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事故に遭った当初たいしたこともないように思われ、私は一週間もすれば治るだろうと軽く考えていた。 びっこを引いてはいたが歩けたし、事故現場の写真も自分で撮れたからだ。 だから、クレーン車の運転手には「大丈夫、たいしたことないから」と安心させる言葉を発していた。 警察官にも「明日、病院に行って診察を受けるから」と伝えていた。 しかし、そう思ったのは浅はかだったのである。 軽傷の思惑はものの見事に覆され、ある意味重症のレッテルを貼られる事態に陥ってしまった。 当日の夜、足と右手が次第にズキンズキンと痛み出したのである。 救急外来が嫌でなんとかこらえたが、一晩中眠れなかった。 今思うと、我意を押し通してなぜ救急車を呼ばなかったのか、なぜ夜間診療を拒んだのか分からない。 事故当時、追突されたダンプカーの運転手が私に投げかけた言葉が忘れられない。 「あんた、軽く考えちゃだめだよ。交通事故は後で大げさになることも多いんだから」 全く、その通りになってしまった。 翌朝、妻の車に乗って大森病院へ行ったが、その頃は立って歩けない状態になっていた。 だから車椅子で診察室に入った。採血、レントゲン、MRI、超音波などしこたま検査を受け、結果、足は骨折、肩は腱板断裂という診断が下された。 詳細は省くが、肩の故障は手術が必要といわれ、かくして全治6か月の怪我とは相成ったのである。 事故当時を思い起こすと身震いが出るが、ともかくも事故死という最悪の事態だけは免れたのだから、不幸中の幸いといえるかも知れない。 それには、いくつかの幸運が重なっていたのは事実である。 まず、使った脚立は2m程でそんなに高くなく、しかも最上段には上がっていなかった。 サワラ並木を剪定するときは、最初この脚立を使い、その後12尺(3.6m)の脚立に切り替えて剪定作業をする。 12尺の上段に上がっていたら、もっと大変なことになっていたろう。 それに、剪定ばさみも危なかった。 鋭利な刃物だから、まかり間違えば凶器にもなる。 体が地上に投げ出されたとき、一緒に落下していたら、体のどこかに突き刺ってもおかしくはない。 幸い、剪定ばさみは樹の枝に残っていた。 最も危険なのは頭である。 運よく、私はしっかり山岳用のヘルメットを冠っていた。 岩場の登攀にヘルメットは必需品である。 それを、剪定作業時にも使用していたのが良かった。 それも作業開始時、頭は丸裸だったが、後で「まずいな」と気付き、ヘルメットを持ち出して着用したのだった。 地面は硬い石畳である。ヘルメットがなかったら、頭蓋骨骨折だったか。 今思うとぞっとする。 写真は、槍ヶ岳山頂とそれを攻略したヘルメット姿の私である。(2015年7月登頂) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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