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2017/03/06(月)05:18

地名こぼれ話21・「四十八」、「四十九」、「五十」

歴史あれこれ(37)

桂瀬の四十八滝(秋田県北秋田市) 大仙市の「四十八(しじゅうはち)」は清水の里  「四十八」地名を集めてみた。  秋田県大仙市上野田四十八(しじゅうはち)  愛知県豊橋市山田町四十八(よつや)  広島県廿日市市大野四十八坂(じゅうはっさか)  愛知県知多市日長四十八田(しじゅうはちだ)  菅江真澄は月の出羽路・上野田邑(こうずけたむら)の項で、 『四十八村 この村に四十八個所の寒泉あり。そもそも、四十八清水邑といっていたが、長くて呼びにくいので清水を省き、しじゅうはちむらというようになった。(筆者。現代語訳)』と記している。  岩手県下閉伊郡山田町に四十八坂があるが、曲がりくねった坂がいくつも続いた難所で、この名前が付けられた。  愛知県豊橋市の四十八は「よつや」と、珍しい読み方をする。  浄土宗の教えに「四十八願 (しじゅうはちがん)」があり、法蔵菩薩 が仏になるために立てた48の願のことを指す。  また名字にも「四十八願(よいなら)」があり、佐野市や足利市など栃木県に見られる。浄土宗の「四十八願」に由来するという。(参考・名字由来net|四十八願)  全国各地に「四十八滝」がある。  四十八滝 秋田県北秋田市桂瀬  鳳鳴四十八滝 宮城県仙台市青葉区作並  赤目四十八滝 三重県名張市赤目町長坂  宇津江四十八滝 岐阜県高山市国府町  住田四十八滝 岩手県気仙郡住田町  寺沢川四十八滝 遠野市宮守町宮守  この中で最も知られているのは「赤目四十八滝」だろうか。  「日本の滝100選」にも選ばれ、ハイキングの名所となっている。  北秋田市桂瀬にある今木神社の四十八滝は、国道105号線から阿仁川を渡って程ない所にある。(写真上)  周辺にたくさんの滝があるわけではなく、いわれや歴史などを知る人は少ないという。  日光いろは坂は、「い」「ろ」「は」...と続く「48」ものヘアピンカーブが続く坂として知られる観光名所である。  四十八手は相撲の決まり手数の俗称。  花札の一組は48枚。  無くて七癖あって四十八癖ということわざがある。  なぜか、「48」のつくものは多岐にわたり、多々あることの代名詞にも使われているようだ。 「四十九院」は「しじゅうくいん」とも「つるしいん」とも  「四十九」の付く地名も見られる。  三重県伊賀市四十九町(しじゅくちょう)  滋賀県犬上郡豊郷町四十九院(しじゅうくいん)  石川県加賀市山中温泉四十九院町(しじゅうくいんまち)  角川日本地名大辞典によれば、石川県加賀市と滋賀県豊郷町の「四十九院」は、行基菩薩が49か寺を建立したという伝説に由来するという。  また、「四十九院」を「つるしいん」とする名字もある。(参考・四十九院」の名字の由来)  字地には見当たらないが、福島県伊達市保原町に「四十九院」という地があり、飴買い幽霊話が伝わる。 いろいろある「五十」地名  「五十」の付く地名はバラエティに富み、読みも様々だ。  まず、「五十」を素直に「ごじゅう」と読む地名を列挙する。  秋田県横手市平鹿町上吉田五十田東(ごじゅうでんひがし)  福島県南会津郡南会津町宮沢五十苅(ごじゅうがり)  岩手県一関市五十人町(ごじゅうにんまち)  愛知県稲沢市矢合町五十歩(ごじゅうぶ)  千葉県南房総市和田町五十蔵(ごじゅうくら)  福島県須賀川市小倉五十目(ごじゅうめ)  「五十」の語尾を詰めて読む。  秋田県秋田市上新城五十丁(ごじっちょう)  福島県耶麻郡猪苗代町三ツ和五十軒(ごじゅっけん)  宮崎県都城市五十町(ごじっちょう)  福岡県福岡市南区五十川(ごじっかわ)  「五十」を「ごと」と読む。  愛知県豊田市西丹波町三五十(さんごと)  福島県耶麻郡猪苗代町長田西五十滝(ごとおたき)  「五十」を「いか・いが」と読む。  秋田県由利本荘市五十土五十土(いかづち)  山形県長井市五十川(いかがわ)  新潟県佐渡市北五十里(いかり)  新潟県上越市頸城区五十嵐(いがらし)  新潟県東蒲原郡阿賀町五十島(いがしま)  埼玉県本庄市五十子(いかっこ)  富山県高岡市五十辺(いからべ)  富山県高岡市五十里(いかり)  静岡県藤枝市五十海(いかるみ)  愛媛県今治市五十嵐(いかなし)  「五十嵐(いがらし)」はよく知られた名字でもある。  民俗学の広場に「五十嵐」の名字の由来が詳しい。  『・新潟県中部に五十嵐川(いがらしがわ)や五十嵐浜(いがらしはま)がある。  ・五十嵐川は古くから氾濫の多い川といわれていたが、「イカラシ」=「イカリ」で、溢れるという意味を持つ。  ・新潟市の五十嵐浜がルーツという説もある。「五十」は「いそ」と読み、「磯」のこと。「いそあらし」が訛って「いそらし」「いからし」となった。  ・語源は、アイヌ語の「物見台地」「吹き荒れる荒地」など諸説ある。第十一代垂仁天皇の皇子の五十足彦命(いかたらしひこ)がこの地を開拓したことによる。  ・五十嵐は、古くは伊加良志と書き、アイヌ語で「見晴らしのきくところ」という意味。』  「五十鈴」は「いすず」。  山形県山形市五十鈴(いすず)  三重県松阪市五十鈴町(いすずちょう)  よく知られた三重県の「五十鈴川(いすずがわ)」は、伊勢神宮の聖地を流れる。  五十鈴神社『宮司の社務日誌』によると、『清らかな美しい響き、という「濯(すす)ぎ」を語源とした説』が有力であるという。 伊勢神宮を流れる五十鈴川の御手洗場  その他種々の読みもいろいろ。  山形県鶴岡市五十川(いらがわ)  「五十川」の地名の由来は、五十は数の多いことを指し、「沢山の流れを集めて流れる川」の意味でもある、としている。  山形県村山市五十沢(いさざわ)  福島県福島市立子山五十保内(いさぼうち)  新潟県新発田市五十公野(いじみの)  石川県輪島市門前町五十洲(いぎす)  栃木県足利市五十部町(よべちょう)  「五十部」の名字の由来を見ると、 『伊与部・五百部とも書き、「いよべ」とも読んだ。地名の由来は、古代の余部郷にちなむという。』などとある。

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