多い 「善知鳥(うとう)」という鳥の名が付いた地がある。 マピオンで検索すると、近くに3か所ある。 秋田県横手市大森町八沢木善知鳥蓋 秋田県仙北郡美郷町金沢東根善知鳥坂 秋田県仙北郡美郷町千屋善知鳥 美郷町の「善知鳥」は広域農道"みずほの里ロード"を挟んだ地にあり、近くに善知鳥川(写真1枚目)が流れている。 「善知鳥」の地は、秋田県内に他にも多数あり、福島県と青森県にも一か所ずつある。 地名の語源(角川小事典13)にその由来が載っている。 「ウトウの語源」 ・低くて小さい谷、袋状の谷、せまい峠道 宇登、宇土、宇戸、宇都、善知鳥、打当内など。 ・連邦、鈍頂の山や丘 善知鳥、善知鳥山、鳥兎山など。 ・洞穴 鵜戸、鵜戸崎。 これをみると、どうやら、秋田県内の善知鳥は低くて小さい谷や袋状の谷の地に当たるようである。 青森市は往古・善知鳥村だった しかし、ウトウ(善知鳥)は海鳥だ。 ハトより少し大きく、北海道の天売島が大繁殖地として知られている。 海鳥の善知鳥がなぜ内陸部の地名になったのか疑問だが、ウトウの呼び名が先にあって、それに無理矢理「善知鳥」を当てはめたというしかないだろう。 それでも、まだ疑問が残る。 善知鳥と書いて、どうしてもウトウとは読めないからだ。 私と同じ疑問を抱いた人たちがいた。井手敏博の日々逍遥-ウトウの頭の考証学や、ウトウ - 古代史に登場する鳥に詳しい考証が記されている。 時間のある方は一読してほしい。 青森市に善知鳥神社があって、そこは青森市発祥の地であるという。 善知鳥神社は、青森市が昔、善知鳥村と言われた頃、善知鳥中納言安方が鎮護の神々を祀ったことに由来するとある。 善知鳥が、青森の古名だったというのには驚いた。 「ウトウ」に通ずる鵜戸神宮、大戸川 ウトウの語源として洞穴(どうけつ)を意味する地に「鵜戸」があり、宮崎県日南市の鵜戸神宮(うどじんぐう)(写真2枚目)が有名だ。 鵜戸神宮は文字通り洞穴に建立された神社だ。 創建は、古事記に出てくる第10代崇神天皇の代と伝えられるほど古い神社である。 余談だが、鵜戸神宮の参道から、亀石と呼ばれる岩の枡形に運玉を投げて入れば願いが叶うといわれていて、私も試したが、見事外れた。 菅江真澄・雪の出羽路に『鵜渡(ウド)川 大戸川と誤り唱える。此の川もと空(ウト)川ならむ。』とある。 秋田自動車道の東側を並行するように流れる大戸川も、その古名は、ウトウ(善知鳥)に通じていたのだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017/02/21 10:12:02 AM
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